公開日:2025.12.24 更新日:2026.06.16
別荘の固定資産税はいくら?自宅より高い理由と節税方法
軽井沢や熱海に別荘を持つ。多くの人が一度は夢を見ることですが、税金や維持費を考えると気軽に購入できるものではないと思うことでしょう。中でも継続的にかかる固定資産税は心配になりやすいポイントです。
そこでこの記事では、別荘にかかる固定資産税の仕組みから、その他の税金、節税のためのポイント、維持管理費、使わなくなった場合の手放し方まで幅広く整理して紹介します。負担を見通したうえで、別荘を無理なく楽しむための基礎知識として活用してください。
目次
まずは別荘とセカンドハウスの違いを理解しよう

固定資産税の具体的な仕組みを見ていく前に、まずは別荘と似たセカンドハウスとの違いを押さえておきましょう。どちらも「自宅とは別に持つ住まい」という点は同じですが、使われ方や目的には明確な違いがあります。
別荘は余暇を楽しむための非日常の拠点で、固定資産税の住宅用地特例が原則適用されません。セカンドハウスは生活の延長として使う第二の拠点で、一定条件を満たせば特例が適用される場合があります。
固定資産税の基本:税率や納付時期など
次に固定資産税の基本をおさらいしておきましょう。固定資産税は、所有している土地や建物に対して課税標準額を基準に算出される税金です。毎年1月1日時点で所有している土地や建物に対して、次の計算式により税額が決まります。
- 課税標準額(※)× 税率(標準1.4%)
※ 自治体が定める「固定資産税評価基準」に基づき算出される不動産の価値。3年ごとに地価や建物の状態に合わせて見直される「評価替え」が行われる
固定資産税の納期スケジュール
固定資産税は年4期に分けて納付します。一般的なスケジュールは以下のとおりです。
| 納付期 | 納付時期の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 第1期 | 4月〜5月末頃 | 納税通知書到着と同時期 |
| 第2期 | 7月末頃 | |
| 第3期 | 9月末頃 | |
| 第4期 | 11月末または翌年1月末頃 | 自治体により異なる |
気を付けたいのが、納税通知書が不在中の別荘に届いてしまうケースです。時期によっては納期まで気づかない恐れがあるため、郵便物の転送設定や口座振替への切り替えなどをしておきましょう。
固定資産税の滞納リスク
固定資産税を滞納すると、延滞金が発生したり、自治体から督促状が送られてきたりします。さらに、長期間にわたって滞納が続くと、差押えによる強制徴収が行われる可能性もあります。
固定資産税を滞納した場合の一般的な流れは以下のとおりです。
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| 1 | 督促状・催告書の発送 |
| 2 | 財産の差し押さえ(不動産も対象) |
| 3 | 換価処分(公売・債権取り立て等) |
別荘の固定資産税は自宅より高くなる?

別荘にかかる固定資産税でまず知っておきたいのが、自宅(居住用住宅)と別荘では税の扱いが大きく異なるという点です。
別荘は日常的な居住実態がないため、住宅用地の特例(固定資産税を最大1/6に軽減)が原則適用されず、同じ面積でも自宅より固定資産税が高くなるケースがあります。
固定資産税には「住宅用地の特例」という、自宅の土地にかかる固定資産税を軽減する制度がありますが、別荘は日常的な居住の実態がないため、原則として地方税法上の特例が適用されません。そのため、自宅より面積が少なくても税額が高くなるケースがあります。
セカンドハウス認定を活用した別荘の固定資産税の減額方法
セカンドハウス認定で使える固定資産税の軽減制度
① 住宅用地の特例
200㎡以下の部分:課税標準が6分の1に/200㎡超の部分:3分の1に軽減
② 新築住宅の減額措置
一戸建て:新築後3年間(長期優良住宅は5年)建物分が1/2に軽減(2026年3月31日までの新築が対象)
⚠️ 認定条件例(長野県南牧村):
居住用家屋であること / 特定人の利用であること / 毎月1泊2日以上の利用があること
通常、固定資産税には住宅用地の特例や新築住宅に関する軽減制度、リフォーム時の軽減制度などの減額制度が用意されていますが、原則として別荘にこれらの制度は適用できません。
しかし近年、一部自治体では「セカンドハウスとしての利用を地域貢献とみなす」方針が広がり、一定の条件を満たしたセカンドハウスであれば、固定資産税の軽減制度が利用できるケースが出てきています。
そこでここでは、セカンドハウス認定によって活用できる可能性がある主な軽減制度を2つ紹介します。
1. 住宅用地の特例を活用できるケース
2. 新築住宅に対する軽減制度を利用できるケース
セカンドハウスの認定を受けるには、各自治体の認定基準をクリアする必要があります。特に、実態として「居住の延長」と認められるかどうかが焦点になっています。たとえば、長野県南牧村では以下の条件が設けられています。
- 居住用の家屋であること
- 特定の人の利用であること
- 年間を通じて毎月1泊2日以上の利用があること
なお、セカンドハウスとしての扱いを維持するためには、利用状況を継続して示し続ける必要があります。「一時的に滞在して終わり」の状態では認定が外れてしまう可能性があるため、普段の生活スタイルと照らし合わせながら無理のない形で運用していくことが大切です。
住宅用地の特例
自宅の土地にかかる固定資産税を軽減する「住宅用地の特例」が適用された場合、敷地の広さに応じて以下のようにおトクな割引が受けられます。
・小規模住宅用地(200㎡=約60坪までの部分): 税金の対象となる金額が6分の1に割引
・一般住宅用地(200㎡を超える部分): 税金の対象となる金額が3分の1に割引
イメージしやすいように、「土地の価値(評価額)が1,200万円・広さが200㎡」の別荘を例にして、実際の税金の差を最後まで計算してみましょう。
【別荘のまま、特例(割引)が適用されない場合】
土地の価値がそのまま税金の対象になります。
・1,200万円 × 1.4%(基本の税率) = 16万8,000円
年間で「約16万8,000円」の固定資産税がかかります。
【条件をクリアして、セカンドハウス(住宅用)と認められた場合】
200㎡ぴったりの土地なので、丸ごと「6分の1」の割引が使えます。
・1,200万円 ÷ 6 = 200万円(税金の対象になる金額)
・200万円 × 1.4%(基本の税率) = 2万8,000円
年間の固定資産税は、なんと「約2万8,000円」まで安くなります。
毎月しっかりと通って「セカンドハウス」の認定をもらえるかどうかで、同じ土地でも毎年14万円もの差が生まれることがわかります。
新築住宅に係る税額の減額措置
新築住宅に係る税額の減額措置とは、一定の要件を満たす新築住宅について、固定資産税の負担を軽減する制度です。新築一戸建ての軽減期間は原則3年間(長期優良住宅は5年間)、マンションは5年間(長期優良住宅は7年間)、建物の固定資産税が1/2に軽減されます。本措置の適用期限は2026年3月31日までに新築された住宅です。なお、セカンドハウス(別荘)への適用可否は自治体の認定条件次第であり、事前確認が必要です。
たとえば、建物の評価額が1,000万円の新築住宅の場合、以下のような差が生まれます。
軽減が適用されない場合
- 建物評価額:1,000万円
- 課税標準:1,000万円
- 固定資産税(1.4%):約140,000円/年
新築住宅の軽減が適用された場合
- 課税標準:1,000万円
- 固定資産税(1.4%):
- 約140,000円 → 約70,000円/年(半額)
別荘の所有にかかるその他の税金
別荘を維持する際には、固定資産税以外にも以下のような税金がかかります。
- 都市計画税
- 住民税
- 別荘等所有税
ちなみに、別荘を取得する際には不動産取得税や登録免許税が必要になります。
不動産にかかる税金を網羅解説|種類・計算・節税まで徹底ガイド
都市計画税
都市計画税は、都市計画区域内にある土地・建物に対して課される税金です。固定資産税と同様に毎年1月1日時点の所有者が対象となり、自治体が定める税率をもとに算出されます。
税額の計算式は以下のとおりです。
- 都市計画税額 =課税標準額 × 税率(上限0.3%)
ただし、都市計画税が課税されるのは市街化区域が設定されている自治体のみです。また、市街化区域があっても、都市計画税を徴収していないケースもあります。
ちなみに、都市計画税の納付タイミングは固定資産税と同じで、多くの自治体では年4回の分割納付方式を採用しています。
住民税
別荘を所有している自治体に住民票を置いていない場合でも、住民税の均等割が課されます。これは地方税法に基づく「家屋敷課税」と呼ばれる制度で、該当する自治体に事務所、事業所または家屋敷を所有している場合が対象になります。
均等割には、市区町村税と都道府県税、森林環境税が含まれ、年額5,000円程度が一般的です。
別荘等所有税
熱海市では、インフラ整備や観光施策の財源確保を目的に「別荘等所有税」 という独自の税制を導入しています。
課税の対象は、毎年1月1日時点において、家屋を所有しており熱海市に住民登録または市県民税の申告の無い所有者または、他人に家屋を貸し付けている所有者、旅館業法の許可をうけていない寮や保養所などを所有している人です。
税額は、所有している建物の延べ床面積1平方メートルにつき650円です。アパートやマンションなどの区分所有の建物の場合は、共有部分を按分した面積も対象になります。
なお、熱海市の別荘等所有税の課税期間は令和3年度〜令和7年度(2025年度)までとされており、2026年度以降の継続については最新情報を熱海市公式サイトでご確認ください。
使わない別荘をリスク回避のために処分する方法

利用しなくなった別荘をそのまま所有し続けると、維持管理費用がかかるだけでなく、以下のようなリスクも付きまといます。
| 方法 | 特徴 | 注意点 |
|---|---|---|
| 売却(不動産仲介) | 市場価格での売却が可能 | アクセス悪・劣化物件は買い手がつきにくい |
| 管理会社への引き取り | 話が早く手続きが簡単 | 市場価格より安くなる傾向。管理組合の承認が必要な場合も |
| 相続土地国庫帰属制度 | 相続した土地を国に引き取ってもらえる | 建物がある土地は原則対象外。審査手数料1万4,000円は不承認でも返金なし |
こうしたリスクは、使用頻度が低くなるほど加速度的に大きくなる傾向にあります。そうなると予想以上に劣化が進み、最悪の場合「売りたくても売れない物件」になってしまうこともあります。
そのため、将来手放す可能性がある場合は、状態が悪化する前に選択肢を整理しておくことが重要です。ここでは、使わない別荘を手放す方法を3つ紹介します。
売却(不動産仲介会社を通じて手放す)
もっとも一般的な手放し方が、不動産会社を通じて売却する方法です。建物の状態や立地が良ければ、市場価格で売却できる可能性があります。
ただし、別荘の売却には次のような注意点があります。
- アクセスが悪い物件は買い手が見つかりにくい
- 建物の劣化が進んでいると査定額が下がる
- シーズン需要に左右されやすい
そのため、売却を検討する際は、複数の不動産会社へ査定を依頼し、売却期間や相場を見極めることが重要です。また、売れやすくするために最低限の修繕やリフォームを行うのも一つの手です。
別荘の管理会社に引き取りを依頼する
別荘地によっては、管理会社が「買取」や「引き取り」サービスを提供している場合があります。管理会社はそのエリアの物件情報や維持状況を把握しているため、市場に出しにくい別荘でもスムーズに手放せる可能性があります。
主な特徴は以下のとおりです。
引き取りの特徴
- 管理会社がエリア事情・建物状況を把握しているため話が早い
- 傷みが進んだ物件でも相談できるケースがある
- 仲介より手続きが簡単で、すぐに処分できる場合もある
注意点
- 市場価格より安く買い取られる傾向が強い
- 管理組合の承認や、別途手数料が必要な場合がある
- 無償譲渡または手数料を払っての譲渡になることもある
相続土地国庫帰属制度を利用する(相続した別荘の場合)
相続した別荘の土地を手放す場合には、相続土地国庫帰属制度を利用して国に引き取ってもらう方法があります。ただし、引き取ってもらうための条件が厳しく、多くの費用と労力がかかります。
また、以下の条件に該当する場合は基本的に却下されます。
| 区分 | 該当する土地の例 |
|---|---|
| 却下事由(申請不可) | 建物がある土地/担保権・使用収益権が設定されている土地/土壌汚染がある土地/境界が不明な土地 |
| 不承認事由(承認されない) | 管理に過分な費用・労力がかかる崖がある土地/地上・地下に除去が必要な物がある土地/争訟によらなければ管理できない土地 |
引用:法務局
また、審査手数料が1万4,000円必要です。審査の結果不承認となった場合でも返金されませんので、事前に条件に該当するか確認してから進めましょう。
別荘の固定資産税に関するよくある質問
Q. 別荘の固定資産税は自宅より高いのですか?
はい、原則として高くなります。自宅の土地には「住宅用地の特例」が適用され固定資産税が最大6分の1に軽減されますが、別荘は日常的な居住実態がないため原則として特例が適用されません。そのため、同じ面積でも税額が数倍になるケースがあります。
Q. 別荘をセカンドハウスとして認定してもらう方法はありますか?
一部の自治体では、毎月一定回数以上の利用があるなど居住の延長と認められる場合にセカンドハウス認定を受けられます。認定されると住宅用地の特例が適用可能になり、固定資産税が大幅に軽減されます。認定基準は自治体によって異なるため、物件所在地の自治体に事前確認が必要です。
Q. 使わなくなった別荘を手放す方法にはどんなものがありますか?
主に「不動産会社を通じた売却」「管理会社への引き取り依頼」「相続土地国庫帰属制度(相続した土地のみ)」の3つがあります。建物が残っている土地は国庫帰属制度の対象外になるなど条件があるため、状態が悪化する前に早めに選択肢を検討することが重要です。
まとめ・総括:固定資産税の負担を最小限に抑えるポイント
別荘の固定資産税は、仕組みを理解しながら計画的に向き合うことで負担を抑えやすくなります。さらに、セカンドハウス認定や自治体の減免措置など、活用できる制度を知っておけば、余計なコストを抱えずに済みますし、維持管理費もあらかじめ計画しておくことで想定外の出費を防ぎやすくなります。
また、利用頻度が減ってきた場合には、売却・寄付・国庫帰属制度など、無理のない形で手放す選択肢も持っておくと安心です。用途や状況に応じて柔軟に検討していくことで、別荘は“負担になる資産”ではなく、自分のペースで管理できる拠点として長く付き合っていけるでしょう。
この記事の監修者
白崎 達也 アキサポ 空き家プランナー
一級建築士
中古住宅や使われなくなった建物の再活用に、20年以上携わってきました。
空き家には、建物や不動産の問題だけでなく、心の整理が難しいことも多くあります。あなたが前向きな一歩を踏み出せるよう、心を込めてサポートいたします。