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公開日:2025.10.09 更新日:2025.09.29

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鉄骨造の耐用年数を解説|法定耐用年数と実際の寿命、減価償却、メンテナンスなど

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鉄骨造の建物は耐用年数が長いと聞くものの、具体的な年数や法定耐用年数を過ぎた場合の安全性など、知らない方も多いのではないでしょうか。さらに、耐用年数には複数の種類があるため、どの年数を参考にすればよいかも迷いがちです。

また、長持ちさせるコツも知りたいところです。 いくら鉄骨造とはいえ、点検や修繕を怠ると劣化が進み、資産価値の下落や修繕費の増大につながります

そこでこの記事では、鉄骨造の法定耐用年数と実際の寿命の違い、長持ちさせるためのメンテナンスの工夫、さらに耐用年数を超えた後の選択肢まで解説します。建てる・所有する・売却する、いずれの立場でも役立つ知識をまとめました。

鉄骨造の耐用年数の種類

まずは耐用年数の種類の違いを理解しましょう。建物の耐用年数は一律の基準で判断できるものではなく、目的に応じて使い分けられます。

ここでは代表的な4種類を紹介します。

  • 法定耐用年数:税務上、減価償却を行う際の基準となる年数
  • 物理的耐用年数:建物が構造的に安全に利用できる実際の寿命
  • 経済的耐用年数:収益性や市場価値が維持される期間
  • 期待耐用年数:修繕や改修により使用可能と見込まれる年数

法定耐用年数|法定耐用年数とは?減価償却の計算に用いられる期間

法定耐用年数とは、法人税法に基づき税務上の減価償却計算に用いられる年数です。鉄骨造では鋼材の厚みや用途によって年数が異なり、軽量鉄骨造では19〜34年、重量鉄骨造では34〜38年と定められています。

この数字は物理的な耐久性とは別のものです。法定耐用年数のとおりに老朽化していくわけでもなく、法定耐用年数を過ぎたら使えなくなるわけでもありません。あくまで会計上の目安だと理解しておきましょう。

物理的耐用年数:建物として使える実際の寿命

物理的耐用年数とは、建物が物理的に使用可能な期間を指します。鉄骨造の物理的耐用年数は50〜60年程度が目安とされており、適切な維持管理を行えば、さらに長期にわたり利用できます。

物理的耐用年数は、維持管理の頻度や品質によって大きく変わってきます。例えば外壁や柱に錆や傷が生じた場合、早期に補修すれば耐久性に対する影響は小さく済みますが、放置して腐食が進めば影響が大きくなり、耐用年数を縮める可能性が出てきます。

経済的耐用年数:価値が失われるまでの期間

経済的耐用年数とは、その建物が市場における価値を持ち続ける期間のことです。建物の価値は市場からの客観的評価によって変わってくるため、建物自体はまだ使用できても市場からの評価の低さから経済的耐用年数が尽きてしまうこともあり得ます。

特に大きな影響を与えるのが築年数です。古くなった建物は「資産価値が低い」と判断されやすく、金融機関からの融資が受けにくくなる傾向があります。その結果、投資家や買い手にとって魅力が薄れ、購入や運用を敬遠されるケースも少なくありません。

一方で、リノベーションや大規模修繕を行えば、外観や設備を刷新して市場での評価を高めることが可能です。家賃収入を維持・向上できれば、経済的耐用年数を延ばすことにつながり、投資としての価値も長く確保できます。

期待耐用年数:メンテナンス次第で変わる使用可能年数

期待耐用年数とは、修繕や改修を重ねながら建物をどこまで使い続けられるかを示す指標です。鉄骨造の場合は元から長い傾向にあり、適切な維持管理を行えば、50年以上や100年以上利用できる場合もあります。

特に、修繕履歴や改修計画がしっかり整っている物件は、築年数が経っていても市場での評価が高まりやすい傾向があります。長期的な資産活用を見据えるなら、計画的にメンテナンスを重ねていくことが重要です。

鉄骨造の種類と耐用年数の違い

次に、鉄骨造の構造の種類と、それぞれの一般的な耐用年数を見ていきましょう。鉄骨造は主に以下のように分類されます。

  • 軽量鉄骨造
  • 重量鉄骨造
  • RC造(鉄筋コンクリート造)・SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)

構造の種類は、建築コストや耐用年数、住み心地や日々の管理コストなど、さまざまな点に影響してきます。投資目的の場合に押さえておきたい収益性にも直結するため、ここで特徴を理解しておきましょう。

軽量鉄骨造

軽量鉄骨造は、厚み6mm未満の鋼材を使った建築方式です。住宅やアパートなどに広く採用されており、施工が比較的容易で工期が短く済むため、短期間での建築を求める場合や賃貸運用を早く始めたい場合などに選ばれやすいです。また、木造に比べて部材の精度が高いため設計どおりに組み立てやすく、建築後の仕上がりが安定しやすい特徴もあります。

一方のデメリットとしては、鋼材が薄いために重量鉄骨造と比べると耐火性や防音性で劣る点が挙げられます。都市部の幹線道路沿いなど騒音や熱の影響を受けやすい立地では、断熱材や遮音材の追加が必要となる可能性もあります。

法定耐用年数は鋼材の厚みによって区分され、軽量鉄骨造では以下のとおりです。

・肉厚3mm以下:19年
・3mm超〜4mm以下:27年
・4mm超〜6mm未満:34年

物理的耐用年数は40〜60年程度が目安とされており、経済的耐用年数は30年前後で市場での評価が下がりやすい傾向にあるといわれています。

期待耐用年数はメンテナンスの有無で大きく変動し、適切に補修や改修を続ければ50年以上使うことも可能です。

重量鉄骨造

重量鉄骨造は、厚み6mm以上の鋼材を使った建築方式です。構造が頑丈で耐震性・耐久性に優れているため、長期使用を前提とするマンションや商業施設などで多く採用されています。

メリットは遮音性や耐火性を確保しやすい点で、高品質な住環境や事業用建物を求める場合に適した構造といえます。

一方のデメリットは、鋼材の量が増えるため建築コストが高くなりやすい点です。さらに工期も長くなる傾向があるため、収益性を重視する場合には初期費用の負担をよく考慮する必要があります。

法定耐用年数は居住用で34年とされており、物理的耐用年数は50年以上が目安とされています。経済的耐用年数は築30年を超えるあたりから市場評価が下がりやすくなりますが、立地や需要によっては、改修やリノベーションを施すことで長期にわたり高い収益性を維持できるケースもあります。

期待耐用年数は維持管理の質に大きく左右されますが、定期的な修繕や補強を重ねれば半世紀以上利用できる場合も多いです。

RC造・SRC造

RC造(鉄筋コンクリート造)は、コンクリートの内部に鉄筋を配置し、両者を一体化させた構造です。耐震性や耐火性に優れており、マンションや公共施設などで広く採用されています。施工費は鉄骨造よりも高くなり、工期も長くかかりますが、その分、堅牢で長寿命な建物を実現できます。

SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)は、鉄骨の骨組みを鉄筋コンクリートで補強する構造です。RC造よりさらに高い耐震性と耐久性を備え、大規模なオフィスビルや高層マンションで多く採用されています。その分、施工の難易度が高くコストも高くなります。

それぞれの耐用年数は、法定耐用年数がRC造で47年、SRC造は47年(※一部用途で50年)とされています。物理的耐用年数もかなり長く見積もられており、適切な修繕を続けて100年単位で使われる事例もあります。

また、経済的耐用年数については、築30〜40年を超えると市場での評価が下がりやすい傾向にあります。そのため、定期的なリノベーションや必要に応じた耐震補強などで市場価値を維持することが大切です。期待耐用年数はメンテナンス次第で100年を超えるケースもあります。

鉄骨造を長持ちさせる3つのコツ

鉄骨造は、維持管理次第で50年以上も使い続けられる、長く使える資産です。それだけに、適切なメンテナンスを行って市場価値を高く保ちたいところです。

では、具体的にどう管理すればよいのでしょうか。ここからは鉄骨造を長く活用するための3つのコツを紹介します。

定期点検と早期の修繕を行う

建物を長く使い続けるために欠かせないのが定期点検です。耐久性に優れた鉄骨造の建物でも、見えないところで劣化が少しずつ進むことはあります。あとから大規模な修繕が必要にならないように、小さな不具合の段階で発見して補修できるようにしましょう。

点検のポイントは、基礎や配管などの目に見えにくい部分まで気を配ることです。基礎の腐食や配管の漏水は放置すると建物全体に影響を及ぼすため、早めの対応が何より大切です。

また、点検から修繕の手配までを柔軟に対応してもらえる、信頼できる専門業者を見つけることも重要です。大切な資産を長く維持するために、親身になってくれるパートナーを見つけましょう。

計画的に大規模修繕やリノベーションを行う

鉄骨造は、定期的に大規模修繕やリノベーションを行うことで、資産価値を維持することができます。目安は築20〜30年で、屋根・外壁の改修や防水、耐火対策、耐震補強など、日常的な修繕や補修では対応できない、大規模な改修を行います。

大規模修繕やリノベーションのポイントは、資金不足にならないように、あらかじめ10年単位の修繕計画を立てておくことです。修繕計画に基づいた積立金をコツコツ貯めておけば、急な出費に慌てることなく、優先順位をつけた工事が進められます。

地震・災害に備える

日本は地震や災害が多いため、鉄骨造といえども防災対策を怠ることはできません。特に築年数が古い建物は、設計基準が現行の耐震基準に合っていない場合もあるため、必要に応じて補強工事を検討することが大切です。

中でも外壁や基礎は災害時の被害を受けやすい部分のため、定期的に専門家の点検を受けておくと安心です。その際に、耐火被覆や防火区画の整備など、火災リスクのチェックもしておきましょう。

建物の災害への強さは、入居者や利用者に安心感を与えるだけでなく、物件の価値や稼働率を高めることにもつながります。補強工事にあわせて災害保険や地震保険の見直しも行い、常に万一のリスクにも備えておきましょう。

耐用年数を超えた鉄骨造建物のリスクと注意点

長持ちしやすい鉄骨造であっても、法定耐用年数や物理的耐用年数を超えると、どうしてもリスクが出てきます。代表的なリスクには以下のようなものがあります。

  • 融資が下りづらくなる
  • 修繕費・管理コストが増大する
  • 資産価値や売却価格が下落する

これらはどれか一つが単独で起きるというよりも、相互に影響し合いながら進行していくのが特徴です。たとえば修繕費がかさめば収益性が下がり、同時に市場での評価や融資条件にも響いてきます。つまり「古くなるほど負の連鎖に陥りやすい」という傾向になりやすいのです。

そのため、築年数が進んだ段階では「修繕を重ねて使い続けるのか」「リノベーションで価値を高めるのか」「売却や建て替えに切り替えるのか」といった選択を早めに検討しておくことが必要になってきます。不意のトラブルで資金計画が崩れるリスクを減らすために、先を見据えた計画を立てておきましょう。

耐用年数を超えた鉄骨造建物はどう活用すべき?

耐用年数を過ぎた場合の選択肢は、建物の具体的な状態や、自身の資産状況、建物の需要などによって選ぶべきものが変わってきます。

対策をするにも費用がかかるため、単純に「長く使うか」「手放すか」ではなく、費用対効果を見極めて判断するのがポイントです。

ここでは、以下の3つの選択肢について、どのような場合に選ぶべきかを説明していきます。

  • リノベーションや耐震工事で再活用する
  • 建て替えて新築物件に切り替える
  • 解体して更地にして売却する

リノベーション・耐震工事で再活用する

リノベーションは既存の構造を活かしながら内外装を大きく改修する方法です。設備を刷新することで資産価値を高めたり、耐震補強を行うことで安全性を高めたりする効果が期待できます。建て替えに比べて費用を抑えやすく、解体費や廃材処理のコストも少なく済むという特徴もあります。

この方法は、構造部分が健全でまだ十分利用できる物件や、立地条件が良い物件に適しています。市場ニーズに合わせた改修を加えれば、建て替えよりも少ない費用で建物の価値を高めることができます。

建て替えて新築物件に切り替える

建て替えの魅力は、現行の建築基準法に基づく耐震基準や最新設備を備えた新築物件を手に入れられる点です。資産価値を大きく上げられるため、賃貸経営や売却を視野に入れる場合に特に有利になります。

建物の劣化が著しく改修では対応が難しいときや、長期的に安定した活用を見込みたいときに選択肢に挙がってきます。

建て替えは建物を丸ごと新しくするため、資産価値を高める効果が大きい反面、解体や新築にかかる初期費用は高額で、工事期間中は収益が途絶えるリスクも伴います。本当に行うべきかは、将来の収益性や自身の資産を踏まえて慎重に行いましょう。

解体して更地として売却する

老朽化が進み、改修しても十分なリターンを期待できない場合は、解体して更地として売却するのも有効な選択肢です。建物が残っているより使い勝手が良くなるため、買い手が付きやすくなることがあります。

特に土地の立地条件が良い場合や、現金化を急ぎたいときには魅力的な選択肢になるでしょう。ただし、解体費用が発生することや、更地にすると土地の固定資産税の軽減措置である『住宅用地特例(小規模住宅用地:1/6・一般住宅用地:1/3)』が外れ、税負担が増える点には注意が必要です。

まとめ|鉄骨造の耐用年数を理解し、不動産を長期に活用しよう

鉄骨造の耐用年数を考えるときに大切なのは、法定・物理的・経済的といった複数の基準を正しく理解することです。寿命は単なる年数ではなく、日常の点検や修繕の積み重ねによって大きく左右されます。

さらに、計画的なメンテナンスやリノベーションを取り入れれば、安全性を確保しながら資産価値を保ち、長期にわたり活用し続けることが可能になります。つまり鉄骨造は「あと何年もつか」ではなく、「どう使い続けるか」という視点で考えることが重要です。

そのためにも、まずは所有している建物の現状を客観的に確認し、点検や修繕の計画を立ててみましょう。この一歩が、鉄骨造を安心して長く活かしていくための確かな準備となります。

この記事の監修者

白崎 達也 アキサポ 空き家プランナー

一級建築士

中古住宅や使われなくなった建物の再活用に、20年以上携わってきました。
空き家には、建物や不動産の問題だけでなく、心の整理が難しいことも多くあります。あなたが前向きな一歩を踏み出せるよう、心を込めてサポートいたします。

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