公開日:2020.09.30 更新日:2026.07.22
空き家問題の実態とは|300名調査で見えた放置理由と活用のヒント

全国の空き家は2023年時点で900万戸と過去最多を記録し、空き家率も13.8%と過去最高を更新しました。今や約7戸に1戸が空き家という時代に入り、「空き家問題」は一部の地域だけでなく、多くの家庭にとって身近な課題となっています。
この記事を運営する株式会社ジェクトワン(アキサポ空き家総研)では、首都圏における空き家問題の実態を明らかにするため、一都三県の空き家所有者300名を対象に独自のアンケート調査を実施しました。調査したのは、次の3つのテーマです。
- 空き家に対するイメージ
- 空き家活用に対する考えと現状
- 今後の空き家活用に対する意向
本記事では、この独自調査のデータを軸に、国(総務省・国土交通省)が公開する最新の統計も交えながら、空き家問題の実態に迫ります。「活用したいのに動けない」約7割の所有者が抱える本音や、費用に対する誤解まで、空き家に悩む方に役立つ内容をお届けします。
目次
あなたはどれに当てはまる?空き家問題に対する年齢別の問題意識レベル

空き家問題とは、適切に管理されない空き家が全国で増え続け、防災・防犯・衛生・景観など地域社会に悪影響を及ぼす社会課題です。その規模は年々拡大しており、所有者が抱く問題意識も世代によって差があることが、弊社の調査から見えてきました。
総務省の「令和5年(2023年)住宅・土地統計調査」によると、全国の空き家数は900万戸と過去最多を記録し、総住宅数に占める空き家率も13.8%と過去最高を更新しました。空き家数は1993年からの30年間で約2倍に増加しており、今や約7戸に1戸が空き家という計算です。
加速度的に増える空き家ですが、放置することには大きなデメリットがあります。国土交通省は、空き家を管理せずに放置する代表的なリスクとして、次の項目を挙げています。
- 防災性が低下する(倒壊・崩壊・火災発生など)
- 防犯性が低下する(犯罪の誘発など)
- ゴミの不法投棄
- 衛生面の悪化
- 風景や景観の悪化
空き家リスクについてより詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
実際に、弊社が行った「空き家問題に関するイメージ調査」でも、こうしたリスクへの不安を抱く方が多いことがわかりました。なかでも最も多かったのは、「お金」に関するネガティブなイメージです。今回のアンケート調査(複数回答可)では、「売却したくてもできない(31.3%)」「リフォームやリノベーションにお金が掛かる(29.7%)」「固定資産税が高い(28.3%)」が上位を占めました。
<空き家問題に関するイメージに関する実態調査>
| 空き家に対するネガティブなイメージ | 回答割合 |
|---|---|
| 売却したくてもできない | 31.3% |
| リフォームやリノベーションにお金が掛かる | 29.7% |
| 固定資産税が高い | 28.3% |
| 活用方法が少ない | 24.7% |
| 火災の危険がある | 23.7% |
| 倒壊する危険がある | 16.7% |
| 不審者が住み着く危険がある | 16.7% |
| 近隣トラブルになる | 15.3% |
| 家具や荷物の置き場に困らない | 14.3% |
| 住居の賃貸収入が得られる | 14.0% |
| 汚い | 11.7% |
| 将来住宅に困らない | 11.3% |
| 店舗の賃貸料が得られる | 3.3% |
| その他 | 0.7% |
| 特になし | 24.0% |
| 年代 | n | 売却できない | リフォーム費用 | 固定資産税が高い | 活用方法が少ない | 火災の危険 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 全体 | 300 | 31.3 | 29.7 | 28.3 | 24.7 | 23.7 |
| 30代 | 21 | 19.0 | 23.8 | 19.0 | 19.0 | 19.0 |
| 40代 | 36 | 27.8 | 25.0 | 36.1 | 19.4 | 30.6 |
| 50代 | 152 | 30.9 | 29.6 | 28.9 | 26.3 | 24.3 |
| 60代 | 91 | 36.3 | 33.0 | 26.4 | 25.3 | 20.9 |
年代別に見ると、空き家に対する意識には世代差がうかがえます。「固定資産税が高い」「売却したくてもできない」といった費用面の不安は、全体的に年齢が高い層でやや強く出る傾向があり、たとえば「売却したくてもできない」と答えた割合は30代の19.0%に対し、60代では36.3%にのぼりました。長く所有している世代ほど、活用や売却の難しさを実感していることがうかがえます。
期待する賃料にも世代差が表れました。60代では「5万〜10万円未満」との回答が35.2%で最も多かった一方、30代では「10万〜15万円未満」と「20万〜50万円未満」がともに23.8%と、より高い賃料を望む傾向が見られます。ただし30代は「賃料が得られても活用したくない」という回答も23.8%と全年代で最も高く、活用への期待と慎重さが同居しているのが特徴的です。
<空き家活用で期待する賃料に関する実態調査>
| 空き家活用で期待する賃料 | 回答割合 |
|---|---|
| 賃料が得られなくても活用したい | 9.7% |
| 5万円未満 | 10.0% |
| 5万〜10万円未満 | 25.3% |
| 10万〜15万円未満 | 15.7% |
| 15万〜20万円未満 | 8.7% |
| 20万〜50万円未満 | 8.0% |
| 50万〜100万円未満 | 1.3% |
| 100万円以上 | 2.3% |
| いくら賃料が得られても活用したくない | 19.0% |
| 年代 | n | 賃料なしでも活用 | 5万未満 | 5〜10万 | 10〜15万 | 15〜20万 | 20〜50万 | 50〜100万 | 100万以上 | 活用したくない |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 全体 | 300 | 9.7 | 10.0 | 25.3 | 15.7 | 8.7 | 8.0 | 1.3 | 2.3 | 19.0 |
| 30代 | 21 | 4.8 | 4.8 | 4.8 | 23.8 | 4.8 | 23.8 | 4.8 | 4.8 | 23.8 |
| 40代 | 36 | 8.3 | 8.3 | 27.8 | 16.7 | 16.7 | 2.8 | 0.0 | 2.8 | 16.7 |
| 50代 | 152 | 11.2 | 9.2 | 21.7 | 12.5 | 9.9 | 10.5 | 1.3 | 2.0 | 21.7 |
| 60代 | 91 | 8.8 | 13.2 | 35.2 | 18.7 | 4.4 | 2.2 | 1.1 | 2.2 | 14.3 |
約7割が空き家を活用したいと考えているにも関わらず、放置する理由
空き家にネガティブなイメージを持つ人が多い一方で、「空き家を活用する意思」を尋ねたアンケートでは、「活用したい」という回答が71.9%と全体の約7割にのぼりました。多くの所有者は、空き家を放置したいわけではなく、むしろ活用に前向きだということです。
では、なぜ活用が進まないのでしょうか。放置の実態を探るため「空き家を放置している理由」を尋ねたところ、「何をするにしてもお金が掛かる」が35.0%で最も多く、先のイメージ調査で上位を占めた費用面の不安と合致する結果になりました。活用意欲がありながら動けない背景には、共通して「お金」の壁があるといえます。
<空き家放置の理由に関する実態調査>
| 空き家を放置する理由 | 回答割合 |
|---|---|
| 何をするにしてもお金が掛かる | 35.0% |
| 活用したいがどうしたらいいかわからない | 30.7% |
| 建物に価値が無さそう | 23.7% |
| 老朽化がひどい | 23.3% |
| 家具などが置いてあるので、その処分に困っている | 20.0% |
| リフォームしないと活用できる状態ではない | 22.0% |
| 活用しても少しの利益しか得られない | 13.7% |
| 相談相手がいない | 12.0% |
| 売却しようとしたが、できなかった | 10.0% |
| 愛着があるので売却や賃貸にしたくない | 9.3% |
| 先祖から受け継いでいるので心苦しい | 8.7% |
| 相続に問題があるので自分だけでは決められない | 5.7% |
| 賃貸しようとしたが、できなかった | 4.3% |
| その他 | 0.7% |
| 特になし | 24.3% |
これに続く放置理由は、「建物に価値が無さそう(23.7%)」「老朽化がひどい(23.3%)」「リフォームしないと活用できる状態ではない(22.0%)」でした。いずれも、修繕や改修に費用がかかるという懸念が根底にあり、1位と同じく「お金」の問題に行き着くと考えられます。
空き家活用にはお金がかかる?
結論から言えば、空き家活用の費用は多くの人がイメージするほど高額ではありません。実際、調査で「空き家のリフォーム・リノベーションにかかる費用」のイメージを尋ねたところ、「1,000万円以上」と答えた層が最も多く、費用面で過大なイメージが先行していることがわかりました。しかし後述するように、実際の改修費用はこのイメージを大きく下回るケースも少なくありません。
<空き家活用の費用に対するイメージに関する実態調査>
| リフォーム費用に対するイメージ | 回答割合 |
|---|---|
| 5万円未満 | 8.3% |
| 5万〜10万円未満 | 1.6% |
| 10万〜50万円未満 | 4.7% |
| 50万〜100万円未満 | 7.9% |
| 100万〜200万円未満 | 11.9% |
| 200万〜300万円未満 | 12.6% |
| 300万〜400万円未満 | 9.1% |
| 400万〜500万円未満 | 11.9% |
| 500万〜750万円未満 | 7.5% |
| 750万〜1,000万円未満 | 6.3% |
| 1,000万円以上 | 18.2% |
| 年代 | n | 5万未満 | 5〜10万 | 10〜50万 | 50〜100万 | 100〜200万 | 200〜300万 | 300〜400万 | 400〜500万 | 500〜750万 | 750〜1000万 | 1000万以上 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 全体 | 253 | 8.3 | 1.6 | 4.7 | 7.9 | 11.9 | 12.6 | 9.1 | 11.9 | 7.5 | 6.3 | 18.2 |
| 30代 | 14 | 28.6 | 0.0 | 7.1 | 14.3 | 0.0 | 7.1 | 14.3 | 7.1 | 14.3 | 0.0 | 7.1 |
| 40代 | 31 | 9.7 | 0.0 | 6.5 | 9.7 | 19.4 | 22.6 | 3.2 | 6.5 | 6.5 | 6.5 | 9.7 |
| 50代 | 128 | 10.2 | 3.1 | 3.9 | 7.0 | 7.8 | 12.5 | 9.4 | 14.1 | 4.7 | 5.5 | 21.9 |
| 60代 | 80 | 1.3 | 0.0 | 5.0 | 7.5 | 17.5 | 10.0 | 10.0 | 11.3 | 11.3 | 8.8 | 17.5 |
しかし、実際に空き家の改修にかかる費用は、多くの人がイメージするほど高額ではありません。たとえば区分マンションをフルリフォームする場合でも、一般的な広さであればおおむね500万〜600万円程度が目安とされ、「1,000万円以上」というイメージを大きく下回るケースも少なくないのです。
さらに、条件を満たせば公的な補助制度を活用できる場合もあります。たとえば、空き家を高齢者や子育て世帯などの入居を拒まない「セーフティネット住宅」として登録・改修する場合には、国や自治体による改修費補助や、入居者の家賃負担を軽減する家賃低廉化補助を受けられる仕組みがあります。こうした制度をうまく組み合わせれば、実際の手出し資金をさらに抑えることが可能です。ただし、補助を受けるには一定期間その用途で管理するなどの要件があるため、詳細は自治体の窓口で確認するのが確実です。
空き家を活用したいと考えながらも、金銭面のネガティブなイメージから再利用をためらっている所有者は少なくありません。「空き家活用は、意外とお金がかからない」という認識が広まれば、日本の空き家問題の解決に一歩近づくのではないでしょうか。
空き家を「活用したい」と答えた人
71.9%
(所有者の約7割が活用に前向き)
その理由(複数回答)
放置理由の上位はいずれも「お金」に関する不安。しかし実際の改修費用は、イメージほど高額にならないケースも少なくありません。
出典:株式会社ジェクトワン(アキサポ空き家総研)一都三県の空き家所有者300名調査
空き家活用は、自分のためだけでなく地域社会のためにもなる

空き家の活用は、所有者に家賃収入をもたらすだけでなく、地域の活性化や治安の維持にもつながる取り組みです。放置すれば地域の負担になる空き家も、活用次第で「街に人を呼び込む資産」へと変わります。
まず、空き家の主な活用方法には次のようなものがあります。
- シェアハウスとして貸し出す
- 賃貸住宅として貸し出す
- 店舗やオフィスなど事業の場所として貸し出す
- 取り壊して土地として活用する
- 空き家活用の専門会社に相談する
空き家活用を検討する方の多くは、こうした方法で「人が住む場所」「事業を営む場所」として貸し出し、家賃収入を得ることを目的としているでしょう。しかし、その効果は所有者個人にとどまりません。
近年、空き家の増加とともに「シャッター商店街」の問題も深刻化しています。特定のエリアに空き家が集中すると、昼夜を問わず人通りが減り、街が閑散として治安の悪化を招くこともあります。だからこそ、単に貸し出すだけでなく、地域内外の人が集まる場所として空き家を再生することが求められているのです。
シャッター通り問題についてより詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
実際、空き家を活用した事業では、官民が連携して再生やPRに取り組むケースもあります。空き家が地域住民の交流の場となり、外部からの来訪者が増えることは街の活性化に直結するため、活用に前向きな自治体も少なくありません。
まとめ
今回のアンケート調査からは、「空き家を活用したい意向はあるものの、お金がかかりそう」という不安を抱えている所有者が多いことがわかりました。約7割が活用に前向きでありながら、費用面のイメージが再活用の大きな壁になっているのです。
しかし、これまで見てきたように、実際の改修費用はイメージほど高額にならないケースが多く、条件を満たせば公的な補助制度を活用して手出し資金を抑えることもできます。空き家の活用は、家賃収入という所有者自身のメリットだけでなく、地域の活性化という社会貢献にもつながる取り組みです。
とはいえ、「何から始めればいいのか」「自分の空き家はどう活用できるのか」と、最初の一歩で迷ってしまう方は少なくありません。アキサポでは、空き家の状態や立地に合わせた活用プランのご提案から、改修、運用までを一貫してサポートしています。費用面のハードルを抑えながら活用を始められる仕組みもご用意していますので、空き家の再活用に二の足を踏んでいる方は、まずはお気軽にご相談ください。
この記事の監修者
白崎 達也 アキサポ 空き家プランナー
一級建築士
中古住宅や使われなくなった建物の再活用に、20年以上携わってきました。
空き家には、建物や不動産の問題だけでなく、心の整理が難しいことも多くあります。あなたが前向きな一歩を踏み出せるよう、心を込めてサポートいたします。






