公開日:2020.10.01 更新日:2023.10.03
独自調査から判明。空き家問題に関するよくある勘違いとは?
近年、日本で拡大の一途を辿っている「空き家問題」。弊メディアを運営している株式会社ジェクトワン(アキサポ空き家総研) では、首都圏における空き家問題の実態について調査するため、一都三県の空き家所有者300名を対象とし、以下のトピックについて調査を実施しました。
- 空き家に対するイメージ調査
- 空き家活用に対する考えと現状
- 今後の空き家活用に対する考え
本稿では調査結果から得られたデータを元に、省庁が公開しているデータを交えて、空き家問題の実態に迫っていきます。空き家に関して悩みをお持ちの方は、ぜひお役立てください。
目次
あなたはどれに当てはまる?空き家問題に対する年齢別の問題意識レベル
国土交通省が公開している『空き家等の現状について』の資料を参照すると、日本において空き家は1983年から2013年の間に約20倍にまで増えていることがわかります。
日本で加速度的に増えている空き家ですが、放置することにはいくつかのデメリットも存在します。空き家を管理せずに放置する代表的なリスクとして、国土交通省は以下の事柄を理由として挙げています。
- 防災性が低下する(倒壊・崩壊・火災発生など)
- 防犯性が発生する(犯罪の誘発など)
- ゴミの不法投棄
- 衛生面の悪化
- 風景や景観の悪化
空き家リスクに関してより詳しく知りたい方はこちら
実際に、弊社が行った「空き家問題に関するイメージ調査」の結果によると、上記のような不安を抱いている方も多いとわかりました。
その中で、最も多かったのは「お金に」関するネガティブなイメージです。今回のアンケート調査(複数回答可)では「売却したくてもできない(31.3%)」「リフォームやリノベーションにお金が掛かる(29.7%)」「固定資産税が高い(28.3%)」と、上位を占めていました。
<空き家問題に関するイメージに関する実態調査>
また、空き家問題に対する意識については、年齢が上がるほど「お金はかかるが売れない物」という認識が強まり、空き家を倉庫や物置として放置している方の割合も多くなりました。この傾向から、30代から40代は比較的空き家活用に対して前向きであることが予想されます。
「空き家活用で期待する賃料」について調査した別のデータでは、60代の方は「5 万円~10 万円未満」との解答が最も多かったのに対し、30代では「10 万円~15 万円未満」「20 万円~50 万円未満」と解答した方の割合が多かったことからも、若い世代の方が空き家活用に意欲的だと伺えます。
<空き家活用で期待する賃料に関する実態調査>
約7割が空き家を活用したいと考えているにも関わらず、放置する理由
空き家に対してガティブなイメージを持っている人が多い一方、「空き家を活用する意思」について尋ねたアンケート調査では、「活用したい」との解答が71.9%と、全体の約7割にまで昇りました。
空き家を放置している実態について把握するために、「空き家放置の理由」についてアンケートを実施すると、空き家に「何をするにしてもお金が掛かる」が 35.0%で1位と、空き家に関するイメージ調査の結果と合致しました。
<空き家放置の理由に関する実態調査>
それに続く空き家放置の理由が「建物に価値が無さそう(23.7%)」「老朽化がひどい(23.3%)」「リフォームしないと活用できる状況ではない(22.0%)」でしたが、いずれも背景にあるのは1位の場合と同じく、お金に関する問題であると推察できます。
空き家活用にはお金がかかる?
前述の空き家に対するイメージ調査でもご説明した通り、空き家に対しては金銭面でネガティブな感情を抱いている方が多く存在します。実際に、調査対象者に「空き家のリフォーム・リノベーションにかかる費用に対するイメージ」について尋ねたところ、「1,000万円以上」と答えた層が、最も多いことがわかりました。
<空き家活用の費用に対するイメージに関する実態調査>
しかし、実際に空き家の改修にかかる費用は、イメージほど多くはありません。区分マンションをフルリフォームしたとしても、かかる費用は500万円から600万円前後で済みます。
さらには、最近では「改修工事費支援制度」「家賃低廉化支援制度」などの、空き家を回収する際に利用可能な補助金の整備も進んでいるため、実際の手出し資金はさらに抑えることが可能です。
前述のように、空き家を活用したいにも関わらず、金銭面でネガティブなイメージを抱いているために再利用を躊躇している層は多く存在しますので「意外とお金がかからない」という認識 が広まれば、日本の空き家問題の減少に一歩近づくのではないでしょうか。
空き家活用は、自分のためだけでなく地域社会のためにもなる
空き家の活用方法としては、以下のような方法が考えられます。
- シェアハウス
- 賃貸として貸し出す
- 空き家活用会社に相談する
- 取り壊して土地のみで活用する
一般的に、空き家活用を検討されている方は、上記のように「人が住む」「事業の場所」として貸し出すことで、家賃収入を得て不労所得を形成することを検討している方も多いのではないでしょうか。
しかし、空き家活用は空き家を所有している個人に恩恵をもたらすだけでなく、地域貢献にもつながります。近年、日本では空き家問題の増加とともに、シャッター商店街に関する問題も顕在化しています。
特定のエリアに空き家が集中してしまうと、昼夜を問わず人通りが少なくなり「閑散としている」「地域の治安が悪化」するなどのデメリットが発生するのです。
そのため、空き家の活用方法として、ただ賃貸として貸し出すだけではなく、地域内外の人が集まって来る空間としての再活用が望まれているのです。
シャッター通り問題についてより詳しく知りたい方はこちら
空き家を活用した事業では、官民が連携して空き家の再利用・PRに努めるケースもあります。空き家を活用し、地域住民の交流の場や外部からの訪問者が増えることは、前述のように地域の活性化にもつながるため、前向きな行政も多く存在するのです。
まとめ
今回行ったアンケート調査を元にすると、「空き家を活用する意向はあるが、お金がかかりそう」との不安を抱いている方が多いことがわかりました。
しかし、空き家活用が対象の補助金などを利用すれば、実際の持ち出しは少なく済ませたまま、空き家活用を行うことが可能で、上手く運用すれば不労所得の形成にもつながります。
空き家を活用することは自分のためだけでなく、地域活性などの社会貢献にもつながりますので、空き家の再利用で二の足を踏まれている方は、ぜひ一度空き家の有効活用を検討してみてはいかがでしょうか。