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公開日:2025.12.23 更新日:2025.12.17

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不動産所得の経費を最大限に活用する方法|基礎から節税対策まで徹底解説

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不動産所得で損をしないために欠かせないのが、正しく経費を計上して税負担を軽減することです。不動産投資では賃料収入以外にもさまざまな収入や支出が発生するため、どこまでを必要経費とできるかを理解しておくことが節税の第一歩になります。

そこでこの記事では、不動産所得の経費として計上できる項目、含められない費用、青色申告と経費の関係をわかりやすく解説します。この記事で基本をしっかり把握して、不動産投資の利益最大化を目指しましょう。

不動産所得とは?定義と計算の仕組み

不動産所得とは、土地や建物などを貸し付けて得られる「収入」から、賃貸経営に必要な「経費」を差し引いた金額をいいます。

収入は家賃収入だけではなく、物件に付随して発生するさまざまな収入も含まれます。不動産所得の「収入」に含まれる主な項目は以下のとおりです。

  • 家賃
  • 共益費
  • 礼金
  • 更新料
  • 駐車場代・物置など付帯設備の使用料
  • 敷金・保証金のうち返還しない部分

また、不動産所得は以下の計算式で求めます。

  • 不動産所得 = 総収入金額 − 必要経費

この「必要経費」には、固定資産税や修繕費などが含まれます。次の見出しで詳しく見ていきましょう。

不動産所得で経費に計上できる主な項目一覧

不動産所得の経費とは、賃貸収入を得るために欠かせない支出のことです。必要経費に該当する主な支出は以下のとおりです。

  • 減価償却費
  • 固定資産税や都市計画税などの税金
  • ローンの支払利息や借入金の利子
  • 修繕費
  • 保険料
  • 管理委託料
  • 仲介手数料

減価償却費

減価償却費とは、建物や設備の取得費を耐用年数に沿って按分し、毎年の経費として計上する処理をいいます。中古物件は耐用年数が短く設定されるため、初期段階から費用化できるのが特徴です。

ただし、建物と設備の区分や耐用年数の誤りは申告に影響するため、購入時には取得価額の内訳を必ず確認しておきましょう。

固定資産税や都市計画税などの税金

固定資産税や都市計画税などは、物件を所有する限り毎年必ず発生する税金であり、賃貸運営に必要な支出として経費に含められます。

経費に含めることができる税金には以下のようなものがあります。

  • 固定資産税・都市計画税:所有する不動産に対して毎年課される税金
  • 不動産取得税:物件を取得した際に一度だけ発生する税金
  • 登録免許税:所有権移転や抵当権設定の登記時に支払う税金
  • 印紙税:売買契約書や賃貸借契約書など、課税文書を作成する際に必要となる税金

ローンの利息や借入金利子

ローンを利用して物件を購入した場合、経費として計上できるのは「利息部分」のみで、元本返済は必要経費になりません。元本は資金の返済であり、事業の利益を得るための支出には該当しないため、税務上は経費として扱われないのが原則です。

たとえば、月々の返済が「8万円(うち利息1.8万円・元本6.2万円)」の場合、経費にできるのは利息1.8万円だけです。元本6.2万円を経費に含めてしまうと、所得金額が実態より少なく算定されてしまい、税務調査で修正を求められる可能性があります。

修繕費

修繕費とは、破損箇所の補修や設備の交換など、物件の機能や価値を原状回復・維持するために必要な工事費用を指します。たとえば、水漏れによるパッキン交換、給湯器の故障による交換、クロス張り替えといった「現状回復のための工事」は修繕費としてその年の経費に計上できます。

一方で、物件の価値を向上させるための間取り変更や外壁の改修、設備のリニューアルなどは「資本的支出」と判断され、減価償却によって複数年にわたって費用化する必要があります。

保険料

火災保険や地震保険にかかる保険料は、賃貸物件を安全に運営するために欠かせないコストであり、そのまま経費として計上できます。

複数年分の保険料を一括払いしている場合は、保険期間に応じて年ごとに按分して計上します。たとえば5年契約で50万円を一括支払いした場合、1年分の経費は10万円となります。

管理委託料

管理会社へ支払う管理委託料は、日常の物件管理を外部に任せることで発生するコストであり、そのまま経費に計上できます。委託範囲には、家賃の集金管理、入居者対応、クレーム処理、共用部の維持管理などが含まれます。

契約内容によって金額が変わるため、どこまでが委託料に含まれているのかを明確に把握することが重要です。契約内容によっては、委託料に広告料や軽微な修繕の代行費をまとめて請求するケースもあるので注意が必要です。

仲介手数料

仲介手数料は、新規入居者が決まった際に発生する単発の費用で、契約が成立するたびに発生します。

費用の相場は、宅地建物取引業法で定められた上限である「家賃1カ月分+消費税」が基準となります。募集が難しい物件では、家主が広告料を追加で支払って入居付けを促すケースもありますが、これは仲介手数料とは別枠として扱われます。

経費にできない主な費用とトラブル防止策

不動産所得の経費はあくまで「事業に必要であるか」を基準に判断します。ここの判断を誤ると、税務調査で修正を求められたり、追加の税金が発生したりすることがあります。

そこでここでは、代表的な「経費にできない支出」として、以下の3つを紹介します。

  • 個人的な衣服・飲食代などのプライベート費用
  • 所得税や住民税などの個人の税金
  • 罰金・反則金などの公序良俗に反する支出

個人的な衣服・飲食代などのプライベート費用

個人的な衣服代や飲食費、娯楽関連の支出は経費にできません。たとえ「入居者との打ち合わせで利用した」と説明しても、高額な飲食代や不自然な頻度の支払いは業務関連性が認められにくく、否認される可能性があります。

業務上必要な会食や打ち合わせで発生した費用が認められるか不安な場合は、領収書に参加者・目的・日付などをメモしておいたり、支払いの背景を簡潔に記録しておくと、税務調査でも説明しやすくなります。プライベート費用と混ざりやすい支出こそ、普段から仕分けの習慣をつけることが重要です。

所得税・住民税などの個人の税金

所得税や住民税といった「個人の税金」は、不動産所得の経費にはなりません。これらはあくまで個人の納税義務であり、事業運営に直接必要な支出とは見なされないためです。

一方で、固定資産税や不動産取得税など「不動産の所有や取得に必要な税金」は経費にできます。税金の扱いは項目ごとに判断基準が異なるため、支払先の用途と性質を整理しながら計上することが大切です。

罰金・反則金などの公序良俗に反する支出

罰金・反則金などの公序良俗に反する支出:罰金・過料・反則金といった制裁的な支出は、法令に基づき「事業の必要経費」とは扱われません。たとえば、違法駐車の罰金や行政処分による反則金は、事業に関わる移動中であっても経費にできない点に注意が必要です。

また、物件管理の不備による重大な違反が行政処分となり罰金が発生した場合も、ペナルティ部分は経費になりません。これらの支出は、適切な管理や法令遵守で回避できるため、リスク管理の観点からも事前の対策が重要です。

青色申告と白色申告はどちらを選ぶべき?

不動産所得を申告する際は、青色申告か白色申告のいずれかを選ぶ必要があります。どちらも確定申告の仕組みですが、受けられる優遇や必要な作業量が異なるため、自分の運用スタイルに合った方法を選ぶことが大切です。

それぞれの特徴を比較すると以下のようになります。

項目白色申告青色申告
事前の届出不要必要
記帳方法単式簿記(簡易)複式簿記(正確)
提出書類収支内訳書のみ青色申告決算書
節税制度ほぼなし青色申告特別控除
(最大65万円)
赤字の繰越控除
(3年間)
家族への給与を経費にできる
(青色事業専従者給与)
など
事務負担小さいやや大きい

どちらにするか迷った場合は「長期的に物件を増やしたいか」「節税を重視したいか」 を基準に選ぶと判断しやすく、将来的な余白を考えると青色申告を選ぶ方が有利になる場面が多くなります。

白色申告に向いている人

  • まずは小規模に賃貸を始めたい
  • 記帳や事務作業にあまり時間をかけたくない
  • 特別な届出なしで簡単に申告を済ませたい

青色申告に向いている人

  • 節税メリットをしっかり活用したい
  • 将来的に物件数を増やし、事業として拡大したい
  • 帳簿付けを丁寧に行い、収支管理を正確にしたい

事業的規模の判定と損益通算がもたらす節税効果

不動産賃貸には、規模や運営実態によって「事業的規模」と判定される仕組みがあります。これは、単なる資産の貸付ではなく、賃貸業として一定の規模と継続性をもって運営しているかどうかを判断する考え方です。事業として認められると、税務上の優遇措置が大きく広がり、節税効果が高くなります。

もっとも一般的な目安として知られているのが「5棟10室基準」で、一戸建てなら5棟以上、アパート・マンションなら10室以上を運営していれば、事業的規模と判断されやすいとされています。必ずしもこの数に達していなくても、実態が事業に近いと判断されれば認められることもあります。

また、事業的規模と判断されると、以下のようなメリットが得られます。

  • 青色申告特別控除について、一定の要件を満たせば最大65万円まで適用できる(控除額や要件は税制改正により変更される可能性があります)
  • 家族に支払う給与を「青色事業専従者給与」として全額経費にできる
  • 赤字が他の所得と損益通算できる

このように、事業的規模に該当すると節税面でのメリットは非常に大きくなります。物件数が増えるほど対象になる可能性が高まるため、長期的に賃貸経営を拡大したい場合は、早い段階から事業的規模を念頭に置いた運営計画を立てておくとよいでしょう。

確定申告で失敗しないためのポイント

最後に確定申告をスムーズに終えるためのポイントを見ておきましょう。

不動産所得の確定申告は、収入の種類や経費の範囲が広いため、思わぬ記入漏れや計上ミスが起きやすいという注意点があります。特に複数の物件を運営している場合は支払いも増え、書類管理の負担が大きくなるため要注意です。

そこでここでは、最初に覚えておきたい基本の2点を説明します。

領収書・帳簿の保存期間と電子帳簿保存法への対応

確定申告でまず押さえておきたいのは、書類の保存期間と電子データでの管理ルールです。領収書や帳簿は、原則として青色申告と白色申告ともに7年の保存が義務付けられています(例外的に5年のものもあり)。確定申告をしたあとで証拠書類を求められることもあるため、日頃から一目でわかるように整理しておきましょう。

領収書や帳簿をすべて保存するには場所を取りますが、近年は電子帳簿保存法により、一定の要件を満たせば書類を電子データで保存することも認められています。

ただし、電子保存する際には、真実性や可視性の確保が求められ、以下のような要件をクリアしていることが求められます。

  • 電子計算機処理システムの概要を記載した書類の備付け(自社開発のプログラムを使用する場合)
  • 見読可能装置の備付け
  • 検索機能の確保
  • 次のいずれかの措置
    • タイムスタンプが付された後の授受
    • 授受後遅滞なくタイムスタンプを付す
    • データの訂正削除を行った場合にその記録が残るシステム又は訂正削除ができないシステムを利用
    • 訂正削除の防止に関する事務処理規程の備付け

私的費用との線引きと税務調査のリスク回避

もうひとつの注意点は、私的な支出と事業用の支出を明確に分けることです。不動産賃貸は生活費と事業費が混ざりやすく、ここが曖昧なままだと税務調査で疑われやすくなります。

特に注意が必要な項目としては、自宅兼事務所の光熱費や通信費、車両費、日用品の購入など、私生活の境界があいまいになりやすい項目です。どれも経費にできる可能性はありますが、業務との関連性を説明できないと認められないリスクが高くなる点に注意が必要です。

経費としての妥当性を示すためには、次のような管理方法が有効です。

  • 事業用と個人用で口座を分ける
  • クレジットカードも用途別に分けて利用する
  • 領収書には支出の目的や利用割合をメモしておく

税務署が重視するのは「合理的に説明できるかどうか」です。普段から管理体制を整えておけば、もし税務調査が入っても落ち着いて対応でき、経費の否認リスクも大幅に減らせます。

まとめ

不動産所得の経費は、正しい知識と日頃の管理がそろってはじめて効果を発揮するものです。間違ったまま申告してしまうと、本来より税金が増えてしまったり、確定申告が思った以上に大変になったり、最悪の場合は税務調査で指摘を受けることもあり得ます。だからこそ、経費の範囲や扱い方を少しずつ理解していくことが欠かせないのです。

また、青色申告は帳簿付けなどの手間がかかりますが、特別控除や損益通算などのメリットは大きく、長く続けるほど効果を実感しやすくなります。最初から完璧を目指さず、できる範囲で慣れていけば十分ですし、必要に応じて税理士にサポートを依頼するのも安心して進められる方法です。正しい経費計上と穏やかな日々の管理を積み重ねながら、不動産所得をうまく活用していきましょう。

この記事の監修者

白崎 達也 アキサポ 空き家プランナー

一級建築士

中古住宅や使われなくなった建物の再活用に、20年以上携わってきました。
空き家には、建物や不動産の問題だけでなく、心の整理が難しいことも多くあります。あなたが前向きな一歩を踏み出せるよう、心を込めてサポートいたします。

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