公開日:2026.01.24 更新日:2026.01.15
NEW不動産買取のトラブル事例と回避策|契約前に知っておくべき注意点
不動産を売却しようと考えたとき、早く現金化するために不動産買取を検討する方も多いと思います。しかし、不動産の買い取りという性質上、トラブルはないか、不当に安く買われないかなど、不安を抱くこともあると思います。
実際、不動産買取は、仲介よりも早期に現金化できる反面、取引の構造上、売主側が条件の妥当性を判断しにくいという側面があります。そのため、仕組みを理解しないまま進めてしまうと、あとで後悔することにつながりかねません。
そこでこの記事では、不動産買取で実際に起こりやすいトラブル事例と、その具体的な回避策、万が一困ったときの相談先などを整理して解説します。
目次
不動産買取はなぜトラブルが多い?仲介との違いとリスクの正体

不動産買取は仲介よりもトラブルが起きやすいと言われることがありますが、これは、不動産会社が直接買い取るという構造に原因があります。
仲介で売却した場合は、周辺の相場を参考にしながら売却価格が妥当かを判断できますが、一方で不動産買取は、再販で利益を出すために仲介より3割ほど安い値段がついたり、業者によって買取値に差が出やすかったりするため、妥当性を売主側が判断しにくいです。
また、査定額を伝えられる際に、業者から金額の根拠が十分に伝えられないケースがあることも要因に挙げられます。理解が不十分なまま手続きが進んでしまうと、漠然とした不安が残り続けてしまい、あとで不満として噴出する可能性があります。
さらに、買取時の条件が十分に伝わっていないと、あとで「こういうつもりではなかった」という状況になり、より深刻なトラブルに発展する恐れがあります。
不動産買取でよくあるトラブル事例
では、不動産買取ではどのようなトラブルがよく起こるのでしょうか?ここでは代表的な事例として以下の4つを紹介します。
- 契約後に買取価格を引き下げられる
- 費用や手数料を後出しで請求される
- 囲い込みで相見積もりを阻止される
- 悪徳業者による詐欺的契約や強引な勧誘
契約後に買取価格を引き下げられる
不動産買取で特に多いのが、当初提示された金額に納得して契約したものの、後になって減額を求められるケースです。
このトラブルのよくある理由として挙げられるのが、再調査による不具合の発覚や、再販売に必要な修繕費の増大などです。建物の劣化や設備不良、境界の不明確さなどがあとから判明し、再販売に必要なコストが増加した場合に減額を提示されることがあります。
このケースでは、再調査で見つかった不具合が民法上の「契約不適合責任」に該当するか、あるいは業者が不動産のプロとして当然に予見できた事項かどうかが焦点となります。たとえば、契約前の査定段階で把握できたはずの内容をあとから出してくる場合は、業者側に非がある可能性が高いと考えられます。一方で、査定時に十分な情報を伝えていなかった場合は、売主側の対応が不十分かもしれません。
このような事態が起きた場合、まず確認すべきなのは、契約書に「価格調整条項」や「契約不適合責任の特約」が明記されているかどうかが重要です。一般的に、売買契約は当事者双方の合意によって成立するため、契約書に減額条件が記載されていない限り、業者が一方的に価格を引き下げることはできません。減額を行うには、あらためて売主の同意が必要となります。
費用や手数料を後出しで請求される
次に多いのが、売却後に想定外の費用を請求されるトラブルです。代表的なものとして、解体費の増額や残置物の処分費用、測量費などが挙げられます。
これらの費用は、本来であれば事前に負担する側を決めておくべきですが、取り決めが曖昧な業者だと、引き渡し直前になってから「売主負担になる」と説明をしてくるケースもあります。
そのため、買取価格の減額と同じように、契約時に費用の負担が記載されているかを確認しましょう。引き渡しまでにかかる費用はすべて、ここで負担者をハッキリさせておくべきです。
囲い込みや「専任媒介契約」の強要による他社比較の阻止
囲い込みとは、特定の業者が売主の選択肢を意図的に狭め、他社との比較をさせないようにする行為を指します。仲介取引で問題視されることが多い手法ですが、不動産買取の場面でも同様の構図が見られることがあります。
よく見られる手口は 「今決めないとこの金額は出せない」「他社に相談すると条件が悪くなる」などの言葉で判断を急がせ、他社による査定を止めさせる方法です。
中でも、他社と比較されること自体を強く嫌がる業者には注意が必要です。取引が適正であれば、複数社の査定を受けることを嫌う理由はないはずです。比較させないようにする裏には必ず理由がありますので、囲い込みを思われる状況になったら、その業者には注意して接した方がよいでしょう。
悪徳業者による詐欺的契約や強引な勧誘
件数は多くありませんが、中には悪質な業者によるトラブルも存在します。よくあるのは、不安を過度に煽ったり、専門用語を多用して説明を曖昧にしたり、契約書類を十分に確認させないまま話を進めるといった行為です。
特に「書面を渡さない」「その場での即決を強く求める」といった対応をしてくる業者は、契約内容を冷静に確認する時間を与えられずに、不利な条件を押し付けてくる恐れがあるため危険です。
また「あとで説明する」「細かいことは気にしなくていい」といった言葉ではぐらかして、十分な情報を教えてくれない場合も危険です。大切な不動産を買いたたかれないためにも、条件を考える時間や必要な情報を出し渋る業者は選ばないようにしましょう。
不動産買取トラブルを防ぐための回避策

不動産買取のトラブルを起こす要因として特に気を付けたいのが、売主の「大丈夫だろう」という油断です。もちろん知識不足も要因になりますが、この点は不動産業者にしっかり説明をしてもらえばある程度補えます。
そこでここでは、よくある不動産買取トラブルを防ぐために、これだけはやっておきたい4つの回避策を紹介します。
必ず複数業者の査定額と条件を比較する
買取を検討する際は、その金額が本当に妥当なのか、必ず複数の業者から見積もりを取って確認しましょう。一社だけの見積もりで判断してしまうと、相場よりも大幅に安い価格で買いたたかれてしまうかもしれません。
査定額は業者ごとに得意分野や再販ルートなどが違うため、同じ物件でも買取価格に百万円単位の差がつくこともあります。
また、比較する際には買取価格だけでなく、契約条件の内容や説明の分かりやすさ、担当者の対応姿勢もあわせて確認しておくことが大切です。減額条件の有無や費用負担の範囲、支払い時期などを丁寧に説明してくれる業者であれば、取引全体の透明性も高いと考えられます。
過去の成約事例から売却相場を把握しておく
査定を依頼する際には、あらかじめ過去の成約事例をチェックして、業者の得意分野や、どのような物件をいくらで買い取っているのかを把握しておきましょう。近隣エリアで実際に成立した取引価格を知っておけば、提示された査定額が相場とかけ離れていないかを判断しやすくなります。
ここを怠ってしまうと「買取だからこの金額が普通」といった説明をそのまま受け入れてしまい、相場よりも低い価格に気づけないまま契約してしまう恐れがあります。相場観がない状態では、業者の説明を評価する基準を持てず、不利な条件で取引を進めてしまいやすくなる点に注意が必要です。
契約内容を十分に理解し、必ず書面で残す
契約の条件は口約束で取り交わすのは避け、必ず書面に残しましょう。
トラブルの多くは「説明は受けたつもりだった」「そんな条件があるとは思わなかった」などの認識のズレから起こります。細かな条件まで契約書に記載しておけば、これが根拠となり、あとで疑問点が出ても認識のずれが生じることはありません。
特に、以下のような項目は後から揉めやすいため、必ず記載しておきましょう。
- 契約後に価格が下がる可能性がある条件が書かれているか
- 解体費・測量費・残置物処分費は誰の負担になっているか
- 支払い方法や支払時期が明確に記載されているか
また、契約内容に疑問が残る場合は、その場で確認して納得できる形に修正できるか相談してみましょう。
国土交通省や消費生活センターなどの情報を活用する
業者から受けた対応に疑問があるものの、自分の判断が正しいのか分からないような場合は、国土交通省や消費生活センターなどの公的機関の情報を活用するのも有効です。
これらの機関は、不動産業者と直接関係がない第三者の立場にあるため、公正な視点から助言をしてくれるのが特徴です。また、これまでに数多くの相談を受けてきた実績があるため、よくあるトラブルの傾向や注意点などについても学べるでしょう。
「この程度で相談するのは大げさかもしれない」と感じる必要はありません。むしろ、違和感を覚えた段階で情報収集や相談を行うことで、問題が大きくなる前に軌道修正できるケースも多くあります。
次の項目では、実際にトラブルが起きた場合に、どのような相談先があり、どの順番で頼るのがよいのかを具体的に見ていきましょう。
トラブルが起きたときの相談先

不動産買取のトラブルが起こった場合の代表的な相談先としては、次のような場所が挙げられます。
- 宅地建物取引業協会
- 都道府県の宅地建物取引業所管部署
- 消費生活センター
- 弁護士や司法書士などの専門家
不動産買取のトラブルは、当事者同士で解決しようとすると感情的になりやすく、かえって話がこじれてしまうことも少なくありません。また、「どこに相談すればよいのか分からない」まま時間が経ち、状況が悪化するケースも見られます。
そこでここでは、それぞれの相談先がどのようなケースに向いているのか、またどの段階で頼るのが適切かという視点から整理していきます。
宅地建物取引業協会(宅建協会)
宅地建物取引業協会(宅建協会)とは、宅地建物取引業法に基づき設立された、不動産会社(宅地建物取引業者)が加盟する業界団体です。多くの不動産会社がいずれかの協会に加盟しており、業界内のルール整備や指導の役割も担っています。会員である不動産業者に対する指導・研修のほかに、適正な不動産取引の推進や消費者保護を目的とした活動も行っています。
協会は各都道府県ごとに設置されており、事務所ごとに消費者向けの無料相談会を実施しています。不動産の専門家が集まった組織なので、確かな知識に基づいたアドバイスが受けられるでしょう。
問題点がハッキリしていなくても、不安に思う部分を聞くだけでも問題ありません。まずは自分が抱えている不安を打ち明けるところから始めてみましょう。
都道府県の宅地建物取引業主管部署
各都道府県には、宅地建物取引業法に基づき、不動産会社(宅地建物取引業者)を監督する行政部署が設置されています。これらの部署は、宅建業者が法律に沿った業務を行っているかを確認・指導する立場にあり、取引に関する相談にも対応しています。
たとえば、契約書の内容が分かりにくい、重要な事項の説明が十分に行われていない、業者の説明と書面の内容が食い違っていると感じる場合などには、行政の立場から状況を確認してもらうことが可能です。個別のトラブルを直接解決してくれるわけではありませんが、法令に照らして問題がないかを整理してもらうことはできるでしょう。
また、説明義務違反や不適切な営業行為など、悪質性が高いと判断される場合には、業者に対する行政指導や是正指示につながることもあります。業者の対応に強い違和感を覚えた場合や、宅建協会への相談でも解決の糸口が見えない場合には、次の相談先として検討するとよいでしょう。
消費生活センター
消費生活センターは、商品やサービスに関する消費者トラブル全般を扱う公的な相談窓口で、不動産取引に関する相談にも対応しています。専門の相談員が中立的な立場で話を聞き、状況整理や助言を行ってくれます。
不動産買取に関する相談の場合は「この対応は問題なのか判断できない」「業者の説明に違和感はあるが、どこに相談すべきか分からない」といった段階で役立ちます。契約内容や経緯を一緒に整理しながら、一般的なルールや過去の相談事例を踏まえてアドバイスを受けられるため、自分の置かれている状況を客観的に見直しやすくなります。
弁護士や司法書士などの専門家
契約内容に法的な問題が疑われる場合や、減額請求・追加費用の請求など、金銭的な影響がすでに現れているトラブルに発展している場合は、弁護士や司法書士といった専門家への相談が有効です。
専門家は、行政や業界団体よりも個別のケースに踏み込んだ判断ができる点が大きな特徴です。たとえば、契約自体が有効なのか、業者の請求に応じる法的義務があるのか、契約解除や損害賠償を検討できる余地があるのかといった点について、専門的な見解を得ることができます。
なお、多くの専門家事務所では初回限定の無料相談を実施しています。相談時間は一般的に30分~1時間程度と短めなので、あらかじめ状況や資料を整理してから相談にいきましょう。
まとめ|安全な不動産買取には徹底した事前準備が不可欠
不動産買取のトラブルは、事前に情報を整理できていなかったり、判断を急いでしまったりすることで、誰にでも起こり得るものです。だからこそ、チェックすべきポイントや迷いやすい点などを知っておくことが自分を守ることにつながります。
また、自分だけで判断するのが難しい場合は、公的機関や専門家の相談窓口も活用しましょう。あなたの大切な不動産にふさわしい価格を引き出すためにも、不安を感じた点をそのままにせず、一つずつ確認しながら進めてみてください。
この記事の監修者
山下 航平 アキサポ 空き家プランナー
宅建士/二級建築士
ハウスメーカーにて戸建住宅の新築やリフォームの営業・施工管理を経験後、アキサポでは不動産の売買や空き家再生事業を担当してきました。
現在は、地方の空き家問題という社会課題の解決に向けて、日々尽力しております。