公開日:2026.01.31 更新日:2026.06.04
不動産の名義変更とは?手続きの流れ・必要書類や費用を徹底解説
土地や建物の名義変更は、不動産の所有権を公的に示すために欠かせない手続きです。適切に登記を行うことで、所有権を第三者に対して証明でき、将来的なトラブルを防ぐ役割を果たします。
本記事では、名義変更に必要な手続きやかかる費用から、専門家に依頼するメリット、トラブルを回避するポイントまで幅広く解説。ぜひ参考にして、不動産名義に関する不安を解消しましょう。
目次
土地建物の名義変更とは?必要性や登記の仕組みを解説

不動産の名義変更は、法律上の所有者を明確にするために欠かせない重要な手続き。まずは名義変更が必要な理由や、その仕組みを整理しましょう。
名義変更が必要となる理由
名義変更が必要となる場面の代表例として、相続や贈与、売買が挙げられます。これらの事由が発生すると、法的に所有権を移転させるための登記が不可欠になります。
名義変更を放置すると所有権の帰属が不明確になるだけでなく、第三者に対して正当性を主張できないリスクも。売買や相続、贈与の手続きが停滞する原因にもなりかねません。万が一トラブルに発展した場合、解決には多大な時間と労力を要し、長期化する恐れがあります。
名義はどこで管理される?土地・建物それぞれの登記簿
不動産登記簿は、土地と建物が別個に管理されるのが一般的。土地には地番、建物には家屋番号が割り当てられており、法務局で保管される登記簿によって権利関係が公的に証明されます。
所有権移転登記をはじめとする名義変更の申請先は、原則として不動産の所在地を管轄する法務局で、誰でも登記簿謄本を取得でき、現在の名義人や権利状況を確認することが可能です。
なお、農地の売買や贈与には、農地法第3条に基づく農業委員会の許可が必須。許可を得ずに契約しても、所有権移転の効力が発生しない(無効となる)点には十分注意してください。
農地を名義変更する場合の注意点
農地の場合は農地法の規定が適用されるため、相続を除く売買や贈与では原則として農業委員会の許可を取得するのが必須。許可を得ずに登記を行うと無効になるリスクがあるため、注意しましょう。
手続きや必要書類は、市街化区域内の農地や市街化調整区域内の農地など、地域の区分によってさまざまなので、事前に自治体や農業委員会に確認しておくとスムーズです。
また、農地を転用する場合などは、手続きがさらに複雑になることがあります。専門家のアドバイスを受けながら進めることで、時間やコストを抑えることができるでしょう。
名義変更が必要となる主なケース

名義変更が必要になる場面はいくつかあり、それぞれの事情にあった書類や手続きを踏むことがポイントです。ここでは、「相続」「売買」「贈与」「離婚(財産分与)・婚姻解消」の4つのケースについてご紹介します。
相続による名義変更(相続登記)
不動産登記は、相続により不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請することが義務付けられています。正当な理由なく怠った場合、10万円以下の過料(行政罰)が科される可能性があるため注意が必要です。
相続登記をしないまま放置していると、相続人が後に増える場合や、相続関係が複雑化する可能性があり、登記が難しくなる可能性があります。手続きをスムーズに進めるためにも、前もって戸籍謄本や被相続人との続柄がわかる書類を集めておくとよいでしょう。
さらに、不動産の評価額によっては相続税が課されることもあるため、税務上の手続きともあわせて検討することが大切です。
売買による名義変更
不動産の売買契約を締結した場合、所有権移転登記を行うことで正式に権利が移転。契約だけでは権利の公的な証明とならないため、登記をして初めて名義が変わったと認められます。
売買の場合、売主と買主双方の書類整備が必要です。権利証や登記識別情報、印鑑証明書などを揃え、不備のない状態で申請を進めましょう。
特にローンを利用して購入する場合には、金融機関の抵当権設定登記も同時に行われることが多く、段取りをプロに相談しながら進めるとスムーズです。
贈与による名義変更
贈与による名義変更は、無償で財産を譲り渡す場合に必要となる手続きです。贈与契約書など権利の移転を証明する書面をしっかり作成し、法務局での登記を怠らないようにしましょう。
贈与の際に注意したいのが、場合によっては贈与税が課税される点。非課税枠や特例制度を活用できるかどうか、事前に税制を確認しておくことがポイントです。また、同居親族への住居の贈与など、特定のケースでは減税措置が受けられることもあるため、適用条件をしっかり調べたうえで、手続きを進めるとよいでしょう。
離婚(財産分与)・婚姻解消による名義変更
離婚に伴って財産分与が必要となった場合も、その分与の内容を不動産の登記に反映させる必要があります。夫婦が共有していた不動産をどのように分割するかは、協議の結果を法務局の登記申請に反映させることで公式に確定します。
財産分与協議書を作成し、分与後の所有者を確定させてから手続きを行いますが、もし住宅ローンが残っている場合は、金融機関との調整も必要になるケースも。また、婚姻期間中に購入した不動産は、通常共有財産として扱われるため、正しい評価額や持分比率を踏まえたうえで名義変更を進めるようにしましょう。
名義変更に必要な書類と手続きの流れ
不動産名義変更(登記申請)の基本ステップ
※不備なくスムーズに権利を移転するための基本的な流れです
必要書類の準備・確認
相続や売買など、名義変更の原因に応じた証明書類(契約書・戸籍謄本等)を収集します。固定資産税評価証明書を取得し、登録免許税の正確な税額計算を行います。
法務局への登記申請
登記申請書を作成し、添付書類一式とともに不動産の所在地を管轄する法務局へ提出します。提出方法は法務局窓口への直接持参のほか、オンライン申請も可能です。
登記完了・書類の受領
法務局での書面審査(通常1〜2週間程度)が完了すると、新しい権利の証明書となる「登記識別情報通知(従来の登記済権利証)」や登記完了証が発行され、手続きが完了します。
ここからは、名義変更の主な流れについてご紹介。あらかじめ把握し、滞りなく手続きが進められるように準備しておきましょう。
【ケース別】土地建物の名義変更に必要な書類一覧
| 登記の原因(ケース) | 主な必要書類 | 書類準備のポイント・注意点 |
|---|---|---|
| 相続による名義変更 | 被相続人の戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本、遺産分割協議書、遺言書、相続人の住民票など | 相続人が複数いる場合は遺産分割協議書の作成と全員の印鑑証明書が必要になるため余裕を持って準備する |
| 売買による名義変更 | 売買契約書、売主と買主の印鑑証明書、登記識別情報(または登記済権利証)、固定資産評価証明書など | 住宅ローンを利用して購入する場合は金融機関の抵当権設定登記の必要書類も同時に揃える |
| 贈与による名義変更 | 贈与契約書、贈与者の印鑑証明書、登記識別情報(または登記済権利証)、受贈者の住民票など | 無償で譲渡した事実を証明する贈与契約書を作成し、お互いの署名捺印を確実に残しておく |
| 離婚による名義変更 | 財産分与協議書(または離婚調停調書)、名義人の印鑑証明書、登記識別情報、戸籍謄本など | 住宅ローンが残っている物件を財産分与する場合は事前に金融機関との調整と承諾が不可欠 |
まず、登記原因を証明するための書類が必要になります。
相続の場合は遺産分割協議書や戸籍謄本など、売買の場合は売買契約書や印鑑証明書、贈与なら贈与契約書といったように、原因ごとに求められる書類が異なります。書類によっては発行に数週間かかる場合もあるため、余裕を持って準備しましょう。
オンライン申請と窓口申請の方法
書類がそろったら、法務局へ書類を提出します。従来は法務局の窓口に直接提出しますが、近年はオンライン申請システムが整備されているので、マイナンバーカードなどを利用して自宅からでも手続きを行うことが可能です。窓口申請は、直接窓口に赴く手間はありますが、不備があればその場で修正できます。一方、オンライン申請は場所を問わず手続き可能ですが、電子証明書や専用ソフトの準備が必要です。自身の都合を考慮して、最適な方法を選びましょう。
名義変更にかかる費用・税金

名義変更には登録免許税や専門家報酬、不動産取得税などの費用が発生する場合があります。突然の出費で困らないためにも、不動産を取得する際は金銭面も考慮して計画を立てるようにしましょう。
登録免許税の計算と税額
登録免許税は、自治体が管理する固定資産税評価額に所定の税率を掛けて算出します。税率は登記原因により異なり、相続は0.4%、贈与は2%、売買(土地)は2%が原則ですが、2026年度(令和8年度)の税制改正により、軽減税率1.5%の適用期限が2029年(令和11年)3月31日まで3年間延長されました。軽減措置が適用されるケースもあるため、事前の正確な試算が欠かせません。最新の税制情報を確認した上で、手続きを進めましょう。
なお、評価額自体も路線価方式や倍率方式で算出されるため、固定資産税評価額と実際の売買価格が必ずしも一致しない点にも注意が必要です。
司法書士等の専門家への報酬と実費
登記は一度完了すると修正が難しく、ミスがあれば再申請が必要になる場合もあるため、正確性を重視するなら専門家に依頼するのが確実です。
司法書士へ依頼する場合の報酬は、登記内容の難易度や物件数、地域によって異なりますが、だいたい数万円から十数万円程度が目安。交通費や書類取得のための実費が別途加算されるケースもあるため、見積もり段階で報酬と実費を合わせた総額を確認しておくことをおすすめします。
その他発生する税金・費用(不動産取得税など)
上記のほかに発生する税金・費用としては、主に以下のものが挙げられます。
- 不動産取得税
- 贈与税
- 印紙税
不動産取得税は、一定の要件下で軽減措置が適用されるケースが多く見られます。特に住宅用として取得した場合、減税制度の条件に該当するか確認するとよいでしょう。
贈与税は課税金額が大きくなる可能性があるため、非課税枠や特別控除を適用できるか慎重に確認してください。
また、名義変更の手続き時だけでなく、将来的には固定資産税や不動産維持にかかる費用なども発生するため、不動産を取得する際はこれらの負担も踏まえて総合的に検討することが大切です。
【土地建物の名義変更】自分で行う場合と専門家に依頼する場合の比較

不動産登記の申請は、司法書士に代理申請を依頼する方法と自分で申請する方法があります。それぞれのメリット・デメリットを把握して、最適な方法で進めましょう。
自分で名義変更を行うポイントとリスク
自力で申請する最大のメリットは、専門家へ支払う報酬を節約できることです。一方で、添付書類や記載項目に不備があると手続きがスムーズに進まず、結局は時間と手間を大きく取られてしまう可能性があります。
特に、原因が複雑なケース(相続人が多い、離婚で協議が難航しているなど)ほど申請内容が煩雑になりがちです。登記完了後の訂正には追加費用や再申請の手間がかかるため、ミスを防ぐためにも慎重に確認するようにしましょう。
専門家に依頼するメリットと依頼先の選び方
専門家に依頼する一番のメリットは、ノウハウを持つプロが書類作成および法務局への申請手続きを代行してくれる点です。費用はかかるものの、書類不備や申請ミスを最小限に抑えられるため、結果的にトラブルを防げる可能性が高まります。
また、名義変更だけでなく、今後の相続対策や節税方法など総合的なアドバイスを受けられるのもメリットの一つ。自己流での手続きでは気づきにくい法改正や要件変更にも専門家は迅速に対応してもらえます。
依頼先を選ぶときは、実績や料金体系が明確であることをチェックしておくのがおすすめ。初回相談が無料の事務所もあるので、比較検討して納得のいく専門家を見つけましょう。
不動産の名義変更に関するよくある質問
不動産の名義変更(登記)にはいつまでに手続きすべきという期限はありますか?
売買や贈与、財産分与に関しては法律上の申請期限はありません。ただし、手続きを放置すると元の所有者が勝手に転売したり差し押さえられたりした際に、所有権を第三者に主張できなくなるリスクがあります。なお、相続登記については「取得を知った日から3年以内」の申請が義務化されており、怠ると過料の対象となるため速やかな手続きが必要です。
登録免許税の計算に必要な「固定資産税評価額」はどこで確認できますか?
毎年4月〜5月頃に不動産の所有者宛てに届く「固定資産税の課税明細書(納付書に同封)」の評価額欄で確認できます。手元に明細書がない場合は、不動産が所在する市区町村役場(東京23区は都税事務所)の窓口で「固定資産評価証明書」を取得するか、固定資産課税台帳を閲覧することでも確認が可能です。
司法書士などの専門家に頼まず、自分だけで名義変更を行うことは可能ですか?
法的には個人で申請することも可能です。平日に法務局へ通う時間があり、書類の収集や申請書の作成を自力で行える場合は専門家報酬を節約できます。ただし、相続人が多数いる場合や、離婚に伴う財産分与、住宅ローンの抵当権設定が絡む売買などは手続きが極めて複雑になります。書類の不備で何度も再申請を求められるリスクを防ぐには、司法書士へ依頼するのが確実です。
まとめ・総括:適切な名義変更でトラブルを回避
不動産の名義変更は、所有権を明確にし、将来のトラブルを回避するために不可欠な手続きのひとつ。相続や売買、贈与など所有権移転の原因によって必要となる書類や費用は異なるため、個別の状況に合わせて十分に確認することが重要です。大切な不動産に関わる重要な手続きだからこそ、正しい情報と適切な手順に基づいてしっかりと進め、将来のトラブルも回避できるように備えておきましょう。
「アキサポ」では、空き家の売買や運用だけでなく、名義変更など諸手続きのサポートも実施しています。司法書士など専門家と連携し、包括的に対応いたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。
この記事の監修者
白崎 達也 アキサポ 空き家プランナー
一級建築士
中古住宅や使われなくなった建物の再活用に、20年以上携わってきました。
空き家には、建物や不動産の問題だけでなく、心の整理が難しいことも多くあります。あなたが前向きな一歩を踏み出せるよう、心を込めてサポートいたします。