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公開日:2025.10.03 更新日:2025.10.07

木造住宅の寿命は何年?耐用年数・長持ちさせる方法・税金や法律も解説

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木造住宅の新築や購入を考えるとき、その寿命を気にする方は多いのではないでしょうか。住宅は人生で特に大きな買い物だからこそ、長く安心して暮らせるものが欲しいですよね。

また、親から木造住宅を相続した場合も、「いつまで住めるのか」「建て替えやリフォームは必要か」といった疑問が出てくると思います。

そこで本記事では、木造住宅の寿命を理解する上で欠かせない「法定耐用年数」「物理的耐用年数」「経済的耐用年数」の違いを解説します。さらに、寿命を延ばすための具体的なメンテナンス・リフォーム方法、建て替えとの比較、知っておくべき法律や制度まで、有資格者の視点も交えて詳しく紹介します。

木造住宅の法定・物理的・経済的耐用年数の違いとは

木造住宅の寿命を知るにあたって最初に把握しておきたいのが「法定耐用年数」「物理的耐用年数」「経済的耐用年数」の違いです。ここでは、それぞれの意味と違いをわかりやすく解説していきます。

法定耐用年数とは?

法定耐用年数とは、建物の減価償却費を計算するために、税法で定められた年数です。木造住宅(住宅用)の法定耐用年数は22年、木骨モルタル造は20年と定められています(所得税法施行令別表第一による)。

これらの年数はあくまで税務上の減価償却計算に用いる目安であり、実際の居住可能年数とは一致しません。税務・相続・住宅ローンなどで影響を及ぼす項目として、物理的な耐久年数とは区別して理解しましょう。

物理的耐用年数とは?

物理的耐用年数は、実際に住宅が安全かつ快適に使い続けられる年数を指します。具体的な年数は、施工方法や使われた木材の種類、住んでいる地域の気候条件、手入れやメンテナンスの頻度などによって大きく左右され、一律に決めることはできません。

最近の住宅は技術向上により長寿命化が進んでいます。特に高性能な断熱材や耐久性の高い木材、防腐処理などを活用している住宅であれば、50年以上住み続けられる場合もあります。

経済的耐用年数とは?

経済的耐用年数とは、その住宅に経済的な価値を見出せる期間のことです。建物の構造や立地、状態などに加えて、地域の地価や再販価値など、さまざまな要素を踏まえて求められます。

法令で定められている法定耐用年数とは異なり、経済的耐用年数は市場の評価を基準に算出されます。たとえば、木造住宅の法定耐用年数は22年ですが、人気のあるエリアやリフォーム状態によっては、それを超えて価値が認められることもあります。逆に、需要の低い地域や老朽化が進んだ住宅では、法定耐用年数よりも早く価値が下がってしまうこともあります。

木造住宅の耐久性を左右する3つの要因

日本は高温多湿な環境にあることから、木造住宅の寿命は海外よりも短命で「約30年」とよく言われます。しかし、実際の寿命は約30年と割り切れるものではなく、素材・施工・維持管理で大きく変わります。

では、木造住宅の実際の寿命は、どのような項目によって決まってくるのか、ここでは主な3つの要素について解説します。

構造材の種類(無垢材・集成材)

木造住宅の骨組みを構成する「構造材」は、建物の耐久性を大きく左右する重要な要素です。どのような木材を使用するかによって、経年劣化の進行具合やメンテナンスのしやすさが変わるため、住宅の寿命にも大きく影響します。

まず、一本の木から切り出された「無垢材」は、自然な木の風合いを持ちながら、湿度を吸ったり吐いたりする調湿機能にも優れています。湿気の多い日本の気候に適しており、適切な手入れをすれば長期間使用できます。ただし、木目のばらつきや反り、乾燥による割れといった経年変化が出やすく、コストも高めになる傾向があります。

一方で「集成材」は、木材を薄くスライスして接着剤で貼り合わせた加工材です。無垢材に比べて寸法安定性に優れており、反りや割れが起こりにくく、扱いやすい点が特徴です。ただし、接着剤の種類や品質により耐久性に差が出るため、性能の安定性は製品選びに左右される部分があります。

日本の気候風土と湿度管理

日本の気候は、木造住宅にとって決して優しい環境ではありません。夏は高温多湿、冬は低温乾燥と、1年を通じて気温や湿度の変化が大きく、木材にとっては厳しい条件が続きます。

特に夏場は、湿気によってカビや腐朽菌、シロアリが発生しやすく、構造材の劣化や被害の原因となります。一方、冬場の乾燥した空気は、木材の収縮によるひび割れや反りといった問題を引き起こすことがあります。

これらのリスクから住宅を守るには、湿度管理を意識した設計と、日常的な換気・調湿の工夫などが大切です。また、断熱性の高い建材を選ぶと、冬場の乾燥による木材の劣化を防ぎやすくなります。

施工品質と定期的な点検

木造住宅の耐久性は、施工の丁寧さによっても大きく左右されます。たとえ高品質な構造材を選んでも、施工の精度が低ければ本来の性能を発揮できません。

特に注意が必要なのが、基礎工事や防水処理など、住宅の土台となる部分です。これらに不備があると、雨水や湿気が構造内部に入り込み、見えないところから劣化が進行してしまうリスクが高まります。

さらに、住み始めてからの定期点検も非常に重要です。構造材の劣化や外壁のクラック(ひび割れ)、防水機能の低下などは、外見だけでは判断しにくく、気づかないうちに進行していることも少なくありません。

これらのリスクを避けるために、プロの目による点検を定期的に受け、小さな異変でも発見次第早期に対応することを心がけましょう。

木造住宅を長持ちさせるメンテナンスとリフォームとは

ここからは、木造住宅を長持ちさせるためのメンテナンス・リフォーム方法を紹介します。外装や屋根のように外気にさらされる部分は、特に劣化しやすい箇所であり、早期のメンテナンスが将来の修繕費用を左右します。

大切なのは「傷んだら直す」ではなく「傷む前に防ぐ」意識を持つことです。これから紹介することを日ごろから意識し、住宅を長く快適な状態に保ちましょう。

外壁・屋根の点検と修繕

外壁や屋根は住宅の構造部分を守る役割を担っています。ひび割れや塗装のはがれなどを放置すると、そこから雨水が浸入して構造部分を傷める可能性があるため、早めの点検修理が欠かせません。

点検の頻度は年に1回を目安にしましょう。また、台風や大雪などのあとも見えないダメージが蓄積しやすいため点検しておくとよいでしょう。ただ、屋根の上に自分で上るのは危険なので、専門業者に依頼してチェックしてもらうことをおすすめします。

雨漏り・水漏れ対策

雨漏りや水漏れを放置すると、木材の腐食やシロアリの発生リスクが高まり、深刻な構造ダメージを引き起こす恐れがあります。住宅の寿命を大きく縮める可能性があるため、早急な対応が必要です。

これらの被害は壁の内部や天井裏など、目につきにくい場所で進行するケースが多いです。気付いたときには被害が広がっていることもあるため、定期的な点検を行い、早期発見に努めましょう。

また、日常生活ではシーリングの状態や排水の詰まりなどを定期的にチェックし、健全な状態に保ちましょう。水回りを清潔に保つことで劣化の原因を早めに取り除ける可能性があります。

耐震・断熱リフォームの検討

築年数が経った木造住宅を長持ちさせる選択肢として、耐震リフォームと断熱リフォームがあります。どちらも100万円単位の費用がかかりますが、建て替えをするよりも費用を掛けずに寿命を延ばせます。


耐震リフォームでは、壁や基礎部分の補強や屋根材の軽量化などを行い、地震に対する耐久性を高めていきます。また、断熱リフォームでは窓を断熱性の高いものに交換したり、壁に断熱材を追加したりして、結露や乾燥による木材へのダメージを抑える効果も高めていきます。

ホームインスペクションの活用

住宅の劣化を早期に発見し、適切な対策を講じるためには「ホームインスペクション(住宅診断)」の活用がおすすめです。「住宅診断」とも呼ばれ、専門の建築士などが第三者の立場で住宅の状態をチェックすることで、目に見えない不具合や劣化リスクを客観的に把握できます。

診断内容は、基礎・外壁・屋根・天井裏・床下などの構造部分のチェックから、給排水設備や雨漏りの痕跡、傾き・ひび割れといった項目まで幅広く用意されています。特に、以下のような方にはホームインスペクションの実施がおすすめです。

  • 築20年以上の住宅に住んでいる方
  • 中古住宅の購入を検討している方
  • リフォームを検討しているが、現状の不具合が把握できていない方
  • 住宅の資産価値や性能を見直したい方

建て替えかリフォームか?判断基準と注意点

住宅が古くなってくると、建て替えとリフォームのどちらが効果的か悩むと思います。どちらにもメリット・デメリットがあるため、単に費用だけで判断せず、今後のライフプランや資産価値の観点も含めて総合的に検討することが大切です。

そこでここでは、建て替えとリフォームを比較する際の大きなポイントとなる「修繕コストと将来の資産価値」と「ライフスタイルの変化への対応」という2つの視点を解説します。自分のケースにはどちらが向いているか考えながら読んでみてください。

修繕コストと将来の資産価値を比較

リフォームか建て替えかを判断するうえで特に重要なのが「修繕にかかる費用」と「将来の資産価値」のバランスです。

リフォームには、必要な部分だけを改修できる柔軟さや、初期コストを抑えられるメリットがあります。特に構造がしっかりしている場合や、こまめなメンテナンスが行き届いている住宅であれば、費用対効果の高い選択となるでしょう。

しかし一方で、築年数が進み構造そのものに劣化が見られる場合はリフォームでは不十分な場合があります。

部分的なリフォームや修繕を重ねると、最終的には建て替えと同程度、あるいはそれ以上の費用がかかる可能性もありますし、住宅があまりにも古く耐震・断熱性能が現在よりかなり低い場合は、むしろ建て替えてしまった方が効率的な場合もあります。

ライフスタイルの変化への対応

建て替えとリフォームを比べる場合は、今後のライフスタイルの変化も見越して検討しましょう。これから子育てが始まる場合や、テレワークや事業を始める際のワークスペースが欲しい場合、高齢の親と同居する場合などは、よく考えた方がよいでしょう。

理想の住空間を実現しようとするほどコストはかさみやすく、構造上の制約から希望通りにできないケースもあるため、一概にリフォームが正解とは限りません。特に築年数の古い家では、リフォームをしても思い通りの姿にならない可能性が高まるので注意が必要です。

木造住宅の寿命に関するよくある質問

最後に、木造住宅の寿命について、よくある質問を2つ紹介します。

よくある疑問①:固定資産税の評価と住宅の寿命は関係ある?

固定資産税の評価と住宅の寿命は、直接的な関係はありません。 固定資産税は、固定資産税評価基準に基づいて算定された建物の評価額に課税される税金です。この評価額は、築年数に応じて経年減点補正率が適用されるため、年々減少していきます。築20年を超えると固定資産税評価額が非常に低くなることもありますが、これはあくまで税務上の評価であり、実際の建物の保存状態とは異なります。

実際の住宅は、定期的な点検や修繕が適切に行われていれば、築30年を超えても快適かつ安全に暮らせる場合が多くあります。「評価額=寿命」とは限らないという点は押さえておくべきでしょう。

よくある疑問②:耐震基準の違いや長期優良住宅制度は寿命に関係する?

耐震基準は、住宅の寿命に大きく関係します。 1981年5月31日以前に建築確認を受けた建物は「旧耐震基準」、それ以降の建物は「新耐震基準」に分類され、建物の耐震性能に大きな差があります。そのため、新耐震基準で建てられた住宅の方が、地震に対する耐久性が高いといえます。

また長期優良住宅制度(正式名称:長期優良住宅の普及の促進に関する法律に基づく認定制度)は、一定の耐震性や省エネ性、劣化対策などを満たした住宅に対して、登録免許税や不動産取得税の軽減、住宅ローン控除の拡充など税制優遇や金融上の特典が得られる仕組みのため、一般的に長持ちしやすくなっています。

【まとめ】木造住宅の寿命は「手入れ」で大きく変わる

木造住宅の寿命は使用材料や周辺環境などによってある程度決まりますが、実際の寿命は日々の手入れや適切なリフォームの仕方で大きく変わってきます。日ごろから点検や修繕をまめに行っていれば、想定された年数以上に持つでしょうし、逆に怠ってしまえば、良い材料を使っていても本来の耐久性を発揮できず、早く住めなくなることもあるでしょう。

もし建て替えやリフォームを検討しているなら、まずはホームインスペクションや専門家の診断を受けて現状を把握するのがおすすめです。今の住まいがどれくらい持つのかを客観的に知ることで、無駄な出費を防ぎ、将来に備えた計画を立てやすくなります。

木造住宅は「手をかけた分だけ応えてくれる資産」です。定期的に点検し、必要な時に適切な手を打つことで、安心して長く暮らせる家に育てていきましょう。

この記事の監修者

白崎 達也 アキサポ 空き家プランナー

一級建築士

中古住宅や使われなくなった建物の再活用に、20年以上携わってきました。
空き家には、建物や不動産の問題だけでなく、心の整理が難しいことも多くあります。あなたが前向きな一歩を踏み出せるよう、心を込めてサポートいたします。

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