公開日:2025.07.16 更新日:2025.06.20
NEW【空き家管理】安心・安全に空き家を維持するための完全ガイド|アキサポ

空き家が増加の一途をたどる日本において、適切な空き家管理は資産価値の維持だけでなく、さまざまなトラブルを回避するためにも不可欠です。本記事では、空き家管理の基礎知識から具体的なサービス比較、さらには多様な活用方法までを網羅的に解説します。
目次
空き家管理の重要性:放置するリスクと法的背景

空き家をめぐる社会問題が深刻化する中で、自治体も空き家対策に積極的に乗り出しています。このような状況下で適切な管理を怠ると、法的・社会的リスクを負う可能性が高まります。
ここでは、その背景と主な法規制について詳しく見ていきましょう。
空き家対策特別措置法とは?特定空家等への指定と影響
空き家対策特措法は、適切に管理されていない空き家に対して、行政が是正措置をとりやすくするために制定された法律です。空き家が放置されたまま老朽化し、倒壊や衛生問題などの深刻な被害をもたらす事例が増加したことが背景にあります。
この法律により、もし所有する空き家が「特定空家等」に指定されると、行政からの改善命令や、固定資産税の住宅用地特例(優遇措置)の解除といった措置が講じられる可能性も。所有者は空き家を放置せず、管理や活用方針を早期に検討することが重要です。
放置リスク:劣化・防犯・近隣とのトラブル
空き家を放置すると、以下のようなさまざまなリスクが生じます。
- 建物の劣化と高額な修繕費: 適切な通風や換気がなされないことで湿気がこもり、カビや害虫の発生、建材の腐食などが進行しやすくなり、結果的に高額な費用が発生するリスクが高まります。
- 景観悪化と近隣トラブル: 雑草や庭木の繁茂、不法投棄などにより、周囲の景観が悪化し、近隣住民とのトラブルに発展する可能性があります。
- 防犯上の懸念: 不法侵入や放火といった犯罪のリスクが高まり、地域の治安を損なう恐れがあります。
これらのリスクを回避するためには、定期的な点検とメンテナンス、そして適切な管理体制を確立することが不可欠です。
【空き家管理】自主管理と業者委託、どちらを選ぶべき?

空き家を管理する方法は、大きく分けて「自主管理」と「業者委託」の2つがあります。それぞれの特徴を理解し、ご自身の状況に合った最適な方法を選択しましょう。
自主管理のポイント
自主管理では、まず定期的な巡回計画を立てることが重要です。例えば月に一度など、決まったペースで巡回することで、郵便受けの確認や庭の雑草の繁茂状況などを早期に把握できます。
建物内部においては、定期的な換気や通水が必須です。これを怠ると、湿気がこもり、カビや害虫の温床となる可能性があります。また、近隣住民とのトラブルを未然に防ぐためにも、敷地内外の美観を維持するよう心がけましょう。
このように、自主管理は所有者が自ら定期巡回や手入れを行うため、費用を抑えることができるという利点がある反面、自身の体力や時間的制約も考慮する必要があります。特に遠方に住んでいる場合は移動負担が大きいため、現実的に可能かどうかしっかり見極めたうえで検討することが大切です。
業者を選ぶメリット・デメリット
業者に依頼すると、定期巡回はもちろん、郵便受けの確認、庭木の手入れ、防犯カメラの設置といった多彩なサービスを受けることが可能。中には動画や写真レポートを提供してくれる業者もあり、遠隔地にいても空き家の状態を把握しやすい点がメリットです。
また、専門的な知識や経験を持つスタッフが作業を行うため、建物の劣化箇所を早期に見つけ、修繕やリフォーム提案なども受けられる場合があります。
一方で、費用は自主管理より高くなる点がデメリット。業者によっては巡回や作業内容が不十分だったりレポートが曖昧だったりするリスクも考えられます。口コミの評判や、契約内容の詳細説明などを確認し、しっかり納得した上で契約を結ぶようにしましょう。
代表的な空き家管理サービスの比較と選ぶポイント

一口に空き家管理サービスといっても、その内容はさまざま。料金やサービス範囲、サポート体制などを比較検討するようにしましょう。
代表的な空き家管理サービス
代表的な空き家管理サービスとしては主に以下の3つが挙げられます。
- 日本空き家サポート
- 空家・空地管理センター
- 空き家みまもりサービス
「日本空き家サポート」は、全国展開を行っている民間サービス。物件の種類やサービス内容によってプランが選択でき、費用の目安は月額5,000円~13,000円程度です。
NPO法人が運営する「空家・空地管理センター」は、空家空地管理士といった専門資格を持ったスタッフが対応してくれる管理サービス。報告書の質や管理体制が充実しているところも特徴です。電子レポートで情報が共有され、前回との比較もしやすい仕組みになっている場合もあります。
日本郵便が提供する「空き家みまもりサービス」では、月1回の巡回で外観確認やポスト清掃を依頼することが可能。オプションで通水や郵便物送付なども対応してもらえるので、自分の予算や空き家の状況に合わせて選択してみるとよいでしょう。
料金やサービス内容を確認しよう
サービスを選ぶ際にまず押さえておきたいのが、基本料金と巡回頻度。月に1回の巡回プランでも、報告書や写真・動画などでしっかりと状態を把握できる業者もあります。あわせて、初期費用の有無や、年間契約の割引などの支払方法についても確認しておくと安心です。
また、報告書の品質もサービス選びの大きなポイント。テキストや写真だけでなく、動画レポートを提供する事業者では現場の様子がよりリアルに伝わるため、特に遠方の所有者の方におすすめです。
オプションサービスとサポート体制
空き家管理では、草刈りや害虫・害獣対策、屋根の点検などの作業が必要になることもありますが、これらはオプションサービスとして提供されることがほとんど。必要な場合は追加費用を見込んで試算しておくことが大切です。
さらに、防犯対策として監視カメラの設置や、万が一のトラブル時にすぐ対応してもらえる緊急サポートがあるかどうかも重要なチェックポイントのひとつ。特に夜間や休日に迅速な対応が可能な窓口を設けているところは、リスク管理の面で安心感が高いといえます。
業者選びの際は、管理報告の頻度やトラブルが発生したときの対応スピード、連絡手段の多様性などを比較して、自分がどの程度のサポートを必要としているか再確認した上で依頼するようにしましょう。
空き家活用の選択肢:売却・賃貸・リフォーム

空き家を管理するだけでなく、活用することで新たな収益や有効活用の可能性が広がります。以下、主な3つの活用方法についてメリット・デメリットを簡単にまとめたので、ご自身の都合や物件の状況にあわせて検討してみてください。
売却するメリット・デメリット
空き家を売却する大きなメリットは、維持費や固定資産税の支払いから解放されることです。売却によって得られた資金は、新たな資産形成や生活資金など、他の用途に自由に活用できるため、資金の流動性を高める有効な手段となります。
一方で、売却時の市場価格が思っているより低い場合や、買い手がつきにくい地域である場合には、売却までに時間がかかる可能性がある点に要注意。加えて、資産価値を手放してしまうことになるため、将来的に再度使いたいと思っても簡単には取り戻せません。
そのため、売却前には家の需要や価値をしっかり把握し、不動産会社の査定を比較検討するなどして、より高い価格で売るための準備を整えるようにしましょう。
賃貸として運用する場合の注意点
賃貸に出すと家賃収入が期待できるだけでなく、人の出入りがあるため建物内部が換気されやすく、空き家として放置するより劣化が抑えられるという利点もあります。長期的にみれば、修繕コストをある程度家賃収入でカバーすることも可能です。
しかし、入居者の募集や契約管理、退去時のクリーニング、設備補修など、手間や費用がかかることも忘れてはなりません。さらに、立地や築年数によっては空室が続く懸念もあり、安定収入につながらない場合もあります。
家賃設定や管理会社の選定など、賃貸経営には知識と時間が必要です。試算を十分に行い、リスクとリターンをバランスよく見極めることが成功のカギとなります。
リフォームの注意点
近年ではリフォームやリノベーションによって、古民家カフェやゲストハウスなどに転用する事例も増えています。地域の需要や立地条件を考慮し、どのような活用が最も効果的か、専門家の意見を交えながら検討してみるとよいでしょう。
空き家管理にまつわるよくある質問

空き家管理を始めるにあたり、疑問点や不安に思うことは少なくありません。ここでは代表的な質問をピックアップし、回答をまとめました。
Q: 空き家固定資産税が上がる可能性は本当にあるのでしょうか?
A:はい、その可能性は十分にあります。「空家等対策の推進に関する特別措置法」の改正により、特定空家等に指定された場合、固定資産税の「住宅用地の特例」が適用されなくなり、結果的に固定資産税が最大6倍になる可能性があります。
Q: 空き家の巡回頻度はどのくらいが目安でしょうか?
A: 一般的には月1回程度の巡回が推奨されています。地域や建物の状態により回数を増やすケースもあるため、状況に応じて調整しましょう。
Q: 遠方に住んでいるため現地に行けませんが、それでも管理は可能でしょうか?
A: 管理業者や見守りサービスを利用すれば、定期的な報告や緊急時の対応を任せることができます。写真・動画レポートを活用すれば、現地に行かなくても状態を把握できるので安心です。
まとめ・総括
空き家を安心・安全に保つためには、定期的な管理や目的に応じた活用策が欠かせません。
空き家を放置すると、劣化や不法侵入、近隣トラブルなど数多くの不安要素を抱えることになります。所有者としては、法的なリスクはもちろん、資産価値の維持にも目を向ける必要があるでしょう。また、空き家には管理方法にも活用方法にも多くの選択肢があるため、自分のライフスタイルや資金計画に合わせて、最適な管理方法を選ぶことも大切です。
本記事のポイントを踏まえ、最適な空き家管理を実践していきましょう。