公開日:2023.07.24 更新日:2023.10.02
「特定空き家」とは?指定基準、解除方法、課せられる義務・措置などを解説!

空き家は不動産という立派な資産ではあるものの、放置しているとさまざまなリスクを生み出すのも事実です。
そこで今回は空き家のリスクを考える上で重要な「特定空き家」をテーマに、基礎知識や指定基準、指定された場合のデメリットなどを分かりやすく解説します。
最後に6月7日に可決した「空き家対策特別措置法」の改正法案の内容もご紹介します。
空き家のおすすめ活用方法や具体的な事例も合わせて紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
特定空き家とは?

特定空き家とは、2015年より施行された「空家等対策特別措置法(空き家法)」において、倒壊や保安上の危険、衛生や景観への悪影響など、一定のリスクを抱えているとみなされる空き家のことです。
ここでは、日本の空き家問題の現状を交えながら、特定空き家と一般的な空き家の違いなどを解説します。
特定空き家と一般的な空き家の違い
まずは、空家等対策特別措置法の内容をもとに、そもそもの「空き家」自体の定義を確認しましょう。
「空家等」とは、建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む。)をいう。ただし、国又は地方公共団体が所有し、又は管理するものを除く
出典:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=426AC1000000127_20150801_000000000000000
つまり、空き家とは行政が管理しておらず、使用されていない状態が一定期間続いている建築物および敷地を指しているということになります。
空き家の定義については以下の記事で詳しく説明しています。
一方、特定空き家は前述のとおり、「空き家の中でも周辺に保安・衛生上の悪影響を及ぼす可能性があるなど特にリスクの高い空き家」を指します。
日本の空き家問題の現状
まずは以下のグラフをご覧ください。

こちらは総務省による「住宅・土地統計調査」の結果をもとに、日本における空き家率の推移と種類別内訳をまとめたものです。
ご覧のとおり、空き家率は右肩上がりの状態が続いており、空き家の総数も1993年~2013年のわずか20年間で1.8倍にまで増加。2013年時点で全国に820万戸もの空き家が存在していたことが明らかになっています。
特定空き家は一般的な空き家が放置された結果といえますから、空き家が増え続けている現状に対しては政府も危機感を覚えるとともに、空家等対策特別措置法をはじめとしたさまざまな対策に力を入れています。
特定空き家の4つの指定基準と、指定までの流れ

特定空き家については、空家等対策特別措置法で以下4つの指定基準が設けられています。
1.そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態 2.著しく衛生上有害となるおそれのある状態 3.適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態 4.その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態 |
ここでは、上記4つの指定基準を分かりやすく解説します。
4つの指定基準
特定空き家に該当するとみなされる4つの指定基準について、具体例を交えながらどのようなケースが該当するのかを紹介します。
そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
保安上の危険とは、建物が倒壊する恐れがある状態を指すだけでなく、屋根・外壁・設備などの脱落、窓ガラスの飛散など、あらゆる物理的なリスクを指します。
また、リスクの判定は外観目視だけでなく、建築物に触れたり、柱や梁などの状況確認を行ったりした上で総合的に判断されます。
著しく衛生上有害となるおそれのある状態
衛生上有害となるおそれとは、空き家を起因として周辺住民などに健康・衛生面での悪影響を及ぼす可能性があることを意味しています。
具体的には、「下水管や浄化槽の破損により、汚水が流出している」「アスベストが飛散する可能性がある」「放置されたゴミや投棄物により、外注や臭気を発している」といった状態が該当します。
適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
著しく景観を損なっている状態とは、文字どおり「空き家(敷地内の土地や設備全てを含む)が一体の景観に悪影響を及ぼしている」状態を指します。
特に、景観計画が策定されている地域においては、適切に管理されていない空き家が景観条例に適合しないと判断され、特定空き家に指定されるリスクが高まります。
その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
前述の3つの項目に該当していない場合でも、以下のようなケースは特定空き家に指定される可能性があります。
・放置された空き家に不審者が侵入している ・手入れされていない草木が通行の妨げとなっている ・住み着いた動物の鳴き声や糞尿被害が発生している |
このように、倒壊や衛生上の危険がない場合でも、周辺住民の生活環境を妨げていると判断された場合には特定空き家の対象となります。
特定空き家に指定されるとどうなる?課せられる義務とは

特定空き家は「指定されて終わり」ではありません。
指定された場合には、行政からの指導・勧告の対象となるだけでなく、場合によっては罰則が科せられることになるため、事前に正しい知識を備えておく必要があります。
自治体から指導・勧告を受けると固定資産税に影響する
特定空き家に指定された場合、自治体から「助言・指導」「勧告」「命令」「代執行」という流れで段階的な措置が実施されます。
ここで注意すべきなのが「勧告」で、「助言・指導」の次の段階である「勧告」を受けると、「住宅用地の特例措置」の対象から除外されるペナルティが発生します。
住宅用地の特例措置が外れると都市計画税が最大3倍、固定資産税が最大で6倍にまで跳ね上がる可能性があり、所有者は金銭的なダメージを被ることとなります。
指定されずとも、空き家には多くのリスクがある
特定空き家に指定されると所有者は「固定資産税の増加」など、明確なリスクを抱えることとなりますが、そもそも空き家自体に多くのリスクがあるのも事実です。
特定空き家に指定されていなくとも、空き家は倒壊や衛生上のリスクを抱えているだけでなく犯罪に悪用される可能性がありますし、税金をはじめとした維持費は常に発生します。
つまり、空き家のまま所有し続けるということは、さまざまなリスクを抱えながら金銭的な負担が継続するわけですから、なるべく早い段階で活用するのがおすすめです。
以下の記事で「空き家」の定義やリスクなどについて解説しているので、気になる方はご一読ください。
特定空き家の指定を解除するには
特定空き家に指定された場合でも、該当の不適切な要因が解消されれば、特定空き家への指定は解除されます。
そもそも特定空き家に指定されると、行政からの段階的措置の最初のステップである「助言・指導」が実施されるため、基本的に所有者が「いつの間にか特定空き家に指定されていた」という事態には陥りません。
また、「助言・指導」だけが行われている段階でしっかり対応して改善が認められれば、住宅用地の特例措置が解除されるペナルティも課されないため、金銭的なダメージを軽減できます。
新設された「管理不全空き家」とは?
2023年6月7日、特定空き家になる前の段階での対策強化を盛り込んだ改正法が可決・成立しました。
改正法では窓の一部が割れているなど、放置すれば周辺に悪影響を及ぼす特定空き家になるおそれがある物件を新たに「管理不全空き家」に指定し、市区町村から除却や修繕を行うよう勧告を受けた場合、住宅用地の固定資産税を最大6分の1に軽減する措置を解除するとしています。
これまでの制度では空き家でも住宅として固定資産税が減額されることから、放置につながってしまっていると指摘されておりました。そのため、今回の改正により所有者に撤去など適切な管理を促すことがねらいです。
管理不全空き家、特定空き家に指定される前に活用方法を検討しよう

管理不全空き家や特定空き家に指定されると、要因となっている不適切な部分を解消するまで行政からのさまざまな措置が行われますし、税金アップ(勧告が行われた場合)など金銭的なダメージも大きくなってしまいます。
大切なのは特定空き家に指定されないように早めの対策を取ることですから、ここで紹介する空き家の具体的な活用方法を参考にしながら検討してみましょう。
空き家の5つの活用手段
空き家の主な5つの活用手段を以下にまとめます。
1.【売却】空き家の建物ごとそのまま売却 2.【売却】空き家を解体し更地にして売却 3.【売却】不動産業者に直接売却 4.【譲渡】第三者に無償で譲渡 5.【有効活用】リノベーションして貸し出す |
空き家の使い道の中でも代表的なものといえば「売却」ですが、上記のとおり、大きく分けると3種類のパターンが存在します。
いずれもメリット・デメリットが存在するだけでなく、空き家の状態や立地、所有者の希望条件などによって適した選択肢は異なるため、どの選択肢がベストなのかは一概に判断できません。
ただし、1~4番の選択肢を選ぶと空き家は手元を離れますので、「子供に残す」「その時々の状況に合わせて異なる形で活用方法を変える」など、将来的な選択肢はなくなってしまいます。
一方、「【有効活用】リノベーションして貸し出す」という方法は、物件の特徴や所有者のニーズに合わせて多種多様な活用の仕方が用意されているだけでなく、空き家を手放す必要もありませんので、将来的な選択肢を残したまま資産の有効利用を実現できます。
空き家の5つの活用手段については、以下の記事で詳しく解説しています。
アキサポとは
さまざまな空き家の活用手段の中でも特におすすめの「【有効活用】リノベーションして貸し出す」という方法ですが、この選択肢の可能性を大きく広げるために空き家所有者様の声も参考にしながら生まれたのが「アキサポ」です。
アキサポの仕組みは至ってシンプルで、所有者様は「アキサポへ空き家を貸し出す」だけ。
アキサポが空き家を借り上げた上で、「現地調査・周辺調査の実施」「活用プランの提案」「リノベーション」「借り手探し」までをワンストップで行います。
また、空き家活用時にこれまでネックとなっていた高額なリノベーション費用もアキサポが負担するため、所有者様は自己負担0円(※)で空き家活用をはじめられます。
※建物の状況等によっては、一部費用のご負担をお願いする場合がございます。

すでに空き家活用サービスとして3冠を達成するなど、各所からご好評いただいていますので、空き家の使い道にお悩みの方はお気軽にご相談ください。
[成功事例]アキサポを利用した空き家活用事例

すでに全国各地でさまざまな空き家の利活用をお手伝いしてきたアキサポですが、具体的にどのような形で空き家が活用されているのか気になる方も多いでしょう。
そこでここからは、アキサポを利用した空き家活用事例をいくつかご紹介しますので、参考にしてみてください。
事例1:築50年の空き家は周辺エリアの特性を活かしコンセプト型シェアハウスへ再生

東京都文京区にある築50年の空き家を活用した事例です。
こちらは2階建ての物件ですが、延床面積が149.30㎡とかなり広いだけでなく併設された倉庫部分も活用できることが判明。また、商業施設が立ち並ぶ池袋エリアでありながら、閑静な住宅街に位置していたこともあり、地域貢献できるコンセプト型シェアハウスへの再生を実施しました。
事例2:母から受け継いだアパートは面影を残して新たな賃貸住宅へ

東京都大田区にある築50年超の空き家を活用した事例です。
所有者様はこちらの物件をお母様から譲り受けたということで、思い入れのあるアパートの面影を残したうえで間取りを変更するなど、住環境向上との両立を実現しました。
事例3:長年放置されていた空き家は土地を最大限利用した駐車場へ

埼玉県所沢市で長年放置されていた空き家を活用した事例です。
こちらの物件は約10年間放置された状態となっており、建物内の片付けや敷地内の草木の手入れなどが所有者様の負担となっていました。そこで現状も踏まえ、土地を最大限有効活用できる駐車場として再生しています。
事例4:不法投棄が続く空き家は視認性の悪さを利用してバイクガレージへ

東京都大田区で長年不法投棄物に悩まされていた物件を活用した事例です。
こちらの物件は視認性の悪さから不法投棄場所として悪用されていましたが、「見えづらい」「車が入りづらい細い道」という視認性の悪さを逆手に取る逆転の発想により大型バイクガレージへと生まれ変わりました。
事例5:空き家になった大切な自宅は新たな賃貸住居へ

神奈川県愛甲郡にある築35年超の空き家を活用した事例です。
以前は自宅だったこちらの物件は空き家となってからも10年以上所有者ご夫婦が丁寧に手入れされていたこともあり、非常に良好な状態でした。そこで家の雰囲気をある程度残した上で必要最低限の部分のみリノベーションを行い、美しさと機能性を備えた新たな賃貸住居へと生まれ変わっています。
特定空き家についてのまとめ
特定空き家に指定されると、行政によるさまざまな措置が実施されるだけでなく、固定資産税のアップをはじめとした金銭的な負担が大きくなるリスクも抱えることとなります。
そもそも空き家として放置すること自体がリスクでもありますので、早めの活用がおすすめですが、アキサポなら物件の特徴やお客様の要望を踏まえて「一つひとつの空き家にベストな使い道」をご案内できますので、興味がある方はお気軽にお問い合わせください。