公開日:2023.07.24 更新日:2024.08.21
特定空き家とは?判断基準や認定されないための活用方法も解説
管理状態などに問題がある空き家は、特定空き家に認定される可能性があります。特定空き家に認定されると固定資産税が上がってしまうといったデメリットが生じるため、適切な空き家管理を行うことが大切です。
ここでは、特定空き家の判断基準と、認定された場合に固定資産税が上がってしまう理由のほか、特定空き家に認定されないための方法などについて解説します。
目次
特定空き家の4つの判断基準
特定空き家とは、放置するのが望ましくないと考えられる空き家のことです。「空家等対策の推進に関する特別措置法(空家等対策特別措置法)」では、特定空き家の定義を4つ挙げており、自治体はその定義をもとに特定空き家に認定するか判断します。
特定空き家の認定に使われる4つの判断基準は、下記のとおりです。
現状のまま放置すれば倒壊など著しく保安上危険となるおそれのある状態かどうか
「現状のまま放置すれば倒壊など著しく保安上危険となるおそれがある状態」とは、建物が倒壊するおそれがある状態や、屋根・外壁などがはがれている状態、擁壁(高台にある住宅によく見られる、土砂が崩れるのを防ぐために設けられた壁)が老朽化し倒壊するおそれがある、下記のような状態を指します。
<著しく保安上危険となるおそれのある空き家の状態の具体例>
・柱が傾いている
・土台が腐敗している
・屋根が変形している
・外壁の表面がはがれていて、下地が露出している
建物が傾いていたり、基礎や土台といった建物を支えるうえで重要な部分が損傷したりしている空き家は、倒壊するおそれがあるとみなされます。門や塀が破損している場合も該当するので、注意が必要です。
現状のまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態かどうか
建物や設備などの破損や、ゴミの放置・不法投棄によって、衛生上の問題が生じている場合は、「現状のまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態」とみなされます。
<著しく衛生上有害となるおそれのある空き家の状態の具体例>
・空き家を放置したことでゴミの不法投棄が増え、悪臭を発している
・ゴミなどを放置したことで害虫や害獣が集まってしまっている
・下水処理が適切に行われておらず、悪臭を放っている
・アスベストが飛散するおそれがある
適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態の空き家
空き家の管理が不十分で、地域で定められた景観保全にかかわるルールといった、景観に関するルールに適合していない空き家は「適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態」とみなされます。また、周囲の景観と不調和な状態にある空き家も同様です。
<著しく景観を損なっている空き家の状態の具体例>
・ツタなどが繁茂して建物を覆っている
・多くの窓ガラスが割れたまま放置されている
・庭などに粗大ごみなどが大量に放置されている
・屋根や壁に落書きなどを放置していて、建物の外見がひどく汚れている
その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態かどうか
これまでご紹介した3つの条件に該当しない空き家でも、周辺地域に暮らす住民の生活環境にとって不適切な状態にある空き家は「その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態」とみなされます。
<周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である空き家の状態の具体例>
・庭木が敷地を超えて伸びており、通行などの妨げになったり周辺に落ち葉や枝が落ちたりといった問題を起こしている
・空き家に動物が住み着くことで、地域住民の日常生活に支障をきたしている
・窓ガラスが割れているなどして、不審者の出入りが容易な状態で放置されている
・空き家の屋根などから落ちた雪が歩行者の通行を妨げている
将来的に特定空き家になるおそれがある空き家は、管理不全空き家に認定される
2023年に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律」によって「管理不全空き家」の区分が設けられました。管理不全空き家とは、放置することで将来的に特定空き家になるおそれのある空き家のことです。
特定空き家に認定されると、住宅用地特例にもとづく固定資産税などの軽減措置が利用できなくなりますが、管理不全空き家に認定されても、この軽減措置は使えません。そのため、特定空き家に認定されなくても、固定資産税が上がる可能性があるので注意しましょう。
特定空き家に認定されると固定資産税が上がる
特定空き家に認定されると、さまざまなデメリットが生じます。そのうちのひとつが、固定資産税が上がってしまうことです。
ここからは、特定空き家に認定されると固定資産税がなぜ上がるのかについて解説します。
住宅用地は特例により軽減措置の対象になる
住宅用地には「住宅用地特例」という制度により、下記のような固定資産税や都市計画税の軽減措置が設けられています。
<住宅用地特例の概要>
・小規模住宅用地(住宅やアパートなどの敷地で200平方メートル以下の部分)の場合、固定資産税を算出する際の評価額を6分の1、都市計画税を算出する際の評価額を3分の1にする
・一般住宅用地(住宅やアパートなどの敷地で200平方メートルを超える部分)の場合、固定資産税を算出する際の評価額を3分の1、都市計画税を算出する際の評価額を3分の2にする
上記の特例措置があるため、住宅用地の固定資産税はそれ以外の物件の固定資産税よりも低く抑えられます。
危険な空き家は軽減措置の対象から外れる
住宅用地特例の軽減措置は、実際に人が住んでいない空き家であっても対象となります。ただし、特定空き家や管理不全空き家に認定されたにもかかわらず改善がなされない場合は、この特例措置を利用できなくなります。
それまで利用できていた軽減措置が適用されなくなることで、支払わなければならない固定資産税が上がってしまうというわけです。
特定空き家の認定から行政代執行までの流れ
自治体から特定空き家に認定された後は、いくつかのステップを踏んで、最終的には自治体による行政代執行が行われます。
ここでは、特定空き家に認定されてから行政代執行が行われるまでの流れについて見ていきましょう。
1. 認定
自治体による空き家の調査の結果、前述した4つの基準に沿って問題があると判断された空き家は、自治体から特定空き家、管理不全空き家などの認定を受けます。
2. 助言・指導
特定空き家に認定されると、まずは所有者に対する助言・指導が行われます。具体的には、危険な場所の修復工事や立木の伐採など、特定空き家に認定される理由となった問題の改善が求められます。
3. 勧告
助言や指導を行っても改善が行われなかった場合、自治体から勧告がなされます。勧告を受けると、固定資産税などの軽減措置を受けられなくなります。
4. 命令
勧告を出した後も改善がないと、命令を受けることになります。命令が出される前には、所有者の意見を聴取する機会が設けられるため、特別な理由があって勧告に対応できていないのであれば、その旨を伝えましょう。
命令が出されると、空き家にその旨の標識が設置されます。さらに、命令に従わない場合は50万円以下の過料が科せられます。
5. 行政代執行
命令が出ても空き家の管理状態が改善されないと、自治体が所有者に代わって必要な措置を行う行政代執行が行われます。行政代執行によって空き家の解体などが行われた場合、所有者はかかった費用を支払わなければいけません。
特定空き家に認定されないためにはどうしたらいい?
特定空き家に認定されると、固定資産税の増加、過料の支払い、自治体が行った解体費用などの負担といった多くのデメリットが生じます。そのため、特定空き家に認定されないように、所有している空き家を適切に管理することが大切です。
ここからは、空き家を保有している方がとるべき対処法をご紹介します。
空き家のまま売却する
空き家を売却してしまえば、管理責任は購入者に移ります。空き家を住まいとして活用したい方や、別の用途で使いたい方などへの売却を検討してみましょう。建物の状態が良い空き家であれば、売却しやすくなります。
なお、親が暮らしていた実家を相続し、その物件を譲渡したのであれば、譲渡所得から最大3,000万円の控除を受けられる特例を利用できる可能性があります。相続開始から3年を経過した年の12月31日までに売却する必要があるため、特例の要件を満たすようであれば、早めに検討することが大切です。
空き家売却の3,000万円特別控除について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
空き家を賃貸物件にする
空き家を賃貸物件にすることは、空き家の適切な管理につながります。人が住むようになれば、空き家に不審者が忍び込んだり、風が通らないことによる湿気の問題が生じたりするリスクがなくなるでしょう。また、入居者を募集するためには空き家の清掃や管理が必要ですから、自然と管理が行き届きます。
空き家を賃貸物件にするには、リフォーム費用や管理費用などが必要です。一方で、借主が決まれば定期収入を得られます。賃貸物件としての需要が見込めるエリアであれば、積極的に検討してみてもいいかもしれません。
空き家を解体し更地にする
空き家の劣化が激しいため売却や活用が困難な場合は、空き家を解体して更地にするという選択肢もあります。更地にするには一定の費用がかかりますが、特定空き家に認定されるリスクはなくなります。
ただし、更地にすると固定資産税などの軽減措置が受けられなくなる点はデメリットです。更地のまま不動産を保有し続けていると、高額な固定資産税を負担しなければいけません。更地にした後どのように不動産を活用するのかをあらかじめ決めておく必要があるでしょう。
例えば、更地を駐車場にして収入を得られれば、利益の中から固定資産税を支払えます。また、新たな建物を立てて、そこに住んだり、誰かに貸したりすれば、あらためて軽減措置を利用することが可能です。
ただし、賃貸物件にする場合は、建設コストなどをまかなえるほどの利益が出るかどうか需要を確認しておく必要があります。
特定空き家に認定されないための空き家活用は、アキサポにご相談を
空き家を放置すると、特定空き家に認定されるおそれがあります。認定されると固定資産税の増加などのデメリットがあるため、適切な管理を心掛けることが大切です。
とはいえ、空き家の管理にはコストや手間がかかります。対処法に悩みつつも、結局放置してしまっている方もいるのではないでしょうか。そんな方におすすめなのが、空き家解決サービス「アキサポ」です。
アキサポなら、コストをかけずに空き家の購入者を探すことができます。空き家を売りたい方と買いたい方のマッチングを行っており、売買が決まるまでコストはかかりません。
また、アキサポが空き家を借り上げて活用するサービスもあります。所有者様はコストゼロ(※)でリノベーションができ、資産価値を高めた上で空き家を活用できます。空き家に関するお悩みを抱えている方は、お気軽にご相談ください。
※建物の状況等によっては、一部費用のご負担をお願いする場合がございます。