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公開日:2021.06.18 更新日:2026.06.09

空家等対策特別措置法の改正点をわかりやすく解説

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「空家等対策の推進に関する特別措置法(空家等対策特別措置法)」は、行政が空き家に対してどのような措置を取れるかを定めた法律です。

問題があると認められた空き家は、固定資産税の軽減措置が解除されたり、最終的に行政代執行による解体に至るケースもあります。空き家を所有している方にとって、「どんな措置を受けるのか」「罰則や罰金はあるのか」は特に気になるポイントでしょう。

この記事では、空家等対策特別措置法の概要から2023年の改正内容、行政措置の流れまでをわかりやすく解説します。

空家等対策の推進に関する特別措置法(空家等対策特別措置法)とは?

空家等対策特別措置法は平成27年(2015年)に施行された、増え続ける空き家への適切な対応を定めた法律です。空き家の定義・所有者や市町村の責務・行政の対応方法・特定空き家の指定手順などを規定しています。

法律制定の背景には、空き家が増え続ける一方で責任の所在や行政の対応方法が整備されていなかったことがありました。この法律により、それまで個人の管理領域にとどまっていた空き家に対して、行政が正式に関与できるようになりました。

2023年改正のポイント

令和5年(2023年)12月13日、空き家問題のさらなる深刻化を受けて法改正が行われました。改正の柱は「悪化する前に手を打つ」仕組みの創設です。

新設された制度は以下の2つです。

・空家等活用促進区域:空き家の流通・活用を重点的に推進するエリア指定の仕組み
・管理不全空き家:特定空き家になる前の段階で行政が指導・勧告できる新区分

空き家は住めないほど状態が悪化すると、所有者が管理を諦めたり売れなくなったりします。今回の改正は、資産価値がある段階で流通・適正管理を促すことを目的としています。

空家等対策特別措置法の目的と効果

この法律の目的は、適切に管理されていない空き家やその附属する土地・工作物に対して、管理・活用を促進することです。放置された空き家は防災・衛生・景観などの面で住民の生活環境に悪影響を及ぼす可能性があり、住民の生命・身体・財産を守るためにも適切な管理が不可欠です。

主な効果は以下の3点です。

①市町村が空き家の調査・情報収集を行えるようになる
②市町村が空き家等対策計画の策定や協議会の設置を行えるようになる
③特定空き家の指定および助言・指導などが行えるようになる

①②は主に行政側に関係する内容ですが、③は空き家の所有者にも直接影響します。次のセクションで詳しく解説します。

空家等対策特別措置法により指定される特定空き家、管理不全空き家とは

空家等対策特別措置法には、管理状態の悪い空き家に対して、その度合いにより「管理不全空き家」または「特定空き家」に指定できる制度があります。

種別定義指定のタイミング
管理不全空き家放置が続くと特定空き家になる恐れがある空き家先に指定される。改善されれば解除
特定空き家放置が続くと危険・有害・景観悪化の恐れがある空き家管理不全空き家への指導・勧告後も改善されない場合に指定

指定の流れは、まず管理不全空き家に指定され、指導・勧告を経ても改善されない場合に特定空き家へ移行します。管理不全空き家の段階で改善されれば指定は解除され、特定空き家には指定されません。

管理不全空き家の指定基準

「放置が続くと特定空き家の基準に該当する恐れがある状態」が対象です。保安・衛生・景観・周辺の生活環境保全の4つの観点からガイドライン※に基づいて総合的に判断されます。画一的な基準ではないため、気になる方は自治体の空き家窓口に相談するのが確実です。

※ここでいう「ガイドライン」とは、国土交通省・総務省が定めた「管理不全空家等及び特定空家等に対する措置に関する適切な実施を図るために必要な指針」のことです。空家等対策特別措置法の改正(2023年12月施行)に合わせて改訂されており、保安・衛生・景観・周辺の生活環境保全の4つの観点から、管理不全空き家および特定空き家の指定基準となる具体的な判断の目安が示されています。詳細は国土交通省の公式サイトから確認できます。

出典:国土交通省「管理不全空家等及び特定空家等に対する措置に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン)」

特定空き家の指定基準

以下のいずれかに該当する空き家が対象です(空家等対策特別措置法第二条第2項)。

(イ)倒壊等、著しく保安上危険となるおそれのある状態
(ロ)著しく衛生上有害となるおそれのある状態
(ハ)適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
(ニ)その他、周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切な状態

具体例としては、柱や壁が崩れかかっている・ゴミ屋敷化して放火や犯罪の温床になるおそれがある・庭木が繁茂して害虫が発生しているなどが挙げられます。「周辺環境に対して危険・有害かどうか」が最も重要な判断軸です。

判定基準は管理不全空き家と同様に保安・衛生・景観・周辺の生活環境保全の4つの観点から総合的に行われます。

特定空き家、管理不全空き家に指定されるとどうなる?

空き家とショベルカー

空き家が特定空き家や管理不全空き家に認定されると、自治体は「助言・指導」から「行政代執行」まで段階的な行政措置を行うことができます。それぞれの具体的な内容について解説します。

措置の種類対象主な内容罰則・金銭的影響
助言・指導管理不全空き家・特定空き家書面や口頭で問題の改善を求める法的拘束力なし・罰則なし
勧告管理不全空き家・特定空き家放置すると大きな被害が出ると判断された場合に実施固定資産税・都市計画税の軽減措置が解除される
命令特定空き家正当な理由なく勧告に従わない場合に行政処分として実施違反した場合は50万円以下の過料
行政代執行特定空き家命令にも従わない場合、自治体が所有者に代わって解体等を実施代執行費用は所有者に請求

行政措置の流れ|助言から行政代執行まで

1

助言・指導

管理不全空き家・特定空き家に対して、書面や口頭で改善を求める。法的拘束力なし・罰則なし。

2

勧告

助言・指導を無視して放置が続いた場合に実施。固定資産税・都市計画税の軽減措置が解除される。

3

命令(特定空き家のみ)

正当な理由なく勧告に従わない場合に行政処分として実施。違反すると50万円以下の過料。

4

行政代執行(特定空き家のみ)

命令にも従わない場合、自治体が所有者に代わって解体等を実施。費用は所有者に全額請求される。

助言・指導

管理不全空き家・特定空き家の両方が対象です。所有者に対して書面や口頭で改善を求め、問題箇所も具体的に通知されます。法的拘束力はなく罰則もありませんが、近隣住民からのクレームが自治体に入っている可能性もあります。この段階でのすみやかな対応が最もリスクの少ない選択です。

勧告

助言・指導に従わず放置が続くと、勧告へ移行します。管理不全空き家・特定空き家の両方が対象で、そのまま放置すると大きな被害が出ると判断された場合に行われます。

勧告を受けると、住宅用地に適用されていた固定資産税・都市計画税の軽減措置が解除されます。

・小規模住宅用地(200㎡以下):固定資産税の評価額が通常の6分の1→通常額に戻る
・一般住宅用地(200㎡超):固定資産税の評価額が通常の3分の1→通常額に戻る

罰金は設けられていませんが、軽減措置の解除により税負担が実質的に増加します。勧告には改善期限が設けられており、期限内に対応して報告する必要があります。

命令

特定空き家に対して行われる行政処分です。正当な理由なく勧告に従わない場合に発令されます。「別の権利者の許可が必要」などは正当な理由として認められますが、「資金不足」は認められません。

命令の前には事前通知があり、意見書の提出や意見聴取の請求が可能です。命令後も不服申立てはできますが、認められるとは限りません。命令が出されると空き家に標識が設置され、違反した場合は50万円以下の過料が科せられます。

行政代執行

命令にも正当な理由なく従わない場合、自治体が所有者に代わって解体等を実施します。事前に文書による戒告が行われ、意見書の提出・意見聴取の請求が可能です。意見が認められない場合は再戒告を経て執行されます。

なお、倒壊の危険が差し迫っている場合は「緊急代執行」として、事前手続きなしに執行できます。代執行に要した費用はすべて所有者に請求されます。所有者が不明・所在不明の場合は事前公告を経て執行され、所有者が判明した時点で費用が徴収されます。

【2026最新】行政代執行とは?空き家が強制解体される流れ・費用相場と回避策

空き家活用の事例

ここでは、アキサポが手掛けた空き家活用の事例を3つ紹介します。

事例①:設備周りを一新し使い勝手の良い賃貸住宅へ

設備周りを一新し使い勝手の良い賃貸住宅へ

築47年の空き家をリノベーションした事例です。劣化した内装や設備を改修し、繁茂した草木の解消や破損したカーポートの撤去などを行い、使い勝手の良い賃貸住宅に生まれ変わりました。

事例の詳細はこちら:設備周りを一新し使い勝手の良い賃貸住宅へ

事例②:カフェバル

カフェバル

築年数は不明ですが、少なくとも昭和34年以前に建てられた3棟連なる木造長屋の活用事例です。

8坪の小さな住居スペースは築年数の増加に伴い老朽化が進んでいましたが、「近隣住民からの気軽に飲める場が欲しいという希望」と「カフェバルを創業したいという若者のニーズ」が見事にマッチしました。

事例の詳細はこちら:築年数不明の3棟連なる木造長屋は繁盛店へ

事例③:古民家を利用した宿泊施設

古民家を利用した宿泊施設

築115年の京町家を、地域の空き家対策と京町家文化の保存・再生という2つの観点からリノベーションした事例です。伝統的な趣を活かしながら魅力をさらに引き出し、現在は1日1組限定の宿泊施設として生まれ変わっています。

事例の詳細はこちら:築115年超の京町家をラグジュアリーな一棟貸し宿泊施設に

市町村独自の空き家条例を持つ自治体も

空家等対策特別措置法に加え、独自条例を設けている自治体もあります。条例の内容は自治体によって異なりますが、法律だけでは対応しきれない具体的な問題を補完する内容が多いです。空き家を所有することになったら、まず市町村の空き家担当窓口に条例の有無を確認しましょう。

東京都大田区のように、区が窓口となって所有者と利用希望者のマッチングをサポートしている自治体もあります。ゲストハウスやギャラリー、グループホームなどへの活用事例もあり、双方にメリットをもたらしています。

特定空き家に補助金は利用できる?

特定空き家の改善にかかる費用は原則として所有者負担ですが、自治体の補助金制度を利用できる場合があります。解体・撤去に対する補助金が活用できるケースもありますが、対象となる空き家に条件が設けられていることが多いため、個別に確認が必要です。

よくあるご質問

空家等対策特別措置法に関するよくある質問

Q. 2023年の法改正で何が変わりましたか?

2023年12月13日施行の改正により「管理不全空き家」という区分が新設されました。特定空き家になる前の段階で自治体が指導・勧告を行えるようになり、早期対策が促進されています。また「空家等活用促進区域」も新設され、空き家の流通・活用を重点的に推進する仕組みも整備されました。

Q. 管理不全空き家と特定空き家の違いは何ですか?

管理不全空き家は「放置が続くと特定空き家になる恐れがある空き家」で、特定空き家は「放置が続くと危険・有害・景観悪化の恐れがある空き家」です。行政措置は管理不全空き家への指導・勧告から始まり、改善されない場合に特定空き家へ移行します。

Q. 勧告を受けると固定資産税はどうなりますか?

勧告を受けると、住宅用地に適用されていた固定資産税・都市計画税の軽減措置が解除されます。小規模住宅用地(200㎡以下)では固定資産税の評価額が通常の6分の1から通常の評価額に戻るため、税負担が最大6倍になるケースがあります。

特定空き家や管理不全空き家に指定されないためには「空き家活用」がおすすめ!

管理不全空き家や特定空き家への指定を避けるうえで、空き家を貸し出す「空き家活用」は有効な選択肢のひとつです。定期的な換気や清掃など、空き家の管理には時間とコストがかかりますが、入居者がいれば日常的な管理は借主が担うことになります。賃料収入から固定資産税を賄えるケースもあり、維持コストの負担軽減にもつながります。

空き家活用のご相談は、株式会社ジェクトワンが運営する「アキサポ」にお気軽にどうぞ。リノベーション費用の負担や入居者の募集・管理もアキサポがサポートします。空き家は時間が経つほど対応が難しくなるため、気になる方はお早めにご相談ください。

※建物の状況等によっては、一部費用のご負担をお願いする場合がございます。

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この記事の監修者

白崎 達也 アキサポ 空き家プランナー

一級建築士

中古住宅や使われなくなった建物の再活用に、20年以上携わってきました。
空き家には、建物や不動産の問題だけでなく、心の整理が難しいことも多くあります。あなたが前向きな一歩を踏み出せるよう、心を込めてサポートいたします。

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