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公開日:2021.06.18 更新日:2023.10.03

【わかりやすく】空家等対策特別措置法とは?所有者に及ぼす影響を解説

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空き家の法律である「空家等対策特別措置法」とは、行政の空き家に対する具体的な対応を定めた法律です。空き家所有者にとって、「どんな対応をされるか」「罰則や罰金は無いか」は気になるところですよね。

じつは、空き家に特別問題があると認められた場合、固定資産税の減税解除や、最悪の場合空き家の解体につながる場合も。この記事では、空家等対策特別措置法について、基礎からわかりやすく解説していきます。 

空家等対策特別措置法(空き家法)とは?

空家等対策特別措置法とは、平成27年から施行された、増え続ける空き家に対する適切な対応を定めた法律です。正式名称は「空家等対策の推進に関する特別措置法」で、空き家の定義や空き家所有者や市町村の責務、空き家の対応方法や特定空き家の指定手順などを定めています。

法律制定の背景には、空き家が増え続ける一方で責任の所在や行政の対応方法が確立されていなかったことがありました。これらを明確にすることで、それまで個人の管理領域だった空き家に対し、行政が関与できるようになりました。

空家等対策特別措置法の目的と効果

空家等対策特別措置法の目的は、適切な管理が行われていない空き家やそれに附属する土地・工作物などに対し、適切な管理・活用を促進することです。

適切な管理が行われていない空き家は、防災・衛生・景観などの観点から、住民の生活環境に悪影響が及ぶ可能性があります。住民の生命・身体・財産を保護する観点からも、適切な管理・活用は重要です。

また、空家等対策特別措置法の効果は、主に以下の3点です。

1.市町村の空き家に対する調査・情報収集が可能になる
2.市町村による空き家等対策計画の策定・協議会の設置が可能になる
3.特定空き家の指定及び助言・指導などが可能になる

1、2については行政側に関係する内容です。

ただし、3については、空き家の持ち主も影響を受けるため、次の見出しで具体的に解説していきます。

空家等対策特別措置法により指定される特定空き家とは

空き家には大きく2種類あり、一般的な言葉として使われる「空き家」と、法律に基づいて定義づけられている「特定空き家」があります。

特定空き家の指定条件は「危険・有害で管理不十分」と認められること。指定条件をさらに詳しく見ていきましょう。

特定空き家とは「危険・有害で管理不十分」な空き家

「危険・有害で管理不十分」な状態とは、空家等対策特別措置法に定められた下記のような状態を指します。

・(イ)そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
・(ロ)そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
・(ハ)適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
・(ニ)その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態 

(空き家等対策特別措置法 第二条第2項)

例えば、柱や壁が崩れかかっている場合や、いわゆるゴミ屋敷化して放火・犯罪の温床化の可能性がある場合、庭の草木が繁茂して害虫が発生している場合などが考えられます。

考えうるケースはいろいろありますが、周辺環境に対して「危険・有害」であるかが一番の判断基準となります。

特定空家に指定されるとどうなる?

空き家を処理するショベルカー

特定空家に指定されると、市町村から「助言・指導」「勧告」「命令」「代執行」の措置が行われます。

特定空家の指定とは、これらの措置を行うための市町村に対する許可のようなものと考えてもいいでしょう。

ここでは、特定空家に対する4種類の措置を具体的に解説します。

特定空家には助言・指導、勧告、命令、代執行が可能

「助言・指導」「勧告」「命令」「代執行」は、助言・指導から始まり、代執行に向けて法的効力が強くなっていきます。いきなり勧告や命令が発せられることはなく、必ず助言・指導から段階を踏んで行われます。

助言・指導:所有者などに働きかけ、自らの意思による改善を促す
勧告:所有者などに対し、相当の猶予期間を付けて必要な措置をとることを勧告する(住宅用地特例の解除)。
命令:正当な理由無しに勧告に係る措置をとらない場合、相当の猶予期間を付けて勧告した措置をとることを命令する(50万円以下の罰金規定あり)。
代執行:命令に係る措置を実行しない場合や対応が不十分な場合、期限までに対応が完了しない場合に、行政が代わりに措置を実施する「代執行」を行う。

「助言・指導」は書面や電話での通知にとどまりますが、「勧告」を受けると建物の固定資産税減税解除というペナルティが発生します。それでも対応しない場合は、罰金規定のある「命令」が発せられます。

命令を発せられても問題が解決しない場合は、行政が所有者や管理者の代わりに建物除去などを行う「代執行」へと移行します。かかった除去費は所有者や管理者に請求されます。

ほとんどの場合「助言・指導」で対応終了しますが、緊急性がある場合は勧告以上の措置に進む可能性も十分あります。特定空家は緊急を要する危険な状態のケースが多いため、周辺住民の安全が最優先されるのです。

特定空家に指定されたら「緊急性が高い状態」と覚えておきましょう。

勧告を受けると固定資産税の住宅用地特例が解除される

勧告のペナルティとして解除される「住宅用地特例」とは、住宅の固定資産税を6分の1または3分の1に減税する制度です。

住宅用地特例の概要

・小規模住宅用地
  〇対象:住宅やアパートなど敷地200平方メートル以下の部分
  〇減額率:固定資産税の価格が6分の1になる
・一般住宅用地
  〇対象:住宅やアパートなどの敷地200平方メートルを超える部分
  〇減額率:固定資産税の価格が3分の1になる

住宅やアパートなどが建っている敷地は、基本的に特例を受けています。期限は無いため、空き家が古い場合でも同様です。

住宅用地特例など空き家の固定資産税について詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください

空き家の固定資産税Q&A|税額・払う人・減免条件・活用方法など(内部リンク)

代執行の対象になると取り壊される場合も

特定空家に対する措置の最終手段が「代執行」です。行政が所有者や管理者の代わりに必要な措置を行います。場合によっては部分的・全体的に取り壊しを行う場合もあります。

代執行は次の手順を踏んで行われます。

・文書による戒告:相当の履行期限を定め、期限までに措置が実施されない場合は代執行をすべき旨を文書で伝える。
・再戒告:戒告をしても措置が実施されない場合に、期限を延長して再度文書で伝える。再戒告が無い場合もある。
・代執行令:所有者などに対して「 代執行をなすべき時期」「代執行のために派遣する執行責任者の氏名」「代執行に要する費用の概算による見積額」を通知する。
・代執行の実施

ただし、「非常の場合又は危険切迫の場合(行政代執行法第三条第3項)」であると認められる場合は上記の手続きを省略して代執行を実施する場合もあります。

代執行は、市町村にとって「本当はやりたくない最終手段」です。なぜなら、代執行の費用を回収できないケースがあるため。その場合、税金を使って個人のかかえる問題を解決することとなってしまうのです。

空家等対策特別措置法が、空き家所有者に及ぼす影響とは?

空家等対策特別措置法が、自分の空き家に与える影響として覚えておきたいのは「自身の空き家に直接関わってくる可能性がある」ということです。

これは、空家等対策特別措置法が個別の空き家に働きかける効力を持っているためです。つまり、自分の資産に直接影響を及ぼす法律なのです。

とはいえ、突然空き家が取り壊されるようなことはなく、段階的に対応が行われます。ここでは、空家等対策特別措置法の具体的な効力について見ていきましょう。

所有する空き家を放置すると「特定空き家」に指定されるリスクがある!

所有する空き家を長期間放置し続けると「特定空き家」に指定される可能性があります。

特定空き家は、空き家の中でも特別危険・有害であるため、個別具体的な対応が行われます。

国交省に掲載されている事例を見てみましょう。

葛飾区行政代執行の事例

引用:国土交通省

この空き家は、倒壊する危険性があったにもかかわらず対策が講じられなかったため、特定空家に指定されました。そして、特定空家指定後も対策が講じられなかったため、「行政代執行(行政が所有者や管理者の代わりに対策を行うこと)」が行われました。解体等の費用・約185万円は、建物所有者や管理者に請求されます。

ここまで進む例はまれですが、こうなる可能性もある一例として覚えておいてください。

また、代執行の前段階である「勧告」を受けると、固定資産税減税と都市計画税の減税が解除されてしまいます。

固定資産税と都市計画税にはそれぞれ、「小規模住宅用地」と「一般住宅用地」という減税制度が用意されています。これらにより固定資産税は最大1/6に、都市計画税は最大1/3まで減額されますが、勧告を受けるとこれらが解除され、固定資産税は最大6倍、都市計画税は最大3倍になる可能性があります。

固定資産税と都市計画税の減税制度については以下の記事で解説しているので、ぜひ一度目を通しておいてください。

【税額早見表】空き家の固定資産税、その他税金を分かりやすく解説!

特定空き家に指定されないためには「空き家活用」がおすすめ!

特定空き家に指定されないためには、空き家を貸し出す「空き家活用」がおすすめです。特に、管理の手間やコストに悩んでいる方に検討してもらいたい方法です。

空き家の状態を悪化させないためには、定期的な換気や清掃が不可欠です。しかし、時間やコストが足りないと、十分な管理ができないこともありますよね。

そこで空き家活用を利用すれば、借り手が空き家を管理してくれますし、賃料も手に入ります。そして、賃料から固定資産税を支払うこともでき、空き家に関する問題が一気に解決します。

空き家活用を手軽に始めるなら、「アキサポ」をはじめとする空き家活用サービスがおすすめです。リノベーション費用はアキサポが負担しますし、媒介手続きや管理などもアキサポが行います。

空き家は時間が経つほどに対応が難しくなります。空き家が少しでも気になったら、お気軽にアキサポにご相談ください。

アキサポ」に相談してみる

空き家活用の事例

ここでは、アキサポが手掛けた空き家活用の事例を3つ紹介します。

事例①:設備周りを一新し使い勝手の良い賃貸住宅へ

キッチンのビフォーアフター

築47年の空き家をリノベーションした事例です。劣化した内装や設備を改修し、繁茂した草木の解消や破損したカーポートの撤去などを行い、使い勝手の良い賃貸住宅に生まれ変わりました。

事例の詳細はこちら

設備周りを一新し使い勝手の良い賃貸住宅へ

事例②:カフェバル

綺麗なカフェバルへ

築年数は不明ですが、少なくとも昭和34年以前に建てられた3棟連なる木造長屋の活用事例です。

8坪の小さな住居スペースは築年数の増加に伴い老朽化が進んでいましたが、「近隣住民からの気軽に飲める場が欲しいという希望」と「カフェバルを創業したいという若者のニーズ」が見事にマッチしました。

事例の詳細はこちら

築年数不明の3棟連なる木造長屋は繁盛店へ

事例③:古民家を利用した宿泊施設

古民家が宿泊施設へ

築115年の歴史ある京町家を後世に残すため、「古民家再生」をテーマに掲げてリノベーション~活用までを手掛けた事例です。

手を付けるうえで大切にしたのは、地域の「空き家対策」および文化・街並みの象徴である京町家の「保存・再生」2つの観点。

古民家ならではの伝統文化の本質を残しながら、さらに魅力を引き出すアイデアを随所に盛り込み、リノベーションを実施しました。

現在では1日1組限定のラグジュアリーな宿泊施設へと生まれ変わり、古民家の魅力を多くの人へ届けています。

事例の詳細はこちら

築115年超の京町家をラグジュアリーな一棟貸し宿泊施設に

市町村独自の空き家条例を持つ自治体も

市町村によっては、空家等対策特別措置法以外に独自条例を持っている自治体もあります。

条例の内容は市町村によって異なりますが、法律だけでは解決できない具体的な内容を定めたケースが多いです。空き家を所有することになったら、まずは市町村の空家担当に条例の有無を確認してみましょう

また、独自に空き家をマッチングさせる仕組みを作っている自治体もあります。

例えば、東京都大田区では、区が窓口になって所有者と利用希望者のマッチングをサポートするサービスを行っています。

成功事例は、ゲストハウスやギャラリー、グループホームなど。積極的な利活用で、所有者・利用希望者双方にメリットを生み出しています。

空き家に管理指導が入る前に「アキサポ」で活用を!

空き家の活用サイクル

空き家の法律である空家等対策特別措置法は、空き家の流通を促し、住民の生活環境に悪影響が及ぶことを防止するための法律です。

そもそも空き家は個人所有物のため、以前は行政も積極的な介入を避けていました。しかし、空き家の増加に伴い法的に介入せざるを得なくなったため、この法律が定められることとなりました。

とはいえ、個人からしたら空き家管理は簡単な問題ではありません。手間・時間・費用など、多くのリソースを必要とします。

私どもは、そんな方のために助力すべく「アキサポ」を創設しました。行政が不動産マッチングに介入できる部分は限度がありますが、アキサポならフルサポートが可能です。

所有者の持ち出しは一切かかりません。空き家問題がありましたら、ぜひお気軽にアキサポへご相談ください。

「アキサポ」空き家を貸したい方へ