公開日:2025.11.06 更新日:2026.08.18
土地譲渡とは?売買・贈与・相続の税金・手続き・特例を解説

土地譲渡とは、土地の所有権を他者に移すこと全般を指し、対価を得る「有償譲渡(売買)」と、対価のない「無償譲渡(贈与)」に大きく分かれます。相続による移転も含め、どの方法をとるかで、かかる税金(譲渡所得税・贈与税・相続税)や手続きが変わります。
土地は大きな資産だけに、税金や手続きの仕組みを理解しないまま動かすと、思わぬ費用負担やトラブルにつながりかねません。特に無償譲渡や相続では、贈与税や維持費といった「見えないコスト」に注意が必要です。
近年は空き家問題や過疎化を背景に、管理しきれない土地を手放したい人と、活用したい人とのマッチングも増えています。
この記事では、有償譲渡と無償譲渡の違い、手続きの流れ、費用と税金、使える特例制度までをまとめて解説します。損を避けて最適な判断をするために、ぜひ参考にしてください。
目次
土地譲渡の基本|定義と種類

土地譲渡とは、土地の所有権を他者に移すこと全般を指し、対価を得る「有償譲渡(売買)」と、対価のない「無償譲渡(贈与)」に大別されます。売買には譲渡所得税、贈与には贈与税と、方法によってかかる税金が異なります。
一見同じように所有権が移転しますが、その性質によって課税対象や必要な手続きが大きく異なる点が特徴です。どのような目的で土地を譲渡するのかを、事前に整理しておくことが重要です。土地譲渡にはいくつかの方法があり、代表的なものに売買・贈与・共有持分の放棄などがあります。
譲渡・贈与・相続のそれぞれの特徴と違い
| 譲渡の方法 | 対価 | かかる税金(負担者) | 主な場面 |
|---|---|---|---|
| 有償譲渡(売買) | あり | 譲渡所得税・住民税(売る側) | 土地を売って現金化する |
| 無償譲渡(贈与) | なし | 贈与税(受け取る側) | 親から子へ無償で譲る |
| 相続 | なし | 相続税(相続人) | 亡くなった方から引き継ぐ |
出典:国税庁「譲渡所得」「贈与税」「相続税」各制度をもとに作成
土地譲渡にかかる主な費用と税金

土地譲渡でかかる主な税金は、売買なら譲渡所得税・住民税、贈与なら贈与税、相続なら相続税の3つです。加えて登録免許税・印紙税・司法書士報酬などの費用が発生し、譲渡の方法によって負担する人と金額が変わります。
通常の売買による土地譲渡では、譲渡所得税や住民税が発生します。特に譲渡所得税は土地を取得した際の取得費や譲渡時にかかった諸費用を差し引いた上で算定され、さらに所有期間の長短によって税率が異なる点が特徴です。
短期譲渡の場合は税率が高くなるため、譲渡時期をどう設定するかが大切な検討ポイントとなります。税金は確定申告で納めるケースがほとんどなので、必要書類も早めに準備しておきましょう。
無償で土地を譲渡する場合は、贈与として扱われることが多く、贈与税が発生する可能性があります。たとえば親から子へ土地を無償で譲る場合、受け取る子が贈与税を負担する立場となります。贈与税は譲渡所得税とは異なる計算方式のため、正確な税額を見積もるには税理士など専門家への相談も検討しましょう。
譲渡所得税・住民税の計算方法
譲渡所得税は、譲渡収入から取得費用と譲渡費用、そして特別控除を差し引いた譲渡所得(課税所得)とし、その金額に所定の税率を乗じて算出します。
| 区分 | 所有期間(売却年の1月1日時点) | 所得税 | 住民税 | 復興特別所得税 | 実質の税率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 長期譲渡所得 | 5年超 | 15% | 5% | 所得税額の2.1% | 20.315% |
| 短期譲渡所得 | 5年以下 | 30% | 9% | 所得税額の2.1% | 39.63% |
※所有期間は「売却した年の1月1日時点」で判定します。実日数で5年を過ぎていても、その年の1月1日時点で5年以下なら短期扱いです。
出典:国税庁「土地や建物を売ったときの譲渡所得」
贈与税がかかるケース
土地を無償で譲る場合は、一般的に贈与とみなされ、受け取る側に贈与税が課せられる可能性があります。
贈与税は年間の基礎控除額(110万円)を超える部分に課税され、多くの場合、不動産評価額を基準に計算されます。親族間の贈与でも、正式な贈与契約書を作成しておかないと、後々のトラブルにつながることがあります。内容を確認しながら慎重に手続きを進めましょう。
登録免許税・印紙税などその他関連費用
土地譲渡の際には、売買契約書に貼付する印紙税や、登記名義を移転するための登録免許税が必要となります。
登録免許税は土地の評価額や固定資産税評価額によって変わるため、事前の調査が欠かせません。また、土地家屋調査士や司法書士へ登記依頼を行う場合、その報酬も発生するため、諸費用をまとめて試算しておくと安心です。
無償譲渡とは?背景と手続き、法的ポイントを解説
無償譲渡とは、土地や建物を対価なしで引き渡すことで、法的には贈与契約(民法第549条)にあたり、受け取る側に贈与税がかかる場合があります。贈与税は年間110万円の基礎控除を超えた部分に課税され、多くは不動産の評価額を基準に計算されます。親族間でも正式な贈与契約書を作成し、法務局で所有権移転登記を行っておくことが、後々のトラブル防止につながります。生前贈与を検討する場合は、相続で引き継ぐ場合と税負担を比較したうえで、税理士に相談すると安心です。
なお、無償譲渡された空き家・土地の探し方や活用方法、受け取る側のメリット・デメリットは、下記の記事で詳しく解説しています。
0円物件(無償譲渡物件)とは?探し方やデメリット、空き家が無料となる理由を紹介
土地譲渡の手続きと必要書類

土地譲渡の手続きは、契約書の作成→代金決済または引き渡し→法務局での所有権移転登記、の3ステップで進みます。売買では売買契約書、贈与では贈与契約書を作成し、どちらの場合も登記が必須です。
不動産の売買契約は、基本的に売主と買主が条件を合意し、契約書を取り交わすところから始まります。手付金の受け渡しや決済時期、その他特約事項が記載された契約書は、公正証書にするかどうかなどの選択肢も検討するとよいでしょう。無償譲渡の場合でも贈与契約書を作成する手間は同じであるため、口頭だけで済ませないように注意することが大切です。
土地の売買契約フロー
📝土地の売買から名義変更までの流れ(6ステップ)
査定を依頼する
不動産会社に土地の査定を依頼し、売り出し価格の目安を把握します。
媒介契約を結ぶ
売却を依頼する不動産会社と媒介契約を締結し、販売活動を始めます。
買主と条件を交渉する
価格・引き渡し時期・境界の扱いなどの条件を買主とすり合わせます。
重要事項説明・売買契約
重要事項の説明を受けたうえで売買契約を結び、手付金を授受します。
決済(残金の授受)
残代金を受け取り、固定資産税の日割り精算などをまとめて行います。
所有権移転登記・引き渡し
司法書士が法務局で名義変更を行い、引き渡しが完了します。
※贈与(無償譲渡)の場合は、売買契約書に代えて贈与契約書を作成し、同様に所有権移転登記を行います。
一般的な売買契約では、まず不動産会社に査定を依頼し、売主と相談のうえで売り出し価格を決定します。その後、買主と条件がまとまれば重要事項説明を経て売買契約を締結し、手付金の授受を行います。
最終的には、残金を受け取る「決済」の場で、司法書士によって登記変更(不動産登記法)が実施され、名義変更と引き渡しが完了します。契約書は法的拘束力を持つため、公正証書として作成することで安全性がより高まります。
無償譲渡(贈与)に必要な契約書と登記手続き
贈与契約書は、贈与者と受贈者が合意のうえで作成され、贈与の主旨や土地の情報を明確に記載します。
登記手続きについては法務局で名義変更を行い、固定資産税を受贈者が支払うことになるため、早めの手続きが求められます。贈与税の申告や契約内容の法的トラブル回避にも関わるため、必要なら専門家のサポートを受けて手続きを進めましょう。
土地譲渡時に活用できる特例・控除制度とは?

土地譲渡で使える主な特例は、居住用財産の3,000万円特別控除・低未利用土地等の100万円特別控除・相続税の取得費加算の3つです。要件を満たせば譲渡所得税を大きく軽減でき、いずれも確定申告での適用が必要です。
自分の状況にどの制度が該当するか、国税庁のサイトや税理士に確認することが第一歩です。
| 特例・控除 | 内容 | 主な要件・期限 |
|---|---|---|
| 居住用財産の3,000万円特別控除 | 自宅として使っていた土地・建物の譲渡益から最大3,000万円を控除 | 自ら居住していた等の要件。所有期間の長短は不問 |
| 低未利用土地等の100万円特別控除 | 利用されていない土地の長期譲渡所得から100万円を控除 | 譲渡価格500万円以下(市街化区域等は800万円以下)。市区町村の確認書が必要。令和10年12月31日まで延長 |
| 相続税の取得費加算の特例 | 支払った相続税の一部を取得費に加算し、譲渡所得を圧縮 | 相続税の申告期限の翌日から3年以内に譲渡 |
※要件の詳細は年度で変わるため、国税庁サイト・税務署でご確認ください。
出典:国税庁、国土交通省「土地の譲渡に係る税制」
長期譲渡所得・短期譲渡所得とは?税率の違いと判断基準
土地を売却した際の譲渡所得は、保有期間によって課税区分が変わります。
・5年超の保有期間 → 長期譲渡所得(20.315%)
・5年以下の保有期間 → 短期譲渡所得(39.63%)
所有期間は、単に「取得日から売却日まで」の実日数で計算するのではなく、「売却した年の1月1日時点」において所有期間が5年を超えているかで判定されます。そのため、実日数で5年を過ぎていても、売却した年の1月1日時点で5年以下であれば「短期譲渡所得」の重い税率が課されるため、売却時期の決定には細心の注意が必要です。
ただし、市場価格の動きや生活設計なども考慮し、総合的に判断することが大切です。
マイホーム特例(3,000万円控除)や低未利用地の特例
■ マイホーム特例(3,000万円控除)
自宅として利用していた土地・建物を売却した場合、一定の要件を満たせば譲渡所得から最大3,000万円を控除できます。
要件例:
・自ら居住していた物件であること
・売却前に住んでいた期間や売却先に制限がないこと
・直前に他の特例を使っていないこと など
■ 低未利用地の特別控除(最大100万円)
都市計画区域内の低未利用土地等を譲渡価格500万円以下(市街化区域や用途地域設定区域等では800万円以下)で売却し、譲渡後に土地が利用される場合、長期譲渡所得から100万円を控除できます。市区町村発行の「低未利用土地等確認書」が必要で、本特例は令和8年度税制改正により令和10年12月31日まで延長されています。
売却価格や用途、面積などの要件があるため、必ず確認しておきましょう。
相続土地の特例とは?取得後の早期売却で控除の可能性も
相続した土地を、相続税の申告期限の翌日から3年を経過する日までに売却した場合、「相続税の取得費加算」という特例が適用されることがあります。
これは、相続税を支払った人がその土地を売却することで、支払った相続税の一部を譲渡所得の取得費に加算できる制度です。結果として、譲渡所得額が抑えられ、譲渡所得税の軽減効果が期待できます。
ただし、要件が細かく、対象者・対象資産・相続税納税状況によって可否が分かれるため、早めに税理士へ相談することをおすすめします。
🏠土地譲渡の税金に関するよくある質問
Q. 土地を売ったときの税金はいくらかかりますか?
売却益(譲渡所得)に対して、所有期間5年超なら長期譲渡所得で約20.315%、5年以下なら短期譲渡所得で約39.63%の税率がかかります。所有期間は「売却した年の1月1日時点」で判定するため、実日数で5年を超えていても短期扱いになる場合があり、売却時期の判断に注意が必要です。
Q. 土地譲渡で使える特例・控除にはどんなものがありますか?
主に3つあります。自宅の土地・建物を売る「居住用財産の3,000万円特別控除」、使われていない土地を売る「低未利用土地等の100万円特別控除」(譲渡価格500万円以下・市街化区域等は800万円以下/令和10年12月31日まで)、相続した土地を早期に売る「相続税の取得費加算の特例」です。いずれも確定申告での適用が必要です。
Q. 相続した土地を売るとき、税金で気をつけることは?
相続税の申告期限の翌日から3年以内に売却すると、「相続税の取得費加算の特例」で支払った相続税の一部を取得費に加算でき、譲渡所得税を軽減できます。期限を過ぎると使えないため、売却の予定があれば早めに検討しましょう。
まとめ|最適な土地譲渡を行うために
土地譲渡には、売買(有償)・贈与(無償)・相続の3つの方法があり、それぞれ譲渡所得税・贈与税・相続税とかかる税金が変わります。売買では所有期間が5年超か5年以下かで税率が大きく変わり、居住用財産の3,000万円特別控除などの特例を使えば税負担を抑えられます。手続きは契約書の作成と所有権移転登記が基本で、税額や要件の判断は税理士など専門家に確認すると安心です。
一方で、「管理しきれない土地を手放したいが、売れるかどうか分からない」と迷う方も少なくありません。無償で手放してしまう前に、まずはその土地に値段がつくかを確かめてみるのがおすすめです。
アキサポなら、売却から活用まで含めて最適なプランをご提案できます。迷っている段階でも大丈夫です。まずはお気軽に無料でご相談ください。
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この記事の監修者
白崎 達也 アキサポ 空き家プランナー
一級建築士
中古住宅や使われなくなった建物の再活用に、20年以上携わってきました。
空き家には、建物や不動産の問題だけでなく、心の整理が難しいことも多くあります。あなたが前向きな一歩を踏み出せるよう、心を込めてサポートいたします。






