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公開日:2025.11.22 更新日:2026.07.21

都市計画区域とは?定義・目的から区域区分までわかりやすく解説

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「都市計画区域」とは、無秩序な開発を防ぎ、計画的なまちづくりを進めるために、建物の建て方や土地の使い方をルール化したエリアのことです。聞き慣れない言葉かもしれませんが、私たちが暮らす市街地の多くは、この都市計画区域の中に含まれています。

都市の発展と自然環境の保全を両立させ、日本の国土が長年にわたり健全に使われてきたのは、このルールが機能してきたからにほかなりません。区域の内側では、市街化を進める「市街化区域」と、市街化を抑える「市街化調整区域」などが定められ、それぞれに応じた規制で土地利用がコントロールされています。

この記事では、都市計画区域の定義と目的、根拠となる法律、市街化区域・市街化調整区域といった区域区分、そして開発許可が必要になる条件までを、公的な根拠をふまえて体系的に解説します。

都市計画区域の定義と目的

都市計画区域の指定を行うのは原則として都道府県で、複数の都府県にまたがる場合は国土交通大臣が指定します。

全国では、首都圏や大阪府周辺、愛知県周辺、福岡県周辺、北海道の札幌市周辺など、市街地が広がるエリアを中心に指定されています。国土に占める面積は約4分の1ほどですが、そこに人口の約9割が集中しているのが特徴です。

都市計画区域が設けられる最大の目的は、無秩序な都市の拡大を防ぎ、土地を計画的に利用することにあります。区域の内側ではさらに、市街化を計画的に進める「市街化区域」と、開発を抑制する「市街化調整区域」を指定でき、それぞれに定められた規制を適用しながら市街化をコントロールします。

全国都市計画GISビューア

都市計画区域が定められた背景

都市計画区域は、高度経済成長期の無秩序な開発(スプロール現象)を防ぐために整備された仕組みです。1919年の旧都市計画法を経て、1968年公布・1969年施行の新都市計画法で、市街化区域と市街化調整区域の区分を備えた現在の形になりました。

制度の歴史は長く、1919年に旧都市計画法が公布され、1922年には東京都市計画区域が指定されています。当時の目的は都市を計画的に発展させることにあり、区域内の土地の用途や建物の種類・高さなどを制限していました。

転機となったのは1960年代です。高度経済成長にともなう開発圧力の高まりで、各地に無秩序な開発が広がりました。とりわけ問題化したのが、郊外に住宅や工場が急増し、道路や上下水道といったインフラが追いつかなくなる「スプロール現象」です。これを放置すれば、生活環境の悪化や自然破壊、インフラ維持費の増大といったリスクを招きます。

そこで旧法は全面的に見直され、1969年に施行された現在の都市計画法(通称・新都市計画法)へと生まれ変わりました。新法では区域内に、市街化を進める「市街化区域」と市街化を抑える「市街化調整区域」を定められるようになり、土地利用をコントロールする力が大きく強化されています。

つまり都市計画区域は、単なる規制ではなく、都市全体の持続可能な発展を支える土地利用計画です。どこを集中的に整備し、どこを保全するかを明確にすることで、長期的に安定した都市環境を形づくる役割を担っています。

都市計画区域内に定められる区域

東京都の街並み

都市計画区域の中には、市街化を行うべきエリアと抑制するべきエリアを明確にするために「市街化区域」と「市街化調整区域」を指定できるようになっています。

🗺️都市計画区域の区域区分イメージ

都市計画区域

線引き都市計画区域

市街化区域

市街化を計画的に進める区域。用途地域が必ず定められます。

市街化調整区域

市街化を抑える区域。開発行為は原則として制限されます。

非線引き都市計画区域

市街化区域と市街化調整区域の線引きがない区域。比較的柔軟な土地利用が可能です。

準都市計画区域(都市計画区域の外)

都市計画区域の外側で都市的な土地利用が広がる場所に指定し、無秩序な市街化を防ぎます。

比較項目市街化区域市街化調整区域
位置づけすでに市街地、またはおおむね10年以内に優先的・計画的に市街化する区域市街化を抑制する区域
根拠条文都市計画法第7条都市計画法第7条・第34条ほか
用途地域必ず定められる原則として定めない
建築・開発用途地域のルールの範囲内で建築可能開発は個別の許可制。原則、第34条に列挙されたものに限られる
主な住宅一般住宅・分譲・集合住宅など農家用住宅、地域の居住者やその親族の住宅などが基本

これらの制度があるからこそ、東京のように建物が多く立ち並んでいるエリアでも整然とした都市が構築できています。ここでは、これらの区域の特徴と、市街化区域内で細かく立地基準を指定する「用途地域」について見ていきましょう。

市街化区域

市街化区域とは、すでに市街地を形成している地域、またはおおむね10年以内に優先的・計画的に市街地として整備すべき地域です。都市計画法第7条に基づいて指定され、住宅・商業施設・公共施設などの整備を効率的に進めることを目的としています。

この区域には、建てられる建物の用途を定めた「用途地域」が必ず指定されます。用途地域は都市計画法第8条に基づく区分で、現在は住居系8・商業系2・工業系3の合計13種類です。

分類用途地域特徴
住居系第一種低層住居専用地域低層住宅のための地域。工場や大きな店舗は建てられない
住居系第二種低層住居専用地域低層住宅が中心。小規模な店舗なども建てられる
住居系第一種中高層住居専用地域中高層のマンションなどを想定した地域
住居系第二種中高層住居専用地域中高層住宅が中心。一定の店舗・事務所も可
住居系第一種住居地域住環境を守る地域。大規模な店舗などは制限
住居系第二種住居地域住居が中心だが、店舗や事務所なども立地できる
住居系準住居地域幹線道路沿いなど、住居と自動車関連施設が調和する地域
住居系田園住居地域農地と低層住宅が共存する地域(2018年に追加)
商業系近隣商業地域近隣住民向けの店舗などが集まる地域
商業系商業地域駅前や繁華街など、商業施設が集まる地域
工業系準工業地域軽工業と住宅などが混在できる地域
工業系工業地域工場の立地を主とする地域。住宅も建てられる
工業系工業専用地域工場専用の地域。住宅は建てられない

たとえば静かな住宅地を形成する「第一種低層住居専用地域」では工場や倉庫、規模の大きな店舗などが規制され、逆に「工業専用地域」では住宅の立地が認められません。このように地域ごとに建てられる建物を絞り込むことで、住環境と産業活動の両立を図っています。

なお、市街化区域内には、道路・公園・下水道など計画上重要な「都市計画施設」も定められます。

市街化調整区域

市街化調整区域とは、都市の無秩序な拡大を防ぎ、自然環境や農地を守るために指定される区域です。開発行為は個別の許可制(都市計画法第29条)で、基本的には第34条に列挙されたものしか立地できません。住宅も、農家用や地域居住者・その親族のためのものが中心で、宅地分譲や集合住宅の立地は難しくなっています。ただしインターチェンジ周辺や既存集落など、例外的に条件が緩和される場所もあります。

この規制は、必要な場所に都市機能を集中させるための調整策です。農業を守るべき地域や自然景観を保護すべき地域を残しながら、隣接する市街化区域の環境悪化を防ぐ役割を担っています。

出典:用途地域13種類 e-Gov法令検索

非線引き都市計画区域と準都市計画区域

「RULE」と書いてあるブロック

都市計画区域は原則として「市街化区域」と「市街化調整区域」に線引きされますが、すべての区域で線引きが行われるわけではありません。この線引きがない都市計画区域を「非線引き都市計画区域」、都市計画区域の外側で無秩序な市街化を防ぐために指定される区域を「準都市計画区域」といいます。

非線引き都市計画区域は、市街化区域と市街化調整区域の区分(線引き)が定められていない都市計画区域です。両区域ほど厳密な規制はなく、比較的柔軟に土地を利用できます。ただし必要に応じて用途地域が指定され、住宅や商業施設の建築に一定の制限がかかることもあります。

一方の準都市計画区域は、都市計画区域の外で都市的な土地利用が広がっているエリアに、将来の無秩序な市街化を防ぐ目的で指定されます。指定を行うのは都道府県で、どこでも指定できるわけではなく、建築物の数や自然的・社会的な条件などが審査されます。

都市計画区域で必要になる「開発許可」とは

開発許可とは、都市計画区域内などで一定規模以上の「開発行為」を行う際に必要となる許可です。ここでいう開発行為とは、建築物の建築、第一種特定工作物の建設、第二種特定工作物の建設を目的とした「土地の区画形質の変更」を指します。

該当するかどうかの判断には専門的な知識が必要ですが、まずは「建築物などを建てる目的で、土地の『区画』『形』『質』のいずれかを変更する行為」とだけ押さえておけば十分です。

開発許可が必要な場合、着工前に「立地基準」と「技術基準」という2種類の項目が審査されます。

立地基準は、対象の土地がどの区域にあるかで判断が分かれます。市街化区域なら用途地域に立地できる用途かどうか、市街化調整区域なら都市計画法第34条に列挙された用途に当てはまるかがチェックされます。

技術基準は都市計画法第33条に規定され、接する道路や給水・排水施設、地盤の状況、擁壁の要否など、安全に開発できるかどうかが審査されます。

開発許可が必要になる条件

開発許可が必要となるかどうかは、開発の規模と場所によって決まります。基本的な基準は以下のとおりです。

区域の種類開発許可が必要になる面積の目安
市街化区域1,000㎡以上(三大都市圏の既成市街地・近郊整備地帯等は500㎡以上)
非線引き都市計画区域・準都市計画区域3,000㎡以上
都市計画区域外10,000㎡(1ha)以上
市街化調整区域面積にかかわらず原則すべて必要

なお、自治体の条例により、開発許可が必要になる面積を300㎡まで引き下げているケースがあります。実際の基準は必ず物件所在地の自治体に確認してください。

出典:都市計画法第29条、国土交通省

開発許可制度の流れ

開発許可を取得する際の大まかな流れは次のとおりです。

📝開発許可制度の流れ(申請から完了まで)

1

事前相談

開発予定地のある自治体に計画を提示し、立地基準・技術基準に適合しそうかを事前に確認します。

2

申請書の提出

必要書類を揃え、都道府県や市町村長に申請します。

3

審査

立地基準と技術基準への適合を審査します。提出から2〜4週間程度が目安です。

4

許可書の交付

審査で問題がなければ許可書が交付されます。

5

着工

提出した書類に基づいて工事を開始します。

6

工事完了検査・公告

計画どおり完了したかを確認し、問題がなければ完了が公告されます。工事内容により中間検査が入ることもあります。

都市計画区域内で確認すべき他の制度

折り紙でできた住宅地のイメージ

都市計画区域を定めることは、その地域の土地利用全体をコントロールする枠組みを設けることを意味します。

そのため運用は都市計画法だけで完結せず、土地の利用・保全・開発に関わる多くの法律・制度と連動しています。ここでは、関連性の高い代表的な制度を分野別に整理します。

分野主な法律・制度確認が必要になる主な場面・内容
開発許可関係文化財保護法遺跡や埋蔵文化財包蔵地を含む場合、試掘調査や届出が必要(確認は教育委員会)
開発許可関係土砂災害防止法・河川法土砂災害警戒区域や河川保全区域で、造成計画・排水計画の事前協議が求められる
開発許可関係ハザードマップ関連制度・建築基準法第39条洪水・津波・地震・土砂災害のハザード区域や、災害危険区域に当たるかを確認しリスクを把握
土地利用関係国土利用計画法一定面積以上の土地取引をした際、原則として契約後2週間以内に事後届出が必要(注視・監視区域は事前届出、規制区域は許可)
土地利用関係農地法農地を宅地などに転用する場合、市街化区域内は農業委員会への届出、それ以外は許可が必要。市街化調整区域では特に厳格に運用される
土地利用関係農振法農業振興地域内の開発は原則制限。開発許可の申請前に農用地区域からの除外手続きが必要
土地利用関係景観法・自然公園法建物の外観・高さ・色彩などに基準を設け、良好な景観や自然環境を保全。歴史的街並みや観光地で特に重要

このように、都市計画区域内での開発や土地取引は、都市計画法以外の制度ともあわせて確認することが欠かせません。実際に着手する前に、どの制度が関わるかを早めに整理しておくと安心です。

🏠都市計画区域に関するよくある質問

Q. 都市計画区域とは何ですか?

都市計画法第5条に基づき、計画的に整備・開発・保全すべき地域として都道府県知事(複数の都府県にまたがる場合などは国土交通大臣)が指定するエリアです。無秩序な都市の拡大を防ぎ、土地を計画的に使うための仕組みです。

Q. 市街化区域と市街化調整区域は何が違いますか?

市街化区域は市街化を計画的に進める区域で、用途地域が必ず定められます。市街化調整区域は市街化を抑える区域で、開発行為は原則として制限されます。

Q. 自分の土地が都市計画区域内かどうかを調べるには?

お住まいの自治体の都市計画窓口や、自治体サイトで公開されている都市計画図(オンラインマップ)で確認できます。区域区分や用途地域もあわせて調べられます。

まとめ・都市計画区域を理解して有効活用する

都市計画区域は、都市の発展と自然環境の保全を両立させるための「土地利用の基盤」です。区域が定められているからこそ、どこを開発しどこを守るかの方向性が定まり、私たちの暮らしや事業活動が秩序あるものになっています。生活のレベルで見ても、市街化区域か市街化調整区域かによって建てられる建物の用途や必要な許可が変わるため、家を建てたり土地を活用したりする前の確認は欠かせません。

まずやるべきことはシンプルです。自分の土地がどの区域にあり、どんな制限がかかっているかを、自治体の都市計画窓口や都市計画図で一度調べておきましょう。

とはいえ、相続した実家や空き家の土地となると、「区域の制限が厳しくて活用できるのか」「そもそも売れるのか」と判断に迷う場面も少なくありません。

アキサポでは、区域や制限の調べ方から今後の進め方まで、方向性が決まっていない段階でも無料でご相談いただけます。売る・貸す・活用するのいずれがよいか一緒に整理できますので、一人で抱え込む前に気軽にご相談ください。

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区域の調べ方から今後の進め方まで、方向が決まっていない段階でも無料で相談できます。

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この記事の監修者

山下 航平 アキサポ 空き家プランナー

宅建士/二級建築士

ハウスメーカーにて戸建住宅の新築やリフォームの営業・施工管理を経験後、アキサポでは不動産の売買や空き家再生事業を担当してきました。
現在は、地方の空き家問題という社会課題の解決に向けて、日々尽力しております。

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