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2021.03.30

【インタビュー】バッドボーイズ・佐田さんに聞く「DIYと空き家活用」について

お笑いコンビ「バッドボーイズ」として活動する傍ら、DIYのプロフェッショナルとして、DIYを広めるさまざまな活動をしている佐田正樹さん。

今回はそんな佐田さんに、DIYとの出会いやワークショップ「佐田工務店」のエピソード、さらにはアキサポが提供する空き家活用について語っていただきました。

DIYを始めたきっかけ

僕は実家が元々田舎で、家の裏には山があって自然に囲まれた環境で育ってきました。でも東京に来てから、いわゆる都会といわれる場所に長い間住んできたんですけど、時間が経つにつれて都会独特の空気に嫌気が差してきたんですよね。

そこで、少しでも気分を変えたいということで植物を置いてみたんですよ。部屋の中自体は元々何もないモノクロの空間だったんですけど、それこそもうジャングルみたいにしようと思って。そうしたら緑を置くだけですごい癒される感覚を覚えたんで、だったらインテリアも木のほうが良いかな?と思ったんです。ちょうどそのころ、テレビ内蔵アンプを知り合いからもらったこともあり、「何かうまいことできないか?」と漠然としたイメージを持っていました。
今思えば、それが本当に最初のきっかけだったと思います。

DIYの師匠との出会い

DIYの漠然としたイメージを持ち始めた頃、ある日車の運転中に「GALLUP(ギャラップ)」という古材屋さんを見つけまして、興味本位で入ってみたんです。そこには本当に色んな古材が置いていて、ちょうど構想中だった「テレビ台を木にしたい」というアイデアを店員さんに相談してみました。そうしたら本当に親身に相談に乗ってくれて、図面を書いてくれたり、いろいろなアイデアを出してくれたりしました。実はその人が後に「DIYの初めての師匠」になる江原さんだったんです。

固めたイメージは即行動に

江原さんとの話が進む中で、「自分でやろう」という気持ちがその場で生まれまして、そこからの行動は早かったです。教えてもらった必要な道具をホームセンターで買いそろえて、自宅で寸法を測って、その足でまた古材屋さんに、という流れですね。「GALLUP」を訪ねるとすぐにその場で木をカットしてくれたので、木を持ち帰ってテレビ台を製作したところ、1時間ほどで完成。その時にもう、古材のカッコ良さに惚れ込んでしまいまして。古材を使って家の中をアレンジしたもので揃えたいなと感じたんです。

DIYの魅力にぞっこん

DIYの魅力について語る佐田さん

テレビ台を作ってからは、例えば当時部屋の中にウォーターサーバーを置いていたんですけど、それがもう気に入らなくなっちゃって(笑)。これもカバーで隠そうということで、古材を買ってきてすぐにカバーを自分で作りましたし、家具も買い替えて部屋の雰囲気を一掃しました。

もちろん、これで終わりじゃありません。実はその頃、引っ越しを考えていたんですけど、次の新居では床や壁から自分でこだわって作りたいと思ったんです。そうしたらちょうど同期のタケトがSNSに「賃貸でもできるDIY」みたいな情報を載せていまして。詳しく話を聞いてみると、取材で知り合った山田さんという方にやっともらったと言うので、紹介してもらうことになりました。ちなみにこの山田さん、テレビ番組のDIYやリノベーション系の企画で監修をやられるなど、日本にDIYを広めようと活動されてるすごい方です。

で、僕も直接山田さんに「引っ越す物件の床から自分でやりたい」と相談したみたところ、「できますよ」ということで詳しく教えてもらいました。これが本格的にDIYにのめり込んでいくきっかけですね。

個人的なDIYからワークショップの立ち上げへ

周りの方々の知恵を借りながら、新居に色々と手を入れてようやく完成した後、お披露目会みたいなものをやったんです。その場には、僕にDIYのイロハを教えてくれた江原さんや山田さんをはじめとして、DIYやもの作り好きの人たちが集まっていたんですけど、自然と「みんなで何かやりたいね」という話になりました。その中で山田さんが「ワークショップやりませんか?」と提案されたので、自然な流れで「やろうやろう」と。結果的に「佐田工務店」と名付けたワークショップを立ち上げて、今も続いている感じです。

佐田工務店の活動

佐田工務店というのは、個々が個人事業主であり、それぞれが特別なノウハウ・スキルを持っている集団なんです。もちろん会社でもなんでもないですが、僕がアイデアを出して、それをみんなで意見を出したり煮詰めたりしながら、個性が融合するにことによって面白いプロジェクトになるという感じですね。やっぱり、いわゆる「能力者」が集まれば、各々が負けじとセンスや腕を磨きながら、どんどん面白いアイデアが出てくるものなんですよ。

ちなみに佐田工務店で手掛けるのは家具や内装だけじゃありません。
例えば佐田工務店で手掛けたオリジナルのハイエースは賞(ホビー産業大賞 経済産業省 製造産業局長賞)を取りましたし、活動の幅は本当に広いんです。活動の幅が広がるほどに、僕自身DIY関連の仕事が増えましたし、知り合いから「これを作ってほしい」といった依頼も自然と増えていきました。

佐田工務店のポリシー・テーマ

DIYのポリシー・テーマとは

僕の方針として、基本的にお金はいただきません。そもそも依頼を引き受けるのは、知り合いだったり仲間だったりするんで、「お金じゃなくて何か違う形でまたお返してくれれば良いよ」という感じです。

あともうひとつ。本当に自分でもあまのじゃくだと思うんですけど「これを作ってほしい」と言われると作りたくないんですよ(笑)。じゃあ職人さんに頼んで、となるので。
そうじゃなくて佐田工務店で手掛けるのはあくまで未知のもの。「佐田君のセンスに任せるから家一軒やってくれ、お店一軒やってくれ」みたいな感じで、やっぱり僕は職人ではないですし、ミリ単位の仕事も好きではないので。むしろ手作り感のあるもののほうが味があって良いなと自分の家を手掛けた時に思いましたし、だからこそちょっとした失敗も味がある風に見せていくというところに魅力を感じています。言い換えれば、新品のものより中古のもののほうが得意、みたいなイメージですね。

もちろんそのために自分でも勉強しましたし、木の性質や見え方のロジックなどを考えながらもの作りに携わっています。木という素材は、歴史によって外観が変わりますから、やっぱり自分が何かを作る時でも歴史をイメージしながら作業するんです。そうすれば理想に近づきますし、何より自分自身が楽しいんですよね。

もの作りの魅力とは

ものを作っている最中は無心になれますし、やっぱり達成感があります。出来上がった完成品に対する達成感だけじゃなく、依頼主が完成品を目にしたときに喜んでくれる姿、感謝してくれる姿を見た時にすべてが報われるんですよね。

でもこれはもの作りだけではなくて、自分の中でいろいろな部分に通ずるところがあるんです。芸人としてお客さんを笑わせている瞬間もそう。自分たちを見て笑ってもらった、面白かったと言ってくれる、そんな瞬間がやっぱり一番報われる瞬間なので。テレビでもYoutubeでも、自分の作品に対して「おもしろい」と言われる瞬間が一番気持ち良い瞬間なんです。

もの作りも仕組みは一緒で、誰かのために何かを作る時には「その人が喜ぶ姿を見たい」という気持ちが根本的にあるから頑張れるんだ思います。要するにすべてはサービス精神なんですよね。僕の場合はそれがもの作りとお笑いだったという話です。

DIYの失敗談

正直なところ、ケガぐらいですかね(笑)。先日もぎっくり腰になりましたし、仲間が作業中に鉄ノコで指を切り落とす寸前になったこともありました。やっぱり生身の身体で作業しますし、色々な道具を使って作業する中では思いもよらない動きをすることもあるので、ケガだけにはとにかく注意しています。

ケガ以外の失敗というと「もの作りの失敗」をイメージするでしょうけど、僕の中でもの作りの工程において何かしらの失敗があってもそれは失敗という扱いではありません。例えば寸法を間違えた、ということであれば何かを付け足せば良い話で、大切なのはそのアイデアをどう考えるか?だと思うんです。もちろん失敗したいとは思ってませんけども(笑)。

とはいえ、何らかの失敗があったとしてもうまくカバーできれば、それは思い出になるし、愛着も湧きやすくなると思うんです。エピソードとして依頼主に話すことで、その人の中では特別な思い出になるというか。

例えばイスが一脚あったとして、「これ買ったんだよね」と「これ作ったんだよね」では第三者の食いつきが全然違うんですよね。自分で作った、知り合いに作ったものというのは、もし壊れたとしても直そうとするんですよ。買ったものと作ったものでは愛着が違いますから。

なので元から「ものを大事にする人」って「ものを作るのが好きな人」が多いかもしれませんね。作っているからこそ分かるものの大事さというのはやっぱりあると思います。

アキサポの印象

アキサポの資料に目を通す佐田さん

【アキサポの提供サービス】
空き家となった物件を、アキサポがリノベーション費用全額負担で直して活用をサポート。自身でDIYなどを希望するお客様には、リノベーション費用が抑えられる分、賃料を差し引きし、浮いた分で材料を買ってもらうような形も対応可能。

DIYをする僕のような立場からしたら、すごい得な話ですね。逆にそうじゃない人からしたら、手間をかけないでリノベーションしてくれるから、いずれにしろお得だと思います。

むしろ自分が住む家をアキサポでサポートして欲しいぐらいですよ(笑)。何と言ってもDIYは原状回復が大変で、僕自身、今まで住んできた家はすべて原状回復してきましたから。原状回復なしでDIY自体もサポートしてくれるなら、それはもう得でしかありません。

-アキサポが手掛けた物件を見て

特にバイクガレージの活用物件が良いですね。東京は本当にバイク専用のガレージが少ないですし、あっても1台2万円するようなところもたくさんありますから。それこそバイクガレージ付きの家は探せば出てきますけど、バイクガレージ単体はなかなか見つからないので本当に良いと思います。

使い道のない空き家について

やっぱり「単純にもったいない」というのが正直な感想です。建物は年月の経過とともに腐っていくものですから。かといって壊すのにも結構なお金がかかりますし、ごみを捨てるのにもお金がかかる。僕自身、「これを捨てるのにこんなにお金がかかるの!?」という現実を目の当たりにしてきましたし、簡単に壊すという選択肢を選ぶのも厳しいと思います。

将来の夢

大きな土地を買って、みんなでそこに住めるような町というか空間を作りたいというのはあります。みんなで「こういう家が作れたら面白いよね」みたいに話したうえでもの作りを進めながら、大きな土地の中に商店街とかステージとかを作って、町の人全体で交流するような空間を作るのが夢なんです。それこそ親がいない子供を引き取って、その町の中で子供の夢を育てるような環境を作れれば良いですよね。その中で僕は村長をやりたいです(笑)。

インタビューを終えて

今回は「バッドボーイズ」の佐田さんに、DIYに関するエピソードやアキサポに対する印象、空き家へのお考えなどを語っていただきました。

インタビュー終えて感じたのは、佐田さんが取り組むDIYとアキサポのサービスはイコールではないものの、お互いに通じる部分がとても多いのではないか?という点です。

佐田様のポリシーである「依頼者に喜んでもらうためにもの作りに携わっている」点。

アキサポのコンセプトである「ただ物件をきれいにして貸し出すのではなく、所有者の希望と地域住民のニーズを最優先に活用方法を検討し、マッチングした利用者に貸し出すことを心がけて、所有者・利用者・地域住民がみな喜んでもらえるような活用方法を提供する」点。

これらは「周囲の人の喜びや笑顔のために」という根本的な部分でつながっているように感じたのです。

事実、佐田さんはインタビューの中で「アキサポとはこの1回の取材限りの関係ではなく、今後自分が協力できる部分は協力していきたい」と述べており、互いのビジョンやテーマがリンクしていることを私自身、強く感じました。

佐田さんの夢、そしてアキサポの夢が今後どのような形で交わっていくのか、今のうちから楽しみでなりません。

インタビュアー情報

・荻野 智希
・アキサポを手掛ける株式会社ジェクトワンと連携し、“世田谷区の空き家対策”と“地域活性化”を目的に、20年間空き家になっていた築60年の物件を【飲食店×シェアハウス×αの地域活性化拠点】のコンセプトで再生させた「b.e.park(ビー・パーク)」(東京都世田谷区)を運営。遊休不動産の再生企画およびびプロデュース事業を手掛けるほか、自身でDIYも行っている。