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2021.04.08

空き家活用事業はこうして始まった-アキサポ誕生秘話

今やジェクトワンの代名詞ともなった空き家活用事業「アキサポ」(※)の創業メンバーである経営企画部・竹内。アキサポの顔、ジェクトワンの顔、としてPR活動に取り組む笑顔の裏には、怒鳴られ、失敗し、それでもあきらめずに試行錯誤を繰り返した日々がありました。

※アキサポ…所有者から空き家を借り受け、ジェクトワン負担でリノベーションし、新たな利用者に一定期間賃貸する仕組み。一定期間経過後は、生まれ変わった空き家を自ら使用することも、所有者と利用者との間で賃貸を継続して賃料収入を得ることもできる。

事業開始は2か月後。しかし・・・

―竹内さんがアキサポの創業に携わったきっかけは何だったのでしょう。

新卒で自動車販売の営業、次にPR会社を経験し、ジェクトワンには営業事務で応募したところ、大河社長から「ちょうど空き家活用事業を立ち上げようと思ってるんだ、やってみない?」と話をいただいたのがきっかけです。

2016年4月、実際に入社してみると、そこには机とPCだけ。アキサポという名称も決まっていなくて、事業構想自体もまだラフ案程度。その状態で「2か月後には開始するから!」と…(笑)

―聞いているだけで震えます(笑)

ただ、私は「アキサポを立ち上げる」という名目で入社しているので、もうやるしかないと覚悟を決めましたね(笑)
まずは空き家所有者の方に話を聞いてもらおうと思い、空き家が多いと言われている大田区や台東区を、実際に地図を片手に歩いて回りました。

そこで“空き家っぽい”家を見つけては謄本をとって、所有者さまに電話する、電話がつながらなければDMを送る、ということをやったんです。
土日に大河社長に車を出してもらって、「飛び込んでこい!」って直接営業しに行ったこともありました。

―成果は出たのでしょうか。

全然、大失敗です。怒鳴られたことも多々ありました。
でも、今考えると当然の結果だったなと思います。だって、急に不動産屋が来て、「あなた、空き家持っていますよね?」って言われても警戒してしまいますよね。

何より私自身、“空き家を持っている人=困っている人”と思い込んでいて、「なんで空き家のままにしているの?」という気持ちに寄り添うことができていなかったんです。
物置として使っていたり、特に困っていないからそのままにしていたり、“空き家には空き家の理由がある”ことに気づいたきっかけになりました。

続く失敗、実った成果、ときどき迷走

―飛び込み営業の失敗を経て、次に考えたのが自治体へのアプローチだったのですね。

空き家対策特別措置法が施行された翌年の話ですから、自治体もきっと関心を持ってくださるだろうと思いまして。アキサポの仕組みを説明しに行き、「物件紹介してくれませんか」「チラシ置かせてもらえませんか」とお願いして回りました。

―そして成果が・・・?

いえ、全然、失敗です。
実績もない一民間企業が、「チラシを置く!?だめだめ!」みたいな(笑)

アキサポの仕組みはすごく良いね、とお褒めの言葉をいただいた自治体もあったのですが、ジェクトワンという一民間企業と何かやるというのは、公的機関である以上、なかなか難しくて。

でもこのままだとアキサポが世に出ないまま埋もれていってしまうと思い、本気で取り組むためにNPO法人「空き家活用プロジェクト」を立ち上げたんです。

―一民間企業のサービスという枠組みを超えて、空き家活用事業に取り組めるようになったのですね。

早速台東区がNPO法人主催の空き家に関するセミナーの後援についてくださいました。
セミナー自体にも自治体の担当者の方々を中心に80名ほどお招きしたところ、そちらに参加してくださっていた墨田区の空き家担当の方より東向島と京島の空き家を紹介いただいて、初めて官民連携の空き家活用に取り組むことができました。
それらは現在、レンタル倉庫とたこ焼き屋として、それぞれ活用されています。

≪墨田区東向島の事例。投資目的で購入したもののテナントがつかず、10年間放置された物件(写真左)を、大手貸倉庫業者と協業し、地域住民が利用可能な個人向けの貸倉庫に活用した(写真右)≫

―それが2016年11月、入社から約半年後のこと。ようやく成功の話が聞けました(笑)

一時は迷走して空き家ではなく“空き畑”を利用したシェアファームも検討していたんですよ。みんなで長靴履いて、畑に入ったこともありました。
結果は…聞かないでください(笑)

―聞きません(笑)

ご夫婦の不安に寄り添い、出た答え

―官民連携のモデルケースができ、少しずつ実績ができてきたなか、特に思い出深い事例はありますか。

70代のご夫婦から、「当時頑張って働いて建てた家をどうしても売る気になれず、毎週家の換気をしたり、手入れしたりして、それを10年間続けてきた。でももう年齢的にも手入れや毎週の行き来が負担になってきた。それでも、手放したくない」とご相談をいただいたんです。
現地に伺うと、本当にきれいなお家で、すぐに住める状態。ご夫婦がいかに大事にされてきたかがわかるものでした。

それから毎週日曜日に、ご夫婦に会いに厚木まで通いました。ただご夫婦のお話を聞く、それだけです。
その厚木へのご訪問が2か月目に入る頃、いつものようにお話をしていると、ご夫婦が意を決したようにおっしゃったんです。
「あと10歳若かったらきっとすぐにお願いしていたよ、でもね、この歳になるともう守りに入っているから、誰かに背中を押してもらわないと何もできないんだよ」と。

―その誰かが、竹内さんだったのですね。

その後、ご夫婦の大切にしていた空き家は古くなっていた水回りの設備とクロス交換など最低限の改修のみを行い、ご希望どおり、子育て世代の方に貸し出すことができました。
活用後には、「約束を守ってくれてありがとう、大切に使ってもらえて本当にうれしい、お願いしてよかった」と言っていただけて。とても嬉しかったですね。


≪大切にされていた家の趣そのままに、最低限の改修のみで新たな暮らしが育まれる場所となった≫

“空き家といえばジェクトワン”

―産休育休を経て、アキサポのPR担当として復職されました。

 大河社長はアキサポ創業当時から「“空き家といえばジェクトワン”と言われるようにしたい」と言っていました。
そうなるためには、やはり、いかに多くの方にアキサポを知ってもらえるかが重要ですので、ぜひやりたいと希望したんです。

―今やアキサポによる事例は創業以来約30件と、着実に実績を積み重ねています。

純粋に「嬉しい」の一言に尽きますね。本当にゼロからのスタート、何より失敗の連続でしたから(笑)実績が増えたこともそうなのですが、「空き家活用事業がやりたくてジェクトワンに入社した」という言葉を聞くと、それもまた感激してしまいます。

―以前インタビューした印南さん(※)もそのうちの一人ですよね。決して平坦な道ではなかったと思いますが、ここまで頑張れた理由は何でしょう。

アキサポは世の中に絶対必要なものだと信じていたからだと思います。
形にしたら、絶対社会貢献につながる、だからやりきりたいという思いがあったんです。

※参照「担当者が見た空き家問題の現状―解決策としてのアキサポ

―竹内さんの芯の強さが、アキサポの今を作り上げたのですね。アキサポの今後の展開はいかがでしょうか。

今までは何となくの資料請求で止まっていたものが、より具体的な相談であったり、そもそも空き家になる前にお問い合わせいただいたりすることが増えました。
空き家に対する意識が変わっているなか、そういったニーズにしっかり応えていきたいです。

 あとは、現在、アキサポの対応エリアは一都三県(東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県)なのですが、今後は地方への展開をしていきたいですね(※2021年6月よりアキサポの加盟店事業「アキサポネット」を開始。日本全国に展開中。)。
ただ、地方は地方独自の空き家の理由、活用のニーズがありますので、その地元の企業と提携し、進めていきたいと思っています。
一部地域ではすでに提携を開始しています。

自宅について気軽に相談できる世の中にしたい

―アキサポを通じて実現したいことを教えてください。

 “不動産=難しい”というイメージを取り払いたいです。
日本では持ち家の保有率が約6割(※)というデータがあるのですが、それほどの保有率にもかかわらず、みなさん“買って終わり”になってしまって、家族でご自宅の今後のことを話すのってほとんどないと思うんです。

それこそ、相続とか、考えざるをえない状況になってからですよね。
となると、空き家問題はずっと生じ続けてしまいます。そうなる前に、ご自宅の相談が家族で気軽にできるような状況を作りたいなと。
アキサポが、そのお手伝いをできたらよいなと思っています。

※出典:平成30年住宅・土地統計調査(総務省統計局)

―最後に、アキヤノワダイ読者へのメッセージをお願いします。

先ほどの70代のご夫婦をはじめ、多くの方に「アキサポに背中を押してもらい、前に進めた」というお言葉をいただいています。

ご自宅のこと、お一人で悩んで結果的に放置してしまう前に、ぜひお気軽にご相談ください。
所有者さまの気持ちに寄り添った、最適な提案をさせていただきます。家の“悩み”を“喜び”に、一緒に変えていきましょう。

スタッフ紹介

竹内麻実(たけうち・あさみ)

自動車の販売営業、PR会社を経て、2016年4月より株式会社ジェクトワンに入社。アキサポを担当する地域コミュニティ事業部の初期メンバー。現在は、PR担当として、各種メディアにアキサポの魅力を伝えている。空き家活用プランナー、1級空き家管理士。