公開日:2024.09.26 更新日:2026.07.16
低廉な空家等とは?800万円以下の空き家売却と仲介手数料の特例
「低廉な空家等」とは、物件価格が800万円以下の宅地・建物を指す、国が定めた区分です。この価格帯の空き家は仲介手数料が低く、不動産会社に取り扱いを敬遠されやすいため、通常より高い仲介手数料を認める「売買の特例」が設けられています。2024年7月の改正では、その対象が800万円以下に広がり、報酬の上限も引き上げられました。
空き家を売却する際は、不動産会社に購入者を探してもらう「仲介」が最も一般的で、売買が成立すると成功報酬として仲介手数料が発生します。仲介手数料には法律で上限が定められていますが、低廉な空家等にはこの原則とは異なる特例が適用されるのです。
これまで、売値の安い地方の築古物件などは、手数料の低さから仲介を敬遠され、結果として放置されるケースが少なくありませんでした。こうした状況を解消し、空き家の流通を促すために作られたのが、この特例制度です。
本記事では、売却価格が低い空き家をスムーズに手放すために知っておきたい、最新の仲介手数料ルールの内容と、その背景をわかりやすく解説します。
目次
不動産売買における仲介手数料の概要
不動産仲介会社が、空き家をはじめとする不動産の販売活動、価格交渉、契約手続きなど、所有者と購入者のあいだに入って仲介業務を行う場合、仲介手数料が発生します。これは、売買が成立したときに発生する、いわゆる成功報酬となります。
売買成立時、不動産仲介会社は、元々の所有者と購入者の両者から、仲介手数料を受け取ることが可能です。こうした取引は、「両手取引」といわれます。
なお、仲介手数料は物件価格に応じて、下記のような上限額が宅地建物取引業法によって定められています。
<仲介手数料の法定上限額>
| 物件価格(税抜) | 仲介手数料の法定上限額(別途消費税) |
|---|---|
| 200万円以下 | 物件価格 × 5% |
| 200万円超〜400万円以下 | 物件価格 × 4% + 2万円 |
| 400万円超 | 物件価格 × 3% + 6万円 |
実際の仲介手数料の額は不動産仲介会社によって変わりますが、法定上限額に設定されることが多いです。
例えば、1,000万円の物件の場合、仲介手数料の法定上限額は、下記のようになります。
<物件価格が1,000万円の場合の仲介手数料の法定上限額>
1,000万円×3%+6万円=36万円
36万円に消費税を加えた金額が、物件価格1,000万円の仲介手数料の法定上限額となります。
売値の安い古い実家が、不動産会社に断られやすい理由
仲介手数料の上限は物件価格に連動して決まるため、価格が安い空き家ほど、不動産会社が受け取れる手数料も少なくなります。たとえば1,000万円の物件なら上限は約36万円ですが、200万円の物件では10万円ほどにしかなりません。
一方で、築年数が古く状態の悪い空き家ほど、調査や販売活動に手間がかかります。つまり不動産会社にとっては、「手間はかかるのに報酬は少ない」物件になりやすく、結果として仲介を敬遠されがちでした。こうして、売りたくても引き受けてもらえず、放置される空き家が増える一因となっていたのです。
この状況を打開するために国土交通省が設けたのが、「低廉な空家等の媒介の特例」です。低価格帯の空き家でも不動産会社が採算をとりやすくすることで、これまで市場に出にくかった物件の流通を促すことを目的としています。
知っておきたい売値が安い空き家(低廉な空家等)を売る時の新しい特例ルール
低廉な空家等の売買における仲介手数料の特例とは、具体的にどのような内容なのでしょうか。ここでは、低廉な空家等に該当する空き家の条件と、特例によって不動産仲介会社が請求できる金額についてご紹介します。
改正前(〜2024年6月)
対象:400万円以下
上限:19.8万円(税込)
請求先:売主のみ
改正後(2024年7月〜)
対象:800万円以下
上限:33万円(税込)
請求先:売主・買主
ポイント:物件価格が800万円以下なら、価格を問わず一律で最大33万円(税込)が仲介手数料の上限です。現地調査費用を別途積み上げる必要はありません。適用には、契約前に売主・買主への説明と合意が必要です。
低廉な空家等とは、物件価格が800万円以下の空き家のこと
低廉な空家等とは、物件価格が800万円以下の宅地・建物を指す、国土交通省が定めた区分です。この価格帯の物件は仲介手数料が低く不動産会社に敬遠されやすいため、流通を促す目的で、通常より高い仲介手数料を認める特例が設けられています。
特例の対象となる「低廉な空家等」とは、物件価格(税抜)が800万円以下の宅地・建物のことです。名称に「空家」とありますが、実際に空き家である必要はなく、居住中の物件や更地であっても、800万円以下であれば対象となります。
最初にこの特例が生まれた2016年の段階では、400万円以下の空き家が特例の対象となっていましたが、空き家対策をさらに進めるため、6年ぶりに内容の見直しを実施。2024年7月から、特例の対象が800万円以下の空き家となり、対象範囲が拡大されました。
特例で仲介手数料の上限が最大33万円(税込)に引き上げ
この特例により、物件価格が800万円以下の低廉な空家等については、価格を問わず一律で最大30万円(税込33万円)を仲介手数料として請求できるようになりました。しかも、売主だけでなく買主からも受け取れるため、双方を仲介する場合は最大で33万円×2=66万円が上限となります。
2024年6月までの旧制度では、通常の仲介手数料に「現地調査などの費用」を上乗せする方式で、請求できる相手も売主のみ、上限も18万円(税込19.8万円)にとどまっていました。2024年7月の改正でこの積み上げ方式は廃止され、現地調査費用を別途計算しなくても、800万円以下なら一律で最大33万円(税込)を受け取れるシンプルな仕組みに変わりました。
ただし、この特例による報酬を請求するには、不動産会社が媒介契約の締結前に、売主・買主に対して報酬額を説明し、合意を得ておく必要があります。
■不動産会社が請求できる仲介手数料、現地調査の費用
| 項目 | 改正前(2024年6月まで) | 改正後(2024年7月〜) |
|---|---|---|
| 対象となる物件価格 | 400万円以下 | 800万円以下 |
| 報酬額の上限(税抜) | 18万円 | 30万円 |
| 報酬額の上限(税込) | 19.8万円 | 33万円 |
| 請求できる相手 | 売主のみ | 売主・買主の双方 |
低廉な空家等にお困りの方は早めにご相談ください

低廉な空家等の仲介手数料の特例は、売値の安い空き家をスムーズに手放せるよう、空き家の流通を後押しするために生まれた制度です。この特例によって、これまで敬遠されがちだった低価格帯の物件も、取り扱ってもらいやすくなりました。
ただ、空き家は管理が行き届かないまま放置するほど老朽化が進み、売却のハードルはどんどん高くなっていきます。さらに、自治体から「特定空家等」や「管理不全空家等」に指定され勧告を受けると、住宅用地の特例(固定資産税の軽減)が解除され、土地の固定資産税が小規模住宅用地で最大6倍にまで上がってしまうこともあります。「そのうち考えよう」と先延ばしにするほど、負担は重くなりがちです。
だからこそ、管理が難しいと感じた空き家は、売却・買取・賃貸活用など、できるだけ早い段階で動き出すことをおすすめします。とはいえ、「何から始めればいいのかわからない」という方も多いはずです。そんなときは、ひとりで抱え込まず、専門家に相談してみてください。
空き家の売却や活用の進め方にお悩みの方は、ぜひ「アキサポ」にご相談ください。株式会社ジェクトワンが運営するアキサポは、空き家に関するさまざまなお悩みに寄り添う空き家解決サービスです。売却・活用・買取など幅広い選択肢の中から、あなたの空き家に合った最適なプランをご提案します。
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アキサポに無料で相談するこの記事の監修者
山下 航平 アキサポ 空き家プランナー
宅建士/二級建築士
ハウスメーカーにて戸建住宅の新築やリフォームの営業・施工管理を経験後、アキサポでは不動産の売買や空き家再生事業を担当してきました。
現在は、地方の空き家問題という社会課題の解決に向けて、日々尽力しております。