公開日:2021.06.03 更新日:2026.06.09
田舎のいいところは?田舎暮らしの現実やメリット・デメリットを解説
テレワークの定着やライフスタイルの多様化に伴い、自然豊かな環境でゆったりと暮らす「田舎暮らし」への関心が高まっています。地方自治体による移住支援の手厚さも後押しとなり、本格的に検討を始める方も増えてきました。
しかし、いざ移住を視野に入れると、「本当に自分に合うのだろうか?」「理想だけで決めて後悔しないだろうか」と不安や疑問が尽きないのも無理はありません。
そこで本記事では、田舎暮らしの本当の「いいところ(メリット)」はもちろん、事前に知っておくべき不便な現実やデメリット、都会との生活費のリアルな違いまで徹底解説します。
憧れだけで終わらせない、納得のいく住まい探しのヒントとしてぜひ参考にしてみてください。
田舎暮らしのメリット・デメリット

田舎暮らしにおけるメリット・デメリットを詳しく知ることは、「実際に自分が田舎暮らしに適しているか?」を判断するうえで大切なポイントです。
ここでは、田舎暮らしの具体的なメリット・デメリット両方を紹介していきましょう。
| 種別 | 項目 | 内容 |
|---|---|---|
| メリット① | 自然が豊か | 広大な山々・澄んだ空気・動植物など、都会では得られない自然環境を日常的に体感できる |
| メリット② | 物件(賃料)が安い | 地価が低く、都会より費用を抑えて広い家に住める。過疎化が進むエリアでは格安の空き家に巡り合える可能性も |
| メリット③ | ストレスを軽減できる | 通勤ラッシュや人混み・渋滞がなく、自然環境がストレスホルモンを減少させる効果も研究で確認されている |
| メリット④ | 人との交流が盛ん | コミュニティが小さく近隣住民と交流しやすい。草刈りや雪かきを通じた助け合いの文化が根付く地域も多い |
| メリット⑤ | 田舎ならではの仕事がある | 農業・林業・漁業など自然を活かした仕事が多く、都会では経験しにくい職種にチャレンジできる |
| デメリット① | 交通の便が悪い | 駅やバス停が遠く、バスは1時間に1本というケースも。車社会が前提の地域が多い |
| デメリット② | 生活関連施設が少ない | スーパー・銀行・病院などが少なく、人口減少とともに維持が難しくなるエリアも増えている |
| デメリット③ | 地元の仕事は賃金が安い | 都会と比べて賃金水準が低い傾向があり、都会と同等の給与を求めると職探しに苦労する可能性がある |
メリット①:自然が豊か
田舎暮らしにおける大きなメリットは、自然を肌で感じられるところです。
都会にも自然があるとはいえ、広大な山々や澄んだ空気、さまざまな動植物に囲まれた田舎暮らし独特の醍醐味は、やはり都会暮らしでは得られません。
メリット②:物件(賃料)が安い
住居の購入にせよ、賃貸にせよ、都会に比べて田舎のほうが住居費を安く抑えやすくなります。
都会より地価が安い田舎であれば、費用を抑えながら古民家をはじめとした広い家に住むことも可能です。特に過疎化が進むエリアなら、希望以上に価格を抑え、住むことができる空き家に巡り合える可能性も十分にあります。
メリット③:ストレスを軽減できる
都会は利便性が高いものの、通勤ラッシュや人混み、渋滞など、ストレスの種となる問題が多いのも事実です。
一方、田舎の場合はこれらの問題を解消しやすいだけでなく、自然に囲まれた環境下で暮らせるメリットがあります。自然との触れ合いには、ストレスホルモンを大幅に減少させる効果があるという研究結果も出ていますので、ストレスを感じている人にとって、田舎の環境はぴったりでしょう。
メリット④:人との交流が盛ん
田舎は人口が少なく、コミュニティが狭いため、近隣住民と自然な形で交流が生まれやすくなります。
さらに田舎の場合は自然との共存が求められるため、「助け合いの精神」が基本です。
草刈りや雪かきなどを通してお互いが助け合う習慣が根付いている地域も多く、その中でご近所の方々と交流する機会も自然と増えていくため、人と接するのが好き、アットホームな付き合いを求めている、といった人にはおすすめの環境です。
メリット⑤:田舎ならではの仕事がある
環境が変われば、当然その地域でできること・求められることは変わります。
その典型と言えるのが、都会と田舎における仕事の違いでしょう。田舎は自然に囲まれた環境下であるため、農業、林業、漁業など、自然を活かした仕事が多いのが特徴的です。
こういった仕事は都会暮らしではなかなか巡り合う機会も少ないため、田舎ならではの仕事に興味をお持ちの方にとっても、田舎暮らしは魅力的でしょう。
デメリット①:交通の便が悪い
都市圏に住んでいる場合、徒歩圏内に駅やバス停がある環境は当たり前ですが、田舎ではその常識が通用しない地域も多々あります。
徒歩圏内に駅がない、バスは1時間に1本、といったケースも珍しくありません。
むしろ田舎は、車社会が当たり前の地域が多数を占めますので、都会暮らしと比べて交通の便に悪さを感じる方もいるかもしれません。
デメリット②:生活関連の施設が少ない
スーパーや銀行、病院など、生活関連施設が少ない傾向にあるのは田舎の大きな特徴でしょう。
人口が少なくなればなるほど、こういった施設を維持するのは難しくなるため、当然と言えば当然ではありますが、都会暮らしに慣れている人にとっては不便を感じるかもしれません。
デメリット③:地元の仕事は賃金が安い
もちろん職種にもよりますが、田舎で働く場合、都会と比べて相対的に賃金水準は低くなる傾向にあります。
例えば、東京都の最低賃金が1,100円台(※2024年秋に1,113円、2025年秋に1,163円へと順次改定)に達している一方、地方ではまだ900円台の地域も多く存在するように、エリアによって賃金水準が異なるのは紛れもない事実です。現在では全国一律で800円を下回る地域はなくなっているものの、都会水準の給与を維持したまま現地で職探しをする場合、選択肢が限られる可能性は高くなるでしょう。
田舎に移住して現地で職探しをする場合、都会暮らしの時と同等の給与を得ようとするなら、やはり職探しには苦労する可能性が高くなるでしょう。
田舎暮らしで気になるお金の話

田舎暮らしに憧れる方の中には、「田舎暮らしの金銭事情」に興味をお持ちの方も多いでしょう。
ここからは、田舎暮らしで気になるお金の話について、具体的に解説します。
田舎暮らしと都会暮らしの給与・生活費を比較
田舎暮らしと都会暮らしの収入・支出を比較するため、ここではそれぞれの給与と生活費に関する違いを比較することにしましょう。
もちろん、エリアや職種、生活スタイルによって給与・生活費は変わりますので、あくまで一般的な目安として参考にしてみてください。
| 項目 | 都会 | 田舎 | 備考(リアルな金銭事情) |
|---|---|---|---|
| 給与・収入 | 高い | 低い | 地方や職種によって異なるが、田舎のほうが2〜3割低いことが多い |
| 家賃・住居費 | 高い | 安い | 同等の広さ・間取りであれば、田舎のほうが半額以下に抑えられることも |
| 交通費・移動費 | 公共交通機関(安価) | 車(高め) | 電車やバスが少ないため大人1人につき車1台が必須。ガソリン代や維持費がかさむ |
| ガス代 | 都市ガス(主流) | プロパンガス(主流) | プロパンガスは基本料金・従量料金ともに割高で、光熱費が高くなる最大の要因に |
| 水道・下水費 | 上下水道(一括) | 上水道+浄化槽 | 下水道未整備の地域が多く、浄化槽の定期点検・清掃・法定検査の維持費が別途発生する |
| 物価(日用品等) | 安い | 高い | スーパーの競争原理が働きにくく、地場産以外の食品や日用品、ガソリン代が割高になりがち |
都会と田舎を比べた場合、田舎のほうがお得なのは「家賃だけ」という結果になりました。
「田舎のほうが出費は少ない」というイメージをお持ちの方も多いでしょうが、実は田舎暮らしには思いのほかお金がかかるという体験談も多々あります。
特に、田舎暮らしではどこへ移動するのにも車が基本となり、購入費用はもちろん、ガソリン代・保険料・車検代など、車関係の出費が多い点が特徴としてあります。
とはいえ、給与や光熱費などはエリア・業者によって差が出るため、田舎暮らしをお考えの方は事前にリサーチしておくことをおすすめします。
田舎暮らしで出費がかさむケースとは
前述した田舎暮らしの出費に関する情報はあくまで基本です。
ですが田舎暮らしでは、以下のようなケースにおいて出費がかさんでしまうケースがあるため、事前に把握しておく必要があります。
・車を複数台所持する際の維持費や燃料費
・寒冷地域特有の出費
・離れた学校に子供を通わせる際の下宿費や寮費
田舎は基本的に車社会であるため、家族で田舎に住む場合、大人1人につき、車1台が必要になる可能性は高くなります。当然所持する車が多くなれば、その分だけ購入費・維持費・燃料費はがプラスされることとなり、出費がかさみます。
また、降雪地帯をはじめとした寒さの厳しい地域では、雪用のスタッドレスタイヤや除雪道具、暖房器具など、環境に適応するためにお金がかかってしまうことを覚えておく必要があります。
さらに子供がいる場合、田舎では高校や大学などが地元に少ないため、物理的に離れた場所に通わせるケースも少なくありません。もちろん家から通学するのであれば構いませんが、下宿や寮に入る場合は、学費のほかに下宿費・寮費などを負担する必要があります。
以上のとおり、住むエリアや生活スタイルによっては出費がかさんでしまうのも田舎暮らしの特徴だと言えるでしょう。
田舎暮らしの現実とは?移住者の声を紹介

田舎暮らしに関する情報は世の中にあふれていますが、「本当のところはどうなの?」と気になる方も多いかと思います。
そこでここからは、田舎暮らしの現実に関するリアルな声をまとめました。
【お金について】
「田舎暮らしは高い」「都会より安くなる」という対照的な意見を耳にしていましたが、都会暮らしと比べて「安くなる部分もあれば、高くなる部分もある」というのが実際に住んでみたうえでの感想です。
やはり家賃は都会と比べて格段に安いですし、娯楽施設が少ないから、結果的に交際費も減りました。一方で、都会暮らしの時にはなかった車の維持や自治会費などの出費がプラスで発生したのも事実です。
【子育てについて】
元々都会の環境下で子供を育てたくなかったというのもあるでしょうが、田舎暮らしにシフトしてから、子育てに関しては特に不満はありません。
近所に大きな病院がないとはいえ、大抵のことはご近所の小さな病院で十分対応してくれますし、何より自然に囲まれた環境で子供にいろいろな体験をさせられるのは田舎暮らしの特権だと思っています。
【人間関係について】
正直、最初は思うように馴染めないというか、コミュニケーションの仕方が分からず苦労しました。あと、都会にはなかった自治会での寄り合いや催しに対する違和感があったのも事実です。地元の方にとっては当たり前でも、都会暮らしに慣れた人間にとってはすべてが初めての体験ですからね。今思えば、知らず知らずのうちに迷惑をかけたこともあったと思います。
ですが時間の流れとともにご近所さんとも自然に交流できるようになり、田舎特有のしきたりに慣れたこともあって、人間関係に苦労することは少なくなりました。むしろ、困っている時にはお互いに助け合おう、という感覚は都会にはないスタイルなので、魅力的に感じることすらあります。
【利便性について】
電車やバスに慣れている自分にとって、そういった交通手段が通用しない田舎暮らしには不安を抱えていましたが、車が当たり前になるとむしろ楽なぐらいでした。満員電車のストレスを感じることなく、移動時間でもリラックスしながら過ごせますし、電車の時間や駅の場所を気にせずどこにでもいけるので、いつのころからか車なしでの移動は考えられないぐらいになりました。
ただ、スーパーやコンビニなどの施設が少ないのは、都会暮らしを知っているだけに不便を感じることはあります。
この辺りは、良い点と悪い点で線引きして、「ある程度は仕方ないな」と割り切れるかどうかだと思いますね。
【地域の集まりについて】
私の住んでいるエリアでは、溝掃除や草刈り、祭りなど、事あるごとに地域住民が駆り出されますが、正直面倒に感じる瞬間も多いです。もちろん、自然に囲まれた環境下なので皆で力を合わせて管理・維持する必要があるのは分かりますが、こういった制度は都会暮らしの時にはありませんでしたので、慣れるのに時間がかかるだけではなく、そのために時間を作るのが難しい時もやっぱりあります。
けれど、子供のことを考えると、祭りや催し事は良い経験になりますし、ご近所さんと交流を深める場でもありますから、一概に「いらない」とまでは思わないですね。
田舎暮らしの注意点

田舎暮らしにはさまざまな魅力が詰まっていますが、慣れない暮らしに失敗してしまうこともあります。
そこでここからは、田舎暮らしで失敗しないために特に注意したいポイントをひとつひとつ紹介していきます。
注意点①:自動車が必須の場合が多い
田舎や都会のように、電車やバス、タクシーなどの交通機関が発達しておらず、移動の際には車が必須となる地域が大多数を占めます。
そのため、車の購入・維持にお金がかかるのはもちろん、そもそも車の免許を持っていない方は移動手段に頭を悩まされる可能性が高くなります。
注意点②:職探しは事前に情報収集しておく
単純に求人数だけで言えば、都会より田舎のほうが圧倒的に少ないのが現実です。
そのため、田舎に移住する際に新たな仕事に就くことを考えているなら、移住先での職探しについてある程度のめどを立てておいたほうが良いでしょう。
「いざ移住したものの仕事が見つからない…」では、田舎暮らしを満喫するどころの話ではありませんし、移住後に長期間働く予定があるなら、なおさら職探しは重要なポイントです。
・自分に向いた仕事はあるか
・雇用の見込みはあるか
・生活に必要な賃金はもらえるか
これらのポイントを踏まえ、移住先の求人の傾向や求人情報に目を通すなど、職探しにはあらかじめ手を付けておくことをおすすめします。
注意点③:目に見えない住環境にも注意
移住先を探す際には、物件の立地や広さ、価格といった情報を大抵の人はチェックするでしょう。しかし、田舎暮らしでは一見すると目に見えない住環境にも注意が必要です。
・虫が多い
・家畜臭がする(近くに鶏舎、牛舎がある)
これらは田舎ならではの住環境における特徴ですが、気になる人にとっては相当なストレスとなります。目に見えない環境は現地でしか確認できないものも多いため、現地見学の際、地元の方に確認すると良いでしょう。
注意点④:地域内の交流頻度を確認
田舎では、地域住民同士が協力しながら住みやすい環境作りや交流の場を設けています。
ゴミ拾い、草刈り、お祭り、カラオケ大会、冠婚葬祭、旅行など、地域によっては交流頻度が非常に多いところも珍しくありません。もちろん交流頻度の多い地域では、それなりの付き合いをしなければ、近隣住民と馴染むのはなかなか難しいでしょうし、居心地の悪さを感じることもあります。
自分たちが過ごしやすい環境に移住するには、移住前に地域内の交流頻度について、地元の方などに確認したうえで検討すると良いでしょう。
田舎暮らしのいいところと現実に関するよくある質問
Q:都会と比べた、田舎のいいところ(移住するメリット)は何ですか?
A:豊かな自然に囲まれてストレスの少ない環境で暮らせる点や、都会に比べて物件価格や賃料を大幅に抑え、広い家に住める点が大きなメリットです。また、ご近所同士の助け合い精神が根付いている地域が多く、アットホームな人間関係や温かい交流が生まれやすい環境も魅力といえます。
Q:『田舎暮らしは思いのほかお金がかかる』と言われるのは本当ですか?
A:はい、家賃以外の生活コストが高くなりやすいためです。田舎は大人1人につき車1台が必須の地域が多く、維持費やガソリン代がかさむほか、都市ガスではなくプロパンガスが主流のため光熱費が高くなる傾向があります。移住を検討する際は、家賃の安さだけでなく総合的な生活費を試算しておくことが大切です。
田舎暮らしのまとめ
田舎暮らしに憧れを抱く人は多いでしょうが、自分のイメージと現実が必ずしも同じとは限りません。
今回ご紹介したように、田舎暮らしにはメリットだけでなくデメリットもありますし、実際に住んでみた方たちの印象も人それぞれです。
田舎暮らしを満喫するには、自分の中で優先順位を付けておき、条件に当てはまる移住先を選ぶなど、事前準備が重要になるでしょう。
近年では、いきなり田舎暮らしを始めるのではなく、「まずは比較的都市部に移住・滞在しながら、近隣エリアをまわって自分にあった場所を見つけたうえで最終的な移住場所を決める」という二段階移住の仕組みも浸透しつつあります。
憧れと勢いだけで移住するのではなく、こういった仕組みも視野に入れながら、田舎暮らしを進めてみてはいかがでしょうか。
この記事の監修者
白崎 達也 アキサポ 空き家プランナー
一級建築士
中古住宅や使われなくなった建物の再活用に、20年以上携わってきました。
空き家には、建物や不動産の問題だけでなく、心の整理が難しいことも多くあります。あなたが前向きな一歩を踏み出せるよう、心を込めてサポートいたします。