公開日:2025.07.23 更新日:2025.07.17
NEW【完全網羅】違法建築とは?リスク・見分け方・対策をチェックリストと事例で解説

違法建築とは、建築基準法や地域の条例に適合していない建物を指し、法的・実務的にさまざまなトラブルの原因となります。たとえば、行政からの是正指導や、融資審査が通りにくくなるなど、重大なリスクを伴うケースが多く見られます。この記事では、違法建築のリスクを正しく理解し、物件の購入や新築時に注意すべきポイントをチェックリストとともに網羅的にご紹介します。
「違法」と混同されがちな「既存不適格建築物」は、建築当時は合法だったものの、後の法改正により現行の規定に適合しなくなった建物を指します。違法建築とは異なり、適法に利用できる場合もあるため、両者を正しく区別することでトラブルを未然に防ぐことが可能です。こうした区別の理解は、物件の売買や保有において非常に重要な要素となります。
本記事では、具体的な違法建築の事例やチェックリスト、リスク回避の方法、そして所有後の是正手続きまで幅広く解説します。初心者の方にも分かりやすくまとめていますので、住まいや投資用物件を選ぶ際の参考としてご活用ください。正しい知識を持って物件を検討することで、長期的な安全性と資産価値の維持につながります。
目次
1. 違法建築の定義と既存不適格との違い

まず、違法建築と既存不適格建築物の基本的な違いを理解することが重要です。両者を正しく区別することで、リスクの把握や対応策の検討がスムーズになります。
違法建築とは、建築時点で建築基準法や関連条例に適合していない建物を指します。たとえば、建築確認申請の内容と異なる構造で建築された場合や、行政の許可を得ずに増改築を行った場合などが典型例です。こうしたケースは、公的書類と現況の不一致から発覚しやすく、是正命令や罰則の対象となることがあります。
一方、既存不適格建築物は、建築当初は適法だったものの、法改正により現行法に適合しなくなった建物を指します。違法建築と異なり、直ちに是正を求められるものではありませんが、増改築や用途変更の際には、現行法の適用を受けるため、注意が必要です。
この2つを混同すると、物件の評価や取引条件を誤るリスクがあります。売買や所有に関わる際は、両者の違いを把握し、法的リスクと対応策を理解したうえで進めることが望ましいでしょう。正確な情報を得るためには、不動産会社や建築士など専門家への相談も有効です。
1.1. 違法建築とは何か
違法建築とは、建築基準法や関連法令に違反して建てられた建物です。たとえば、建ぺい率や容積率の超過、用途地域に反した設計、確認申請と異なる施工、無許可の増改築などが該当します。
このような建物は、構造や防火性能などの安全性が担保されていない可能性があるだけでなく、融資審査が通らない、将来の売却時に買主に敬遠されるといった資産価値上のリスクも伴います。行政から是正命令や使用制限が出ることもあり、最悪の場合は取り壊しを求められることもあります。
違法建築かどうかを判別するためには、建築確認申請の内容と現況が一致しているかを確認する方法が有効です。市区町村の建築指導課などで書類を閲覧する手間はかかりますが、後々の大きなトラブルを避けるためにも重要なステップといえるでしょう。早い段階で専門家に相談することがトラブル回避につながります。
1.2. 既存不適格建築物との境界線
既存不適格建築物は、建築当時は合法だったが、後の法改正により現行法規に適合しなくなった建物です。このような建物は、一定の条件下で利用や売買が可能であり、直ちに違法建築として扱われることはありません。
ただし、増改築や大規模リフォーム、用途変更を行う際には、現行の建築基準法や条例に基づいた対応が求められるため、追加の手続きや設計変更が必要になるケースがあります。
また、既存不適格であることが、金融機関の融資審査や将来的な売却価格に影響する場合もあります。購入や所有の際には、周辺の法規制や将来の用途計画も踏まえて判断することが重要です。リスクを正確に把握するには、建築士や不動産の専門家への相談が推奨されます。
2. 代表的な違法建築の事例

違法建築は、構造・面積・高さだけでなく、使用目的や用途地域に反した使われ方をしている場合にも該当します。具体的な違法建築の事例を把握しておくことで、自宅や購入を検討している物件が該当するかどうかを早期に判断しやすくなります。
違法建築の多くは、建築基準法が定める基本的な規制に違反しているケースであり、建ぺい率・容積率の超過や、採光・換気の基準未満、無許可の用途変更などが代表例です。これらの問題は、建物利用者の健康や安全を損なうため要注意とされています。
特に、意図的な違法増築は大きなリスクを伴います。増築部分が耐震性や防火性を損ねる恐れがあるほか、行政からの指導によって大掛かりな撤去が必要になる場合もあり、コスト面で大幅な出費を強いられることがあります。未然に防ぐためにも、増改築時には専門家のアドバイスや行政の手続きを欠かさないことが大切です。
また、住居用建物を無許可で事務所や工場に転用するケースも、建築用途不適合として違法とされる恐れがあります。これらの事例を把握しておくことは、物件選定やリフォームの際のリスク回避に有効です。
2.1. 建ぺい率・容積率オーバー
建ぺい率とは敷地面積に対する建築面積の割合を指し、容積率は敷地面積に対する延床面積の割合を示します。これらの基準を超えて建築すると、原則として違法建築とみなされます。
特に都市部では建ぺい率や容積率の上限が厳しく決められているため、わずかな超過でも違法とされることがあります。スペースの有効活用や賃貸収入を目的に増床を行うケースが見られますが、法令に反する建築は構造上の問題や近隣住民とのトラブルを招く要因になります。
行政から是正命令が出された場合、大規模な解体や改修が必要となり、高額な費用が発生するリスクもあります。建築前に設計士とよく打ち合わせを行い、図面段階で建ぺい率・容積率に余裕を持たせることが重要となります。また、物件購入時は登記情報と現況をしっかりと照合し、不審な点がないかチェックすることが大きなトラブル回避につながるでしょう。
2.2. 採光不良・違法増築などの構造上の問題
採光や換気は建築基準法で基準が定められており、適正な窓の配置・面積が求められます。窓の数や大きさが法的基準に満たない建物は、採光不良とみなされ違法建築の要因となるケースもあります。こうした問題は火災時の避難経路の確保やカビの発生リスク増大にもつながるため、見落としがちな問題といえます。
また、無許可の増築では、建物の耐震性や防火性能が損なわれるおそれがあり、特に木造住宅では構造的なバランスが崩れやすくなります。災害時の倒壊リスクが高まるため、安易な増改築は非常に危険です。
こうした構造上の問題は、内覧だけでは判断が難しいため、建築士などの専門家による診断を受けることが推奨されます。設計・施工段階で法令を遵守し、安全性と快適性を確保することが、長期的な資産保全にもつながります。
2.3. 用途変更と建築用途不適合
建築物には、都市計画法に基づく用途地域や、建築基準法に基づく用途種別が定められており、これに応じた各種法令・条例の規制を受けます。例えば、住宅地域で店舗や工場として使うには特別な許可が必要な場合があり、これを無視すると違法建築扱いになる可能性が高まります。用地の指定用途を守らないことで近隣住民とのトラブルや行政からの是正命令を受けるリスクが生じます。
特に、収益目的で店舗や事務所に転用する際は、消防法や建築基準法など追加の遵守項目が増えることがあります。防火扉や非常口の設置基準を満たさないまま営業すると、利用者の安全を脅かし、違法の疑いがさらに強まります。万が一火災や事故が起きた場合、所有者や管理者が損害賠償責任を問われる可能性もあります。
用途変更を検討している人は、事前に行政機関(建築指導課など)や専門家に相談し、必要な許可や工事内容を把握することが必須となります。間違った手順で変更を行うと後からの是正費用が膨らむだけでなく、信用トラブルにも発展しかねません。計画段階でしっかりと法的観点を確認し、安全性と適法性を担保することが大切です。
3. 違法建築チェックリスト|購入・新築時に見落とせない確認ポイント

違法建築を未然に見抜くことは、購入後のトラブルを防ぐうえで極めて重要です。ここでは、購入・新築時に確認すべきポイントをチェックリスト形式で整理します。
物件購入の際には、建ぺい率・容積率だけでなく、建築確認済証や検査済証の有無、書類と現況の一致も確認が必要です。違法建築が後から発覚すると、住宅ローンの審査落ちや火災保険への加入拒否など、実生活に深刻な影響を与える可能性があります。
新築時も同様に、建築基準法・都市計画法・用途地域の制限などを正確に把握し、行政や建築士と綿密に連携を取りながら計画を進めることが重要です。特に都心部では用途制限・高さ制限・斜線制限など法令規制が多岐にわたるため、専門の建築士の意見を聞くのがより安全です。
建築確認の手続きを正しく行い、検査済証を取得することは、違法建築を回避するための大きな手段となります。万が一工事途中で設計変更があった場合も、迅速に再申請を行うことで違法性を回避することができます。気になる点があれば面倒でも役所や専門家に確認し、長期的に見て安心・安全な建物を作りましょう。
3.1. 図面・台帳記載事項証明の確認
物件の建築確認申請書や台帳記載事項証明書、設計図面は、購入前・リフォーム前に必ず確認すべき書類です。これらと現況を照合することで、無許可の増改築や用途変更の有無を確認できます。相違がある場合、違法建築の可能性を疑い、専門家や行政に相談する必要があります。
特に中古物件の場合、前所有者が無届けで改築しているケースもあり、売主がその事実を把握していない場合もあります。未然にリスクを防ぐためにも、価格だけでなく書類面の整合性に目を向けることが大切です。
また、都市計画台帳や建築計画概要書などの公的資料をチェックすることで、物件の法的状況を客観的に把握できます。多少の手間や費用はかかりますが、高額な物件取引や長期間のローンが関わる場面では、確実に行う価値があるステップといえるでしょう。
3.2. 建築確認証・検査済証の有無をチェック
建物が建築基準法に適合していることを証明する書類として、建築確認済証(着工前)と検査済証(竣工後)の2点が重要です。
これらの書類があることで、金融機関が融資審査を行う際にも安心材料となります。逆に、検査済証がない物件は違法建築の疑いが強まるだけでなく、火災保険加入の手続きや将来のリフォームに影響を及ぼすこともあります。中古物件購入の際は、不動産業者から必ず提示してもらい、原本や写しを確認する習慣をつけましょう。
検査済証が交付されていない場合、その理由には以下が考えられます:
・設計変更後の再申請が未実施
・工期の遅延により検査を受けていない
・施工基準の逸脱 など
いずれにしても、後から発覚するとトラブルになる要素が多いため、早めに専門家に相談して是正可能かどうかを確認することが大切です。
3.3. 新築時の違法建築チェックリスト
新築計画では、以下の法的制限の把握から始めましょう:
・用途地域
・建ぺい率・容積率
・道路幅員
・採光・通風・避難経路
施工段階でも、設計図面に変更が生じないか、こまめに確認することが重要です。
現場監督や施工会社と定期的にコミュニケーションを取り、もしやむを得ない理由で設計変更が必要になった場合は、すぐに行政への再申請を検討してください。事後の変更申請では間に合わないケースもあり、違法建築となるリスクが高まります。
検査済証の取得までが完了して初めて、法令を遵守した建築物と見なされます。手続きや費用が少し煩雑に感じるかもしれませんが、後から大きな修繕費や罰則を支払うリスクを考えれば、避けて通れない大切なプロセスといえるでしょう。
4. 違法建築を所有・購入するリスク

違法建築を所有や購入することで発生しうるリスクを解説します。事前にリスクを正確に把握することで、重大な法的トラブルや経済的損失を未然に防ぐことができます。
まず考慮すべきは、行政からの是正命令や指導です。建築基準法等に違反していると認定された場合、改修や撤去などの措置を求められ、計画外の出費や居住制限を強いられる可能性があります。これに加え、金融機関の融資審査が厳しくなり、思うように資金調達ができない場面も多いでしょう。さらに将来の売却時には買い手がつかず、資産価値が大幅に下がる可能性もあります。
安全性の面でも、採光・換気の不良や無許可の増築があると、日常の快適性が損なわれるだけでなく、地震や火災時の被害が拡大する恐れがあります。
こうしたリスクの多くは、購入前の専門的調査や行政確認によって回避できます。表面的な安さや利便性だけで決めると、後々のトラブル対応に余計なコストを割くことになりかねません。相場より安い物件でも、違法性の有無を見極めたうえで慎重な意思決定を行うことが重要です。
4.1. 行政指導や是正命令・取り壊しリスク
違法建築と認定されると、自治体から是正命令が出される場合があります。
是正命令には増築部分の撤去や改修の実施が含まれるため、数百万単位の急な出費や居住スペースの一部制限を強いられるかもしれません。悪質なケースや命令違反があると、建物の全部取り壊し(除却)を命じられる可能性も否定できません。
こうした行政措置は、以下のようなきっかけで行われます:
・近隣住民からの通報
・建物定期調査・中間検査・完了検査
・固定資産税評価の調査時の発覚 など
仮に故意でなかったとしても、構造・用途・面積の違反が見つかれば、是正を求められるのが原則です。
取り壊しや大規模な改修が発生すると、そこに住む人にとっては生活の拠点を一時的に失うことにもつながります。物件のオーナーとしても、居住者の避難先手配や補償問題などが新たに浮上し、社会的な信用にも関わるリスクが出てくるのです。違法建築を回避することはこうしたトラブル防止のためにも非常に大切です。
4.2. 融資や売却の壁になる可能性
違法建築では、住宅ローン・事業融資・リバースモーゲージ等の担保評価に不利に作用します。
銀行や金融機関は担保価値を厳しく審査するため、法的に問題のある物件を敬遠する傾向にあります。このため自己資金を多く用意しなければならなかったり、想定より金利が高く設定される可能性も否定できません。
また、売却時にも以下のような不利益が発生します:
・買主が融資を組めないため、現金購入限定になり市場が狭まる
・違法状態がネックとなり、価格交渉で大幅な値下げを求められる
・そもそも購入を敬遠され、売却まで長期間を要する
違法建築のまま放置していると、築年数が経つにつれリフォームや修繕の段階でさらに問題が顕在化する危険性があります。結果的に是正工事に踏み切らざるを得なくなるケースもあるため、初期の安さ以上に多大なコストと労力を要することになりかねず、資産価値の観点からも適法状態を保つことが長期的には有利といえます。
5. 違法建築の是正と適法化のための手続き

既に違法建築となっている場合でも、法令に基づいた是正方法を理解しておくことは重要です。現状の違反内容を正確に把握し、適切な手続きを踏むことで、建物を法的に適合した状態へと戻すことが可能になります。
違反状態の是正は、まず行政機関や建築士からの指摘事項を整理し、修繕・撤去が必要な箇所を明確にすることから始まります。その上で、建築士とともに具体的な改修計画を立て、必要に応じて行政との協議を行います。
適法化を検討する際は、建物全体の耐震や設備状況も併せてチェックすると効率的です。すでに大規模な改修が必要な状態なら、単に違法部分を是正するだけでなく、リフォーム全体で安全性や耐久性を向上させることも考慮するとよいでしょう。施工や設計サイドと綿密に打ち合わせ、コスト効率の高い改修方法を検討することがポイントです。
是正手続きには費用と時間がかかるため、事前に見積もりやスケジュールをしっかりと把握しておくことが重要です。特に金融機関の融資が必要な場合、違法状態を解消するプロセスも審査の一部として考慮されるため、計画を明確に立てることで手続きがスムーズになります。
5.1. 建築確認の再申請と現状変更の手順
まずは建築士などの専門家に依頼し、現在の建物の構造や用途がどの程度法令に違反しているかを調査してもらいます。その上で、必要な修繕や撤去の計画を立案し、行政に対して再度の建築確認や是正に関する申請を行い、適法化の道筋を示します。違反とみなされた建物であっても、適切な手順を踏めば再度の検査を受けられる可能性があります。
再申請の際には、既に使用中の建物を部分的に取り壊したり、改修しながら手続きを進めることが多いため、工事期間中の住居や営業への影響も考慮する必要があります。家族やテナントがいる場合は、仮住まいの手配や営業形態の変更なども検討しなければなりません。
工事完了後は、行政による検査を受け、問題が是正されているかどうかを最終確認してもらいます。検査に合格すれば、完了検査済証や同等の証明書が交付され、正式に違法状態の解消が認められます。一定の手間や費用はかかりますが、違法状態を解消するための確実なアプローチといえます。
5.2. 違法増築部分の修繕・撤去
違法増築部分を修繕または撤去する場合、まずは増築の経緯や構造上の問題点を正確に把握することが大切です。補強が可能な範囲であれば修繕工事を、耐震性に大きな問題がある場合には撤去や再建築を検討するなど、状況に応じた判断が求められます。
修繕や撤去作業には予想以上に費用がかかることがあるため、複数の業者から見積もりを取り、内容や価格を比較検討するのが一般的です。特に大規模工事では人件費や資材費が高騰しやすく、施工時期や経済状況によっても費用が変動する可能性があります。大きな出費を避けるためには、早めの対応が望ましいでしょう。
6. 違法建築に関するQ&Aと注意点の整理

ここまでで違法建築の定義やリスク、是正方法について解説してきました。
続くこの章では、それらを踏まえたうえで、よくある疑問点をQ&A形式で整理します。物件の購入・所有時の曖昧な点をここで解消しましょう。
違法建築には専門的な用語や法令が多く、初めての方にはわかりにくい点もあるかもしれません。ここでは、実際に寄せられる質問とその回答をまとめています。物件選びや所有後のトラブル回避に役立てていただければと思います。
また、違法建築が疑われる物件を所有するオーナーや、購入を検討している方の実体験をもとに、注意すべき点を整理しています。各回答を参考に、具体的な対応を進めることで、リスクの軽減につながります。
なお、専門用語が多く感じる場合は、行政機関のホームページや建築の専門家に相談することも検討しましょう。疑問点を曖昧にせず、ひとつずつクリアにすることで、安全で適法な住まいづくりや投資判断が可能になります。
6.1. 違法建築でも売買は可能?
違法建築であっても、売買自体が法律で明確に禁止されているわけではないため、取引は可能です。ただし、住宅ローンの審査が通りにくい、行政から是正指導や命令が入る可能性があるなど、通常の物件と比べて多くのリスクがあります。取引条件も厳しくなる傾向があります。
購入後に是正命令が出た場合には、大規模な改修や撤去が必要となる可能性があり、予算面でも不安要素が増します。また、売主が違法状態を認識していないケースもあり、契約後に発覚するリスクも否定できません。
このようなリスクを避けるためには、契約前に専門家(建築士、宅建士など)による物件調査を依頼し、違法部分の有無や是正の可否を確認しておくことが重要です。手間はかかっても、事前のチェックにより将来的なトラブルを最小限に抑えることができます。
6.2. 違法建築を見抜けない業者・物件への対処法
不動産会社や仲介業者が、違法建築に関する十分な知識や経験を持っていない場合、物件説明に誤りや情報の不足がある可能性があります。購入希望者自身が図面や検査済証を確認することに加え、不明点があれば積極的に質問する姿勢が重要です。
特に、物件情報に「リフォーム済み」「改装済み」などの記載しかない場合、過去に違法増築や無許可の用途変更が行われている可能性もゼロではありません。そのため、工事内容の詳細や必要な許認可が取得されているかを確認し、根拠となる書面を提示してもらいましょう。
もし業者の対応や説明が曖昧で不安が残る場合は、他の業者に相談したり、一級建築士などの専門家に依頼してセカンドオピニオンを得る方法も有効です。大きな買い物だからこそ、納得いくまで調査し、信頼できる相手と取引を進めることが重要です。
6.3. 既存不適格物件との混同に注意
「既存不適格物件」は、建築当時は合法であったものの、後の法改正により現行基準に適合しなくなった建物を指します。そのため、すべての既存不適格物件が違法建築に該当するわけではありません。この違いを理解しておかないと、適法な建物を誤って「違法」と判断してしまう可能性があります。
既存不適格物件については、増改築や用途変更を行わない限り、基本的には法的な問題がないケースが多いです。もし改修や用途変更を予定している場合は、関係法令の適用範囲を確認し、事前に行政や建築士などの専門家に相談することが望まれます。
一方で、既存不適格物件でも将来的な建て替えやリノベーションの際に、最新の法規制を満たす必要が生じるケースがあります。購入時には将来設計も考慮し、将来的にどのような改修が必要になるかを見通した上で、コストや工期をシミュレーションしておくのが賢明です。
7. まとめ

違法建築は深刻なリスクを伴いますが、正しい知識と適切な手続きを踏めば、回避や是正は十分可能です。安全かつスムーズな住まい選びや建築計画の実現に向けて、本記事の情報を参考にしていただければ幸いです。
違法建築と既存不適格建築物の違いや、それぞれがもたらすリスクを正しく理解することで、物件購入時や新築時に発生し得る問題を大幅に回避できます。建ぺい率・容積率といった法的制限、図面や検査済証などの書類確認の重要性、用途地域の規制内容など、基本的な知識の習得は非常に重要です。
実際に違法建築に関するトラブルは、住宅ローンの不成立、売却価格の下落、あるいは資産価値の低下など、経済面にも大きな影響を及ぼします。さらに、行政から是正命令が出た場合には、罰則や迅速な修繕・撤去が求められることもあります。こうしたリスクを回避するには、早期の調査と専門家によるサポートが欠かせません。
特に購入前や新築計画の初期段階では、検査済証や図面などの法的書類を丁寧に確認することが、後のトラブルを防ぐ最大の対策となります。本記事で取り上げたポイントを実務に活かし、安全性と法令遵守の両立を図った建築を実現することで、長期的に安心できる住まいを手に入れましょう。