公開日:2025.08.08 更新日:2025.07.14
NEW【空き家問題】原因と対策を徹底解説!放置リスクと相談窓口まとめ

年々増加の一途をたどっている空き家問題。放置された空き家は、個人の問題だけでなく、地域社会全体に悪影響を及ぼす可能性があります。本記事では、空き家が増え続ける背景から、所有者がとるべき具体的な対策、さらに専門の相談窓口まで、詳しく解説します。
目次
空き家問題とは何か?日本社会が直面する現状と背景

空き家問題の根本を理解するために、まず「空き家」がどのように定義されているかを確認しておきましょう。
国土交通省が定める「空家等対策の推進に関する特別措置法」における定義では、「建築物又はこれに付属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの」が空き家等とされており、主に以下の4種類に分類されます。
- 売却用:販売中の空き家。不動産会社が管理
- 賃貸用:入居者募集中の空き家。不動産会社が管理
- 二次利用:普段使っていない別荘など。所有者が管理
- その他:上記の3種類以外
この中でも特に深刻な問題となっているのが、売却も賃貸もされておらず、定期的な利用もされていない「その他」に分類される空き家です。では、なぜこのような空き家が社会問題としてこれほどまでに問題視されているのでしょうか。その具体的な理由を見ていきましょう。
空き家の増加数と将来予測(統計データ含む)
日本の空き家の数は増加傾向にあり、「令和5年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計(速報集計)結果」によると、2023年の全国の空き家率は13.8%に達し、過去最高を記録しました。また、同調査では、全国の空き家総件数が2018年の849万戸から2023年時点で900万戸と、51万戸もの増加となり、こちらも過去最多を更新。これらの統計データは、日本の空き家問題が深刻化している現実を如実に示しており、社会全体で早急な対策が求められている喫緊の課題であることがわかります。
相続・高齢化・人口減少が空き家を増やす原因に
空き家が増加する背景には複合的な要因がありますが、もっとも多いのが親から子への相続です。相続後、相続登記(名義変更)がされないまま放置されている、所有者が遠方に住んでいるなどの理由から、空き家管理が十分に行われていないケースが多く見られます。また、解体費用の負担が大きい、兄弟間で利活用や売却の方針が一致せず話し合いが進まないといったことも、管理不全の空き家を増やす要因となっています。
空き家が引き起こす社会的・経済的損失とは
空き家が増えるということは、住む人が減少するということ。そうなると、地域社会へも多大な影響を与えます。例えば、インフラの維持が困難になり、スーパーや病院、銀行など生活施設の撤退したり、防災機能が低下したりといったデメリットにもつながります。
また、所有者不明土地の増加により、自治体対応が難航する場面も増えており、経済面でも大きな損失を生み出すため、早急な対策が必要です。
放置された空き家がもたらす主なリスクと問題点

空き家を放置すると、建物の老朽化や治安の悪化など、周辺環境に深刻な影響を及ぼすリスクがあります。
倒壊・火災・衛生・治安など生活環境への悪影響
空き家は適切な管理が行われないと急速に老朽化します。屋根や外壁が崩れ落ちたり、地震で倒壊しやすくなったりすることから、通行人や隣接住宅への損害も発生しかねません。また、庭の雑草の繁茂や害虫・害獣の発生、ゴミの不法投棄や不審者の侵入などにより、景観の悪化や近隣住民とのトラブルが生じるケースも多発。火災リスクも高く、放火の対象となる危険性もあるため、空き家管理の重要性が一層問われています。
特定空き家に指定されるとどうなる?行政対応と固定資産税増額
通常、空き家を含む住宅用地には、固定資産税や都市計画税の軽減措置が適用されます。
<固定資産税や都市計画税の軽減措置>
小規模住宅用地 (200㎡以下) | 一般住宅用地 (200㎡超) | |
固定資産税 | 課税標準の6分の1に減額 | 課税標準の3分の1に減額 |
都市計画税 | 課税標準の3分の1に減額 | 課税標準の3分の2に減額 |
しかし、管理不全によって所有する空き家が「特定空家等」に指定されると、住宅用地特例の適用がなくなり、固定資産税が最大で6倍に増額されます。さらに、自治体から助言・指導・勧告・命令を受け、改善が見られない場合は、行政代執行により建物が解体されたり、命令違反に対して過料が科されたりする可能性もあります。
空き家問題への対策と国・自治体の取り組み

空き家問題に対しては、法律や自治体の制度を活用したさまざまな取り組みが行われています。
空き家対策特別措置法と特定空き家制度の概要
空き家問題に対処するため、2015年に施行されたのが「空家等対策の推進に関する特別措置法(空き家対策特別措置法)」です。この法律に基づき、自治体は空き家の実態を把握し、必要に応じて管理不全の空き家を「特定空家等」として指定できるようになりました。これにより、行政は所有者に対して助言・指導・勧告・命令を行うことが可能になり、最終的には行政代執行による解体命令の執行も行えます。この制度により、空き家問題の早期是正が図られるようになりました。
「特定空家等」に指定される可能性がある空き家の条件として、次の4つが挙げられます。
① そのまま放置すれば倒壊など著しく保安上危険となるおそれのある状態
② そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
③ 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
④ その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
上記に当てはまる、もしくは今後当てはまりそうな空き家を所有している場合は、早めに対策を打っておくことが欠かせません。
空き家バンクや補助金制度を活用した流通促進策
自治体ではさまざまな方法で、空き家の流通を促しています。中でも代表的なものが、空き家バンクです。空き家バンクとは、自治体やNPO法人が運営するサービスで、空き家の所有者と購入や賃貸を希望する人をつなぐ仕組みのこと。登録することで、効率的に利活用の可能性を見出しやすくなります。
また、今まで空き家の活用や管理などを相談できる環境が十分に整備されていない点も課題になっていましたが、各市町村がNPO法人や社団法人などを「空家等管理活用支援法人」に指定することが可能に。リノベーション支援や補助金制度などを活用し、空き家を店舗やシェアハウス、コミュニティ施設へと再活用する動きも活発化してきています。
空き家所有者がとるべき現実的な解決策

では、空き家を所有している、または所有する予定がある方は、具体的にどのような対策をとればよいのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
売却・賃貸・管理委託・解体の選択肢
主な方法として、売却・賃貸・管理委託・解体の4つが挙げられます。
まず売却についてですが、空き家とその敷地を相続などで取得した場合、一定の条件を満たせば、譲渡所得から最大3,000万円の特別控除を受けられる特例があります(空き家の譲渡所得の特別控除)。この特例を利用するには、令和9年(2027年)12月31日までに売却し、以下の条件をすべて満たす必要があります。
① 相続開始直前まで被相続人が一人で居住していたこと
② 相続開始から譲渡まで空き家が使用されていないこと
③ 建物が耐震基準を満たしている、または取壊して更地で売却すること
④ 昭和56年5月31日以前に建築された建物であること
⑤ 相続開始から3年を経過する年の12月31日までに譲渡すること
⑥ 譲渡価格が1億円以下であること
賃貸については、継続的な利益を生むことができるというメリットがありますが、事前に改修が必要になる可能性も考慮しておかなくてはなりません。改修レベルは空き家の状態によって異なるため、専門家に相談しながら適切な方法をとるようにしましょう。一定条件を満たせば、国や自治体の補助金制度を活用できることもあります。
一方、空き家を手放したくないものの、遠方に住んでいるなどの理由から自分で管理ができない場合は、空き家管理代行サービスを利用するのもおすすめ。巡回点検や写真付きの報告書作成などのサービス内容は事業者により異なるため、事前に内容を比較・確認するようにしましょう。
空き家を解体する場合については、解体費の捻出が危惧されますが、市区町村によっては解体費用の一部を助成しているところもあります。補助金の有無や条件については、各自治体のウェブサイトや窓口で確認しましょう。また、解体することで建物に対する固定資産税はなくなりますが、土地にかかる住宅用地特例の軽減措置が解除され、結果的に税負担が増えてしまうことがあるので注意が必要です。
名義・相続手続きの確認と登記の整備
相続登記とは、不動産の名義を被相続人から相続人へ変更する手続きのこと。これまでは任意だったため、手続きがされずに所有者不明の空き家が増加する要因となっていました。
これに対し、国は2024年4月1日から相続登記を義務化しました。これにより、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料が科される可能性があります。
また、相続後に所有者名義の変更を行わず放置してしまうと、不動産の活用や処分ができなくなったり、親族間でのトラブルの原因になったりする恐れもあるため、相続後は速やかに登記手続きを行うようにしましょう。
早期に相談することでトラブルや税負担を回避
空き家の発生原因の過半数は、相続によるもの。空き家問題を防ぐためにも、親が元気なうちに家の今後について話し合い、「誰が住むのか」「売却するのか」「解体するのか」といった方針を家族で共有しておくことが重要です。
親が施設へ入所する、亡くなるなど、実家が突然空き家になってしまう可能性は誰にでもあります。そのような状況になってからでは意思決定が難しく、家族間で意見が分かれて放置されてしまうケースも少なくありません。
また、放置しておくと建物の傷みが進行し、修繕コストや税負担が増すリスクもあります。トラブルや損失を防ぐためにも、なるべく早めに不動産会社や行政、専門家へ相談し、解決への道筋を立てておくようにしましょう。
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まとめ|空き家問題は「社会の問題」であり「あなたの問題」でもある
空き家問題は、個人の課題であると同時に、地域社会や行政にとっても重要な社会問題です。特定空き家への指定や火災・倒壊リスク、固定資産税の増額など、放置によるデメリットは多岐にわたります。空き家を所有している場合は、相続登記や名義変更を早めに行った上で、今回の内容を参考にしつつ、空き家相談窓口などを通じて具体的な対応策を検討するようにしましょう。
この記事の監修者
白崎 達也 アキサポ 空き家プランナー
一級建築士
中古住宅や使われなくなった建物の再活用に、20年以上携わってきました。
空き家には、建物や不動産の問題だけでなく、心の整理が難しいことも多くあります。あなたが前向きな一歩を踏み出せるよう、心を込めてサポートいたします。