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公開日:2025.09.15 更新日:2025.07.29

相続税の基本を徹底解説|初心者向けにわかりやすく仕組み・税率・控除を紹介

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相続税について、どこか「うちは関係ない」と思っている部分はありませんか?実は、現金や不動産をそれほど持っていなくても、いざ試算してみると課税対象になるケースもあるのです。

相続税は10カ月以内に申告と納付をするルールがあるので、見落としてしまうと、あとで追加の税金が発生することも。そうならないように、正しい知識を身に着けて、本当に相続税はかからないのか把握しておくことが大切です。

そこで本記事では、相続税のかかる財産や計算方法、申告・納付の流れ、活用できる控除や特例などを具体例とともに解説します。必要なポイントに絞って紹介していくので、相続税の入り口として活用してください。

そもそも相続と相続税の関係とは?

相続とは、被相続人(亡くなった人)が生前に持っていた財産や権利・義務を相続人(配偶者や子どもなど)が引き継ぐ手続きのことです。ここでいう財産には、不動産や預貯金、自動車などの換金性があるものが含まれます。

相続税とは、これらの財産を相続する際に、一定の金額を超えている部分に対して課される税金のことです。相続税は、富の偏りを抑えて資産を社会全体に分配する役割を持っているため、高額な相続に対して課税される仕組みになっています。

相続税が必要になるケースとならないケース

基本的に、相続税は遺産総額から債務などを差し引いた「正味の遺産額」が基礎控除額を超えている部分に課税されます。

基礎控除額の計算式は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で求められます。たとえば相続人が3人(配偶者と子2人)なら、非課税枠は4,800万円になります。この枠内に収まる場合は、相続税の申告や納付は不要です。

また、基礎控除とは別に「非課税財産」として扱われるものも存在します。のちほど詳しく解説しますが、生命保険金や死亡退職金には非課税枠が設定されているほか、墓地や仏壇などは課税対象から除外されるものもあります。

相続人の範囲と順位を押さえよう

相続税を計算する際には、まず相続の権利がある「法定相続人」を洗い出すことから始まります。法定相続人の範囲と相続の順位は民法により定められています。

まず、配偶者は必ず法定相続人になります。それとは別に、順位としては、第一順位が「子ども」、第二順位が「直系尊属(両親や祖父母など)」、第三順位が「兄弟姉妹」となります。これらの順位は上位の相続人がいる場合に下位の相続人には相続権がないという関係性があります。したがって、子どもがいる場合は配偶者と子どものみが法定相続人となり、両親や兄弟姉妹には原則として相続権は発生しません。

兄弟姉妹に相続権が発生するのは、子どもも直系尊属もいない場合に限られます。たとえば、配偶者以外の家族がすべて既に亡くなっているようなケースでは、兄弟姉妹が相続人となります。

相続税の対象となる財産・対象外となる財産

相続税の対象となる財産は「金銭に見積もることができる経済的価値のあるすべて」が該当します。また、財産には収益につながる権利も含まれます。以下に代表的な財産と非課税扱いの財産をまとめました。

相続税がかかる財産

  • 不動産、預貯金、有価証券(株・投資信託など)、自動車、貴金属、書画骨董など
  • 貸付金、著作権、特許権などの権利

相続税がかからない財産

  • 墓地や墓石、仏壇、仏具、神を祭る道具など日常礼拝をしている物(骨とう的価値がある物や商品として保有している物を除く)
  • 宗教、慈善、学術、その他公益を目的とする事業を行う一定の個人が相続や遺贈によって取得した財産で、公益を目的とする事業に使われることが確実なもの
  • 地方公共団体の条例によって、精神や身体に障害のある人またはその人を扶養する人が取得する心身障害者共済制度に基づいて支給される給付金を受ける権利
  • 相続によって取得したとみなされる生命保険金等のうち、500万円に法定相続人の数を掛けた金額までの部分
  • 相続によって取得したとみなされる退職手当金等のうち、500万円に法定相続人の数を掛けた金額までの部分
  • 個人で経営している幼稚園の事業に使われていた財産で一定の要件を満たすもの(相続人のいずれかが引き続きその幼稚園を経営することが条件)
  • 相続や遺贈によって取得した財産で、相続税の申告期限までに国または地方公共団体や公益を目的とする事業を行う特定の法人に寄附したもの、あるいは、相続や遺贈によって取得した金銭で、相続税の申告期限までに特定の公益信託の信託財産とするために支出したもの

(出典:国税庁

上記の表から分かるように、経済的価値があるものは基本的にほぼすべての物が対象になります。また、非課税扱いになるものは、通常は墓石や仏壇などに限られると考えてよいでしょう。

マイナスの財産も対象になる点に注意

相続税の課税対象には、借金や未払い費用などの「マイナスの財産」も含まれます。これらは相続財産の総額から差し引くことができるため、相続税を減らす効果が見込めます。

代表的なマイナスの財産は以下の通りです。

  • 借入金(住宅ローン・事業ローンなど)
  • 税金や社会保険料の未納分
  • 医療費・介護費などの未払い金
  • 葬儀費用のうち相続税法で認められた支出

ただし、これらは相続開始時点で現実に存在していたものに限られます。また、証明資料の添付を求められることも多いです。必ず、被相続人本人に関するもので、相続開始時点で実在しているものに限定して計上しましょう。

相続税の対象になる「みなし相続財産」とは?

相続税では、形式上は相続ではない財産であっても、被相続人の死亡によって取得されたと見なされるものに課税される場合があります。これを「みなし相続財産」といいます。

みなし相続財産には以下のようなものがあります。

  • 生命保険金(被相続人が契約者・被保険者、相続人が受取人)
  • 死亡退職金(会社から遺族に支給されるもの)

など

これらは、民法上の相続財産には含まれませんが、税法上は相続によって得た財産と扱われるため、原則として相続税の課税対象となります。

また、みなし相続財産には法定相続人1人あたり500万円までの非課税枠が設けられています。たとえば相続人が3人いれば、合計1,500万円までは非課税になります。

相続税の計算方法

次に相続税の計算方法を以下の3ステップで見ていきましょう。

  1. 課税遺産総額の計算
  2. 税額控除の適用
  3. 税率の計算

それぞれ計算例を交えながら見ていきます。また、税率の計算では表から大まかな税額が分かる「早見表」の見方も紹介します。

課税遺産総額の求め方

最初に取り組むのは、課税対象になる「課税遺産総額」の確定です。相続財産を洗い出したうえで、基礎控除や非課税枠を差し引いた残額を算出します。

主な算出手順は以下のとおりです。

  1. プラスの財産(不動産・預貯金・有価証券など)から、マイナスの財産(借金・未払い税金など)を差し引く
  2. 基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を控除する
  3. 「みなし相続財産」にあたる生命保険金・死亡退職金などについて、法定相続人1人あたり最大500万円を差し引く

この3ステップで出た金額が「課税遺産総額」となります。

ちなみに、不動産の価格には固定資産税額のベースとなる「評価額」が用いられます。路線価方式や倍率方式、実勢価格などの計算方法で求められますが、知識がないと算出するのが難しいので、税理士のような専門家に相談した方が安心です。

税額控除の種類と求め方

課税遺産総額が確定したら、そこから税額を減らせる「税額控除」を差し引きます。主な控除には、次のようなものがあります。

  • 基礎控除:3,000万円+法定相続人の数×600万円
  • 配偶者の税額軽減:法定相続分または1億6,000万円のいずれか多い額までは非課税になる
  • 未成年者控除:18歳未満の相続人に対し、成人するまでの年数に応じて控除額が加算される
  • 障害者控除:障害の区分と年齢に応じた控除が受けられる

ここで覚えておきたいのが基礎控除の計算方法です。たとえば法定相続人が3人いた場合は、3,000万円+3人×600万円で4,800万円になります。

税率の求め方と早見表の使い方

相続税は、課税遺産総額が多くなるほど税率が高くなる「累進課税方式」が採用されています。税率は最低10%からスタートし、最高で55%まで段階的に引き上げられます。

国税庁のWebサイトには、各相続人ごとの取得金額に応じた税率と控除額の概要が一目で分かる以下の早見表が掲載されています。

課税遺産総額(各相続人ごとの取得金額)税率控除額
1,000万円以下10%0円
1,000万円超3,000万円以下15%50万円
3,000万円超5,000万円以下20%200万円
5,000万円超1億円以下30%700万円
1億円超2億円以下40%1,700万円
2億円超3億円以下45%2,700万円
3億円超6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円

早見表の使い方は、以下のとおりです。

1.課税遺産総額を法定相続分に基づいて按分する

2.各相続人が相続する額の欄を見る

3.額に応じた税率と控除額を採用する

ただし、実際には個別の税額控除や軽減措置も関係してくるため、あくまで早見表は概算の目安を知るために使いましょう。

相続税はいくらからかかる?計算例を見ながら解説

ここでは、典型的な家族構成や遺産内容をもとに相続税の計算例を3つ紹介します。具体例を見ながら自分のケースをイメージしてみてください。

1.相続人が2人、遺産総額5,000万円のケース

  • 法定相続人:配偶者と子1人
  • 遺産の内訳:不動産3,500万円、現金1,500万円
  • 基礎控除額:3,000万円+600万円×2人=4,200万円

この場合、遺産総額から基礎控除を引いた800万円が課税遺産総額になります。配偶者は配偶者控除によって税額が0になりますので、最終的な相続税額は子2人を合計した80万円です。

2.相続人が1人、不動産中心の遺産4,000万円のケース

  • 法定相続人:配偶者のみ(単独相続)
  • 遺産の内訳:自宅土地建物3,500万円、預金500万円
  • 基礎控除額:3,000万円+600万円×1人=3,600万円

このケースでは、基礎控除を上回っている400万円が課税対象になります。ただし、配偶者が全額相続する場合は配偶者の税額軽減によって、最大1億6,000万円までは非課税になるため、実際の納税はゼロになります。

3.相続人が3人、現金・保険・不動産合わせて8,000万円のケース

  • 法定相続人:配偶者と子2人
  • 遺産の内訳:自宅3,000万円、預金2,000万円、保険金3,000万円(受取人:配偶者)
  • 基礎控除額:3,000万円+600万円×3人=4,800万円

保険金については「みなし相続財産」として扱われますが、1人あたり非課税枠が500万円分認められるため、1,500万円分が非課税扱いになります。その結果、課税対象額は8,000万円-4,800万円-1,500万円で1,700万円になります。

配偶者は配偶者控除によって税額が0になりますので、最終的な相続税額は子2人の合計額である162万5,000円です。

よくある誤解と注意点

相続税を計算するときに「うちは相続税とは無縁だろう」と思い込む人は少なくありません。しかし、実際に計算すると、実は課税ラインを超えていて、慌てて対策するケースもあります。特に以下のような点には注意が必要です。

1.「預金が少ないから大丈夫」は危険

現金や預金が少ない=相続税がかからない、というのは大きな誤解です。不動産や生命保険など、現金以外の資産が評価対象になる点を見落とすと、実際の相続時に想定外の税額が発生することがあります。

2.相続人の人数が税額に与える影響を軽視しない

相続人の数は、基礎控除額や生命保険金の非課税枠に直接関係します。相続人が1人増えるだけで基礎控除額は60万円上がり、保険の非課税枠も500万円増えるため、結果として数十万〜百万円単位で税額が変わることもあります。

3.「とりあえず名義を変えれば終わり」はNG

相続で名義変更をする前提として、相続税の申告が必要な場合は、先に税額を確定させて納付を済ませる必要があります。特に不動産の相続では、遺産分割協議や評価の確定がスムーズに進まないと、名義変更そのものが止まってしまうことがあるので、税務・法律の両面で早めに準備をしておきましょう。

相続税申告手続きの流れ

相続税の申告は、被相続人が亡くなったことを知った日から10ヶ月以内に行う必要があります。申告手続きの一般的な流れは以下のとおりです。

  • 1.相続財産の調査・評価
  • 2.相続人の確定と遺産分割協議
  • 3.課税遺産総額の計算と税額算出
  • 4.相続税申告書の作成・提出(被相続人の死亡時の住所地を所轄する税務署へ提出)
  • 5.納税

1の財産評価と2の遺産分割協議は時間がかかるので注意が必要です。特に財産が多い場合は税理士や司法書士などの専門家に依頼する必要性が高まるので、早めに動き出すようにしましょう。

相続税の納付方法

相続税は、原則として現金で一括納付することが法律で定められています。納付期限は申告期限と同じく、被相続人の死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内で、期限を過ぎると延滞税が課される可能性があります。

ただし、納付時にまとまった現金を用意するのが難しいケースもあるため、現金一括に加えて以下のような方法が用意されています。

相続税の主な納付方法

  • 現金一括納付(原則)
    税務署または金融機関で納税する。オンライン納付にも対応している
  • 延納(年賦払い)
    納税資金を一度に用意できない場合に、最長20年の分割納付が認められる。利子税がかかるので注意。申請には延納申請書や担保提供が必要になることもある
  • 物納(財産で納税)
    現金や延納による支払いが難しい場合に、不動産や株式などの相続財産で納税する方法。事前審査と書類準備が求められる

ただ、基本は申告期限内に「申告と納税の両方を済ませること」が原則です。また、延納や物納を利用する場合でも、申告をしていないと制度の適用自体が受けられないので、まずは期限内の申告を済ませ、そのうえで納付方法の調整を進めましょう。

申告・納付期限を過ぎるとペナルティを受ける可能性も

相続税の申告や納付を期限までに完了できなかった場合は、以下のようなペナルティが発生します。

  • 無申告加算税:期限までに申告しなかった場合に課される
  • 延滞税:納付が遅れた日数に応じて加算される
  • 過少申告加算税:税額を意図的に少なく申告したとみなされた場合に課される

これらは元の納税額に上乗せする形で納める必要があるので、放置すると総額が大きく膨らむ恐れがあります。

これを避けるには、資金がすぐに用意できなくても申告だけは済ませること、納税が難しい場合は延納や物納ができないか相談することが重要です。特に延納と物納は覚えておきたいので、次の見出しで詳しく解説します。

相続税負担を減らすための主な特例

最後に、相続税の負担を減らすための特例と対策法を見ていきましょう。

相続税の特例制度は適用要件や申告期限が厳しく、期限が過ぎたあとから適用することが難しい場合もあります。あらかじめ方法を把握しておき、チャンスを逃さないように実施していきましょう。

配偶者の税額の軽減

配偶者が相続する財産については、「法定相続分」または「1億6,000万円」のいずれか多い方まで非課税になります。
これにより、遺産の大半を配偶者が取得しても相続税ゼロにできるケースもあります。

ただし、すべてを配偶者に集中させると、次の相続(二次相続)で税額が増えることもあるため、長期的な視点に立って相続のバランスを考えましょう。

小規模宅地等の特例

被相続人の住居や事業に使われていた宅地について、最大で評価額の80%まで減額が可能な制度です。

非常に大きな節税効果が見込めますが、適用には「同居していた」「住み続ける」などの条件があるため、申告前に要件をよく確認しておきましょう。

生前贈与

生前贈与を利用すれば、相続前に年間110万円までの贈与税の非課税枠を活用して、少しずつ財産を移動することができます。たとえば10年間継続すれば、1,100万円を無税で次世代に渡すことも可能です。

この制度を利用する場合は、贈与契約書の作成や、受贈者本人の口座の記録を取るなど、贈与の事実を証明できる記録を取っておくことが重要です。

また、相続開始前7年以内(※段階的に3年から7年へ延長)の贈与は原則として相続財産に加算されることや、毎年同時期に同じような額の贈与を繰り返していると、複数年にわたる定期贈与の契約に基づいたものと判断され、課税の対象になる可能性がある点にも注意が必要です。

まとめ・総括

相続税は、財産の内容や家族構成によって控除額や非課税にできる範囲が大きく異なるので、知識がなければ正しい税額を導き出すことはできません。

まずはこの記事で紹介した、対象になる財産や非課税になる財産の範囲、申告先やタイミング、具体的な手続きの流れなどを振り返り、自分の状況と照らし合わせるところから初めてみましょう。

ただ、実際に相続税がかかるか否かは、専門家である税理士に依頼して判断してもらう方がよいです。個人では分からない見落としがあった場合、うっかり申告漏れや納税漏れにつながる恐れがあります。

絶対に避けるべきなのは、1人でやろうとしないことです。慣れない手続きですから、家族や親族、信頼できる税理士などを見つけて、力を借りながら進めていきましょう。

この記事の監修者

白崎 達也 アキサポ 空き家プランナー

一級建築士

中古住宅や使われなくなった建物の再活用に、20年以上携わってきました。
空き家には、建物や不動産の問題だけでなく、心の整理が難しいことも多くあります。あなたが前向きな一歩を踏み出せるよう、心を込めてサポートいたします。

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