公開日:2025.10.27 更新日:2025.10.10
NEW【空き家活用】店舗リフォームの費用や注意点、事例を徹底解説
空き家の活用方法のひとつとして注目されているのが「店舗リフォーム」。改装やリノベーションを施してショップやカフェ、オフィスとして活用すれば、収益化と地域活性化を同時に実現できます。
本記事では、空き家を店舗にリフォームする魅力から法的要件、計画の立て方、運営のポイントまで詳しく解説します。
目次
空き家を店舗リフォームする魅力とメリット

空き家をそのままにしておくと、固定資産税や修繕費などのコストだけが積み重なります。しかし店舗リフォームを行えば、収益化のチャンスへと変えることが可能です。近年は、カフェや雑貨店、シェアオフィスなどへ改装し、地域の交流拠点として成功している事例も多く見られます。ここでは、空き家を店舗にリフォームすることで得られる主な魅力を3つの観点から紹介します。
空き家を店舗にするメリットと具体的な収益化モデル
空き家を店舗へと改装する最大のメリットともいえるのが、収益化です。賃貸として貸し出す場合は安定した家賃収入が得られますし、自ら店舗運営を行えば事業収入に直結します。特に立地条件が良い物件であれば、小規模でも高い集客効果を発揮できるでしょう。
さらに、店舗として稼働させることで、建物の老朽化を抑え、資産価値を維持しやすくなるのもポイント。空き家のままでは価値が下がる一方ですが、店舗リフォームを通じて活用すれば「収益物件」として再評価される可能性も高まります。
空き家を放置するリスクとの比較
一方、空き家を放置するとリスクは深刻です。建物の老朽化が進み、倒壊や雨漏りといった危険が一気に高まります。さらに、不法侵入や放火、不法投棄といった防犯面での不安も増し、近隣住民からの苦情につながるケースも少なくありません。
また、行政から「特定空家等」に指定されれば、「住宅用地の特例」が適用されなくなると、固定資産税の課税標準が最大で6倍に引き上げられる可能性があります。また、「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づき、改善命令や強制解体(行政代執行)の対象になることもあります。
単なる維持コストだけでなく、将来的に大きな出費を強いられる可能性を考えると、店舗リフォームという選択肢は合理的だといえるでしょう。
地域活性化につながる店舗リフォーム
空き家を店舗にリフォームすることは、単に個人の利益にとどまりません。カフェや雑貨店、コミュニティスペースとして再生させれば、人の流れが生まれ、地域全体のにぎわいにつながります。
たとえば、シャッター街となっていた商店街の一角にリノベーションカフェを開いたところ、若者や観光客が訪れるようになり、周辺の商店にも好影響を与えた事例もあります。地域活性化という社会的意義も同時に果たせるのが、店舗リフォームの大きな魅力です。
店舗リフォームの準備と計画【費用・予算の目安】

空き家を店舗に転用する際は、思いつきで改装を始めるのではなく、しっかりとした準備と計画が不可欠です。特に改装範囲や予算の設定、補助金の確認といった段階を踏むことで、無駄な出費や工期の遅延を防ぎ、円滑なリフォームを実現できます。
改装・リノベーションの範囲を決める
まず重要なのは、どこまで改装やリノベーションを行うかを明確にすることです。例えば、壁紙や床材の張り替えなどの内装リフォームだけで十分な場合もあれば、耐震補強や水回りの全面改修など大規模な工事が必要となるケースもあります。
改装範囲を決める際には、想定する店舗業態を基準にするのがポイント。カフェならキッチンや排水設備が必須、雑貨店なら照明やディスプレイ用の什器が必要です。業態に応じた優先順位を付けることで、費用対効果の高いリフォームにつながります。
初期費用と工事費用の目安
店舗リフォームには、もちろん初期費用が発生します。一般的に、内装改修や設備導入にかかる工事費用は数百万円規模になることがほとんどです。小規模な空き家をリフォームしてカフェにする場合でも、100万〜300万円程度は見込んでおく必要があります。
さらに、外観のリニューアルや耐震補強、空調・給排水設備の整備を加えると、500万円以上になるケースも。開業後に必要な什器や家具、広告宣伝費なども含めると、全体で数百万円〜1,000万円規模の予算を想定しておくとよいでしょう。
また、予算を立てる際には、工事費だけでなく、運営コスト(光熱費や人件費)も含めた長期的な資金計画を立てることも大切です。
補助金・助成金の活用方法
費用面の負担を軽減する有効な手段の一つが、自治体の補助金・助成金の活用。空き店舗対策や地域活性化を目的とした制度では、リフォーム費用の一部を補助してもらえる場合があります。
例えば、商店街の空き店舗をリノベーションして出店する場合、工事費用の1/2を上限200万円まで支援する自治体も存在します。また、耐震補強やバリアフリー改修、省エネ設備導入を対象にした補助制度もあり、組み合わせることで実質的な負担を大幅に減らすことができるでしょう。
ただし、補助金は申請期限や条件が細かく設定されているため、施工業者や行政窓口と相談しながら早めに準備することが大切です。
店舗リフォームの具体的な進め方と注意点

空き家を店舗として再生する際には、デザインや設備、そして法規制への対応といった複数の観点を押さえておかなくてはなりません。見た目の印象を整えるだけでなく、安全性や利便性を高める工夫を施すことで、利用者から選ばれる店舗へと成長させることができます。
内装デザインと外観の工夫
店舗リフォームの印象を大きく左右するのが内装デザインと外観です。内装はターゲット層の趣向に合わせて仕上げるのがポイント。カフェであれば木材や自然光を活かした温かみのある雰囲気、アパレルショップなら商品が映えるシンプルで洗練されたデザインが好まれます。
一方で、外観は「集客の入口」といえる重要な要素。通りを歩く人が思わず足を止めたくなるような看板やファサードを意識しましょう。老朽化した建物でも、外壁を塗り直し、照明や植栽を加えるだけで印象は大きく変わります。
設備投資と耐震補強の必要性
空き家を店舗にする場合、設備投資は避けて通れません。空調や照明、給排水設備はもちろん、業態に応じてオーブンや冷蔵庫、音響設備などの導入が必要です。こうした設備の更新は工事費用の大きな割合を占めますが、顧客満足度や運営効率に直結するため、優先度は高いといえるでしょう。
さらに、築年数が古い建物では耐震補強も必須です。基礎や構造部分に不安がある場合は、耐震診断を受け、必要な補強工事を実施するようにしましょう。安全性が担保されていなければ、どれだけ内装や外観を整えても長期的な運営は難しくなります。
保健所・消防法・建築基準法など法規制への対応
店舗として営業するのであれば、法規制への対応もしっかりおさえておきましょう。飲食店なら保健所の営業許可が必要であり、食品衛生法に基づく厨房設備や排水設備の設置基準を満たしておかなくてはなりません。また、延べ面積や用途によっては消防法に基づき、消火器や非常口の設置、火災報知設備の設置が義務付けられる場合があります。
こうした規制を軽視すると、営業開始後に行政から改善指導を受け、追加工事や営業停止といったリスクを負うことになります。リフォームの段階から施工業者だけでなく、行政書士や建築士など専門家と連携しながら、保健所や消防署との事前協議を行うと安心です。
店舗運営を見据えた視点

店舗リフォームだけでなく、持続的に運営し、安定した収益を得ることも考えなくてはなりません。立地条件やターゲット層の設定、集客戦略、コスト管理、そして施工業者選びに至るまで、多角的な視点で計画を立てることが大切です。
立地条件とターゲット層の設定
店舗経営において立地条件は最重要要素のひとつです。駅近や商店街の一角であれば、歩行者の目に入りやすく集客効果も高まります。一方で住宅街や郊外の物件なら、落ち着いた環境を活かし、地域密着型の店舗として差別化を図るのが有効です。
加えて、ターゲット層を明確にすることが成功の鍵となります。学生や若者を狙うなら価格帯を抑えたカフェや雑貨店、ファミリー層を狙うなら広さや駐車場を確保した飲食店、高齢者を意識するならバリアフリーや休憩スペースを備えた店舗が適しています。ターゲットに応じたサービス設計を行えば、リピーター獲得にもつながるでしょう。
集客戦略と運営コストの管理
リフォームによって魅力的な空間を整えても、集客できなければ事業は成立しません。オープン前にはSNSや地域媒体を活用した告知を行い、オープンイベントや割引キャンペーンを実施すると効果的です。口コミを促す仕組みを導入すれば、自然な形で認知度を高められます。
一方で、運営コストをいかに管理するかも重要です。光熱費や人件費は日々発生する支出であり、利益を圧迫する要因になり得ます。LED照明や省エネ型空調の導入、人員配置の最適化など、コスト削減の工夫を積み重ねることで安定的な経営につながります。
施工業者の選び方と注意点
リフォームを依頼する施工業者選びも成功に直結するポイントです。価格だけで判断するのではなく、過去の施工事例や専門性、アフターサポートの有無も確認しておくと安心です。飲食店や美容室など業種ごとに必要な知識が異なるため、経験豊富な業者を選ぶとスムーズに進みます。
契約前には見積もりの内容を細かく確認し、追加費用が発生しやすい項目を把握しておくことも大切。複数の業者から相見積もりを取り、比較検討したうえで信頼できるパートナーを選定すれば、後々のトラブル回避につながるでしょう。
空き家を店舗として活用した事例
アキサポで実施した、空き家の店舗リフォーム事例を3件ご紹介します。
事例①:【東京・小石川】築年数不明の長屋がオシャレなバル&カフェに

| 建築年月 | 不明 |
| 延床面積(2棟) | 27.26㎡ |
| 構造 | 木造2階建 |
アキサポ物件第一号となった『小石川かふぇ』。築年数不明の3棟連なる木造長屋をリノベーションしたものです。近隣に飲食店は多くあるものの、地域住民の方がゆっくりと過ごせる場所がなく、またカフェバルを創業したいというご希望もあったことから、地域に愛されるバル&カフェに生まれ変わりました。
事例②:【東京・千駄木】昔ながらの木の素材感を残してリノベーション

| 建築年月 | 築50年(お問合せ時) |
| 延床面積 | 約55.59㎡ |
| 構造 | 木造セメント瓦葺2階建 |
東京地下鉄千代田線「千駄木駅」から徒歩4分の場所にある物件。約10年ほど空き家状態になっており、全体的な損傷も酷い状態でした。改修工事では、下町情緒あふれるこの街になじみながらも目を惹くような外観を意識。内装も昔ながらの木の素材感を残しながら洗練された空間にリノベーションし、和モダンカフェ&食事処『粋黒』として再出発しています。
事例③:【東京・新宿】エンタメ施設に生まれ変わった新聞社の保有物件

| 建築年月 | 1991年7月 |
| 延床面積 | 約206.36㎡ |
| 構造 | 鉄骨造2階建 |
本物件の所有者は毎日新聞社。保有不動産の有効活用を検討されており、当社の“空き家問題を解決しながらコミュニティ拠点を創出し、地域貢献を目指す”というサービス理念にご共感いただき、協業事業を実施することになりました。当社で事業者募集や改修工事を実施し、秋葉原で人気の脱出ゲーム『東京密室』の2号店としてリノベーション。体験型ゲーム・イベントで、若者が集まるエンターテイメント性の高い拠点づくりを目指しています。
まとめ
空き家を店舗にリフォームすることは、放置によるリスクを回避しつつ、収益化と地域貢献を同時に実現できる有効な方法です。適切に改装を施せば、家賃収入や事業収入を得られるだけでなく、地域に新しいにぎわいを生み出し、空き店舗対策や地域活性化にもつながります。
ただし、成功のためには入念な準備が欠かせません。改装範囲や初期費用の設定、補助金の活用、法規制への対応などを押さえたうえで、立地条件やターゲット層を見極めることが重要です。さらに、施工業者の選定や集客戦略、運営コストの管理といった実務面も、長期的な収益化に直結します。
空き家の店舗リフォームをスムーズに進めるためには、専門家のサポートを受けると安心。アキサポなら、各地域の特性や物件価値などを見極めながら、適切なリフォーム案をご提案いたします。ご相談だけでもOKですので、まずはお気軽に電話やWEBからお問い合わせください。
この記事の監修者
岡崎 千尋 アキサポ 空き家プランナー
宅建士/二級建築士
都市計画コンサルタントとしてまちづくりを経験後、アキサポでは不動産の活用から売買まで幅広く担当してきました。
お客様のお悩みに寄り添い、所有者様・入居者様・地域の皆様にとって「三方良し」となる解決策を追及いたします。