公開日:2025.11.16 更新日:2025.11.14
NEW不動産投資とは?初心者にもわかる仕組み・メリット・リスクを徹底解説
不動産投資とは、マンションやアパートなどの物件を取得し、賃貸や売却によって収益を得る資産運用のひとつです。株式投資や投資信託と比べて実物資産を保有できる安心感があり、毎月の家賃という安定した収益が期待できるといったメリットがあります。
その一方で、空室リスクや修繕費、ローン返済など、事前に理解しておくべきポイントも多くあります。本記事では、不動産投資の基本的な仕組みから収益モデル、メリット・デメリット、具体的な始め方までを解説していきます。
目次
不動産投資とは?基本の仕組みと収益モデル

不動産投資で利益を得る方法には、大きく2つのパターンがあります。ここでは不動産投資の定義と、収益を生み出す基本的な仕組みについて見ていきましょう。
不動産投資の定義と収益の出し方
不動産投資とは、収益を目的に不動産を購入し、賃貸や売却を通じて利益を得る投資手法です。代表的なのは、入居者から家賃を得る「賃貸収入」と、物件を高く売却して得る「売却益」です。多くの投資家は、安定した家賃収入を軸に長期的な資産形成を行っています。
収益性を判断する際には、年間家賃収入を物件価格で割った「表面利回り」や、経費を差し引いた「実質利回り」が用いられます。自己資金だけでなくローン活用によってレバレッジを効かせられる点も、不動産投資の大きな特徴といえます。
インカムゲインとキャピタルゲインの違い
不動産投資の収益は、「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」に分けられます。インカムゲインは、物件の保有期間中に得られる家賃収入のことで、毎月安定した収益が期待できます。
一方、キャピタルゲインは、購入時より高値で物件を売却した際に得られる利益です。日本の不動産市場では、急激な値上がりは起こりにくい傾向にあるため、インカムゲインを重視した長期運用が主流です。
ただし、都心部や再開発エリアの物件ではキャピタルゲインを狙えるケースもあります。どちらを重視するかは投資目的や保有期間、物件の立地条件などによって変わってきます。
他の資産運用との違い(株式・投資信託など)
不動産投資の特徴は、実物資産を登記によって権利保全し、保有できる点にあります。株式や投資信託のように市場の変動に左右されにくく、インフレ時にも価値を維持しやすいのが強みです。また、家賃という定期的なキャッシュフローを得ながら、ローンを活用して資産を拡大できるのも特徴です。
一方で、株式などと比べて流動性が低く、すぐに現金化できないというデメリットもあります。初期費用が高額になりやすい点も注意が必要です。
さらに、不動産は減価償却費を経費として計上できるため、節税効果が期待できるのも魅力のひとつ。安定性と資産性の両立を目指す方に適した投資手法といえるでしょう。
【種類別】不動産投資の主な種類と特徴

不動産投資には多様な対象があり、必要資金やリスク、運用の手間もさまざま。まずは代表的なタイプを理解し、資金力・目標利回り・運用体制に合う選択肢を見極めましょう。
区分マンション投資
区分マンションはマンションの一室を購入して賃貸する方式で、比較的少額から始めやすいのが魅力です。駅近など需要が強い立地を選べば入居が決まりやすく、管理組合の修繕計画により手間も抑えられます。
ただし、管理費・修繕積立金が毎月発生し、区分所有のため意思決定の自由度は限定的になります。空室時は賃貸借契約に基づく収入がゼロになるリスクもあります。
中古物件を選べば初期投資を抑えられますが、築年数によっては修繕リスクも高まるため、物件選びは慎重に行う必要があります。
一棟アパート・マンション投資
一棟投資は、建物全体を取得し、複数戸から家賃収入を得る手法です。空室の影響を分散しやすく、内装や設備の改善も自分の裁量で進められるため、収益改善の余地が大きい点が利点です。
その反面、初期投資は高額で融資審査も厳格になり、修繕や共用部の維持費は全額自己負担。管理委託費も膨らみやすいため、購入前に長期修繕計画と資金繰りを精緻にシミュレーションしておきましょう。
一戸建て・中古住宅投資
戸建て投資は、ファミリー層の長期入居が見込めるため、空室回転を抑えやすい傾向があります。中古を選べば初期費用を抑えやすく、リフォームで付加価値を高める戦略も有効。地方では空き家活用で取得単価を下げられる可能性もあります。
ただし、屋根や外壁など、大規模修繕の費用がまとまって発生することがあります。(これら大規模修繕は、固定資産の維持管理に該当し、税務上の費用計上対象となり得ます)
土地と建物の両方を管理する必要があるため、購入前の建物調査と修繕積立の設計が肝心です。
商業用不動産(店舗・オフィス)・民泊・空き家活用
住居用不動産以外にも、さまざまな投資対象があります。
店舗やオフィスなどの商業用は賃料単価が高い一方、景気や立地の影響を受けやすく専門性も求められます。民泊は観光地や都心で高収益が狙えますが、法規制・稼働率の変動が大きい点に要注意。
空き家活用は、地方の空き家を格安で取得し、賃貸や民泊として運用する方法です。社会貢献と収益性を両立できますが、リノベーション費用や運営ノウハウが必要になります。
いずれも知識・経験が成果を左右するため、事前リサーチと専門家のアドバイスも参考にしながら検討しましょう。
不動産投資のメリット・デメリット

不動産投資には魅力的なメリットがある一方で、見落としがちなデメリットやリスクも存在します。自分に合った投資スタイルを見極めるためにも、まずは基礎を押さえましょう。
メリット(安定収入・節税・資産形成など)
不動産投資の魅力は、毎月の家賃収入という“安定したキャッシュフロー”が得られることにあります。株式のように価格変動に左右されにくく、長期的な視点でコツコツと資産を増やすことが可能です。
さらに、建物の減価償却費や管理費、ローン利息などを経費計上できるため、節税にも繋がります。給与所得と損益通算することで、税金の還付を受けられるケースも。
ローンを活用すれば自己資金以上の投資も実現でき、インフレ時の資産防衛にも有効です。(ただし、金銭消費貸借契約に基づく債務であるため、返済義務は厳格です)
相続時の評価額が(適切に評価することで)現金より低くなることも多く、相続税対策としてもメリットがあります。
デメリット:空室リスク、流動性の低さ、費用負担など
一方で、不動産投資には注意すべきデメリットもあります。代表的なのは「空室リスク」です。
入居者が見つからない期間は家賃収入が途絶え、ローン返済の負担だけが残ります。さらに、不動産は流動性が低く、売却したくてもすぐに買い手が見つからない可能性もあります。
購入時には仲介手数料や登記費用、不動産取得税などの初期費用がかかるほか、保有後も管理費・修繕費・固定資産税・都市計画税などのコストが継続的に発生します。
建物の老朽化に伴う修繕リスクや、災害・金利上昇リスクなども考慮が必要です。想定外の出費に備える余裕資金を確保しておくことが欠かせません。
リスクとリターンの考え方
不動産投資におけるリスクとリターンは常に表裏一体です。高い利回りをうたう物件ほど、空室や老朽化などのリスクを抱えている可能性が高いことを理解しておきましょう。
たとえば、地方物件は都心より利回りが高い傾向にありますが、人口減少により空室や価格下落のリスクが大きくなります。築年数の古い中古物件も同様です。表面利回りだけで判断せず、実質利回りやリスク要因を含めた総合的な分析が重要です。
また、一つの物件に資金を集中させず、複数物件や他の投資手段と組み合わせてリスク分散を図るのも有効。専門家に相談しながら、自身のリスク許容度に合った投資戦略を立てましょう。
初心者が押さえるべき不動産投資の始め方

不動産投資を成功させるには、やみくもに始めるのではなく、事前の準備と計画が不可欠です。ここでは、投資初心者が最初に取り組むべき3つのステップを解説します。
投資目的と資金計画の立て方
不動産投資を始める際は、まず「なぜ投資をするのか」を明確にすることが大切です。老後の生活資金の補填、相続税対策、早期リタイアなど、目的によって適した投資手法は異なります。
次に、自己資金と毎月返済に充てられる金額を把握しましょう。一般的には、物件価格の2〜3割程度の自己資金を用意できると融資を受けやすくなります。
ただし、生活費や緊急時の資金を残しておくことも忘れずに。長期運用を見据え、将来のキャッシュフローを予測することが重要です。空室や金利上昇といったリスクも織り込んだうえで、無理のない投資計画を立てましょう。
物件選びの基準と情報収集方法
不動産投資の成果を大きく左右するのが、物件選びです。中でも最も重視すべきは立地条件。駅からの距離や周辺環境、人口動向、再開発の有無などを多角的にチェックしましょう。
区分マンションにするか一棟投資にするか、新築か中古かによってもリスクや利回りが変わります。中古物件は価格が手頃で利回りも高めですが、修繕費や融資条件に注意が必要です。
情報収集では、ポータルサイトだけでなく、地域の不動産会社を訪ねて現地の声を聞くことも有効。家賃相場や管理会社の評判、空室率などもリサーチしておくと安心です。初心者のうちは、都心部や人気エリアの区分マンションなど、リスクを抑えた物件から始めるのがおすすめです。
ローン活用と収支シミュレーションの基本
不動産投資では、ローンをうまく活用することで少ない自己資金でも資産形成を進めることが可能です。金融機関の審査では、年収や勤務先、勤続年数、自己資金額、物件の担保価値などが評価されます。年収が高く自己資金が多いほど、有利な条件で借入できる傾向があります。金利には固定金利と変動金利があり、将来の金利動向も踏まえて選ぶことが大切です。
収支シミュレーションでは、家賃収入からローン返済額・管理費・修繕積立金・固定資産税などを差し引いた実質収支を算出します。さらに、空室率や家賃下落リスクも加味した現実的な計算を行いましょう。節税効果に頼りすぎず、長期的に安定した黒字運営を見込める物件を選ぶことがポイントです。
不動産投資にかかる費用・税金・管理の注意点

不動産投資は、物件を購入したら終わりではありません。購入時だけでなく、保有・運用の過程でもさまざまな費用や税金が発生します。ここでは、費用・税金・管理の3つの観点から詳しく見ていきましょう。
初期費用・運用費用の内訳
不動産投資を始める際には、物件価格以外にも多くの初期費用がかかります。主な内訳としては以下です。
・仲介手数料(宅地建物取引業法で定められた上限:物件価格の3%+6万円+消費税)
・登記費用(登録免許税・司法書士報酬・不動産登記法に基づく必要書類の費用等)
・不動産取得税(課税標準額に3〜4%の税率が適用)
・火災保険料
これらを合わせると、物件価格の7〜10%ほどが目安です。運用を始めた後も、区分マンションなら管理費や修繕積立金、一棟物件なら管理委託料(家賃の5〜10%程度)が毎月発生します。
さらに、固定資産税や都市計画税、退去時のリフォーム費、大規模修繕なども想定しておく必要があります。こうした費用を見積もったうえで実質利回りを計算することが大切です。
不動産所得と税金(所得税・固定資産税など)
不動産投資による家賃収入は「不動産所得」として課税対象になります。所得額は、家賃収入から管理費・修繕費・減価償却費・ローン利息・固定資産税などを差し引いて算出されます。給与所得がある方は、不動産所得と合算して総合課税される仕組みです。初期のうちは減価償却によって赤字計上できるケースもあり、節税効果が期待できます。
ただし、規模が小さい場合や事業性が認められないと判断される場合は、損益通算できる範囲に制限がある点に注意しましょう。固定資産税は毎年1月1日時点の所有者に課税され、土地・建物の評価額に応じて金額が決まります。
さらに、物件を売却した際には不動産を譲渡したことによる譲渡所得税がかかり、保有期間5年超/以下を境に税率が大きく変わります。税金の仕組みは複雑なため、不明点は税理士など専門家へ相談しましょう。
物件管理の選択肢(自主管理・管理会社)
賃貸経営を安定させるには、日々の物件管理が欠かせません。管理方法には、自分で行う「自主管理」と、専門業者に任せる「管理会社への委託」の2パターンがあります。
自主管理はコストを抑えられる反面、入居者募集・家賃回収・トラブル対応など、時間と労力がかかります。本業との両立が難しい場合や遠方の物件では現実的ではありません。
一方、管理会社に委託すれば、家賃の5〜10%程度の手数料が発生しますが、入居者対応や日常管理を任せられ、安心感があります。会社によってサービス内容は異なり、賃貸募集のみ、日常管理込み、サブリース(家賃保証)対応などさまざま。サブリースは空室リスクを軽減できますが、家賃が相場より低くなる点や、借地借家法や民法の適用(特に借地借家法第32条)を巡り、契約解除や賃料減額の可能性がある点には注意が必要です。
初心者は、信頼できる管理会社に委託し、契約内容をしっかり確認しておくのが安心です。
失敗しないための注意点と成功のポイント

不動産投資で成功するには、失敗事例から学び、適切な準備と情報収集を行うことも欠かせません。リスクを事前に知り、正しい準備と判断を積み重ねていくことが大切です。ここでは実際によくある失敗とその対策を見ていきましょう。
よくある失敗例とその原因
不動産投資で多い失敗のひとつが、「表面利回りの高さだけで物件を決めてしまう」ことです。高利回りに見えても、実際には空室が多かったり、修繕費がかさんだりして、結果的に収益が伸びないケースは少なくありません。
また、「新築ワンルームマンションを営業トークに乗せられて購入してしまう」失敗も代表的です。新築プレミアムが価格に含まれているため、数年後に資産価値が下がりやすく、売却時に損失が出ることもあります。
さらに、「フルローンでの投資」は返済負担が大きく、金利上昇や空室が発生した際にキャッシュフローが急激に悪化するリスクも。地方物件に安易に手を出して入居が続かないケースもあるため、投資初心者は慎重に判断することが大切です。
情報収集とシミュレーションの重要性
不動産投資では、情報の質とシミュレーションの精度が成功を左右します。立地や築年数といった表面的な条件だけでなく、周辺の家賃相場、空室率、人口動態、開発予定など、複数の要素を総合的に分析することが大切です。
情報源はポータルサイトだけでなく、現地の不動産会社や自治体の公開資料、現場見学など、幅広く活用しましょう。収支シミュレーションでは、空室や家賃下落、金利上昇などの“もしも”を想定し、厳しめの条件で計算することがポイント。
ローン返済の見通しや、売却時の出口戦略をあらかじめ立てておくことで、長期的に安定した運用が可能になります。数字だけでなく、自分のライフプランと照らし合わせた現実的なシナリオを描きましょう。
信頼できるパートナー・専門家の選び方
不動産投資は、一人で完結できるものではありません。信頼できる専門家やパートナーを見つけることが、安定した運用を支える大きな鍵となります。
まず重要なのが、不動産会社選び。実績があり、メリットだけでなくリスクも誠実に説明してくれる会社を選びましょう。強引な営業より、相談ベースで提案してくれる担当者が理想です。管理会社を選ぶ際も、入居率・対応スピード・評判などをチェックし、地域に根ざした会社かどうかも見極めポイントです。
また、税金や相続対策は税理士やファイナンシャルプランナーに相談することで、節税効果を最大限に引き出すことも可能です。融資に関しては複数の金融機関を比較し、条件交渉を行う姿勢も大切です。
まとめ|不動産投資の第一歩は、正しい知識と計画から
不動産投資は、家賃収入による安定したインカムゲインと、将来的な資産価値の上昇を見込める魅力的な資産運用です。とはいえ、空室や修繕、税金などのリスクも伴うため、知識と準備が欠かせません。
まずは、自身の投資目的と資金計画を明確にし、長期的な視点でシミュレーションしましょう。表面利回りだけでなく、経費を差し引いた実質利回りで判断し、信頼できる管理会社や専門家と連携することで、安定した運用が可能になります。正しい知識を積み重ねながら、自分に合ったペースで一歩ずつ前進していきましょう。
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この記事の監修者
白崎 達也 アキサポ 空き家プランナー
一級建築士
中古住宅や使われなくなった建物の再活用に、20年以上携わってきました。
空き家には、建物や不動産の問題だけでなく、心の整理が難しいことも多くあります。あなたが前向きな一歩を踏み出せるよう、心を込めてサポートいたします。