公開日:2025.12.04 更新日:2025.11.19
NEW不動産売却の流れと基礎知識|初めてでも失敗しないための完全ガイド
不動産を売却する際には、あらかじめ基礎知識や手続きの流れを把握しておくことが重要です。
必要書類の準備、売却理由の整理、相場調査など、スムーズに進めるための要点を理解しておくことが大切といえます。不動産は高額資産であり、慎重かつ確実に進める姿勢が求められます。
本記事では、不動産売却の目的や手順、査定依頼時のポイント、不動産会社の選び方、契約形態の違いなどを体系的に解説します。
売却費用や税金(譲渡所得税・住民税など)の仕組み、確定申告の流れまでをわかりやすくまとめ、初心者がつまずきやすい疑問にも対応しています。
不動産売却では、事前準備が成功の分かれ道となります。売却のスピードや価格は、情報収集と戦略次第で大きく変わります。そのため、余裕を持って計画を立てることが重要です。本記事を参考に、手続きの全体像を理解した上で、自信をもって売却を進めていきましょう。
目次
不動産売却の目的と概要

不動産を売却する際は、まず「なぜ売るのか」という目的と全体の概要を明確にしておくことが重要です。売却の目的を整理しておくと、後の判断がぶれにくくなります。
たとえば、住み替え・資金調達・相続不動産の処分など理由を具体化すれば、必要書類や費用、スケジュールを計画しやすくなります。加えて、市場相場や諸費用の目安を把握しておくことで、売り出し価格の設定や不動産会社との交渉を有利に進められるでしょう。
さらに、売却の流れを事前に理解しておくと、各ステップで必要な対応を把握でき、不測の事態にも冷静に対処しやすくなります。とくに売却活動の期間・内覧対応・価格交渉などの手間は、所要時間を見積もっておくことで余裕をもって進められます。また、売却後の確定申告といった後工程も事前に把握しておくと、手続きを円滑に進められます。
不動産売却を検討する主な理由
不動産を売却する主な理由には、相続・離婚に伴う財産分与、住み替え、ローン返済や資金確保などがあります。
なかでも相続で取得した不動産は、維持費や管理負担を考慮して売却した方が合理的な場合もあります。ライフステージの変化により住環境を変えたいときや、他の投資へ資金を振り分けたいケースも同様です。目的が明確であれば、売却判断をスムーズに下しやすくなります。
売却に必要な書類と事前準備のポイント
不動産を売却する際には、登記簿謄本(登記事項証明書)や固定資産税納税通知書、本人確認書類など、複数の書類が必要です。
登記情報や測量図などを正確に揃えておくことで、査定や売買契約が円滑に進みます。また、修繕履歴や設備保証書などを整理しておくと、買主への信頼性を高め、価格交渉でも有利に働きます。
不動産売却の流れ|7つのステップ

不動産売却を円滑に進めるための具体的な手順をステップごとに整理します。
不動産を売却する際には、相場調査や査定、媒介契約、売却活動、売買契約、決済、確定申告といった流れを順に踏んでいくことが一般的です。初期段階で周辺の売却事例や市場状況を把握し、不動産会社に査定を依頼して価格の目安を確かめます。複数の不動産会社から査定結果を比較するのが、より良い条件で売るための第一歩です。
媒介契約を結んで売却活動を開始したら、内覧対応や価格交渉を経て売買契約を締結し、決済・引き渡しまで進めます。最後に譲渡所得の確定申告を行い、すべての手続きが完了します。各ステップの要点を押さえておけば、スケジュールを立てやすく、トラブルも防ぎやすくなります。
ステップ1:相場調査と一括査定の活用
周辺の成約事例や市場動向を調べ、自身の不動産がどの程度の価格で取引されているかを把握しておくことが大切です。
一括査定サービスを活用すると、複数の不動産会社から見積もりを取得でき、価格・対応・提案内容を比較できます。こうした初期段階の情報収集が、売却成功の確率を高める第一歩です。
ステップ2:不動産会社選びと媒介契約の結び方
不動産会社を選ぶ際は、査定金額だけでなく実績や対応力、担当者の信頼性も重視しましょう。
媒介契約には、一般媒介・専任媒介・専属専任媒介の3種類があり、それぞれ売却活動の自由度や報告義務が異なります。目的に合った契約形態を選ぶことで、売却活動を効率的に進められます。
ステップ3:売却活動と広告戦略
契約後は、不動産ポータルサイト掲載やチラシ配布などを通じ、物件の魅力を訴求します。
地域密着型の手法から全国規模の広告展開まで、ターゲット層に合った戦略を練ることが大切です。効果を見ながら価格や広告内容を見直し、早期売却を目指しましょう。
ステップ4:内覧対応と価格交渉のコツ
内覧時に良い印象を与えるためには、室内の清掃や明るい照明、できる範囲での修繕などが効果的です。
買主が納得する妥当な価格帯を提示したり、価格面で譲歩するタイミングを見極めたりする交渉力も求められます。プロの営業担当者と連携して、柔軟に対応していくことがスムーズな合意につながります。
ステップ5:売買契約と手付金の受領
買主が決まったら、宅地建物取引士による重要事項説明を受け、契約内容を確認します。
契約締結時に手付金を受け取りますが、民法や宅地建物取引業法の定めにより、その扱い次第で契約解除や違約金の可否が変わるため注意が必要です。
ステップ6:決済と引き渡しの手順
決済日には残代金を受領し、鍵と登記関係書類を買主に引き渡します。
抵当権がある場合は抹消登記を同時に行い、所有権移転登記が完了して初めて引き渡しが成立します。銀行や司法書士と事前に流れを確認しておくと安心です。
ステップ7:確定申告を忘れずに
売却で得た譲渡所得は原則として確定申告が必要です。
3,000万円特別控除などの特例が適用できる場合もあるため、事前に税金計算を確認しておくと節税につながります。申告期限を過ぎると加算税の対象となるため、余裕をもって手続きを進めましょう。
不動産査定時に押さえておきたいポイント

不動産売却価格を決めるうえで欠かせないのが、査定の活用ポイントです。
売り出し価格の設定は、売却期間や交渉のしやすさに直結します。駅や交通アクセス、日当たり、建物の状態や築年数など、多角的な要素を踏まえて査定を行うのが理想です。訪問査定は現地で物件の状態を確認できるため、より精度の高い査定額を得やすい方法といえます。
一方、簡易査定は迅速な反面、物件の細部を反映しづらいため、あくまで相場の目安として利用するのが適切です。複数の不動産会社に査定を依頼し比較することで、市場での評価を客観的に把握できます。査定結果をもとに価格戦略を立て、売却活動をスムーズに進めましょう。
簡易査定と訪問査定の違い
簡易査定(机上査定)は物件の住所や面積、築年数などの基本情報をもとに、実際の売買事例などを参考にしておおよその査定額を算出します。訪問査定は、実際に不動産会社の担当者が物件を確認し、リフォーム履歴や日当たり、設備の状態などを加味して査定額を提示する方法です。それぞれの特徴を理解し、売却のスケジュールや目的に合わせて使い分けるのが得策です。
査定前に確認すべき書類と物件のチェック項目
事前に登記事項証明書(登記簿謄本)や固定資産税納税通知書、建築確認済証などを用意しておくと、査定が円滑に進みます。
古い建物では、過去のリフォーム・修繕履歴を整理しておくと査定額の裏付けになります。また、設備の動作確認やマンション共有部分の管理状況も査定に影響するため、チェック項目として事前に確認しておきましょう。
不動産会社の選び方と媒介契約の種類
信頼できる不動産会社を見極めるために、媒介契約の違いや選択基準を把握しておきましょう。
不動産会社には大手と地元密着型があり、それぞれに強みと特徴があります。大手は広告力が高く、広範囲に買主を探しやすい一方、地元密着型は地域情報や対応力で優れています。高額資産を扱うため、担当者の知識・交渉力・誠実さが売却成功を左右します。
媒介契約を結ぶ際は、一般・専任・専属専任媒介の違いを理解しておくと、希望する売却スピードや情報管理がしやすくなります。信頼できる不動産会社を選ぶには、取引実績や口コミを確認し、複数社を比較検討することが重要です。
一般・専任・専属専任媒介の特徴とメリット・デメリット
一般媒介は複数社と契約できるため幅広く売却活動を行えますが、業務報告義務がないため進捗管理が難しい場合があります。
専任媒介・専属専任媒介は1社のみと契約するため、定期的な報告が義務付けられ、積極的な売却活動が期待できます。ただし、窓口が1社に限定されるため、広範囲に買主を探すには工夫が必要です。契約形態ごとの特性を理解し、自分の希望に合った方法を選びましょう。
大手不動産会社と地元不動産会社の選択基準
大手は全国規模のネットワークや広告媒体を活用できるため、多くの買主候補に物件をアピールしやすい利点があります。
一方、地元不動産会社は地域に精通しており、周辺事情や地元の買主ニーズを把握しているため、きめ細かな提案が期待できるでしょう。物件の種類や売却目的、期間なども踏まえ、自分の条件に最適な会社を選ぶと良い結果につながります。
適正な査定額と信頼できる不動産会社を見極めるには
高額査定は魅力的に見えますが、相場から乖離した金額を提示する会社を鵜呑みにするのは危険です。
根拠のない高額査定は、市場との乖離を招き、売却の長期化や値下げにつながるおそれがあります。客観的なデータと根拠を提示し、丁寧に説明する会社こそ、信頼できるパートナーといえます。
売却を成功に導くためのポイント

不動産をスムーズに売却するためには、価格や内覧対応など事前の対策が欠かせません。
物件を魅力的に見せるには、適正な売り出し価格を設定し、需要が高まる時期やターゲット層を見極めることが重要です。価格が高すぎれば内覧希望者が減り、安すぎれば資産価値を損ねるおそれがあります。
周辺の成約事例を参考に、不動産会社の助言を受けながら価格交渉の余地を残すことが、戦略的な売却につながります。
売り出し価格の適正設定と需要の把握
市場の需給バランスを適切に理解することで、需要が高い時期に適正価格で物件を売り出すことができます。
近隣の成約事例や築年数、周辺環境の変化などの要素を総合的に捉え、価格を決めることがポイントです。あまりに安く設定すると損失が出る恐れがある一方、相場とかけ離れた高値設定では売却が長期化するリスクが高まります。
内覧で好印象を与えるための準備
内覧前には、清掃・換気・生活感を抑えたインテリア演出を心がけましょう。
照明やカーテンを調整して明るく広く見せる工夫も効果的です。こうした工夫で買主の印象が良くなり、購入意欲を高められます。
契約書・重要事項の確認とトラブル回避
不動産売却では、契約書や重要事項説明書を確認することが不可欠です。
引渡し条件・設備・境界など、後に紛争となりやすい項目は早めに確認し、トラブルを防止しましょう。不明点は宅建士や専門家に相談し、納得したうえで進めることが大切です。
費用・税金と確定申告の基礎知識
不動産売却に伴う費用や税制、確定申告に関する基本知識を整理しておきましょう。
主な費用には、仲介手数料・印紙税・抵当権抹消登記の費用などがあります。仲介手数料は不動産会社への報酬で、上限は宅地建物取引業法で定められており、事前に概算を算出できます。売却価格だけでなく、諸経費や税金を加味して手取り額を把握しておくことが大切です。
売却益が出た場合は「譲渡所得」として課税されます。ただし、自宅の売却で一定の要件を満たせば「3,000万円特別控除」を受けられる場合があります。売却後に必要な確定申告の期限や手続きを把握し、計画的に進めることで延滞税などのペナルティを避けられます。
不動産売却にかかる主な費用と内訳
不動産売却に伴う費用としては、不動産会社への仲介手数料のほか、売買契約書に貼付する印紙税、所有権移転や抵当権抹消の登録免許税などがあります。
マンションなどでは管理費や修繕積立金の清算なども発生する場合があるため、意外に出費が多くなることもあります。あらかじめリストアップして、想定外の支出を極力減らすように心がけると、売却計画をスムーズに立てられます。
譲渡所得と税金、特別控除について
不動産売却で得た利益(譲渡所得)には所得税と住民税が課されます。
所有期間(短期・長期)や物件種別により税率が異なり、自宅の場合は「3,000万円特別控除」などの優遇措置が受けられます。こうした制度を活用すれば、大幅な節税につながる可能性があります。税理士や税務署に相談しながら、最適な申告方法を検討しましょう。
確定申告の手続きと提出期限の注意点
譲渡所得が生じた場合、原則として翌年の確定申告で申告が必要です。
提出期限は毎年3月15日(※年により変動)前後となります。期限を過ぎると延滞税や加算税が課されるため、余裕をもって書類を準備し、計画的に申告を行いましょう。
よくある質問(FAQ)

売却期間や仲介手数料など、不動産売却に関するよくある疑問にお答えします。
初めて不動産を売却する方にとって、具体的なスケジュールや諸費用、売却活動の進め方など、分からないことは多いでしょう。ここでは、よく耳にする疑問点を取り上げながら、基礎的な考え方を解説します。個々のケースによっては細かな条件が変わることもありますので、詳細は不動産会社や専門家に相談するのがおすすめです。
売却期間や手数料、ローン残債との兼ね合いなど、疑問を一つひとつ解消していくことで、安心して売却活動を進められるようになります。疑問があれば早めに情報を集め、前向きに問題解決を図る姿勢を持つことが、不動産売却成功の近道です。
Q1:売却活動にはどのくらい期間がかかる?
一般的に、売却開始から決済・引き渡しまで3〜6か月が目安です。市場状況や物件条件によっては短期で売れる場合もあります。早期売却を目指すなら、適正価格の設定・内覧準備・広告戦略の見直しが効果的です。
Q2:不動産会社への仲介手数料はどのくらい?
仲介手数料は宅地建物取引業法で上限が定められ、売却価格に応じて計算されます。通常は成約時に支払い、途中解約の場合は不要なケースが一般的です。契約前に見積もりを取り、内容を確認してから契約しましょう。
Q3:住宅ローンが残っていても売却は可能?
住宅ローンが残っている場合は、残債を完済できるかがポイントです。通常、売却代金でローンを完済し、抵当権を抹消後に引き渡します。売却額が残債を下回る場合は、買い替えローンや任意売却の活用も検討し、不動産会社や金融機関に相談しましょう。
Q4:内覧時に注意すべきポイントは?
内覧時は室内を清潔・整然に保つことが基本です。照明・室温・ニオイなど第一印象に影響する要素にも配慮しましょう。小さな修繕を事前に済ませておくと、買主に好印象を与えられます。
Q5:売却後の手続きや確定申告の進め方は?
売却契約が成立したら、譲渡所得の計算と登記変更の手続きを行います。翌年の確定申告では、必要書類を整え期限内に申告を。特別控除や軽減税率が適用される場合があるため、税理士など専門家に相談すると安心です。
まとめ・総括
不動産売却における基礎知識や手続きの流れ、重要ポイントを総括します。
不動産売却は、相場調査や査定、契約交渉など複数のプロセスを経て完了に至る大きな取引です。それぞれのステップで必要な書類や費用、税金の仕組みを理解し、内覧対応から契約までの流れを把握しておくことで、スムーズかつ満足度の高い売却を目指せます。市場の状況や物件の個性を適切に捉えたうえで、プロの意見も参考に判断を重ねる姿勢が重要です。
売却理由や売却後のライフプランに合った最適な方法を選ぶためには、複数の不動産会社や専門家から情報を集めることが欠かせません。事前準備をしっかりと行い、契約内容や税務面の知識もある程度身につけておくことで、思わぬトラブルを回避しやすくなります。今回ご紹介した基礎知識とポイントを参考に、不動産売却への理解を深めてぜひ成功を勝ち取ってください。
この記事の監修者
山下 航平 アキサポ 空き家プランナー
宅建士/二級建築士
ハウスメーカーにて戸建住宅の新築やリフォームの営業・施工管理を経験後、アキサポでは不動産の売買や空き家再生事業を担当してきました。
現在は、地方の空き家問題という社会課題の解決に向けて、日々尽力しております。