公開日:2025.12.16 更新日:2025.12.02
週末田舎暮らしで叶える二地域居住の魅力とは|田舎暮らしの始め方
平日の慌ただしさに追われ「週末くらいは心を休めたい」と感じる人は少なくないでしょう。そんな思いをかなえる選択肢として注目されているのが、週末だけ田舎へ通う「週末田舎暮らし」です。本格的な田舎暮らしの第一歩としても最適です。
週末田舎暮らしは自然に囲まれた暮らしのためだけでなく、新しい趣味や人間関係を作るきっかけや、本格的な移住へ向けたお試し期間としても注目されています。この記事では、週末田舎暮らしのメリットやデメリット、始めるために必要なコストなどを分かりやすく紹介します。
目次
週末田舎暮らしとは?

週末田舎暮らしとは、都市部に住みながら週末や休日に田舎の家で過ごす「二拠点生活」の1スタイルです。
平日は都市部の利便性を活かしながら働き、週末には自然に囲まれた環境で心を整える。そんな「都市部と田舎のいいとこ取り」ができる暮らし方として、近年注目を集めています。
旅行と似ているようにも思えますが、週末田舎暮らしは第2の拠点で「日常」を過ごすのが目的です。旅行は「特別な体験」、週末田舎暮らしは「新たな日常」と区別すると分かりやすいのではないでしょうか。
それだけに、週末田舎暮らしでは地元の人との交流や買い物、炊事、庭の手入れなど、暮らしそのものに根ざしたリアルな暮らしを体験できます。通い続けるうちに、地域のスーパーや温泉、地元のイベントが「第二の生活圏」になっていくのも魅力です。
別荘やセカンドハウスとの違いは?
週末田舎暮らしに似たスタイルに「別荘」や「セカンドハウス」がありますが、これらは目的が大きく異なっています。
まず別荘はリゾート地で非日常を楽しむための「特別な場所」としての性質が強いです。そのため、主にゴルフや温泉、観光などのレジャーを楽しむ「休日を過ごすための空間」として設計されています。
また、セカンドハウスは、日常的に利用する「もう一つの住まい」という位置づけです。平日の在宅ワーク用として使ったり、長期滞在を前提にした拠点にしたりと、暮らしと密接に関わる使い方が想定されています。
週末田舎暮らしのメリット

多くの人が週末田舎暮らしに「気分転換」を求めていると思いますが、じつはそれ以外にも自分の生活を大きく変える可能性があるメリットを秘めています。ここでは、週末田舎暮らしがもたらす主なメリットを3つ紹介します。
豊かな自然環境で心身をリフレッシュ
週末田舎暮らしの何よりの魅力は、自然に囲まれた環境で心身を癒やせることです。山や海、森など、四季折々の風景に触れるだけでもストレスが和らぎ、心の余裕が戻ってきます。澄んだ空気の中で深呼吸をする。夜に星空を眺める。そんな何気ない瞬間が、日常の疲れをほどいてくれるはずです。
また、自然の中では体を動かす機会も増えるので、健康づくりにもつながります。ハイキングや釣り、キャンプなどのアクティビティを通じて、都会の喧騒から離れて過ごす週末は、心も体も整える「リセットの時間」になるでしょう。
都会と地方の両立で暮らすことで視野が広がる
都市のスピード感と地方の穏やかな時間、その両方を行き来できるのも週末田舎暮らしの魅力です。異なる価値観や暮らし方に触れることで、物事を多角的に見られるようになり、仕事や人間関係に良い影響を得られるかもしれません。
たとえば、地元の農作業や地域イベントに参加するうちに、環境問題や食の大切さ、コミュニティの支え合いなど、都会では見えにくいテーマに気づくことがあります。こうした経験が新しい発想を生み、ビジネスや趣味の幅を広げるきっかけになることも少なくありません。
移住前のシミュレーションになる
実際に地域に通うことで、生活費の感覚や交通の便、スーパー・病院などの利便性をリアルに把握できるため、「いつか田舎に移住してみたい」と考えている人にとっては、週末田舎暮らしはかなり有用な体験になるでしょう。
また、地域の人たちとの関係づくりも体験できるため、「自分や家族がこの土地に馴染めるか」を確かめる貴重な機会になります。
地域のことは実際に暮らしてみないと分からないもの。短期間でも暮らしてみることで、移住に対する不安を減らし、より現実的な計画を立てられるようになるでしょう。
週末田舎暮らしのデメリット

週末田舎暮らしには多くのメリットがありますが、その反面クリアすべき課題もつきものです。実際に始めてみると、「思ったよりお金がかかる」「時間のやりくりが大変」と感じる人も少なくありません。ここでは、代表的なデメリットとその対策を見ていきましょう。
交通費・移動時間が増えるリスク
週末田舎暮らしは毎週都市と地方を行き来するため、交通費や移動時間の負担は避けられません。特に遠方の地域を選ぶと、次第に交通費が負担に思えてきたり、運転や渋滞で疲労したりといったことにもなりかねません。滞在時間よりも移動時間が長くなる「移動疲れ」は特に要注意です。
また、車が必須のエリアを選ぶ場合は、車の購入費や維持費、保険料などがかかることも忘れてはいけません。
対策としては、移動の手段やルートを複数用意しておく、早割や回数券を活用するなどが考えられます。また、移動そのものを楽しむつもりで、ドライブや車中泊を組み合わせるのも一つの方法でしょう。
維持管理やコミュニティ負担への備え
新たな拠点を持つことは、管理の手間が2倍になることでもあります。ここをおろそかにしてしまうと、雑草や虫が発生したり、建物が劣化したりする可能性があります。せっかくの拠点が「放置空き家」になるのだけは絶対に避けましょう。
この点の対策はシンプルで、滞在のたびに清掃や草刈り、水回りの点検を行う習慣をつけておくことです。難しい場合は、維持管理を委託してもよいでしょう。
また、週末しかいないからといって、地域の人とのつながりをおろそかにはできません。自分のペースで大丈夫なので、地元の行事や自治会活動へは可能な範囲で参加しましょう。
二地域でのスケジュール管理の難しさ
都市と田舎、二つの生活リズムを両立させるのは意外と大変です。平日は仕事や学校行事、週末は移動と田舎での暮らし。気づけば常に予定に追われてしまうこともあります。
そのため、スケジュール管理は週末田舎暮らしの隠れた課題といえるでしょう。Googleカレンダーのようなデジタルツールを活用したり、家族で役割分担を明確にしたりして、無理のない予定を組むことが大切です。
また、休むタイミングを意図的に作るために、あらかじめ「行かない週末」を決めておくのもおすすめです。
週末田舎暮らしのコストを抑えるには?

どれほど魅力的な土地でも、交通費や宿泊費、維持費などの負担が重なれば、やがて足が遠のいてしまうもの。
そこでここでは、交通費や宿泊費、物件の選び方などについて、コストを抑える具体的なアイデアを紹介していきます。
定期割引やカーシェアで交通費を節約する
交通費は負担になると足が遠のいてしまうため、なるべく安く済ませたい項目です。まず新幹線や高速バスを利用する場合は、早割・回数券・往復割引などの制度を上手に活用しましょう。特に新幹線では「eチケット」や「EX早特」などの事前予約プランを使うと、1往復で数千円の節約になることもあります。
車で通う場合は、高速道路のETCマイレージサービスや深夜・休日割引を利用するのがおすすめです。さらに、同じ地域に通う仲間や家族とカーシェアすれば、ガソリン代や高速代が節約できます。
交通費は「固定費」だからこそ、工夫次第で結果が出やすい部分です。負担が大きい場合は、通う頻度を月2~3回に減らしたり、季節ごとに滞在期間をまとめたりと、自分のペースに合わせて柔軟に調整してみましょう。
古民家シェアやお試し移住住宅などの賃借物件を活用する
宿泊費を抑えたい場合は「お試し移住体験」や「体験ツアー」などを活用してみましょう。通常よりも家賃や宿泊費を安く設定している場合が多く、家具や家電が整っているケースもあります。
これらは、滞在中も暮らすように過ごせるため、週末田舎暮らしのチュートリアルにピッタリです。また、こうした施設は地域の人々との交流が生まれやすく、滞在をきっかけに地元のイベントに参加したり、野菜や特産品を分けてもらったりと、観光では味わえない体験ができる可能性も高まります。
まずは民泊や貸別荘から始めてみる
「いきなり物件を購入するのはハードルが高い」と感じるなら、民泊や貸別荘から始めてみるのもおすすめです。固定資産税や修繕費などの維持コストもかからないので、気軽に自分に合った地域を探すことができます。
中には長期滞在向けの割安プランを設ける施設もあります。これらのプランを活用して、月に一度、数日まとめて滞在する方法なら、交通費と宿泊費の両方を節約できます。
物件選びは賃貸と購入どっちがいい?

週末田舎暮らしを始めるとき、最初に迷うのが「賃貸か購入か」という点でしょう。どちらが優れているということはなく、自分の暮らし方や利用頻度によってベストな選択は変わります。
それぞれの特徴が分かりやすいように表で比較してみましょう。
| 項目 | 賃貸 | 購入 |
| 初期費用 | ・敷金・礼金などで 比較的少額から始められる | ・購入費用+登記・税金など 初期コストが高め |
| 柔軟性 | ・気軽に地域を変えられる・ 短期利用に向く | ・一度購入すると変更しに くい・長期利用向け |
| 維持・管理 | ・修繕や管理は オーナー負担が多い | 固定資産税・修繕費など 自己負担が発生 |
| 自由度 | ・原状回復義務があるため 改装は制限あり | ・リノベーションやDIYなど 自由に改装できる |
| 地域との関わり | ・一時的な関係になりやすい | ・定住に近く、地域に 溶け込みやすい |
| こんな人におすすめ | ・まずは「お試し」で始めたい人 ・通いやすさを重視する人 | ・長期的に拠点を育てたい人 ・移住を見据える人 |
賃貸と購入で悩んだ場合は、週末田舎暮らしをどんなペースで続けたいかを考えてみましょう。気軽に地域を試してみたいなら「賃貸」、腰を据えて拠点を育てたいなら「購入」というように、自分や家族が思い描くライフスタイルに近い方を選ぶのが、週末田舎暮らしを長く楽しむコツです
留守中の家を管理するポイント
週末田舎暮らしは、どうしても家を留守にする期間が長くなりがちです。ときには仕事の繁忙期や体調不良などで足を運べないことも出てくるでしょう。
そのため、家の管理は多少期間が開いても問題無いように考えておきましょう。特に、以下のようなポイントに気を付けましょう。
- 通水・換気をルーティン化して劣化を防ぐ
- 電気・ガス・水道は「完全停止」ではなく「最小維持」にする
- 郵便や宅配物を放置しない
- 防犯カメラやスマート機器で遠隔見守りを行う
- 地元の人との見守りネットワークをつくる
- 月1~2回の維持管理サービスを頼む
週末田舎暮らしをはじめる前にやっておくべきこと
思いつきで週末田舎暮らしをはじめてしまうと、あとから費用や地域との関係づくりに悩まされることがよくあります。そのため「どこに、どんなペースで通いたいか」「どのくらいのコストをかけられるか」という2点はあらかじめ整理しておきましょう。
具体的な計画を立てるのはハードルが高く感じるかもしれませんが、以下のようにステップごとに分けて進めていけば難しいことはありません。
- 1.エリアの下調べと計画づくり
- 2.物件探しと生活環境の確認
- 3.予算計画とスケジュール管理
- 4.保険や防災対策の確認
- 5.現地とのつながりをつくっておく
計画を立てるときのポイントは、土地や物件の条件を調べるだけでなく、費用の目安や地域との関わり方までをイメージしておくことです。そうすることで、暮らし方の選択肢がぐっと広がります。
完璧を目指す必要はありません。自分のペースで少しずつ整えていくうちに、自然と「自分らしい週末田舎暮らし」のかたちが見えてくるはずです。
週末田舎暮らしで広がる新しいライフスタイルを楽しもう
週末田舎暮らしは、忙しさに流されがちな日常に「息つぎ」のような余白を取り戻してくれる生活スタイルです。普段と環境を変えることで、自分自身の価値観を見つめ直すきっかけにもなるでしょう。
とはいえ、交通費や維持管理の負担など、続けてみて初めて分かる課題もあるため、まずは無理のない範囲で試してみることが大切です。月に一度の滞在からでも十分に効果を感じられるので、小さな一歩から自分らしい二地域居住を育ててみてください。そうした積み重ねが、将来の移住やライフスタイルの選択肢を自然と広げてくれるでしょう。
この記事の監修者
白崎 達也 アキサポ 空き家プランナー
一級建築士
中古住宅や使われなくなった建物の再活用に、20年以上携わってきました。
空き家には、建物や不動産の問題だけでなく、心の整理が難しいことも多くあります。あなたが前向きな一歩を踏み出せるよう、心を込めてサポートいたします。