公開日:2026.01.29 更新日:2026.01.15
NEW印紙税とは?課税文書一覧と収入印紙の金額を完全整理
印紙税は、契約書や領収書など、法律で定められた「課税文書」を作成した際に課される国税です。
本記事では、印紙税の概要から具体的な文書区分ごとの税額、購入方法や貼付の仕方、さらに電子契約における取扱いまで幅広く解説します。正しく理解することで、不要な納税リスクを避けつつ、適正なコスト管理に役立ててください。
目次
印紙税の目的と基本的な仕組み

印紙税は、文書の作成行為に対して課税される税金であり、国家財政の一部を支える役割を担っています。その基本的な仕組みを理解しておきましょう。
印紙税の主な目的は、国の財政基盤を補うことに加え、一定の文書に公的な証明力を付与する点にあります。具体的には、契約書や領収書などの書面に収入印紙を貼付し、消印を行うことで、当該文書の「納税義務が履行されたこと」を形式的に示します。これにより、取引内容の明確化や、将来的な紛争防止に資する証拠資料として機能します。
さらに、印紙税は文書の種類や記載金額に応じて、印紙税法別表第一に基づき税額が定められているのが特徴です。例えば、不動産売買契約書や請負契約書など、金銭の授受を伴う文書では、記載された契約金額に応じて段階的に課税されます。これは、取引規模に応じた公平な課税を行い、課税逃れを防止する目的も含まれています。
一方で、すべての文書が課税対象となるわけではありません。国税庁が定める課税文書に該当しない場合や、記載金額が非課税範囲内である場合には、印紙税は不要です。自社で作成・受領する書類がどの区分に該当するのかを把握しておくことが、過不足のない適正な納税対応につながります。
印紙が必要な文書・不要となる文書

印紙税がかかる文書とかからない文書を正確に区別することで、不要な税負担や追徴課税のリスクを回避できます。
課税文書と非課税文書の判別は、印紙税の仕組みを理解するうえで欠かせません。課税対象の文書に収入印紙を貼らずに提出してしまうと、印紙税法に基づき過怠税が課される可能性があります。逆に、本来は非課税の文書に印紙を貼ってしまった場合、過誤納付となり還付手続きが必要になることもあります。
特にビジネス取引において、契約書や領収書を頻繁に取り交わす企業は注意が必要です。多様な書式がある中で、その文書が印紙税法別表第一に定める「課税文書」に該当するかどうかを判断しなければなりません。担当者ごとの認識の違いや、法令改正・通達の変更によって見落としが発生するケースもあるため、常に最新情報を把握しておくことが重要です。
また、近年は電子契約が普及しており、紙の契約書とは印紙税の取扱いが異なる点にも注目が集まっています。一般的に、電子データのみで締結・保存される契約は「文書の作成」に該当しないため、印紙税の課税対象外とされるケースが多く、書類管理の効率化やコスト削減を目的に電子契約を導入する企業も増えています。
印紙税が必要となる文書の具体例
不動産売買契約書や土地の交換契約書、建設工事の請負契約書などは代表的な課税文書です。これらの文書は取引金額や対価の支払内容が明確に記載されるため、一定の契約金額を超えると収入印紙の貼付が必要となります。
不動産売買契約書(第1号文書)や建設工事請負契約書(第2号文書)のうち、契約金額が10万円を超えるもので、2027年(令和9年)3月31日までに作成される書面には、租税特別措置法による「軽減税率」が適用されます。
例えば、契約金額が1,000万円を超え5,000万円以下の不動産売買契約の場合、本来の税額(本則)は2万円ですが、軽減税率により1万円となります。
印紙税が不要となる代表的なケース
契約金額が1万円未満の文書や、単なる社内メモ、金銭の授受を伴わない事実確認や報告を目的とした書面などは、非課税となる場合があります。判断基準は国税庁が公表する課税文書の区分表に基づきますが、該当しないにもかかわらず収入印紙を貼付すると過誤納付となるため注意が必要です。
一方で、形式上は社内文書に見えても、実質的に契約内容を証明する文書と判断される場合には課税対象となることもあります。不明点がある場合は、税務署や税理士などの専門家に確認することが望ましいでしょう。
印紙税額一覧表|文書区分ごとの金額

印紙税は文書ごとに税額が異なります。ここでは、文書区分ごとに必要な印紙税額を概要ベースで整理します。
国税庁では、文書の種類を印紙税法別表第一に基づき、第1号文書から第20号文書まで区分し、それぞれに定められた契約金額や内容に応じて印紙税額を設定しています。契約書の種類や金額区分ごとの税額は、法改正や特例措置により見直されることがあるため、最新の法令・通達を確認しながら手続きを進めることが重要です。
例えば、第1号文書である不動産売買契約書では、契約金額に応じて段階的に印紙税が課される仕組みとなっています。取引金額が大きくなるほど税額も高くなるため、契約締結前に納税コストを把握しておく必要があります。
また、手形や有価証券など金融取引に関する文書も課税対象となる場合があります。これらは契約書とは異なる課税基準が設けられているため、取引形態ごとの確認が欠かせません。
第1号文書|不動産売買契約書など
土地や建物の売買契約書が典型的な第1号文書です。
契約金額に応じて細かく税額が設定され、例えば契約金額が1万円以上10万円以下なら200円、10万円超から50万円以下は400円というように段階的に課税されます。大きな取引では数万円単位の印紙税が発生することもあり、事前に確認しておくことが大切です。
第2号文書|請負契約書など
工事や業務委託の契約書がこの区分に当たります。
例えば工事請負契約であれば、1万円以上100万円以下の契約金額で200円の印紙税がかかるように、契約額の幅に応じた区分表が定められています。大規模な請負契約ではより高額な印紙の貼付が必要となるため、予算計画に含める必要があります。
第3号文書|約束手形・為替手形
金銭の支払いや貸付に用いられる手形が該当します。手形金額が10万円未満であれば非課税とされ、それ以上の場合は金額区分に応じて課税されます。
第4号文書|株券・社債券・出資証券など
金融商品の発行に伴う文書が対象で、額面金額や発行総額に応じて課税されます。企業の資金調達時には印紙税コストも考慮する必要があります。
第5号文書|定期預金証書など
金融機関が発行する定期預金証書が該当する場合があります。ただし、すべての預金証書が課税対象となるわけではなく、内容の確認が不可欠です。
第6号文書|定款
会社設立時に作成する定款は、紙で作成した場合は4万円の印紙税が必要です。一方、電子定款で作成すれば印紙税は不要となり、コスト削減につながります。
第7号文書|継続的取引の基本契約書など
継続的な取引関係を定める基本契約書が該当します。売買基本契約書や業務委託基本契約書など、契約期間が3ヶ月を超え、かつ更新の定めがあるものは一律「4,000円」の印紙税が課されます。
第8号文書|預金証書・貯金証書など
銀行や信用金庫が発行する預金証書・貯金証書は、契約成立や権利内容を証明する性質を持つ場合に課税対象となります。ただし、単なる残高証明書や取引明細のように契約行為を証明しない書類は非課税とされるのが一般的です。大口預金や特殊商品に付随する証書では、事前確認が重要です。
第9号文書|倉荷証券・船荷証券
倉荷証券や船荷証券は、貨物の寄託・輸送に関する権利を証明する文書で、有価証券的性質を有する点が特徴です。特に国際取引など高額取引では、取引金額に応じて印紙税負担が生じる可能性があります。
第10号文書|保険証券
保険契約の成立を証明する保険証券は、保険の種類や契約内容により課税・非課税が分かれます。損害保険など一部は課税対象となる一方、共済契約や特定の保険商品は非課税とされる場合もあります。
第11号文書|信用状
信用状は、輸出入取引で用いられる決済文書で、金銭の支払義務を担保する内容が記載される場合に課税対象となります。貿易取引では、発行コストの一部として印紙税を考慮する必要があります。
第12号文書|貨物引換証など
貨物引換証は、貨物の引渡請求権を表す文書で、権利移転性が認められる場合に課税対象となります。単なる受領書との違いを見極めることが重要です。
第13号文書|信託行為に関する文書
信託契約書などは、財産の管理・処分を第三者に委ねる契約であることから課税対象となる場合があります。内容が複雑になりやすく、税額算定には注意が必要です。
第14号文書|運送に関する文書など
運送契約書や運送状は、運賃や契約条件が明記されている場合に課税対象となります。見積書や請求書との区別を誤らないことがポイントです。
第15号文書|譲渡担保に関する文書など
動産や債権を担保として譲渡する契約書は、実質的に担保設定と判断される場合に課税対象となります。形式ではなく契約内容が重視されます。
第16号文書|配当金領収書・配当金振込通知書など
配当金に関する文書は、原則として非課税とされるケースが多いものの、発行形態によっては例外もあります。実務では個別確認が安全です。
第17号文書|領収書・受取書
金銭の受領を証明する領収書・受取書は、記載金額が5万円以上の場合に課税対象となります。日常的な経理処理での貼付漏れに注意が必要です。
第18号文書|預金通帳・貯金通帳など
一般的な預金通帳・貯金通帳は非課税ですが、特殊な商品や発行形態によっては課税対象となる可能性があります。例外的ケースとして把握しておくと安心です。
収入印紙の購入方法と貼り方

収入印紙の適切な購入方法と貼付ルールを理解しておくことで、過怠税などのリスクを防ぎ、契約実務を円滑に進めることができます。
収入印紙は、郵便局や一部のコンビニエンスストアなどで購入できます。契約金額に応じた税額が複数枚に分かれる場合、複数の印紙を組み合わせて貼付することも可能ですが、購入時に合計額が正しいかを確認しましょう。誤って不足額しか貼付しなかった場合、印紙税法に基づき過怠税が課される可能性があります。
印紙を貼付した後は、印紙税法上の「消印」を行う義務があります。なお、実務上「割印」と呼ぶこともありますが、印紙税法上の正式名称は「消印」です。これは印紙の再使用を防ぐための措置であり、消印がない場合は納付が成立していないと判断されることがあります。割印は、印紙と契約書本文の両方にまたがるように押すことで、文書と印紙が一体であることを示せます。
消印や割印を正しく行うことで、税務署からの指摘を防ぎ、印紙税を適正に納付した証拠となります。逆に、印紙を貼付していても押印を忘れると、納付不備とみなされるリスクがあるため注意が必要です。事務作業の一環として軽視せず、基本ルールを把握しておきましょう。
収入印紙の購入先と組み合わせ例
郵便局ではほぼすべての額面の収入印紙を取り扱っており、金額が合わない場合でも複数の印紙を組み合わせて購入できます。
コンビニエンスストアでも販売されていることがありますが、取り扱い額面が限られている店舗も多いため注意が必要です。高額な印紙税が必要な契約では、事前に在庫を確認しておくと安心です。
正しい消印・割印のやり方
消印は、貼付した印紙と契約書の両方にかかるように押印し、印紙の再利用を防止するためのものです。
社印や担当者印などを用いるのが一般的で、印鑑の種類に厳密な指定はありません。ただし、印影が不鮮明だったり、印紙と文書にまたがっていない場合は無効と判断される可能性があるため、確実に重なるよう処理しましょう。
印紙税を納めなかった場合・誤って納付した場合のリスク

印紙税を正しく納めていない場合、印紙税法に基づく追加徴収や制裁措置を受けるリスクがあるため注意が必要です。
印紙税を貼り忘れた場合、本来納付すべき税額に不足が生じます。この場合、税務署からは不足額の納付に加え、過怠税の支払いを求められる可能性があります。原則として過怠税は「納付すべき印紙税額の3倍(本来の税額+2倍の過怠税)」とされており、契約金額が大きい文書では金銭的負担が大きくなるため、軽視できません。
また、高額な契約書で印紙税を過小に貼付していた場合、想定外の追加徴収につながるケースもあります。一方で、本来は非課税である文書に誤って印紙を貼付した場合は、印紙税の過誤納付となります。過誤納付については還付を受けることが可能ですが、一定の手続きと時間を要する点には注意が必要です。
印紙税の誤納を防ぐためには、国税庁が公表する最新の情報を確認し、文書の内容が課税文書に該当するかを正確に判断する体制を整えることが重要です。担当者任せにせず、社内でルールを共有しチェック体制を設けることが、不要なリスクを抑えるポイントとなります。
追加徴収や過誤納付の還付手続き
印紙税を過少に納付していた場合、本来の印紙税額に加えて過怠税が課されることがあります。
一方、過誤納付については、所定の申請を行うことで還付を受けることが可能です。ただし、契約書原本や申請書類の提出が求められるため、誤りに気付いた時点で速やかに税務署へ相談することが望ましいでしょう。
電子契約は印紙税がかからない?そのメリットと注意点
ペーパーレス化が進む中、電子契約の普及により印紙税負担を軽減できる可能性がありますが、導入にあたっては法的要件を正しく理解することが前提となります。
電子契約は、契約書の作成から締結、保管までをデジタル上で完結させる仕組みです。紙の契約書と異なり、電子データで締結される契約は印紙税法上の「課税文書の作成」に該当しないと解されているため、印紙税は課されません。そのため、収入印紙を貼付する必要がなく、契約件数が多い企業ほどコスト削減効果が期待できます。
一方で、電子契約を有効に成立させるには、電子署名やタイムスタンプなどにより、本人性や改ざん防止を担保する措置が重要となります。これらが不十分な場合、契約自体の有効性や証拠力が問題となる可能性があります。また、システム導入費用や社内教育の負担も発生するため、印紙税削減のみを目的とせず、業務効率やコンプライアンス全体を踏まえて検討することが求められます。
今後もペーパーレス化の流れは続くと考えられますが、業界慣行や取引先の方針によっては紙の契約書が求められる場合もあります。取引を円滑に進めるためには、紙と電子の双方に対応できる体制を整えておくことが、実務上の柔軟性につながります。
よくある質問(FAQ)

印紙税の計算や取扱いについて、実務で特に多い質問に簡潔に回答します。
「領収書に印紙を貼る基準は5万円以上か?」という質問は多く寄せられます。現行法では、5万円以上の金銭の受領事実を証明する領収書は課税対象とされています。ただし、クレジットカード決済など、金銭の直接受領を証明しない領収書は非課税となるため、取引形態に応じた判断が必要です。
また、電子契約と紙の契約書を併用する場合、多くの企業では印紙税が不要な電子契約を主軸としています。しかし、取引先の意向や業界慣行によっては紙の契約書が求められる場面も残ります。その場合は、紙の契約書について個別に印紙税を計算・納付する必要があります。
さらに、印紙税に減免措置や特例があるかどうかについても質問されますが、原則として印紙税は法律で定められた文書に対して課税され、例外は限定的です。判断に迷う場合は、国税庁の公表資料を確認するか、税理士などの専門家に相談することが安心です。
まとめ|印紙税の正しい理解でコスト削減とリスク回避を
印紙税に関する正しい知識を身につけることで、不要な税負担を抑え、法的リスクを回避することができます。
印紙税は文書の種類や記載金額に応じて課税されるため、取引内容が変われば納付すべき税額も変動します。特に高額な契約では、事前に印紙税を想定しておかないと予期せぬコストが発生する可能性があります。
近年は電子契約の普及により、印紙税を削減できるケースが増加していますが、電子契約特有のルールや導入コストも考慮したうえで、紙と電子のメリットを比較することが重要です。
最終的には、課税区分や基準を正しく理解し、不備のない書類作成と管理を行うことが求められます。ミスを防ぎコストを最適化するためにも、最新情報を継続的に確認し、必要に応じて専門家の助言を活用する姿勢が有効といえるでしょう。
この記事の監修者
白崎 達也 アキサポ 空き家プランナー
一級建築士
中古住宅や使われなくなった建物の再活用に、20年以上携わってきました。
空き家には、建物や不動産の問題だけでなく、心の整理が難しいことも多くあります。あなたが前向きな一歩を踏み出せるよう、心を込めてサポートいたします。