公開日:2026.10.16
NEW中古マンションの修繕区分とは?購入前に確認すべきポイント

中古マンションの修繕区分とは、建物や設備の不具合が起きた際に「誰がどこを修繕し、費用を負担するか」を定めた区分のことです。
この記事では「購入後に高額な修繕費がかからないか」「修繕積立金が安い物件を選んでも大丈夫?」と不安に感じる方に向けて、購入前に押さえておきたいポイントを整理。専有部分・共用部分・専用使用部分の違いから、修繕履歴や修繕積立金の見方までご紹介します。
目次
中古マンションの修繕区分とは?専有部分・共用部分・専用使用部分の違い
中古物件の修繕区分は、マンションの専有部分・共用部分など、修繕する箇所によって責任や費用負担の範囲が異なります。
そのため、見た目だけでは区分を判断しにくく、購入後に「自分で直せると思っていた」「管理組合が負担すると思っていた」と認識のずれが生じることも。
まずは、修繕区分の基本となる「専有部分」「共用部分」「専用使用部分」について、それぞれの特徴を見ていきましょう。
| 修繕区分の種類 | 対象となる主な場所 | 修繕費用の負担者 | リフォーム・交換の可否 |
|---|---|---|---|
| 専有部分 | 壁・床の内装、キッチン、給湯器、室内配管など | 部屋の所有者(個人) | 自由に工事可能(規約の範囲内) |
| 共用部分 | 外壁、屋上、エレベーター、共用廊下、立管など | 管理組合(修繕積立金) | 個人の変更・工事は不可 |
| 専用使用部分 | バルコニー、玄関扉(外側)、窓サッシ、網戸 | 計画修繕等は管理組合(修繕積立金)、日常の管理・軽微な補修等は所有者 | 原則として個人工事は不可(※管理規約に基づき理事長の承認等を得て防犯・断熱工事等が可能な場合あり) |
専有部分の修繕|室内設備・内装の費用負担
専有部分は、原則として各区分所有者が費用を負担して修繕します。主な対象は次のとおりです。
- 床・壁・天井などの内装
- キッチン、浴室、トイレ、洗面台
- 給湯器
- 室内側の建具 など
設備には寿命があります。給湯器は10〜15年、水栓は10年、キッチンは15〜25年が交換の目安です。築年数とあわせて前所有者の交換履歴もチェックすると、購入後にかかる修繕費を見通しやすくなります。
ただし、壁や床のコンクリート躯体(スラブ)や、部屋の中を貫通する共用の縦配管は、室内にあっても区分所有法上の「共用部分」です。勝手に穴を開けたり撤去したりすることはできません。
共用部分の修繕|外壁・屋上・配管・エレベーターの費用負担
共用部分は区分所有者全員で維持する部分で、管理組合が修繕積立金などを使って修繕するのが基本です。代表的な共用部分には、次のようなものがあります。
- 外壁、屋上、防水層、建物の躯体
- 共用廊下、階段
- エレベーター
- 共用の給排水管、ポンプ設備
- 受水槽 など
外壁補修や屋上防水、給排水管の更新など、共用部分の工事は規模が大きく、まとまった修繕費がかかる傾向があります。積立金が不足すると、管理組合の総会決議により修繕積立金の値上げや、数百万単位の「一時金(特別徴収)」が請求されるリスクがあります。
専用使用部分の修繕|バルコニー・玄関扉・窓サッシの扱い
「専用使用部分」とは、法律上は「共用部分」ですが、特定の住戸の住民だけが独占して使うことが認められている場所のことです。
- バルコニー
- 玄関扉
- 窓サッシ
- 面格子 など
専用使用部分は共用部分にあたるため、所有者が自由に交換・変更できるとは限りません。さらに、修繕内容によって管理組合と使用者のどちらが費用を負担するかが変わります。
例えば、バルコニーの防水や手すりは大規模修繕で管理組合が対応し、日常的な清掃や軽微な補修は使用者が行うケースがあります。玄関扉やサッシも、一斉交換するマンションがある一方、破損時の修繕は個人で対応するなど、扱いはさまざまです。
中古マンションの大規模修繕とは?主な工事内容と確認ポイント

大規模修繕とは、マンションの経年劣化に対応し、建物の性能や安全性を維持するために計画的に行う修繕工事です。対象となるのは主に外壁や屋上、共用廊下、給排水設備などの共用部分。劣化した箇所を補修・更新し、建物を長く使える状態に整えます。
設備の故障などに対応する日常的な修繕とは異なり、大規模修繕は建物全体を対象とするため、工事期間が長く、まとまった修繕費がかかるのが特徴です。そのため、中古マンションの購入では「次の大規模修繕がいつ予定されているか」「必要な資金が準備されているか」がチェックポイントになります。
大規模修繕の具体例|外壁・防水・鉄部・給排水設備など
大規模修繕では、建物の劣化状況や長期修繕計画に応じて、主に次のような工事が行われます。
- 外壁の補修・塗装、タイル補修
- 屋上やバルコニーの防水
- 手すり・階段など鉄部の塗装
- 目地やサッシ周りのシーリング更新
- 共用の給排水管・ポンプ設備の更新
- エレベーターやオートロックの改修
- 機械式駐車場の改修 など
外壁や防水部分の劣化が進むと、雨漏りや外壁タイルの剥落などにつながるおそれがあります。また、給排水設備の更新が遅れれば、漏水や断水などのトラブルが発生することもあるため、計画的な修繕が求められます。
大規模修繕を行う時期や工事内容は、マンションによって異なります。築年数だけでなく、立地環境や外壁の仕様、機械式駐車場などの設備によっても必要な修繕は変わるため、購入前に長期修繕計画と過去の修繕履歴を照らし合わせておきましょう。
中古マンション購入前に確認したい修繕履歴と4つのチェックポイント
マンションで過去に行われた工事の時期や内容を記録したものが修繕履歴です。これまでどのように建物を維持・管理してきたのかを知る手がかりとなり、今後必要になりそうな修繕や費用を考える際にも役立ちます。
ただし、修繕履歴だけでは将来の負担までは判断できません。「大規模修繕を実施済みだから問題ない」といった一部分の情報だけで判断するのは避けましょう。中古マンションの購入前には、過去の修繕状況だけでなく、今後の修繕計画や資金面、管理状況まで含めて確認する必要があります。
修繕履歴や管理状態は、重要事項調査報告書や長期修繕計画書、総会議事録で確かめられます。ここからは、購入後の想定外の負担を避けるために、特にチェックしたい4つのポイントを解説します。
チェック1:大規模修繕の実施時期と次回の予定
まずチェックしたいのは、過去の大規模修繕の実施時期と、次回の予定です。修繕履歴から実施年月と工事内容を確認し、外壁や防水、鉄部などが計画的に修繕されているかを見ておきましょう。
大規模修繕の周期は、建物の劣化状況や工事内容によって異なります。前回から長期間空いている場合は修繕が先送りされていないか、直近で実施済みの場合は修繕積立金の残高が大きく減っていないかがポイントです。
次回の大規模修繕の時期とあわせて、積立金で費用をまかなえるか、値上げや一時金の予定がないかも資料から確認しておきましょう。
チェック2:長期修繕計画の有無と更新状況
長期修繕計画は、マンションのどの部分をいつ修繕し、どの程度の費用がかかるのかをまとめた計画です。計画の有無に加え、計画期間や工事項目、実施予定時期、概算費用をチェックします。
長期修繕計画は5年ごとの見直しが国土交通省のガイドラインで推奨されています。近年の建築資材費や人件費の高騰が反映されていない計画書の場合、将来的に大幅な積立金不足へ陥る危険があります。 更新時期とあわせて、予定する工事費用を修繕積立金でまかなえる計画になっているかも確認しましょう。
チェック3:修繕積立金の残高・値上げ予定・一時金
修繕積立金は、将来の大規模修繕などに備えて区分所有者が毎月積み立てる資金です。金額の高い・安いだけで判断せず、現在の残高と長期修繕計画の支出を見比べ、必要な修繕費をまかなえるかチェックしましょう。
積立方式は、主に次の2つです。
| 積立方式 | 特徴 | メリット | デメリット・注意点 |
|---|---|---|---|
| 段階増額積立方式 | 当初は低く設定し、5年ごと等に段階的値上げ | 新築・購入直後の毎月の固定費を抑えられる | 将来確実に値上がりし、資金不足・滞納のリスクがある |
| 均等積立方式 | 将来必要な費用を均等に割って毎月定額積み立て | 将来の値上げリスクが低く、計画が安定する | 購入当初の毎月の負担額がやや高めに設定される |
段階増額積立方式は、購入当初の負担が抑えられる一方で将来的に引き上げられます。「いつ・いくら上がるか」および一時金徴収の有無を必ず確認しましょう。
※国土交通省が定めた「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」では、将来の極端な値上げや修繕積立金の枯渇を防ぐため、段階増額積立方式における最終計画年の積立額を当初の概ね「1.8倍程度まで」に抑える目安(基準額に対する下限・上限規定)が示されています。
チェック4:修繕積立金の滞納状況と管理状態
修繕積立金の滞納が多いと、予定していた資金が集まらず、必要な修繕が先送りされたり、値上げや一時金につながったりする可能性があります。
購入前には、重要事項調査報告書などから滞納金額や戸数、長期滞納の有無をチェック。あわせて総会・理事会の議事録などから、管理組合や管理会社が滞納に対応しているかを確認すると、マンションの管理状態を判断しやすくなります。
中古マンションの修繕積立金と管理費の違い・使い道

中古マンションでは、毎月「管理費」と「修繕積立金」を支払います。どちらもマンションを維持するための費用ですが、使い道が異なります。
- 管理費
共用部分の清掃や管理員業務、エレベーター・消防設備の点検、共用部分の電気代、管理会社への委託費など、日常的な管理に使う費用 - 修繕積立金
外壁や屋上の防水、給排水設備の更新など、将来の大規模修繕に備えて積み立てる費用
管理費は、共用設備の多さや管理員の勤務体制、管理会社への委託内容などによって金額が変わります。修繕積立金が不足すると、将来的な値上げや一時金の徴収、必要な工事の先送りにつながる可能性があります。
中古マンションを選ぶ際は、毎月の管理費や修繕積立金が「安いほどお得」とは限りません。金額だけで比較せず、管理内容に見合っているか、将来の修繕に必要な資金を確保できる設定になっているかまで確認しましょう。
中古マンションの修繕積立金の相場は?高い・安いを判断するポイント

修繕積立金の適正額は、単なる相場との比較ではなく、建物の規模や設備、長期修繕計画の妥当性から総合的に判断します。重要なのは、将来必要になる修繕費に対して、十分な金額を積み立てられているかどうかです。
例えば、戸数が少ないマンションは1戸あたりの負担が大きくなりやすく、タワーマンションや共用設備が充実した物件、機械式駐車場がある物件などは、修繕・更新費用も高くなる傾向があります。こうした条件に対して修繕積立金が極端に安い場合は、将来的な資金不足に注意が必要です。
また、現在の金額だけでなく、今後の推移もチェックしましょう。段階増額積立方式を採用している場合は、将来の値上げ時期や金額を確認し、管理費と合わせて毎月いくらの負担になるのかを考えておく必要があります。
修繕積立金が安ければ、購入時の負担は抑えられます。しかし、将来の修繕費が不足すれば、大幅な値上げや一時金につながる可能性も。中古マンションを比較する際は、相場だけでなく、建物の条件・修繕計画・積立金残高をセットで確認しましょう。
中古マンションの修繕区分でよくあるトラブルと確認すべき資料
よくあるトラブルのひとつが、バルコニーや窓サッシ、玄関扉などの専用使用部分をめぐるものです。例えば、窓や玄関扉を交換したくても、共用部分にあたるため、管理組合への申請や承認が必要になる場合があります。
上階からの水漏れ事故も、費用負担をめぐってトラブルになりやすいケースです。専有部分の枝管(専有配管)からの漏水ならその住戸の所有者の責任、建物の本管(立管)からの漏水なら管理組合の責任(共用部分)となります。漏水原因が専有部分か共用部分か特定できない場合は、区分所有法第9条の規定により「共用部分の設置又は保存に瑕疵(欠陥)があるもの」と推定されます。そのため、原因が判明するまでは法律上、管理組合の責任(管理組合が加入する保険対応等)として調査・初期対応を進めるのが原則となります。
こうしたトラブルを避けるため、購入前には管理規約・使用細則・総会議事録などに目を通し、修繕費の負担範囲や工事に必要な手続きを確認しておきましょう。購入後にリフォームを予定している場合は、希望する工事が認められているかもチェックしておきましょう。
まとめ|中古マンションは「規約・修繕履歴・修繕積立金」の確認を
中古マンションを選ぶ際は、物件価格や築年数だけでなく、購入後にどのような修繕費がかかるのかまで見通しておくことが大切です。
まずは管理規約から、自分で負担する修繕範囲を確認します。さらに修繕履歴と長期修繕計画を照らし合わせれば、これまで適切に修繕されてきたか、今後どのような工事が予定されているかを把握できます。
修繕積立金についても、現在の金額だけで判断せず、残高や値上げ予定、一時金の可能性までチェックしましょう。
複数の中古マンションで迷ったときは、規約・履歴・積立金を同じ基準で比較してみましょう。価格だけでは見えない管理状態や将来の負担まで比べることで、この物件なら長く住めそうと納得できる一戸を選びやすくなるはずです。
この記事の監修者
白崎 達也 アキサポ 空き家プランナー
一級建築士
中古住宅や使われなくなった建物の再活用に、20年以上携わってきました。
空き家には、建物や不動産の問題だけでなく、心の整理が難しいことも多くあります。あなたが前向きな一歩を踏み出せるよう、心を込めてサポートいたします。






