公開日:2026.10.22
NEW空き家に害虫が発生する原因は?放置リスクと予防・駆除方法を解説

空き家の管理で気をつけたいのが、害虫の発生です。人が住まなくなると換気や清掃の機会が減り、湿気やホコリがたまりやすくなるため、ゴキブリやダニ、シロアリなどの害虫が住みつきやすい環境になります。
害虫をそのままにしておくと、衛生環境が悪くなるだけでなく、近隣へ被害が広がったり、シロアリによって建物そのものが傷んだりすることもあります。できるだけ被害を大きくしないためには、発生してから駆除するだけでなく、普段から害虫が住みつきにくい状態を保つことが大切です。
この記事では、空き家に害虫が発生する原因や主な種類、放置するリスク、自分でできる予防・駆除方法、専門業者へ依頼する目安まで順に解説します。
目次
空き家に害虫が発生する原因

空き家に害虫が発生しやすいのは、人の出入りが減ることで、虫にとって住みやすい環境が整いやすくなるためです。特に「餌になるもの」「水分や湿気」「身を隠せる場所」がそろうと、侵入した害虫がそのまま住みつき、繁殖しやすくなります。
ここでは、空き家に害虫が住みつく理由と、繁殖しやすくなる条件を見ていきましょう。
住居に害虫が住み着く理由
空き家には、害虫の餌や隠れ場所になるものが残っていることがあります。ゴキブリは食品だけでなく、紙くずや木片なども餌にする雑食性の虫です。また、ホコリなどの汚れを栄養源にカビが増えると、カビを食べるチャタテムシなどが発生しやすくなります。
段ボールや畳、家具の裏や収納の奥といった暗く狭い場所も、害虫が潜みやすい場所です。人の出入りがなく清掃や点検の機会が減ると、発生に気づかないまま数が増えてしまうこともあります。
空き家で害虫が繁殖しやすい条件
空き家で害虫が繁殖しやすい条件として、特に注意したいのが湿気や水回り、庭や室内に残された物です。
換気する機会が少なく、室内の湿度が高い状態が続くと、湿気によってカビが増え、ダニなどが発生しやすくなり、それを餌にする別の虫まで集まることがあります。
また、長期間水を使わないと排水トラップの水が蒸発し、排水口から虫や悪臭が上がってくることもあります。庭の雑草や落ち葉、室内に残された段ボールや家具なども、害虫の隠れ場所になりやすいので注意が必要です。
空き家の害虫を放置するリスク

空き家の害虫を放置するリスクは、大きく分けると以下の3点にまとめられます。
- 健康被害と衛生リスク
- 建物被害と資産価値の低下
- 近隣トラブルと苦情
ここからは、それぞれのリスクについて詳しく見ていきましょう。
健康被害と衛生リスク
害虫が増えると、刺されたことによるかゆみや皮膚トラブルのほか、糞や死骸による悪臭など、衛生面にも影響が出てきます。ゴキブリやハエなどが発生している場合は、室内の汚れや衛生環境そのものが悪化している可能性もあります。
また、ダニやノミ、トコジラミなどは、畳や布類、家具の隙間など目につきにくい場所に潜んでいることがあります。見た目には大きな変化がなくても、実際に室内へ入ったことで刺されるなどの被害を受けるケースも考えられます。
建物被害と資産価値の低下
害虫のなかには、建物そのものを傷めるものもいます。特にシロアリは土台や柱などの木材を食害するため、発見が遅れるほど被害が広がり、修繕費も大きくなりやすい害虫です。
空き家は日常的に人が見ないため、床の沈みや木材の傷みに気づきにくくなります。表面からはわかりにくい場所で被害が進み、気づいたときには広い範囲の修繕が必要になっていることもあります。
近隣トラブルと苦情
空き家で発生した害虫が、敷地の外へ広がることもあります。蚊やハエ、ゴキブリ、アリなどが周囲の住宅へ移動すれば、近隣から苦情を受ける原因になりかねません。
特に庭の雑草や落ち葉、放置されたゴミなどが増えると、害虫が隠れたり繁殖したりする場所が増えてしまいます。放置が続くと周囲に悪臭や害虫被害をもたらし、空家等対策特別措置法に基づく「管理不全空家」や「特定空家」に指定される恐れがあります。指定されて勧告を受けると、固定資産税の住宅用地特例(最大6分の1の減額措置)が解除され、税負担が大幅に跳ね上がります。さらに、近隣へ実害を与えた場合は民法第717条(土地工作物責任)に基づき、所有者が損害賠償責任を負うリスクもあります。
空き家に出やすい害虫の種類と特徴
空き家では、ゴキブリやダニのような身近な害虫から、建物を傷めるシロアリまで、さまざまな虫が発生することがあります。それぞれ被害の内容や発生しやすい場所が異なるため、虫の種類に合わせて確認することが大切です。
ここでは、空き家で特に注意したい害虫について、どのような影響があるのか、どこに発生しやすいのかを見ていきましょう。
| 害虫の種類 | 主な被害 | 発生・潜伏しやすい場所 |
|---|---|---|
| ゴキブリ・ハエ・蚊 | 衛生環境の悪化、糞や死骸による悪臭、吸血被害 | キッチン、排水口周辺、敷地内の水たまり |
| ダニ・ノミ・トコジラミ | 吸血によるかゆみ・皮膚トラブル、アレルギー | 布団、カーペット、畳、家具の隙間 |
| ムカデ | 咬まれると強い痛みや腫れが生じる毒の被害 | 床下、浴室周辺、庭の落ち葉や石の下 |
| クモ | 巣を張ることによる見た目の不快感、ほかの虫の発生サイン | 天井、壁の隅、家具の裏、窓や換気口 |
| アリ | 室内への大量侵入、食品やゴミへの群がり | 窓枠、配管まわり、基礎の隙間 |
| シロアリ | 木材の食害による建物の強度低下と資産価値の下落 | 床下などの湿った場所、木材の内部 |
ゴキブリ・ハエ・蚊
ゴキブリやハエは、衛生環境を悪化させたり、糞や死骸が不快感や悪臭の原因になったりする害虫です。蚊は刺されることでかゆみなどの被害が出るため、空き家を点検する際にも注意が必要です。
ゴキブリは排水口や配管まわりなどから侵入することがあります。また、チョウバエなど一部のハエは、汚れた排水溝などを発生源とします。 蚊は植木鉢の受け皿や放置されたバケツ、詰まった雨どいなど、敷地内にできた水たまりで繁殖するため、建物の周囲も確認しておきましょう。
ダニ・ノミ・トコジラミ(南京虫)
ノミやトコジラミは人を吸血し、かゆみや皮膚トラブルを引き起こします。ダニの被害は種類によって異なり、ツメダニなどは人を刺しますが、室内に多いチリダニは人を刺さず、死骸やふんなどがアレルギーの原因になります。小さく見つけにくいため、気づかないまま室内に広がっていることもあります。
ダニは湿気やホコリ、カビが多い環境で増えやすく、布団やカーペット、畳などに潜みます。ノミは猫などの動物が入り込んだ空き家で発生することがあり、トコジラミは寝具や家具、畳などの隙間に潜むのが特徴です。
ムカデ
ムカデは毒を持つ害虫で、咬まれると強い痛みや腫れが生じるおそれがあります。空き家の点検や片付け中に、物陰から突然出てくることもあるため注意が必要です。
湿気があり暗い場所を好み、床下や浴室周辺、庭の落ち葉や石の下などに潜みます。室内で見かける場合は、餌となる小さな虫が周辺で増えている可能性もあります。
クモ
クモは空き家の中に入り込むと、天井や壁の隅、家具の裏などに巣を張ることがあります。見た目の不快感につながるだけでなく、クモが多く見られる場合は、餌となる小さな虫も周辺で増えている可能性があります。
窓や換気口などから侵入するため、巣を取り除くだけでなく、ほかの害虫が発生していないか、侵入しやすい隙間がないかもあわせて確認しておきましょう。
アリ
アリは小さな隙間から室内へ侵入し、餌を見つけると多くの個体が集まることがあります。空き家に食品やゴミが残っていると、室内まで列を作って入り込むこともあります。
窓枠や配管まわり、基礎の隙間などが主な侵入経路です。室内にいるアリだけを駆除しても再び入ってくる可能性があるため、庭や建物の外周もあわせて確認しておきましょう。
シロアリ
シロアリは、土台や柱などの木材を食害し、建物そのものを傷める害虫です。被害が進むと修繕範囲が広がり、売却や活用にも影響するため、空き家で特に注意したい害虫のひとつです。
ヤマトシロアリなどは床下や水回りなど湿気のある場所で被害が起こりやすく、木材の内部で活動するため、外からは発生に気づきにくいのが特徴です。 基礎や床下に土でできた蟻道が見つかったり、春から夏ごろに羽アリがまとまって現れたりした場合は、専門業者に状態を確認してもらいましょう。
空き家の害虫を発生させないための基本対策

空き家の害虫対策で大切なのは、虫が住みつきやすい環境をつくらないことです。室内の湿気や汚れ、建物の隙間、庭の雑草などをそのままにすると、害虫が入り込みやすくなります。
ここでは、空き家を管理するうえで取り入れたい基本的な対策を見ていきましょう。
定期的に換気・通水・清掃を行う
一番の基本は換気や通水、簡単な清掃を行うことです。頻度は少なくても月に一回程度は行っておきましょう。
換気は、窓や室内の扉を開けて空気を入れ替え、こもった湿気を逃がします。湿気が多い状態が続くと、カビやダニなどが発生しやすくなるため、押し入れや収納の中もあわせて開けておくとよいでしょう。
通水は、キッチンや洗面所、浴室、トイレなどすべての水回りで行います。長期間水を流さないと排水トラップの水が蒸発し、排水口から害虫や悪臭が上がってくることがあります。
清掃は、床のホコリやキッチン周辺の汚れ、部屋の隅にたまったゴミなどを中心に行います。毎回大がかりに掃除する必要はありませんが、害虫の餌や隠れ場所になるものを少しずつ減らしておくことが大切です。
侵入経路をふさぎ、庭も手入れする
網戸の破れや配管まわり、換気口、基礎や外壁の隙間などは、害虫の侵入経路になりやすい場所です。空き家を訪れた際に破損や隙間がないか確認し、必要に応じて防虫キャップや金網などでふさいでおきましょう。
あわせて、庭の雑草や落ち葉も定期的に取り除いてください。草木が伸び放題になると、虫が身を隠せる場所が増え、建物の周辺で繁殖しやすくなります。
また、植木鉢やバケツなどに水がたまっていないかも確認しましょう。室内だけでなく敷地全体を害虫が住みにくい状態にしておくことがポイントです。
食品・ゴミ・残置物を減らす
空き家には、食品や生ゴミをできるだけ残さないようにしましょう。わずかな食べ物でも、長期間そのままになればゴキブリやハエなどを呼び寄せる原因になります。
また、段ボールや紙類、布類、使わなくなった家具なども、害虫の隠れ場所になりやすいものです。不要なものはできるだけ処分し、残しておくものも整理して保管しましょう。
物が少なければ掃除や点検もしやすくなり、害虫が発生したときにも早く気づけます。空き家を長く管理する場合ほど、室内をすっきりした状態にしておくことが大切です。
空き家に害虫が出た場合の駆除方法
空き家で害虫を見つけた場合は、目の前にいる虫を駆除するだけでなく、発生している場所や原因も確認しておきましょう。侵入経路や餌になるものが残っていると、一度駆除しても再び発生する可能性があります。
自分で駆除する場合は、まず害虫がどこに発生しているのかを確認します。家具や荷物の陰などに潜んでいることもあるため、発生範囲を確認しながら作業を進めましょう。
市販の薬剤を使う場合は、使用方法や使用量、換気・再入室の時間など、製品に記載された注意事項を守ることが大切です。発生状況を写真に残しておけば、再発したときや専門業者へ相談するときにも役立ちます。
なお、作業するときは長袖や手袋などで肌の露出を抑え、薬剤を使用する場合は製品に記載された保護具や換気方法などの注意事項に従いましょう。 害虫を駆除したあとは、糞や死骸、食品の残り、ホコリなども取り除き、再び餌や隠れ場所にならないように清掃しておきます。
薬剤・燻煙剤・トラップの使い分け方
薬剤・燻煙剤・トラップには、それぞれ以下のような特徴があります。害虫の種類や発生状況に合わせて使い分けましょう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| スプレーなどの薬剤 | 目の前にいる害虫をすぐに駆除したいときに向いています。ただし、見えている虫だけを駆除しても、巣や侵入経路が残っていると再発することがあります。 |
| 燻煙剤 | 対象となる害虫を室内の広い範囲で駆除する場合に使います。ただし、害虫によっては十分な効果が得られないこともあるため、対象害虫への適用を確認してください。使用時は、火災報知器への対応や使用後の換気など、製品ごとの注意事項を守りましょう。 |
| 粘着トラップ・毒餌 | 粘着トラップは、害虫を捕獲しながら発生場所や数を確認するのに役立ちます。毒餌は、通り道や潜伏場所の近くに設置して継続的に駆除する方法です。空き家では、設置場所や日付を記録しておくと次回の点検時に状況を比較しやすくなります。 |
なお、使用する薬剤は、対象の害虫に適用がある製品を選び、表示どおりに使いましょう。特にトコジラミは一般的な殺虫成分が効きにくい場合があり、不適切な処理で潜伏場所を広げるおそれもあるため、発生が疑われる場合は早めに専門業者へ相談してください。
害虫駆除を業者に依頼する目安と依頼時のポイント

害虫の発生範囲が広い場合や、駆除しても繰り返し発生する場合は、専門業者への依頼を検討しましょう。特にシロアリのように床下や壁の内部まで被害が広がる害虫は、自分で状況を把握するのが難しいため、早めに調査してもらうと安心です。
業者へ依頼するときは、以下のポイントを確認しておきましょう。
- 現地調査から駆除、再発防止まで対応しているか
一般的には、問い合わせ後に現地調査と見積もりを行い、駆除や清掃、必要に応じて侵入経路の封鎖などを進めます。目の前の害虫を駆除するだけでなく、発生原因まで確認してもらえる業者を選びましょう。 - 見積もりの内訳が明確か
費用は害虫の種類や建物の広さ、施工範囲などによって変わります。調査費や施工範囲、作業回数、追加料金が発生する条件、保証内容などが記載されているか確認してください。 - 複数の業者から見積もりを取る
相見積もりを取れば、料金だけでなく作業内容や再発防止策の違いも比較できます。金額だけで決めず、侵入経路の封鎖や湿気対策などまで提案してくれるかも見ておきたいところです。 - 契約を急がせる業者には注意する
不安をあおってその場で契約を迫ったり、作業内容や追加費用を十分に説明しなかったりする業者は避けましょう。契約前に見積書や保証内容、キャンセル条件などを書面で確認しておくと安心です。
また、遠方にある空き家などで立ち会いが難しい場合は、鍵の受け渡し方法や作業前後の写真報告に対応してもらえるかも確認しておくと、離れた場所からでも状況を把握しやすくなります。
A1. 空き家管理サービスや、地域によってはシルバー人材センターなどに見回りや清掃を依頼できます。換気・通水・庭の手入れなど、対応できる作業と訪問頻度を確認しましょう。すでに害虫が発生している場合は、管理の代行とは別に駆除業者への相談が必要なこともあります。
A2. 売却可能です。ただし、民法上の「契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)」に厳重な注意が必要です。シロアリ被害を隠して売却すると、買主から契約解除や損害賠償、修繕費用の請求を受けるリスクがあります。被害状況を隠さず告知書に明記したうえで、「契約不適合責任を免責(責任を負わない)とする特約」を売買契約に盛り込んで現状有姿で売却するか、事前に専門業者による駆除・補修を行ってから売却するかを不動産会社と相談しましょう。
A3. 害虫の種類や建物の広さ、被害範囲、作業回数などで変わります。現地調査を受け、駆除費用に加えて清掃や侵入経路の封鎖、修繕が必要かも確認しましょう。複数社の見積もりを比べるときは、総額だけでなく施工範囲や追加料金、保証内容も見ておくと安心です。
まとめ|空き家の害虫対策は「発生させない管理」が大切
き家の害虫対策で大切なのは、虫が出てから駆除することよりも、普段から住みつきにくい環境を保つことです。換気や通水、清掃を定期的に行い、庭の雑草や落ち葉、室内の残置物などもあわせて整理しておけば、害虫が増える原因を減らせます。
空き家は人の目が届きにくい分、一度害虫が発生すると気づかないうちに被害が広がることがあります。特にシロアリのように建物そのものを傷める害虫は、発見が遅れるほど修繕の負担も大きくなりやすいため注意が必要です。
まずは月に1回程度を目安に空き家を訪れ、換気・通水・清掃と建物の内外の点検を習慣にしてみましょう。それでも害虫が繰り返し発生する場合や、自分では原因を特定できない場合は、早めに専門業者へ相談することも大切です。
また、「毎月の管理そのものが負担になっている」「遠方でなかなか通えない」という場合は、管理を続けるべきか、売却や活用に踏み出すべきかを見直すタイミングかもしれません。アキサポの空き家の相談窓口では、そうした管理の悩みも含めてご相談いただけます。
この記事の監修者
白崎 達也 アキサポ 空き家プランナー
一級建築士
中古住宅や使われなくなった建物の再活用に、20年以上携わってきました。
空き家には、建物や不動産の問題だけでなく、心の整理が難しいことも多くあります。あなたが前向きな一歩を踏み出せるよう、心を込めてサポートいたします。






