公開日:2020.05.25 更新日:2026.10.05
うちの家は大丈夫?「空き家問題」で起こりうるリスク、原因、対策を解説

「親の実家を相続したものの、どうすればいいか分からず、そのまま空き家にしている」——そんな家は、決して珍しくありません。
いま日本では、使われないまま放置される住宅が増え、「空き家問題」として社会問題になっています。空き家は放置するほど、固定資産税などの負担がかかり続けるうえ、老朽化による倒壊や近隣トラブルのリスクも高まっていきます。
この記事では、空き家の所有者が知っておきたいリスクと、空き家が増える原因、そして今できる具体的な対策までをわかりやすく整理します。
目次
いま話題になっている「空き家問題」とは?

住人がいないため維持・管理ができず、意図せず第三者へ損害を与えてしまう可能性がある「空き家問題」。総務省の2023年(令和5年)住宅・土地統計調査によると、全国の空き家は900万2,000戸、空き家率は13.8%で、いずれも過去最多となりました。住宅のおよそ7戸に1戸が空き家という計算です。
出典:総務省「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)」
空き家にはいくつかの種類があり、内訳は以下のようになります。
居住世帯のない住宅の内訳
出典:総務省「令和5年住宅・土地統計調査」(売却用・二次的住宅は端数処理により概数)
空き家は、使われ方によって4つの種類に分けられます。注意したいのは、賃貸にも売却にも出されず、市場に流通していない「その他の住宅」です。相続後に使い道が決まっていない家などがこれにあたり、管理されないまま放置されやすいのが特徴です。
この「その他の住宅」は385万6,000戸と、空き家全体の4割を超えています。団塊の世代が全員75歳以上となり、相続をきっかけに使い道の決まらない家は、今後さらに増えると見込まれています。
所有者が「空き家」のままにしてしまう理由
空き家が増えるのは、持ち主の心がけの問題ではありません。「気づいたら実家が空き家になっていた」という状況は、少子高齢化や相続、暮らし方の変化といった、誰にでも起こりうる事情が重なって生まれます。
まずは、なぜ空き家が生まれやすいのか、その背景を一緒に見ていきましょう。当てはまるものがあっても大丈夫。原因がわかれば、次の一手は必ず見つかります。
ライフスタイルの変化ともなう対策不足

かつては二世代・三世代で同居し、家を代々受け継ぐのが当たり前でした。けれど今は、子どもが独立して親元を離れ、実家には親だけが住む「核家族」が一般的です。核家族とは、夫婦のみ、夫婦と未婚の子ども、ひとり親と未婚の子どもからなる世帯を指します。
暮らし方が変わっても、家の使い道までは決まっていないことが多いものです。たとえば、親が高齢になって施設や近くのマンションに移ると、実家は荷物が残ったまま誰も住まなくなり、親の存命中は売るに売れず、そのあいだに老朽化が進んでしまう——。相続の場面でも、引き継ぐ子世代にはすでに持ち家があり、実家を持て余してしまうことは少なくありません。
さらに、相続人が複数いると、話がまとまりにくくなります。「売る」「貸す」と方向性を決めても、全員の合意がなければ動けず、結論が出ないまま空き家の状態が続いてしまうのです。これは、どの家庭にも起こりうることです。
空き家が増えるとどんな影響があるのか(懸念されること)
では、空き家をそのまま放置すると、所有者にはどんなリスクが発生するのでしょうか。その代表的なリスクが次の3つです。
| 放置によるリスク | 所有者・周囲への主な影響 |
|---|---|
| 固定資産税が上がる | 特定空家・管理不全空家として勧告を受けると住宅用地特例が外れ、土地の固定資産税が大きく上がる(最大で約6倍になる場合がある) |
| 近隣トラブル・損害賠償 | 倒壊や外壁の落下、害虫・悪臭・不法投棄などで近隣に被害が及び、所有者が損害賠償責任を負うことがある |
| 資産価値の低下 | 老朽化が進むほど売却価格が下がり、買い手がつかなくなるおそれがある |
固定資産税が上がるリスク
空き家でも、土地や建物を持っている限り固定資産税はかかります。住宅が建つ土地は「住宅用地の特例」で、200㎡までの部分は固定資産税の課税標準が6分の1に軽減されています。
ただし、放置して「特定空家」や、2023年12月の法改正で新設された「管理不全空家」に指定され、自治体から勧告を受けると、この特例が外れてしまいます。その結果、土地の固定資産税が最大で約6倍になることもあります。さらに特定空家のまま改善されなければ、行政が強制的に解体(行政代執行)でき、その費用は所有者に請求されます。「放置するほど高くつく」というのが、空き家の怖いところです。
近隣に迷惑をかけてトラブルに発展するリスク
人が住まなくなった家は、思っている以上に早く傷みます。屋根や外壁が落ちたり、建物が傾いたりすれば、隣家を傷つけたり、通りがかった人にケガをさせてしまうおそれもあります。その場合、所有者が損害賠償を求められることもあります。
また、害虫やねずみ、雑草や悪臭、ゴミの不法投棄、不法侵入による防犯面の不安など、近隣の方の暮らしに影響が及ぶこともあります。ご自身が遠方にいるほど、こうした変化には気づきにくいものです。
資産価値が下がるリスク
家は、老朽化が進むほど売りにくくなります。いざ手放そうとしても、安くしなければ売れなかったり、買い手が見つからなかったりすることもあります。裏を返せば、早めに動くほど選べる道は多く残ります。今はまだ、十分に間に合う段階です。
空き家にしないための解決策

では、空き家のまま放置しない場合、どのように対処すればよいのでしょうか。方法は大きく分けて4つあります。
| 解決策 | 特徴 | 向いているケース |
|---|---|---|
| 売却する | 現金化でき、引き渡し後の管理負担がなくなる | 今後使う予定がなく、手放したい |
| 貸して活用する | 所有を続けながら家賃収入を得られる | 家を残したい、立地に賃貸需要がある |
| 管理を委託する | 劣化や近隣トラブルを防げる(根本的な解決ではない) | 当面は保有したいが自分で管理できない |
| 専門会社に相談する | 売る・貸す・活用まで含めて最適な方法を提案してもらえる | 何から手をつけるか決めかねている |
空き家の対処法に、唯一の正解はありません。大切なのは、ご自身の状況に合った方法を選ぶことです。
たとえば売却は、まとまった現金を得て管理の負担から解放される方法です。ただし更地にして売る場合は解体費用がかかり、手元に残る額が思ったより少なくなることもあります。管理の委託は、傷みや近隣トラブルを防げますが、費用がかかり続け、老朽化そのものを止められるわけではありません。
一方で、家を残したい方には「活用する」という選択肢もあります。リノベーションして賃貸住宅やシェアハウス、店舗・事務所として貸し出したり、解体して駐車場にしたりと、建物の状態や立地によって活かし方はさまざまです。うまくいけば、放置リスクを抑えながら継続的な収入につながることもあります。
どの方法が合うかは、家の状態や立地、ご家族の希望によって変わります。「わが家なら何ができるのか」を知ることが、最初の一歩です。一人で抱え込まず、まずは専門家に相談してみてください。
まとめ

空き家問題は、相続や核家族化を背景に全国で深刻化しています。放置すれば、固定資産税の負担増、近隣トラブルや損害賠償、資産価値の低下といったリスクが積み重なります。一方で、空き家には「売る」「貸して活用する」「管理を委託する」といった解決策があり、早く動くほど選択肢は多く残ります。
とはいえ、「自分の家は売れるのか、貸せるのか」を一人で判断するのは難しいものです。アキサポは、売却・活用・管理まで含めて、空き家に合った方法をご提案します。何から手をつければいいか迷っている段階でも、無料でご相談いただけます。
この記事の監修者
白崎 達也 アキサポ 空き家プランナー
一級建築士
中古住宅や使われなくなった建物の再活用に、20年以上携わってきました。
空き家には、建物や不動産の問題だけでなく、心の整理が難しいことも多くあります。あなたが前向きな一歩を踏み出せるよう、心を込めてサポートいたします。






