公開日:2025.09.20 更新日:2025.08.12
NEW【2025年最新】リノベーション補助金を活用しよう!手続きと注意点

リノベーションをしたくても、費用負担が大きすぎて踏み出せない人は多いと思います。
そんな場合は、国や自治体が行っている、住宅の性能向上や住環境の改善を支援するためのリノベーション補助金を検討してみましょう。これらの補助金を上手に活用すれば、断熱性の高い窓への交換やバリアフリー化など、暮らしやすさを高めるリノベーションを、自己負担を大幅に抑えて実現可能です。
この記事では、2025年時点で利用できる最新のリノベーション補助金を網羅しつつ、それぞれの特徴や注意点をわかりやすく解説します。制度を味方につけて、理想の住まいづくりを一歩ずつ実現していきましょう。
目次
リノベーション補助金とは?概要と目的を解説

リノベーション補助金とは、住宅に関するさまざまな課題を解決するためのリノベーションを支援する補助金制度です。代表的なものには、省エネ化補助金や耐震化補助金、バリアフリー化補助金、転入者が中古住宅をリノベーションするための補助金などがあります。
リノベーション補助金は特定の組織が一元的に行っているものではなく、目的ごとに窓口となる省庁や団体が異なります。例えば耐震化補助金は国土交通省が、バリアフリー化補助金は厚生労働省が担当しています。
そのため、リノベーション補助金はさまざまな種類の中から、自分の目的に適した制度を選ぶことが大切です。補助金によっては併用可能な場合もあるので、リノベーション開始前に情報を集め、どの助成金に申し込むか検討しておきましょう。
国が実施する代表的なリノベーション補助金制度
まずは国が実施する代表的なリノベーション補助金を紹介します。国の補助金は社会課題を解決するために実施されることが多い傾向にあり、特に住宅の省エネ化や長寿命化といった全国的な課題は手厚い補助が受けられます。
中には100万円を超える補助を受けられる制度もあるため、リノベーションを始める際には必ず確認しておきましょう。
ここでは、2025年時点で利用できる以下の補助金を紹介します。
- 住宅省エネ2025キャンペーン(国土交通省、経済産業省、環境省)
- 子育てグリーン住宅支援事業(国土交通省、環境省)
- 長期優良住宅化リフォーム推進事業(国土交通省)
- 住宅・建築物安全ストック形成事業(国土交通省)
- 既存住宅における断熱リフォーム支援事業(環境省)
- 介護保険法にもとづく住宅改修費の支給(厚生労働省)
住宅省エネ2025キャンペーン
「住宅省エネ2025キャンペーン」は、国土交通省・経済産業省・環境省が連携して実施している大規模な補助事業です。全部で4つの補助事業があり、そのうち以下の3事業を戸建て住宅で利用できます。
- 子育てグリーン住宅支援事業:上限額40万円または60万円。断熱性、エコ住宅設備の設置、防災性などを補助
- 先進的窓リノベ事業:上限額200万円。窓の省エネ化を補助
- 給湯省エネ事業:上限額は設置する機器により6万~16万円で変動。給湯機の省エネ化を補助
この制度の注目すべき点は、これら3事業が併用可能なことと、給湯省エネ事業に特定の要件に当てはまる場合に補助金が追加される「加算制度」が設けられていることです。大規模なリノベーションであれば、合計で数百万円の補助を受けられる可能性もあります。
ただし、年度ごとに予算が限定されている点には注意しましょう。予算がなくなると翌年度まで申請できなくなる恐れがあるので、リノベーションの予定がある場合はなるべく早めに申請をしましょう。
長期優良住宅化リフォーム推進事業
長期優良住宅化リフォーム推進事業は、住宅を長く使える資産として再構築することを目的に設けられた補助金です。補助金額は長期優良住宅(増改築)認定を受けられる場合は1戸につき最大160万円です。認定基準には満たないものの一定の基準を満たす場合は1戸につき最大80万円です。
対象になるリフォーム工事は以下のとおりです。
- 特定性能向上リフォーム工事(1.構造躯体等の劣化対策、2.耐震性、3.省エネルギー対策、4.維持管理・更新の容易性)
- その他性能向上リフォーム工事(インスペクションで指摘を受けた箇所の改修工事、バリアフリー工事、環境負荷の低い設備への改修、テレワーク環境整備改修、高齢期に備えた住まいへの改修など)
- 防災性、レジリエンス性の向上改修工事
- 子育て世帯向け改修工事
- 三世代同居対応改修工事
本制度は補助金額が比較的高額であり、ライフステージの変化に対応した住環境整備にも利用できるため、将来を見据えたリノベーションに向いています。また、長期優良住宅に認定された場合は、翌年の確定申告で最大25万円の控除が受けられるため、減税にもつながります。
ただし、申請にはインスペクション(性能評価)や図面など専門的な書類の提出が求められ、審査基準も厳格に行われます。利用を希望する場合は、信頼できる施工会社と早期に連携し、計画段階から必要書類を整えておきましょう。
住宅・建築物安全ストック形成事業
住宅・建築物安全ストック形成事業は、耐震性が不十分な住宅を現行法で必要とされている耐震基準にするために行うリノベーションを対象として、補助金を給付する制度です。
主な対象になるのは「旧耐震」と呼ばれる、1981年5月31日以前に建築確認を受けた住宅です。また、補助金を受け取るには、耐震性が不十分であることを証明する必要があり、そのために耐震診断が必要になることもあります。
なお、本制度は地域性が高い事業のため、実際の業務は全国の自治体が担当しています。具体的な補助額や補助率などは自治体の窓口で確認しましょう。
既存住宅における断熱リフォーム支援事業
既存住宅における断熱リフォーム支援事業は、既存住宅の省エネ性能を高めるための断熱改修を支援する制度です。窓口は公益財団法人北海道環境財団が担当していますが、全国の住宅が本制度を利用できます。
補助の対象工事は、断熱材の施工や窓の交換、ガラス・玄関ドアの改修などで、居間だけを断熱する部分断熱タイプと、住宅全体を対象とするトータル断熱タイプの2種類があります。どちらのタイプも、15%以上のエネルギー消費削減が見込まれることが求められます。
補助額の上限は1住戸あたり120万円で、補助率は対象経費の3分の1までです。使用できる建材や設備は指定された製品に限られているため、申請前に公式サイトで適合製品を確認しておきましょう。
介護保険法にもとづく住宅改修費の支給
本制度は、厚生労働省が行っている、要支援・要介護の認定を受けた高齢者が自宅で安全に暮らし続けられるように、小規模な住宅改修に対して介護保険を活用した補助を行う制度です。
対象となる工事は、日常生活での動作を補助・軽減する内容に限られており、具体的には以下の項目が該当します。
- 手すりの取付け
- 段差の解消
- 滑りの防止及び移動の円滑化等のための床又は通路面の材料の変更
- 引き戸等への扉の取替え
- 洋式便器等への便器の取替え
- その他前各号の住宅改修に付帯して必要となる住宅改修
補助額は支給限度額である20万円の9割にあたる18万円です。工事内容はケアマネジャーが作成したケアプランに基づいて行う必要があります。制度の詳細や必要書類は自治体の窓口で案内されているため、まずは自治体の窓口や地域包括支援センターなどで相談してみましょう。
自治体が独自で実施しているリノベーション補助金

リノベーションの補助金は、自治体も力を入れて行っており、中には住民サービス向上や定住の促進のために補助金を手厚くしているところもあります。特に地方の自治体では、移住者向けの補助金が充実している傾向にあります。
ここでは自治体が独自で実施している補助金の例として「古民家再生や景観保全を目的とした補助金」と「子育て世帯の支援や定住促進の支援を目的とした補助金」の例を見ていきましょう。
古民家再生や景観保全を目的とした補助金
歴史的な街並みや建物が多い地域では、地域文化を守るために、古民家の再生や景観保全を支援する補助金が設けられている場合があります。建物を残す意義の大きさから、個人的な負担軽減だけでなく、地域の観光振興や魅力向上にもつながる施策だといえます。
補助金の例を挙げると、京都府京都市で行っている、特定のエリア内にある京町家に対して改修と維持修繕の一部を補助する事業や、石川県金沢市で行っている、特定のエリアを対象に、金澤町家のリノベーションや修繕を補助する金澤町家再生活用事業があります。
地域性が高い制度のため実施している自治体は少ないですが、先祖代々の家を守っていきたい方には、有力な選択肢となるのではないでしょうか。
子育て世帯の支援や定住促進を目的とした補助金
人口減少が深刻な地方を中心に、定住促進の一環として行われている補助金制度です。
例えば大阪府堺市では、市外からの転入者または市内の賃貸住宅からの転居者を対象に最大120万円を補助する「堺市子育て世帯等空き家活用定住支援事業補助金」を実施しています。ちなみに、この制度は空き家の購入が条件なので、リノベーションをしない場合も受け取ることができます。
また、新潟県十日町市では「UIターン補助⾦制度を利⽤した方が住宅を取得する場合に費⽤の⼀部を支援する制度」を実施しており、実家のリフォームに最大10万円、中古住宅の取得・改修に最大20万~50万円を支給しています。
中には住宅の取得とセットで補助金を支給しているケースもあります。補助額が大きいので、他の自治体への引っ越しを考えている場合は必ずチェックしましょう。
補助金申請に必要な手続きの流れとスケジュール

ここからは、リノベーション補助金を申請する場合の一般的な流れを説明します。補助金制度は数多くの種類がありますが、大まかな流れは共通しているため、ここでポイントを押さえておきましょう。
補助金の申請から交付までの一般的な流れは以下のとおりです。
- 1.各種条件の確認
- 2.業者との相談
- 3.インスペクションや耐震診断の実施(必要な場合)
- 4.申請書類の作成と提出
- 5.審査・交付決定通知の受領
- 6.工事着工
- 7.工事完了後の報告と書類提出
- 8.補助金の振り込み
補助金を受け取るために特に大切なのは、手続きを始める前に支給条件をしっかり確認しておくことです。条件に適合しないと審査が通りませんし、先に工事業者に発注してしまうと、あとから工事の内容を変更できず、補助金が受け取れなくなる可能性があります。
また、着工後は完了検査が滞りなく進むように、着工前・施工中・完了時の写真撮影を入念に行いましょう。完了後に確認できない部分は中間検査を行うこともあるので、自治体職員としっかり連携しながら進めましょう。
なお、申請から交付までにかかる期間は、工事の種別や規模、インスペクション・耐震診断の有無などによって変わってきます。自治体による手続き自体は、審査に数週間、完了報告から検査までに数週間を見込んでおくとよいでしょう。
なお、補助金が振り込まれるのは、完了報告と書類提出が終わってから数週間~1カ月程度が一般的です。事業の種類や自治体によって変わるので、具体的な日数は自治体に直接確認しましょう。
補助金は併用できる?

リノベーションの補助金を併用できるかは、一概に決まっておらず、事業単位で決められています。そのため、条件に当てはまる補助金を一通りチェックして、併用が可能であれば両方申請を、併用不可の場合は補助額や補助率が高い方を選ぶとよいでしょう。
例えば、住宅省エネ2025キャンペーンの補助金は、同事業内の補助金同士であれば併用ができますが、その他の国が行っている補助金との併用はできません。
自治体が独自で行っている補助金も、定住促進のために併用を前提として段階的に補助額を上げるものもあれば、完全に単独で運用されているものもあります。
併用の可否を確認したい場合は、まずウェブサイトに併用の可否に関する案内が書いてあるかを探してみましょう。Q&Aのコーナーに書かれていることも多いです。
ウェブサイトだけでは疑問が解決しない場合は、直接担当窓口に質問しましょう。ウェブサイトで確認した場合でも、改めて聞いておくことをおすすめします。
まとめ・総括
今回の記事で、リノベーション補助金は種類が多く、また、支給条件も複雑であることが分かったと思います。ただ、どれも工事費用を抑える効果が大きいため、制度について調べ、理解する手間をかける価値は十分あります。
また、補助金は着工前に審査を受けるのが大前提なので、リノベーション計画は補助金の申請スケジュールに合わせて逆算して進めましょう。設計や見積もりの段階から施工会社と情報を共有し、補助金対象となる工事内容を整理しておくことも大切です。
この記事の監修者
岡崎 千尋 アキサポ 空き家プランナー
宅建士/二級建築士
都市計画コンサルタントとしてまちづくりを経験後、アキサポでは不動産の活用から売買まで幅広く担当してきました。
お客様のお悩みに寄り添い、所有者様・入居者様・地域の皆様にとって「三方良し」となる解決策を追及いたします。