公開日:2021.07.13 更新日:2021.07.21
古民家リフォーム・リノベーションの費用|具体的予算と費用の抑え方

古民家を相続すると、その後の扱いに悩みますよね。リフォーム(リノベーション)して利活用している事例もありますが、古民家のリフォーム費用が分かりませんし、失敗しないかも心配です。
ただ、古民家に利活用の需要があるのは確かです。新しい住宅には出せない趣があるため、飲食店や宿泊施設などに需要があるのです。
では、実際に古民家のリフォームにはどれくらいの費用がかかるのでしょう?
じつは、壁や床・設備・水回りなど、全体的にリフォームすると総額1,000万円を超えることはざら。できればもう少し金額を抑えたいですよね。
そこでこの記事では、古民家リフォームの費用を箇所別に紹介。また、費用を抑える方法も合わせて解説します。
目次
古民家はリフォーム・リノベーションすれば利活用できるのか?
古民家の利活用で一番疑問なのは、「本当に借り手が付くのか」ということだと思います。せっかく高い費用をかけてリフォームをしても、借り手が付かなければ本末転倒ですよね。
そこで、まずは古民家をマッチングして利活用できる可能性について解説します。
古民家の需要は高い!マッチングすれば利活用可能
古民家は独特の風情が人気の物件ですが、それでもマッチングが必ず成功するわけではありません。場所や建物の条件によりますし、条件が良くても運悪く借りたい人を見つけられない場合もあります。
しかし、古民家には高い需要があります。
「古民家」は新たに作れる物件ではありません。「古い」というだけでほかの物件と差別化されていますし、そもそも供給数が少ない市場です。そのため、探している側からすれば見つかるだけでもありがたいのです。
つまり、古民家の利活用を成功させるには、古民家を借りたい人をどう見つけるかがポイント。さらに言えば、借り手を連れてこられる「古民家需要に詳しい業者」を見つけるのがポイントです。
例えば、地域に詳しい地元の不動産屋や、空き家専門の不動産屋が該当します。業者の情報はネットで見つけにくいため、もし知り合いに不動産屋がいれば積極的に聞いてみましょう。
アキサポならマッチングからリフォームまでフルサポート
じつは、古民家を始めとする空き家のマッチングを専門に行っているサービスがあります。それは、弊社の行っている「アキサポ」というサービスです。
「アキサポ」は、空き家を貸したい方と借りたい方をつなぐマッチングサービスで、マッチングが成立すれば、貸し手は賃貸料の一部を収益として受け取れます。
しかも、空き家所有者の持ち出しは0円!借り手探しからリフォームまで、すべて「アキサポ」が代行するため、ただ待っているだけでいいのです。
実際、京都にある古民家のマッチングに成功した事例もあります。元は古びた古民家でしたが、リフォームをして一棟貸しの宿泊施設へと生まれ変わらせています。
「アキサポ」には空き家のプロスタッフが集まっているため、古民家の借り手探しも得意です。古民家の利活用を検討したい方は、ぜひ一度ご相談ください。
古民家を維持する場合はどれくらい費用がかかる?
古民家のリフォームにはまとまった費用がかかるため、とりあえず維持しておこうと考える方も多いと思います。
確かに維持なら一度に多額のお金が出ていく心配はありません。しかし、年単位で見ると安くない額になってしまうのも事実です。
- 古民家の維持にかかる主な費用項目
- 固定資産税(土地・建物)
- 都市計画税(市街化区域に建物がある場合)
- 電気代(止めていない場合)
- 水道代(止めていない場合)
- ガス代(止めていない場合)
- 火災保険料
- 管理委託費(巡回サービスや除草・木の剪定など)
これらを総合すると、年間10万~数十万円が必要になります。さらに、緊急の修繕が発生する場合もありますし、空き巣や放火などのリスクも付きまといます。
古民家を維持する場合はあくまで一時的と考え、早めの利活用や売却を考えた方がいいでしょう。
古民家(空き家)の維持費については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
■空き家維持にかかる費用や注意点、維持以外の空き家活用についても解説
古民家リフォームの費用相場|箇所別に解説

ここからは、古民家リフォームの費用相場を箇所別に解説します。
リフォーム費用は物件によって差があるため、明確な相場はありません。そこでここでは、国土交通省から発表されている「リフォームの内容と価格について」から参考価格を紹介したいと思います。
「リフォームの内容と価格について」は、工務店・リフォーム会社・量販店等約40社に対するアンケート及びヒアリング調査から参考価格を算出したものです。
あくまで一般的な住宅を対象とした価格のため、古民家の場合は追加工事が発生する可能性があります。そのため、参考価格よりも高めに考えていただければと思います。
居間(リビング)・居室|200万~400万円
居間を全面的に改修する費用は、200万~400万円が相場です。主な作業内容と参考価格は下記のとおりです。
- 畳の交換 6万~12万円
- 畳のフローリング化 15万~60万円
- 壁クロスの貼り換え 6万~30万円
- 壁クロスの珪藻土化 18万~30万円
- 段差の解消 8万~20万円
- 床暖房の設置 50万~150万円
- 和室の洋室化 50万~200万円
- 和室の洋室化(バリアフリー仕様) 70万~300万円
- ホームシアターの設置 300万~500万円
- 2室を1室にまとめる 50万~80万円
- 天然素材を用いた室内全体のエコリフォーム 300万~1000万円
細々した作業は少なく、床や壁など、面積あたりで価格が算出される作業がメインです。そのため、材料の原材料費によって全体の価格が変動する傾向にあります。
例えば、床を10畳張り替えた場合、1畳の価格が1万円の場合と2万円の場合では、総額で10万円の差が出ます。材料の性能と費用のバランスを考え、予算内で最適な材料を選びましょう。
台所(キッチン)|80万~400万円
台所のリフォーム費用は、リフォーム内容によってかなり差が出ます。
例えば、古い部分を修繕する程度ならさほど高額にはなりませんが、システムキッチンを入れたり、さらにはアイランドキッチン化したりするとかなり高額になります。
参考に部位別の費用相場を紹介します。
- IHコンロへの交換 18万~80万円
- ガス給湯器の交換 20万~50万円
- システムキッチン(Ⅰ型)の交換 40万~80万円
- システムキッチンの交換(壁付け→対面型) 75万~200万円
- オール電化への改修(ほかの水回りも含む) 100万~200万円
- 高効率給湯システムの設置(ほかの水回りも含む) 55万~100万円
- アイランドキッチンの設置 300万~450万円
風呂(バス)|リフォームの方針によって大きく異なる
風呂のリフォームは、古民家リフォームの中でも悩む部分ではないでしょうか。浴槽の交換だけするか、システムバスにするか、ヒノキ風呂のようなこだわりの風呂にするか、古民家の使い道によってリフォームの方法は変わると思います。
まず、浴槽の交換やシステムバスにする場合の参考価格を紹介します。
- 浴槽の交換 14万~20万円
- システムバスの交換 60万~150万円
- オール電化への改修(ほかの水回りも含む) 100万~200万円
- 高効率給湯システムの設置(ほかの水回りも含む) 55万~100万円
- タイルや壁の張替え 面積単価×施工面積で算出
なお、こだわりの風呂にするリフォームはオーダーメイド品のため、ハッキリとした相場はありません。
例えばヒノキ風呂は浴槽だけなら約30万円から商品がありますが、壁や床の張替えも行う場合、そこもヒノキにするか、タイルや石を使うかによって価格が変わります。
トイレ|20万~100万円
トイレの相場は、便器だけを交換するか、壁や床もリフォームするかによって価格が変わります。主な施工費用は下記のとおりです。ここでは洗面所の費用も合わせて紹介します。
- トイレ全体の改修(タンク式) 20万~100万円
- タンクレストイレへの交換 30万~50万円
- 洗面所の改装 20万~100万円
- 洗面化粧台の交換 20万~50万円
屋根・壁|材料によって総額が変わる
屋根・壁は、使用する材料費がそのまま総額に反映されます。
また、屋根のリフォームは、耐震性能を考える上でも重要な部分です。リフォームで屋根を軽くできれば、地震で柱が折れて家がつぶれるリスクも低くなるためです。
屋根材の定番は瓦屋根ですが、金属屋根(ガルバリウム鋼板屋根)という、瓦屋根風の軽量金属屋根もあります。軽く、耐久性も高いため、耐震化を考えるならぜひ考えておきたいところです。
- 外壁材の重ね塗り 50万~150万円
- 雨どいの交換 5万~40万円
- サイディングの上塗り 80万~200万円
- スレート屋根の塗り替え 20万~80万円
- 金属屋根の重ね葺き 90万~250万円
- 瓦屋根の交換 70万~120万円
耐震補強・シロアリ対策|安全対策も忘れずに
リフォームは住宅の健康診断の機会でもあります。住宅を長持ちさせるためにも、耐震補強やシロアリ対策といったメンテナンスを取り入れておきましょう。
- シロアリ防止処理 15万~30万円
- 耐震補強(金物使用) 20万~60万円
- 耐震補強(基礎からの工事) 100万~200万円
耐震補強の方法は、金物を使って住宅の躯体を強固にする工事や、柱・壁の追加、基礎からの工事などがあります。なお、工事内容は元の耐震性能をベースに、「耐震評点」という建物の耐震性能を表す指標が1.0を超えるように設計するのが基本です。
耐震補強をする場合は、まず耐震診断を行い現状の耐震評点を知るところから始めましょう。
古民家リフォームの費用を抑える2つの方法

リフォームする箇所を絞っても、やはり安い金額にはなりません。そこで、あと一押しリフォーム費用を抑える2つの方法を紹介します。
それは、「補助金」と「DIY」です。
まず補助金ですが、リフォームに関連する補助金は意外と多く、バリアフリー化や耐震化など、目的ごとに補助金が用意されています。
また、DIYは自分でリフォームを行うため、費用がほぼ材料費だけで済みます。それぞれ詳しく見ていきましょう。
補助金|目的別に複数の補助金がある
ここでは、リフォームに関する主な4種類の補助金を紹介します。
「介護保険における住宅改修」補助金
介護保険における住宅改修補助金とは、住宅をバリアフリー化する目的でリフォームする場合に支給される補助金です。
手すりの取り付けや段差の解消といった工事が対象で、支給限度基準額20万円の9割(18万円)を上限に支給されます。
支給対象や支給額の詳細は下記のリンクをご覧ください。
「耐震診断・耐震改修」補助金
耐震診断・耐震改修補助金とは、耐震基準を満たさない建築物を、耐震基準を満たすためにリフォームする際に支給される補助金です。
対象は、昭和56年5月31日以前に着工した建築物(旧耐震建築物)で、補助額は自治体によって異なります。
耐震診断(基準を満たすかの調査)と耐震改修(耐震化する工事)は、別々に補助金が用意されているため、どちらも忘れず申請しましょう。
自治体によって制度の差があるため、まずは役所の建築担当窓口に相談してみるといいでしょう。
長期優良住宅化リフォーム補助金
長期優良住宅化リフォーム補助金とは、住宅を「長期優良住宅」にするためのリフォームに支給される補助金です。
なお、長期優良住宅とは、「長期にわたり良好な状態で使用するための措置がその構造及び設備に講じられた優良な住宅」のことを言います。条件が複雑なため、詳細のチェックはリフォームの施工会社に任せましょう。
この補助金は補助額がかなり高く、評価基準型・認定長期優良住宅型・高度省エネルギー型の3段階で100万円(150万円) / 200万円(250万円) / 250万円 (300万円)がそれぞれ受け取れます。
※( )内の額は下記要件に該当する場合
- 三世代同居対応改修工事を実施する場合
- 令和3年4月1日時点で40歳未満の世帯 が工事を実施する場合(令和3年現在)
- 令和3年4月1日時点で18歳未満の子を 有する世帯、又は申請時点で18歳未満の子を有する世帯が工事を実施する場合 (令和3年現在)
- 自ら居住する既存住宅を購入し、売買契約後1年以内に工事を実施する場合
長期優良住宅化リフォーム推進事業(国立研究開発法人 建築研究所)
その他自治体のリフォーム補助金
上記の補助金以外にも、自治体ごとに独自でリフォーム補助金を用意している場合があります。補助金額は自治体によって異なりますが、5万~30万円くらいが多いです。
この補助金は支給条件が厳しくないのが特徴です。住民の定住を促すために設けられている場合が多く、リフォームに特別な目的が無くても補助金がもらえるケースが大半です。リフォームを行う際には必ずチェックしましょう。
DIY|メリットとデメリットが明確
DIYは材料費だけでリフォームができるため、リフォーム費用をかなり抑えることができます。しかし、メリットとデメリットもハッキリしているため、使いどころの見極めが大切です。
- DIYのメリット
- 人件費がかからない
- 自由にリフォームができる
- スケジュールが自由
- 愛着がわく
- DIYのデメリット
- 仕上がりが技術に左右される
- 時間がかかる
- 材料の調達が大変
- 作業に危険を伴う場合がある
- DIYの注意点
- 電気や水道は業者に依頼する
- 柱や壁など建物の構造に関係する部分は業者に依頼する
- 必要な工具の費用も見積もっておく
- 材料の調達先を確保しておく
このように、DIYは自由にできる反面、失敗のリスクも大きいです。また、電気・水道や柱・壁など個人で工事ができない部分もあります。安全のため、必ず業者に頼みましょう。
なお、DIYを活用するおすすめの方法は「可能な範囲内でDIYする」ということ。
リフォームのメインは業者に依頼し、内装のような家の安全性に影響しない部分をDIYで節約しましょう。
古民家リフォームで失敗しない3つのポイント

古民家リフォームと一般的なリフォームを同様に考えてはいけないことがあります。それは、使われている工法や材料の規格が最近の建物と異なることです。
「伝統工法」と呼ばれる工法で作られている建物があったり、屋根が茅葺屋根になっていたりすると建物に合わせて施工方法を考える必要があります。
それを踏まえて、古民家リフォームで失敗しない3つのポイントを見ていきましょう。
借り手を見つけてからリフォームをする
リフォームの大前提として、必ず借り手を見つけてからリフォームをしましょう。建物の使い方は借り手によって異なります。借り手がついてから追加工事をすると費用がかさんでしまいます。
誰でも使いやすいように床や壁だけ先にリフォームしておく考え方もありますが、これも要注意。古民家を活用した事業ではリフォームコンセプトが明確な場合が多いため、床や壁までこだわるケースもあるのです。
つまり、借り手と一緒にリフォーム計画を考えるのがおすすめ。借り手とリフォーム費用を折半できれば費用の節約にもなりますよ。
古民家リフォームの実績が多数ある業者を選ぶ
古民家は最近の住宅と工法や材料が違うため、建物に合わせて臨機応変に対応しないといけない場面もあります。つまり、古民家リフォームは経験がものをいう仕事と言えます。
そのため、リフォーム業者は実績がなるべく多い業者を選びましょう。古民家は物件によって構造の差が大きいため、場数を多く踏んできた業者が安心です。
また、実績が多いと材料の調達ルートを持っている可能性も高いです。茅葺屋根のように材料の調達が難しい部分がある場合は、特に重視すべきポイントとなります。
耐震診断を必ずセットで行う
古民家リフォームの際は必ず耐震診断をセットで。耐震基準に満たない場合は耐震改修も行いましょう。
昭和56年以前に着工された建物は旧耐震建築物と呼ばれ、震度5強程度地震に倒壊しないことを基本に設計されています。そのため、震度6や7の場合では倒壊しない補償がありません。古民家のほとんどはこれに該当するため、リフォームの機会に合わせてチェックしましょう。
よく「古民家は大黒柱があるから強い」と言われますが過信は禁物です。古民家にも下記のようなリスクがあります。
- 古民家の地震に対するリスク
- 瓦屋根が重く重心が高いため、横揺れで柱が折れる可能性がある
- 木材がシロアリに食われている可能性がある
- 基礎がコンクリートで固められておらず、貧弱な場合がある
- 壁が少なく地震に対する強度が不足している場合がある
- 増築を繰り返して不安定な構造になっている場合がある
このように、古民家には古いがゆえのリスクがいろいろあります。耐震診断でこれらの問題点を洗い出し、必要に応じて耐震化工事を行いましょう。
古民家は今後もっと希少化が進むと考えられます。その場合、保存状態の良い古民家は市場価値が高まることも考えられます。
大事な資産を守るため、かならず耐震診断を行いましょう。
「アキサポ」で失敗リスクゼロの古民家リフォームを

古民家リフォームは、古民家の価値を上げるためにとても有効な手段です。利活用を考えている場合、ほとんどのケースでリフォームが発生します。
しかし、今回ご紹介したように、古民家のリフォーム費用は気軽な金額ではありません。そのためにも「借り手を見つけてからリフォームをする」「古民家リフォームの実績が多数ある業者を選ぶ」「耐震診断を必ずセットで行う」といった3つのポイントは覚えておきましょう。
さらにリスクを減らしたいなら、弊社の提供する空き家0円マッチングサービス「アキサポ」がおすすめです。
「アキサポ」は、空き家所有者様の持ち出し0円で相談からマッチングまで行うサービスです。リフォームが発生した場合も「アキサポ」で負担するため、金銭的リスク「ゼロ」で古民家の利活用が可能です。
得られる収益は物件によって異なるため、大きく収益を得るのは難しい場合も有ります。しかし、リスクの低さを考えたら「アキサポ」は間違いなくおすすめできるサービスです。
もし古民家でお悩みでしたら、ぜひ一度「アキサポ」までご相談ください。