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公開日:2025.10.07 更新日:2025.09.26

専任媒介とは?不動産売却における契約形態やメリット・デメリットを解説

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不動産を売却する際に欠かせないのが、不動産会社と結ぶ媒介契約です。この契約には、一般・専任・専属専任の3種類があり、売却の目的に応じて最適な形式を選ぶ必要があります。

その中でも専任媒介契約と専属専任媒介契約は「1社に集中して任せる」という特徴から、売却活動のスピードやサポート体制の面で強みを持っています。ただし、選択を誤ると自由度が狭まったり、思わぬ不利益につながったりするリスクもあるため、十分に仕組みを理解しておくことが重要です。

そこでこの記事では、専任媒介契約と専属専任媒介契約の基本的な仕組みやメリット・デメリット、他の契約との違いなどを解説します。加えて、実際に契約する際に押さえておきたい注意点も紹介しますので、売却を検討している方は判断材料としてぜひ参考にしてください。

まず押さえておきたい「媒介」と「仲介」の違い

不動産売却では「媒介」と「仲介」という言葉がよく登場しますが、両者の違いをしっかり理解している人は意外と多くありません。この違いを押さえていないと、不動産会社とのやり取りで混乱しやすく、売却の進め方にも影響する恐れがあります。

まず「媒介」とは、宅地建物取引業法(宅建業法)に基づく契約行為そのものを指します。具体的には、不動産会社が売主から媒介契約の依頼を受け、買主との売買を成立させるために調整を行うことを指します。

一方の「仲介」は、不動産会社が当事者同士をつなぎ、実際に取引を進めるための具体的なサポートを指します。現場では同じ意味で使われることが多いですが、厳密には、媒介契約を結び、その契約に基づいて不動産会社が仲介役として動く関係になっています。

不動産売却で知っておくべき媒介契約の3種類

不動産を売却する際に結ぶ媒介契約には次の3種類があります。

  • 一般媒介契約
  • 専任媒介契約
  • 専属専任媒介契約

各契約形態の違いは、依頼できる範囲や報告の頻度、売主の自由度が主なところです。それぞれの違いを理解しておけば、自分の状況に合った契約を選びやすくなるため、ここでそれぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。

一般媒介契約:複数社に依頼できる自由度の高い契約

一般媒介契約は、3つの媒介契約の中で最も自由度が高い契約形態です。売主は複数の不動産会社に同時に依頼できるほか、自分で買主を見つける「自己発見取引」も認められています。そのため、幅広く買主を探したい人に合った契約形態といえるでしょう。

ただ、一般媒介契約には不動産会社に進捗報告の義務がないため、各社がどの程度動いているのか分かりにくいという難点もあります。結果として「売却活動は進んでいるのに状況が見えない」といった不安につながることもあるため注意が必要です。

専任媒介契約:1社に依頼しつつ自己発見取引が可能

専任媒介契約は、売主が1社の不動産会社に媒介を依頼する契約です。売主は別の不動産会社に重ねて依頼することはできませんが、自分で買主を見つける「自己発見取引」は認められています。つまり、不動産会社に集中して動いてもらいながらも、一定の自由度を残せる契約といえます。

また、この契約は、不動産会社が「自社で成約を取りたい」という意識を強めやすい特徴も兼ね備えています。そのため、広告や営業活動により力を入れてくれる可能性が高く、結果として売却のスピードや成約条件にプラスに働くことが期待できます。

さらに、宅建業法第34条の2により2週間に1回の定期報告が義務付けられているため、売却活動の進捗を把握しやすいのも安心できるポイントです。報告を受けながら販売戦略の調整や価格見直しの相談を進められるので、不透明さを感じにくく、信頼関係を築きやすい契約形式といえるでしょう。

専属専任媒介契約:1社に依頼かつ自己発見取引が不可

専属専任媒介契約は、3つの契約の中で最も制約が強い形式であり、宅建業法に基づき週1回以上の報告義務が課されます。売主は1社の不動産会社に媒介を依頼し、自ら買主を見つける自己発見取引も禁止されます。必ず不動産会社を通して取引を進める必要があります。

かなり縛りが厳しい契約形態ですが、その分、不動産会社には週1回という高頻度な報告義務が課されます。これにより、他の契約よりも積極的に営業活動をしてもらえる体制が整います。

ただし、情報が1社に限定されるため、依頼先の不動産会社を慎重に選ばなければ売却チャンスを逃す恐れもあります。安心感と制約のバランスをどう考えるかが、この契約を選ぶポイントになります。

専任媒介契約・専属専任媒介契約を選ぶメリット

専任媒介契約と専属専任媒介契約は特定の不動産会社が積極的に動いてくれるという反面、他の会社への依頼ができなくなるという一長一短の特徴を持っています。そのため、契約形態を選ぶ際には、メリットを把握したうえで、自分の物件を依頼するのに適しているかを判断する必要があります。

ここでは、専任媒介契約と専属専任媒介契約の代表的なメリットを見ていきましょう。

メリット1:不動産会社が優先的に売却活動をしてくれる

専任媒介契約の大きな魅力は、自分の物件を優先的に取り扱ってもらえることです。1社と独占的に契約することで、その会社にとっては「この物件が成約すれば必ず自社の利益になる」という状況になります。

そのため、広告費を多めにかけて不動産ポータルサイトに目立つ形で掲載してくれたり、営業担当が他の案件より優先して内見対応をしてくれたりと、具体的に動いてくれる確率が高まります。

買主が見つかる可能性や、希望条件に近い形で売却できるチャンスが広がるため、短期間で集中的に売り出したい場合に適しています。

メリット2:専任媒介契約なら売主自らの買主探しが認められる

専任媒介契約では、不動産会社に売却を依頼しながらも、自分で買主を見つけた場合には直接契約できる自由が残されています。そのため、知人や親族、勤務先の同僚など、身近な人からの申し出に対応でき、さらに不動産会社を介さずに取引を成立させれば、仲介手数料は発生しません。

例えば、売却価格3,000万円の物件を売却する場合の仲介手数料は「売買価格×3%+6万円+消費税」で約105.6万円(税込)となりますが、自己発見取引から直接取引が成立すればこの手数料は一切かかりません。

メリット3:担当者との連携がスムーズで煩雑さが少ない

専任媒介契約のもう一つの魅力は、やり取りが一本化されてシンプルになることです。一般媒介契約のように複数の不動産会社へ同時に依頼すると「A社は強気の価格を勧めるが、B社は値下げを提案してきた」といった具合に意見が食い違い、どれを採用すべきか迷ってしまうことがありますが、専任媒介契約ではそれがありません。

専任媒介契約なら、やり取りの相手は1社の担当者だけ。内見の調整や価格交渉、広告戦略の相談も同じ担当者と進められるため、情報がブレずにスムーズに進みます。特に仕事や家庭で忙しい人にとっては、やり取りが簡潔になるのは大きなメリットといえるでしょう。

また、担当者との信頼関係が構築できれば、こちらの意向を理解したうえで柔軟に対応してもらいやすくなるというメリットもあります。余計なストレスを抱えることなく、効率的に売却活動を進められるのは専任媒介契約ならではの安心感といえるでしょう。

専任媒介契約のデメリットと注意点

専任媒介契約の「1社に任せる」という特徴は、不動産会社に集中して動いてもらえる反面、市場への情報発信がその会社に依存するため、買主に届く機会が限定されてしまうリスクもあります。

場合によっては、売却が長引いたり、条件面で不利になったりする可能性もあるため、本当に専任媒介契約を結ぶべきかは慎重に決めるべきです。

そこでここでは、契約前に知っておきたい代表的なデメリットを2つ紹介します。

デメリット1:不動産会社の囲い込みリスクがある

まず知っておきたいのが「囲い込み」と呼ばれるリスクです。囲い込みとは、不動産会社が物件情報を自社の中だけで抱え込み、買主探しを独占しようとする行為を指します。

本来、専任媒介契約では1社にしか依頼できませんが、その会社には「レインズ」という全国の不動産会社が閲覧できる仕組みに物件を登録する義務があります。これによって他の会社も買主を紹介できるようになり、売主はより多くの購入希望者に物件を見てもらえるようになります。

しかし、囲い込みが起きると、レインズへの登録を義務付けられた日(5営業日以内)より遅らせたり、他社からの問い合わせに意図的に消極的な対応をしたりして、情報が十分に広がらなくなります。その結果、本来なら出会えたはずの買主に物件が届かず、売却のスピードや条件が不利になる可能性があるのです。

デメリット2:販売情報が広がりにくいケースもある

もうひとつ注意したいのが、販売情報の広がり方が限定されやすい点です。専任媒介契約は1社にしか依頼できないため、売却活動の方法や広告の出し方がその会社に大きく左右されます。

仕組みとしては、レインズへの登録によって他社から買主が紹介されることもありますが、実際の売却活動は依頼した会社が中心になります。もし広告に力を入れなかったり、自社ネットワークだけに頼ったりすると、想定していたほど情報が市場に広がらない可能性があるのです。

その結果、買主の目に触れる機会が少なくなり、売却が長引いたり、条件を下げざるを得なくなったりするリスクがあります。こうした事態を避けるためには、契約前に「どの媒体に広告を出すのか」「どのくらいの頻度で活動報告をしてもらえるのか」を確認しておくことが重要です。

専任媒介契約を結ぶ不動産会社を選ぶポイント

専任媒介契約は「1社に任せる」形式だからこそ、その不動産会社の力量や姿勢が売却の成否を左右します。信頼できる会社と組めば安心して任せられますが、選び方を誤ると売却が長引いたり条件が悪くなったりするリスクもあるのです。
そこでここでは、不動産会社を選ぶ際に特にチェックしておきたい5つのポイントを紹介します。

1:実績と信頼度をチェックする

不動産会社を選ぶ際に、まず注目したいのは売却実績と地域での信頼度です。成約事例や口コミ評価はもちろん、物件の種類ごとの得意不得意もチェックしましょう。自分の物件に近い条件の成約実績がある会社なら、売却が有利になる可能性が高まるでしょう。


また、地域の相場や需要に応じてどのような販売戦略を取ってきたかも確認ポイントです。過去の販売活動を見て、その会社がどの程度市場に精通しているかも見ておきましょう。

2:担当者の対応力・提案力を見極める

専任媒介契約では、1人の担当者と継続してやり取りすることになるため、担当者の力量も重要なポイントになります。実際に担当者と話してみて、戦略の立て方やスケジュール管理、買主への対応力といった項目をチェックしましょう。


また、面談時には広告を出す媒体や出し方、価格見直しのタイミングなどの具体的な質問を投げかけてみましょう。その場で根拠を示しながら明確に答えてくれる担当者なら、信頼できる相手だと判断できます。

3:契約期間と更新の仕組みを理解する

専任媒介契約の有効期間は法律で最長3カ月と定められており、期間が満了すると更新するかどうかを判断します。

更新の際に確認すべきなのは、まず今の会社と継続するか、それとも別の会社に切り替えるかを考えることになります。十分な活動が見られない場合や報告が不透明な場合は、更新を機に他社へ乗り換えるのも有効な判断になります。

今の会社と継続する場合は、売却活動の進捗や問い合わせ件数、販売価格の妥当性などを改めてチェックしましょう。たとえば反響が少ないなら広告の出し方を変える、長期間売れないなら価格調整を検討するといった改善が考えられます。

4:仲介手数料や費用負担のタイミングを把握する

仲介手数料は、不動産会社が買主を見つけて契約が成立した時点で発生する「成功報酬」です。仲介手数料を支払うタイミングは、売買契約時に半額支払い、引き渡し時に残額を支払う形が一般的ですが、会社によって取り扱いが異なる場合もあるため必ず確認しておきましょう。

その他にも、書類取得費用や測量費、リフォームやハウスクリーニング代など、仲介手数料以外の費用が発生する場合もあります。これらの項目を正しく把握していないと、思わぬ出費で手取り額が減ってしまうことになりかねません。

大切なのは、資金計画を立てる際には、仲介手数料だけでなく付随する費用も含めて総額を見積もっておくことです。見積もりの段階で「この費用は誰が負担するのか」「いつ支払う必要があるのか」を必ず確認し、後でトラブルにならないようにしましょう。

5:契約解除や違約金のルールを知る

専任媒介契約を結ぶ際に意外と見落とされがちなのが、途中で契約を解除する場合のルールです。どんなに慎重に会社を選んでも、売却を取りやめたくなったり、不動産会社との相性が合わなかったりするケースはあり得ます。

専任媒介契約は成功報酬型なので、成約前であれば違約金は原則発生しません(ただし広告実費の請求はあり得ます)。ただし、不動産会社が広告費などを先に負担していた場合には、実費分を請求される可能性があります。

契約時には、あらかじめ解除条件や費用負担の有無を確認しておきましょう。特に「広告費は返さないのか」「途中解約の手続きはどのように行うのか」といった点を事前に把握しておくと安心です。条件を明確にしておけば、思わぬ出費やトラブルを避け、納得感を持って売却活動を進めることができます。

【まとめ】専任媒介契約を正しく理解し、自分に合った売却を成功させよう

専任媒介契約は、ひとつの会社に絞ることで集中的な販売活動が期待できる一方、選んだ相手によっては売却チャンスを狭めてしまう可能性も持ち合わせている、「効率」と「制約」が常に背中合わせになっている契約形態といえます。

大切なのは、契約形式そのものよりも、自分の売却像をどれだけ具体的に描けるかです。急いで売りたいのか、できるだけ高く売りたいのかなど、必ず目的に適しているかを考えながら検討しましょう。

また、専任媒介契約は会社や担当者の力が大きく反映されるため、複数の会社に査定を依頼するのも忘れないようにしましょう。数字だけでなく担当者の姿勢や提案力を比べることで、自分に合ったパートナー像が見えてきます。

この記事の監修者

山下 航平 アキサポ 空き家プランナー

宅建士/二級建築士

ハウスメーカーにて戸建住宅の新築やリフォームの営業・施工管理を経験後、アキサポでは不動産の売買や空き家再生事業を担当してきました。
現在は、地方の空き家問題という社会課題の解決に向けて、日々尽力しております。

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