公開日:2022.07.29 更新日:2023.09.30
実家売却・処分は慎重に!売却で後悔する前に知っておくべきこととは?
相続した実家の扱いを考える際、売却処分も一つの選択肢。維持管理費を考えると、早めに売ってしまった方が得な場合もあるのです。
しかし、一概に「売却すべき」とは言い切れません。実家の利用価値に気付かないと、本来得られるはずのお金を逃してしまうこともあり得るのです。
そこでこの記事では、実家の売却で損をしないためのポイントを解説。「後悔した事例」と併せて紹介していきます。
なぜ実家を売却するのか、放置することのリスクとは?
相続した実家を売却することに抵抗がある方も多いと思います。しかし、現実には相続した家を管理しきれなくなってしまうケースも多く、せっかく相続した実家がボロボロになってしまうこともあるのです。
それだけでなく、維持管理費がかさんだり、劣化した実家が周囲に迷惑をかける可能性もあります。まずは、実家を放置することのリスクを確認しておきましょう。
空き家になった実家を放置することで多くのリスクがある
実家が空き家になることで起こり得るリスクは大きく3種類あります。
・経済的リスク:劣化により資産価値が下がる。維持管理費や固定資産税がかかる ・物理的リスク:災害や倒壊、放火などの危険性がある ・犯罪的リスク:不法侵入や不法投棄などの危険性がある |
いずれも放置する期間が長くなるほどリスクも大きくなり、中には1度でも起こると大きな損失に繋がることも。それぞれ詳しく見ていきましょう。
経済的リスク
空き家になった実家を十分手入れせず放置したままにすると、劣化が早まって建物の価値が下がることがあります。特に換気が不十分な状態だと、湿気がこもることでカビが生えたり、シロアリが発生したりといったリスクが高まります。
また、建物は使わない状態でも維持管理費や固定資産税・都市計画税などが発生します。これらを回避する方法はなく、維持管理をしないと劣化はどんどん早まりますし、固定資産税や都市計画税は毎年必ず発生します。
物理的リスク
居住者のいない住宅は、その住宅に何か被害があってもすぐに対応できない状態にあります。そのため、もし危険箇所や破損箇所があっても気付けず、危険性を放置してしまう可能性があります。
特に所有者が遠方にいる場合は顕著で、役所からの通知が来て初めて気づくケースもあるそうです。
軽度な破損ならまだしも、もし火災が起こると全焼の恐れがあるうえに、周辺にも燃え移る危険性があります。
犯罪的リスク
放置された空き家は管理者がいないため、不法侵入や不法投棄を行いやすくなります。また、近隣を狙った空き巣が一時的な隠れ場所として利用する恐れもあります。
特に、庭の雑草が繁茂していると視界が悪くなり、これらのリスクはさらに高くなる傾向にあります。
実家の売却についての判断方法とは?
実家の売却で失敗しがちな原因に「想定外の事態が起こった」ということが挙げられます。
「思ったより高く売れなかった」「費用がかさんでしまった」「税金がこんなにかかるなんて…」など、売却制度について把握していないために思ったような結果を得られないことはよくあるのです。
実家の売却は1度きりですし、失敗すると100万円単位で損をしてしまう可能性もあります。売却の前には少し面倒でも、売却に関する全体像を把握しておくのが得策です。
実家の売却で後悔した事例5選
ここからは「制度を把握していないと起こりがちな」、実家の売却で後悔した事例を5つ紹介します。
実家の売却は2度目がないため失敗が許されません。失敗しがちなポイントを事前にチェックして、失敗なしの実家売却につなげましょう。
後悔例①:売却後に相場より安かったと知った
査定を1社にしか依頼しなかったり、「お世話になってるから」と馴染みの不動産会社に丸投げしてしまったりすると、相場より安い価格で売却されてしまう危険性があります。
売却額の妥当性は最低でも3社以上からの見積もりで判断すべきで、可能なら5社以上から見積もりをもらうのがベターです。また、自分で似たような物件の事例もチェックしておきましょう。
売却額の判断は慎重に、多少手間がかかっても、万単位で額が変動すると思えば絶対行うべきです。
後悔例②:税金が思った以上に高額だった
住宅を売却すると複数の税金が発生します。これらの税金を計算に入れておかないと、売却後に「思ったより手元に残らなかった」という事態が起こりがちです。
住宅の売却に関して発生する税金
・登録免許税 ・譲渡所得税 ・住民税 ・印紙税 |
中でも、譲渡所得税と住民税は高額になる可能性があります。個人で税額を出すのは難しいため、媒介契約を締結する前に不動産会社に算出してもらいましょう。
後悔例③:売却に時間がかかり維持管理費がかさんでしまった
「少しでも高く売りたい」と、売却をねばりすぎると、むしろ維持管理費がかさんで余計な出費が発生してしまう可能性があります。
建物の手入れ費用はもちろん、除草費用や剪定費用、実家を訪れるための交通費もかかります。
また、固定資産税と都市計画税も発生するのを忘れずに。固定資産税と都市計画税は下記のスケジュールで徴収されるため、スケジュールを覚えておきましょう。
固定資産税・都市計画税の一般的な徴収スケジュール
・4~6月の末日 ・7~9月末日 ・9~12月末日、または1月の月初 ・12月~2月末日 |
固定資産税・都市計画税の徴収スケジュールは市区町村によって異なるため、具体的なスケジュールは住宅の立っている自治体に確認しましょう。
後悔例④:相続がなかなか完了せず売却に時間がかかった
実家を相続する場合、相続人が複数人いると相続方法で揉めるケースがあります。
相続する財産というのは、基本的に配偶者が1/2、次に子どもが1/2を人数で分ける…といったようにルールが定められていますが、住宅のように「物」を相続する場合、それを売却してお金を分けるか、住宅に対する所有権の割合で価値を分割するかなど、複数の方法があります。
そのため、相続方法や割合の折り合いがつかないと相続がなかなか完了しない場合があります。相続が発生してしまってからでは対処が難しいため、将来相続が発生するであろう実家があるなら、被相続人が存命のうちに相談しておきましょう。
後悔例⑤:管理状態が悪く売却価格を下げられてしまった
やっと買い手を見つけても、管理状態が悪いと値下げ交渉を持ちかけられてしまうことも。特に水回りや壁紙といった目につきやすい場所は、買い手に悪い印象を与えてしまうポイントです。
これを防ぐには、日常的な点検管理が不可欠。定期的な換気や通水を行い、いざ内見にいった際にトラブルがないようにしましょう。
売却以外に、空き家になった実家の活用手段がある
実家の売却を考えた際に、同時に検討してもらいたいのが「空き家活用」です。
空き家活用とはつまり賃貸のことで、建物を所有したまま継続収入が入ってくる点が魅力的です。
特に空き家活用向きなのは、建物や立地の需要が高い物件です。例えば、1つのブランドである「古民家」や、通勤に便利な駅近物件、最近では農地付き住宅なども活用のチャンスがあります。
それ以外でも、所有者目線では気付かない需要が隠れている場合もあるため、売却前に一度空き家に詳しい業者に相談するのがオススメです。
自己負担0円でリノベーション・賃貸収益を得られるアキサポとは?
空き家活用を考えた際に、ぜひ一度検討いただきたいのが、弊社の空き家活用サービス「アキサポ」です。
空き家を貸し出す際にはリノベーションを伴うことが多いですが、「アキサポ」にご相談いただければ、リノベーション費用は全額「アキサポ」持ち。もちろん、後から請求することもありません。
これは、「アキサポ」が賃料の一部をいただく形式をとっているため。その代わりにオーナー様には一切の費用がかかりません。
手続きも簡単で、「アキサポ」に相談いただいたら、あとは利用者探しからリフォーム、契約手続きまですべて「アキサポ」が行います。相談も無料なので、空き家活用をお考えでしたら、ぜひ1度ご相談ください。
実家売却 vs 実家活用のメリデメ比較
売却のメリット
・まとまったお金が入る ・維持管理費や税金が不要になる ・将来的な心配がなくなる |
売却のデメリット
・所有権を手放す必要がある ・不動産取得税や住民税、所得税がかかる ・一度しか収入が得られない |
空き家活用のメリット
・継続的な収入が得られる ・所有権を維持できる ・不動産売却に関する税金がかからない |
空き家活用のデメリット
・固定資産税・都市計画税を払い続ける必要がある ・一度にまとまった収入は得られない ・貸し出し前にリフォーム・リノベーションが必要 |
売却と活用のメリット・デメリットは基本的に表裏一体です。売却ではまとまったお金が手に入る代わりに所有権を手放さねばいけませんが、活用ではまとまったお金が入ってこない代わりに所有権を維持できます。
そのため、両者を比較する際には「所有権」と「収入の得方」を中心に、自分にどちらが合っているか考えるのがオススメ。今後のライフプランと合わせて考えましょう。
実家を売却する場合に、抑えておくべきポイント!
空き家活用と比較した結果、実家は売却が最適だと判断したら、あとは少しでも高く売れるように工夫しましょう。
そのためには、売却に関する流れの全体像や売却相場、必要費用などを把握することが重要。最低限の知識を身に着けて、おおまかな妥当性を判断できるようになっておきましょう。
1.実家売却の事前準備・流れ
住宅の売却は下記の流れで進んでいきます。
1.査定依頼 2.仲介会社の決定・媒介契約 3.売却価格の決定・売出し開始 4.買い手との交渉 5.契約・引き渡し |
ざっくり解説すると、売却価格の見積もりをしてもらい、納得できる額なら仲介を依頼する契約を締結、実際の売り出し価格を決めて、買い手が見つかったら条件を交渉して引き渡しといった流れです。
ここでもっとも重要なのが、1の査定依頼です。ここでなるべく多くの不動産会社に査定依頼をすることで、高く売却できるチャンスが広がります。不動産会社を1件ずつあたるのは大変ですが、ネット上なら1度の手続きで複数社も見積もりを依頼できる「一括査定サービス」があるため比較的簡単に見積もりを集められます。
また、査定依頼をする際には下記の書類を用意しておきましょう。
・土地と建物の登記簿 ・建物の図面 ・建築確認済通知書・検査済証 ・建物購入時の契約書類 ・固定資産税・都市計画税の納税通知書 |
詳しい流れや準備書類などが知りたい方はこちらの記事を参考にしてください
一戸建て売却前に必ず確認するべき5つのこと!本当に売却で良いのか・・・
2.実家の売却相場を把握
せっかく査定をしてもらっても、その額が妥当か分からないと売却を躊躇してしまいますよね。そうならないために、客観的に査定額が妥当かを知る方法を覚えておきましょう。
査定額が妥当かを判断する方法
・近隣の似た物件の取引事例を調べる ・複数の不動産会社から見積もりをもらう(3社以上) |
住宅の査定額には、立地条件や築年数、インフラの状況など多くの条件が関わってきますが、個人でそれを踏まえて判断するのは難しいです。
そのため、条件が類似した取引事例を参考にする方法や、なるべく多くの会社から見積もりをもらう方法で判断しましょう。
特に、複数の不動産会社から見積もりをもらう方法は、個別具体的な見積もりの結果なので、信頼性が高いです。最低でも平均が取れる件数の3件以上、可能なら5件以上見積もりをもらいましょう。
3.実家の売却に掛かる費用
住宅を売却しても、売却額の満額が手に入るわけではありません。住宅の売却には仲介手数料や各種調査費用、リフォーム・リノベーション費用などが必要ですし、売却後には税金も発生します。
住宅の売却にかかるおもな費用
・空き家の片づけ・解体費用 ・ローンの繰り上げ返済費用 ・各種調査費用(測量・ホームインスペクションなど) ・クリーニング費用 ・リフォーム・リノベーション・修繕費用 ・仲介手数料:仲介時に不動産会社へ支払う手数料 ・登録免許税:各種登記を行う際に課される税金 ・譲渡所得税・住民税 ・印紙税 |
片付けやクリーニングなどの費用は自分で対応すれば多少安くすることもできますが、各種税金は変えることができません。必要な費用は少なく見積もらず、割り切って確実にかかる額を見積もっておきましょう。
各種費用の詳しい解説はこちらの記事を参考にしてください
一戸建て売却前に必ず確認するべき5つのこと!本当に売却で良いのか・・・
実家の売却は慎重に!賃貸も1つの選択肢
実家の売却は人生で1度しかない大きなイベントです。売却額も大きいため、大切な実家を少しでも高く売って、今後の人生を豊かにしたいですよね。
また、住宅の需要が高ければ空き家活用で賃貸を選ぶのも1つの選択肢です。継続的な収入になりますし、何より大切な実家を手放さなくていいのは大きなメリットです。
少しでも賃貸を検討したいなら、弊社の空き家活用サービス「アキサポ」にご相談を。オーナー様の持ち出し0円で空き家活用が可能ですし、相談費用も一切かかりません。
実家は皆様が育ってきた大切な場所です。その思い出を語り継ぐためにも、空き家活用という選択肢を選んでみてはいかがでしょうか。