公開日:2022.07.29 更新日:2026.08.03
相続した実家を売却する流れと準備|査定〜引き渡しまで解説

相続した実家をスムーズに売却する鍵は、事前準備にあります。遺言書の確認、名義変更(相続登記)、土地の境界確認、住宅ローン残債の確認、家財の整理という5つの準備を済ませておくと、査定から引き渡しまでの手続きが円滑に進みます。
場当たり的に売り出して後悔しないためにも、まずは全体の流れをつかんでおきましょう。この記事では、実家を売却する前に必要な準備と、査定依頼から引き渡しまでの具体的な流れをわかりやすく解説します。「実家を相続したものの、何から始めればいいかわからない」という方は、ぜひ参考にしてください。
実家を売却するための準備

相続した実家を売却する前の準備は、主に5つです。遺言書の有無の確認、実家の名義変更(相続登記)、土地の境界確認、住宅ローン残債の確認、家財の整理・片付けを済ませておくと、売却がスムーズに進みます。
遺言書について確認する
実家の売却を検討するときは、親が遺言書を残しているかどうかの確認が必要です。遺言書がある場合、相続財産は亡くなった方の遺志に沿って分割されます。実家を含む不動産についても、原則として遺言書に記された人物が相続します。売却手続きは実際に物件を相続した方が進めることになるため、誰が相続人なのかを明らかにしておかなければなりません。
遺言書には、公正証書遺言、自筆証書遺言、秘密証書遺言の3種類があります。それぞれの遺言書の特徴は、下記のとおりです。
■遺言書の種類と特徴
| 遺言書の種類 | 特徴 |
|---|---|
| 公正証書遺言 | 公証人と証人が内容を確認して作成。公証役場に保管され、裁判所の検認手続きは不要 |
| 自筆証書遺言 | 遺言者が自筆で作成。法務局保管なら検認は不要、それ以外の保管なら検認手続きが必要 |
| 秘密証書遺言 | 遺言書を納めた封筒に公証人と証人が署名押印して本人のものと証明。自宅保管が多く、検認手続きが必要 |
一方、遺言書が残されていない場合は、相続人同士が相談して遺産の分割方法を定めます。なお、相続人の範囲は「配偶者」「直系卑属(子供や孫、ひ孫など)、直系尊属(父母や祖父母など)、兄弟姉妹」と、民法で定められているため、法律に従って検討しましょう。
※参考:相続人の範囲と法定相続分|国税庁
実家の名義変更をする
相続した実家を売却するには、まず名義変更(相続登記)が必要です。2024年4月からは相続登記が義務化され、不動産の取得を知った日から3年以内に登記しないと、10万円以下の過料が科される可能性があります。売却するかどうかにかかわらず、早めに手続きを進めることが重要です。名義変更は、実家の所在地を管轄する法務局で行います。手続きに必要な書類は遺言書の有無などによって異なるため、個別に確認してください。
なお、名義変更手続きは司法書士に依頼できますが、依頼料がかかります。法務局では手続きの相談も受け付けているため、必要に応じて活用しましょう。
土地の境界を確認する
不動産を売却する際は、土地の境界線を確認する必要があります。売却する実家の土地面積を確定させるために、隣接する土地との境界を明らかにしましょう。
法務局で地積測量図を取得すると、土地の境界がわかります。地積測量図を確認しても境界が不明確な場合は、土地家屋調査士に依頼して調べるのが確実です。専門家の助けを借りることで、正確な境界確定ができます。
住宅ローンの残債を確認する
実家の売却前には、住宅ローンの残債についても確認しましょう。財産を相続する際は、プラスの財産と同時にマイナスの財産も引き継がなければいけません。住宅ローンの残債があった場合は、完済して抵当権を抹消してから売却することになります。ただし、住宅ローンはほとんどの場合、団体信用生命保険とセットで契約されています。住宅ローンの契約者が亡くなった時点で、残債の返済義務がなくなっているケースも多いため、確認が必要です。
なお、不動産担保ローンのように契約者の生死と残債の有無が関係ない住宅ローンもあります。実家に抵当権が設定されていないか確認しておくと安心です。
整理や片付けを行う
実家を売却する際は、家の中の整理や片付けが必要です。中古住宅の売買では、一般的に売主が家財道具などの処分をします。家の中を空にして引き渡すことが多いため、荷物の整理を進めておきましょう。実家の購入希望者が内覧に訪れる際、荷物で散らかった家よりも、片付いた家の方が印象もよくなります。
実家を売却する流れ
相続した実家を売却する流れは、①査定の依頼 ②媒介契約 ③販売活動 ④売買契約 ⑤引き渡しの5ステップです。不動産仲介会社を介した場合、査定依頼から完了まで3〜6ヵ月程度が目安で、立地や価格によってはさらにかかることもあります。
相続した実家を売却するまでの大まかな流れは、下記のとおりです。
🏠相続した実家を売却する5ステップ
査定を依頼する
複数の不動産会社に査定を依頼し、査定額と対応を比較。信頼できる会社を見極めます。
媒介契約を結ぶ
一般・専任・専属専任の3種類から、自分に合った契約を選んで不動産会社と契約します。
販売活動を行う
不動産会社がチラシ作成やサイト掲載、内覧対応を実施。写真やアピール点の提供が有効です。
売買契約を結ぶ
購入者が決まったら売買契約を締結。契約時に売却代金の1割程度を手付金として受け取るのが一般的です。
引き渡しを行う
契約から1〜2ヵ月後に引き渡し。残代金を受け取り、鍵と所有権移転の書類を渡して売却完了です。
1.査定を依頼する
まずは、不動産仲介会社に実家の査定を依頼します。1社ではなく、複数社に依頼して査定額について比較検討するのがおすすめです。
また、査定を受ける際のやりとりを通して、信頼できる不動産仲介会社かどうかを見極めることも大切です。実家の売却は大きな取引となるため、不安を感じずに任せられる不動産仲介会社を選びましょう。
2.媒介契約を結ぶ
査定が終わったら、不動産会社と媒介契約を結びます。媒介契約には「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があり、それぞれ契約内容が異なります。それぞれの媒介契約の特徴は、下記のとおりです。
| 媒介契約の種類 | 依頼できる会社数 | レインズへの登録義務 | 販売状況報告義務 | 自分で買主を見つけたとき |
|---|---|---|---|---|
| 一般媒介契約 | 複数社に依頼できる | なし | なし | 不動産会社を介さず取引できる |
| 専任媒介契約 | 1社のみ | あり | 14日に1回以上 | 不動産会社を介さず取引できる |
| 専属専任媒介契約 | 1社のみ | あり | 7日に1回以上 | 不動産会社を介す必要がある |
一般媒介契約
一般媒介契約とは、同時に複数の不動産仲介会社へ売却を依頼できる契約方法のことです。不動産仲介会社は、不動産流通機構(レインズ)への登録義務がなく、依頼主に対する販売状況報告義務もありません。
複数社と契約できる点はメリットですが、それぞれの不動産仲介会社にとっては専任の案件ではないため、積極的な販売活動を行ってもらえないこともあります。
専任媒介契約
専任媒介契約とは、1社にのみ売却を依頼する契約方法のことです。ただし、自身で買い手を見つけ、不動産仲介会社を介さずに売買することも可能です。1社のみとの契約になるため、積極的な販売活動を期待できますが、売却できるか否かは不動産仲介会社の営業力に左右される側面もあります。
なお、不動産仲介会社の販売状況報告義務は、14日に1回以上とされています。
専属専任媒介契約
専属専任媒介契約とは、専任媒介契約と同じく1社にのみ売却を依頼する契約方法のことです。ただし、自身で買い手を見つけた場合でも不動産仲介会社を介さなくてはならない点は、専任媒介契約と異なります。また、販売状況報告義務は、7日に1回以上と専任媒介契約よりも多く設定されています。
3.不動産仲介会社が販売活動を行う
不動産仲介会社との媒介契約の後は、販売活動です。物件のチラシ作成やウェブサイトへの掲載のほか、内覧希望者への対応などを不動産仲介会社が行います。担当者と相談の上、実家の状況がよくわかる写真を提供したり、アピールポイントを掲載したりすると、買い手に興味を持ってもらいやすくなるでしょう。
4.不動産売買契約を結ぶ
販売活動を経て、物件の購入者が決まったら、売買契約を締結します。契約書の作成や実際の契約手続きに関しては、不動産仲介会社が間に立ってサポートしてくれます。
売買契約の締結時には、手付金として売却代金の一部を受け取るのが一般的です。手付金の相場は、売却代金の10%程度となっています。
5.不動産の引き渡しを行う
最後に、不動産の引き渡しを行います。一般的には、契約締結から1〜2ヵ月後に引き渡しが行われます。引き渡し日に残代金を受け取り、実家の鍵や所有権移転に必要な書類を引き渡して、売買の完了です。
🏠相続した実家の売却に関するよくある質問
Q.相続した実家の売却にはどれくらいの期間がかかりますか?
不動産仲介会社を介す場合、査定依頼から引き渡しまで3〜6ヵ月程度が目安です。立地や価格によってはさらにかかることもあります。より短期間で手放したい場合は、不動産会社が直接買い取る「買取」という方法もあります。
Q.実家を売却する前に必要な準備は何ですか?
主に5つです。遺言書の有無の確認、実家の名義変更(相続登記)、土地の境界確認、住宅ローン残債の確認、家財の整理・片付けを済ませておくと、売却がスムーズに進みます。
Q.相続した実家の名義変更(相続登記)はいつまでに必要ですか?
2024年4月から相続登記は義務化され、不動産の取得を知った日から3年以内の登記が必要です。期限内に登記しないと10万円以下の過料が科される可能性があるため、売却の有無にかかわらず早めに手続きしましょう。
まとめ
相続した実家をスムーズに売却する鍵は、事前準備です。遺言書の確認、名義変更(相続登記)、土地の境界確認、住宅ローン残債の確認、家財の整理を済ませておくと、その後の手続きが円滑に進みます。2024年4月からは相続登記が義務化され、取得を知った日から3年以内の登記が必要になった点にも注意しましょう。売却の流れは、査定依頼から引き渡しまでの5ステップで、仲介では3〜6ヵ月程度が目安です。
相続した実家をどう手放せばいいか迷う方は少なくありません。仲介では時間がかかる、そもそも売れるか不安、という悩みには「買取」という選択肢があります。
アキサポなら、田舎の物件や駅から遠い物件でも買取が可能で、無料査定・無料相談から始められます。売るかどうか決めきれない段階でも大丈夫。まずは気軽に状況をご相談ください。
相続した実家の売却でお悩みなら
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実家の無料査定を依頼する売却のご相談はお問い合わせフォームからも受け付けています。
※建物の状況等によっては、一部費用のご負担をお願いする場合がございます。
この記事の監修者
白崎 達也 アキサポ 空き家プランナー
一級建築士
中古住宅や使われなくなった建物の再活用に、20年以上携わってきました。
空き家には、建物や不動産の問題だけでなく、心の整理が難しいことも多くあります。あなたが前向きな一歩を踏み出せるよう、心を込めてサポートいたします。






