公開日:2025.10.10 更新日:2026.07.21
建物登記簿謄本とは?取得方法・費用・記載の見方までやさしく解説
建物登記簿謄本(登記事項証明書)とは、建物の所有者や所在地、抵当権などの権利関係を公的に証明する書類です。不動産の売買や相続で必要になりますが、普段あまり触れる機会がないため、効力や使い道、取得方法をよく知らない人も多いでしょう。初めて取得するときは、「どこで申請するのか」「費用はいくらか」と戸惑うことも少なくありません。
内容を理解しないままだと、必要なときにすぐ取り寄せられず、所有者や権利関係を証明できずに手続きが滞ることもあります。売買契約や融資の審査が遅れる原因にもなるため、基礎知識と取得の流れは事前に押さえておきたいところです。
そこでこの記事では、建物登記簿謄本の仕組みや用途から、取得方法と費用、さらに地番が分からないときの確認方法までを分かりやすく整理しました。読み終えるころには、自分の状況に合った取得手段を迷わず選べるようになっているはずです。
目次
建物登記簿謄本とは?

建物登記簿謄本とは、建物の所在地や家屋番号、所有者、権利関係などを記録し、公的に証明する書類です。正式名称は「登記事項証明書」と言い、全国の法務局が不動産登記簿を電子データとして管理し、必要に応じて交付されます。
いわば建物登記簿謄本は「建物の権利証明書」のようなものです。そのため、以下のように不動産に関する重要な手続きの際によく用いられます。
| 目的・場面 | 理由・確認内容 |
|---|---|
| 不動産売買 | 売主が本当にその建物の所有者かどうかを証明するため |
| 住宅ローンの申請 | 銀行が担保として利用できるかを確認するため |
| 相続や遺産分割 | 誰が現所有者か、過去にどんな権利移転があったかを明らかにするため |
登記簿謄本と登記事項証明書の違い
「登記簿謄本」とは、以前使われていた紙の登記簿を写したものの名称です。現在はデジタル化されましたが、いまでも慣習的に「登記簿謄本」という呼び方が残っています。両者は名前は違いますが、「建物の登記内容を証明する書類」という点は同じです。異なるのは管理方法と呼び名の2点です。
違いを整理すると以下のようになります。
| 名称 | 概要・特徴 |
|---|---|
| 登記簿謄本 | 紙の登記簿をそのまま複写したものの呼称で、現在は登記事項証明書に一本化され発行されていない |
| 登記事項証明書 | 電子データをもとに交付される、現在の正式な証明書 |
登記事項証明書にはいくつかの種類があり、代表的なものに「全部事項証明書」と「一部事項証明書」があります。目的に応じて必要な種類を取得します。
| 種類 | 内容 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 全部事項証明書 | 建物に関するすべての登記情報を確認できる | 不動産の売買契約や住宅ローンの申請(必須とされるのが一般的) |
| 一部事項証明書 | 登記簿の一部の記録事項だけを抜粋して証明する | 相続の確認や、特定の権利関係だけを調べたいとき |
例えば、不動産の売買契約や住宅ローンの申請では「全部事項証明書」が必須とされるのが一般的です。一方、相続の確認や特定の権利関係だけを調べたい場合は「一部事項証明書」で足ります。
建物登記簿謄本が必要となるケース
建物登記簿謄本は、不動産の重要な手続きで頻繁に必要になります。代表的なケースは次のとおりです。
- 不動産の売買や贈与:建物の所在や所有者が正しいことを証明するために必要。買主や仲介会社から提示を求められるのが一般的
- 住宅ローンや抵当権の設定:金融機関が融資の審査や担保の確認を行う際に提出を求められる
- リフォームや増改築:床面積や構造が変わる場合、登記内容の変更が必要になり、その前提として現状の登記内容を確認する
- 相続や遺産分割:現所有者や権利関係を明確にするために取得する。相続開始と同時に権利が承継されるため確認に不可欠で(民法896条)、遺産分割協議書を作成する前提にもなる。なお2024年4月から相続登記は義務化され、相続を知った日から3年以内の登記が必要(正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象)
このように登記簿謄本は「権利関係を証明する場面」で多く登場します。特に売買や相続のように利害関係者が多い手続きでは、トラブル防止のために必ずといってよいほど利用されます。
建物登記簿の記載内容と見方

出典:法務省
ここでは、実際の建物登記簿の記載内容と見方について説明します。建物登記簿は、大きく4つの欄に分かれて構成されています。
📄建物登記簿(登記事項証明書)の4つの欄
① 表題部
建物の所在地・家屋番号・種類・構造・床面積など、建物を特定する基本情報。
② 権利部(甲区)
所有権に関する情報。所有者の氏名・住所や、売買・相続などの所有権移転の履歴。
③ 権利部(乙区)
所有権以外の権利。抵当権・根抵当権・地役権・賃借権などが記録される。
④ 共同担保目録
ひとつの担保権が複数の不動産にかかっている場合に、その関係を一覧で示す。
建物登記簿は、予備知識なしに見ると読み解きが難しいものです。ここで各欄に何が書かれているかを押さえ、登記簿を読むための基礎を身につけましょう。
表題部
表題部は、建物を特定するための基本情報を記載する「建物のプロフィール欄」です。主な記載内容は次のとおりです。
- 所在地(住所や地番)
- 家屋番号
- 種類(住宅、店舗、倉庫など)
- 構造(木造・鉄筋コンクリート造など)
- 床面積
売買や登記申請で「どの建物の手続きか」を明確にするときは、まずこの欄を確認します。
権利部(甲区)
権利部(甲区)は、建物の「所有権」に関する情報をまとめた欄です。主な記載内容は次のとおりです。
- 所有者の氏名・住所
- 所有権の移転履歴(売買・相続・贈与など)
- 所有権保存登記の日付
所有者を確認・証明したいときに参照する欄で、売買契約や相続手続きで特に重要になります。
権利部(乙区)
権利部(乙区)は、所有権以外の権利が記載される欄です。建物には、主に次のような権利が登録されます。
- 抵当権
- 根抵当権
- 賃借権
- 配偶者居住権 など
この欄が重要になるのは、金融機関や不動産取引の場面です。住宅ローンを申し込むと、銀行は「他の抵当権がないか」「担保の順位はどうか」をこの欄で確認します。売却時も、抵当権や賃貸借などが残っていないかの確認が欠かせません。残っていると、購入者が建物を自由に使えなくなるおそれがあるためです。
共同担保目録
共同担保目録は、ひとつの担保権が複数の不動産にかかっている場合に、その関係を一覧で示す欄です。主な記載内容は次のとおりです。
- どの不動産と担保を共有しているか
- 関連する土地や建物の情報
典型例は、ひとつの住宅ローンで土地と建物をまとめて担保にしているケースです。事業用不動産で複数物件を一括担保に入れている場合も、この欄で関係を確認できます。共同担保の有無は、金融機関が担保価値を判断する重要なポイントであり、購入希望者や投資家にとっても、購入後に他物件の担保と結びついていないかを把握するために欠かせません。
建物登記簿謄本の取得方法と費用

建物登記簿謄本(登記事項証明書)は、主に次の3つの方法で取得できます。
| 取得方法 | 費用(1通) | 受け取りまでの目安 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 法務局の窓口 | 600円 | 即日 | 急ぎの人、記入方法を相談したい人 |
| 郵送 | 600円 | 往復で数日〜1週間程度 | 平日に窓口へ行きにくい人、管轄が遠い人 |
| オンライン請求(窓口受取) | 490円 | 翌日以降に窓口で受け取り | 費用を最も抑えたい人 |
| オンライン請求(郵送受取) | 520円 | 2〜3日程度 | 自宅で手続きを完結したい人 |
法務局の窓口で取得する
窓口申請は、その場で即日交付されるため、急ぎのときに最も確実な方法です。建物を管轄する最寄りの法務局で直接申請できます。
取得の流れ
- 申請書に物件の所在地・家屋番号・不動産番号などを記入する
- 登記手数料分の収入印紙を納付する
- 窓口へ提出し、審査後に交付を受ける
必要な書類は、申請書と、物件の地番・家屋番号を特定できる資料です。費用は1通600円。担当者に記入方法を確認できるため、初めての方や不備を避けたい方に向きます。ただし対応は平日のみで、混雑時は待ち時間が出る点に注意しましょう。
郵送で取得する
郵送申請は、法務局に出向かずに手配できる方法で、平日に時間が取りにくい方や管轄法務局が遠い方に向きます。費用は窓口と同じ1通600円です。
取得の流れ
- 法務局の公式サイトから「登記事項証明書交付申請書」をダウンロードする
- 物件の所在地・家屋番号、必要部数、証明の種類(全部事項/一部事項)を記入する
- 登記手数料分の収入印紙を申請書に貼付する
- 返信用封筒(切手貼付・返送先を明記)を同封し、管轄法務局へ郵送する
往復の郵送で数日〜1週間程度かかるため、急ぎには不向きです。記入不備や切手不足があるとさらに遅れるので、書類は正確に作成してください。
オンラインで取得する
オンライン申請は、自宅から夜間でも請求でき、手数料も最も安い方法です。窓口受取なら1通490円、郵送受取なら520円と、書面請求(600円)より割安になります。
💻オンライン申請の流れ
システムにアクセス
法務局の「登記・供託オンライン申請システム」にアクセスします。
かんたん証明書請求を選択
証明書の種類(全部事項/一部事項)と必要部数を指定します。
請求書を作成・送信
入力内容を確認し、請求書を送信します。
手数料を電子納付
インターネットバンキングやPay-easyで手数料を納めます。
受け取り
郵送、または指定した法務局の窓口で受け取ります。
オンライン申請は法務局へ出向かずに済むのが利点ですが、証明書は郵送か窓口受け取りになるため、手元に届くまで時間がかかります。急ぎなら窓口へ直接出向くほうが早い場合もあります。
閲覧だけなら「登記情報提供サービス」が便利
証明書そのものは不要で内容を確認したいだけなら、「登記情報提供サービス」が便利です。公的な証明書としては使えませんが、登記事項をオンラインで手軽に確認できます。
建物登記簿謄本の取得に必要な地番や家屋番号が分からない場合は?
建物登記簿謄本を請求するには、建物ごとに付けられている「家屋番号」や「地番」が必要になりますが、普段の生活では意識する機会が少ないため、分からないこともあります。そのような場合は、以下の方法で確認できます。
- 固定資産税の課税明細書や納税通知書を見る
毎年送付される固定資産税関係の書類に、所有する土地・建物の地番や家屋番号が記載されている。手元にある場合は、最も手軽に確認できる方法 - 市区町村の資産税課に問い合わせる
所有者本人であれば、固定資産税を担当する市区町村役場で地番や家屋番号を教えてもらえる場合がある。本人確認書類を持参のうえで問い合わせを
このように、地番や家屋番号は複数の手段で確認できます。特に固定資産税の通知書は毎年送られてくる書類なので、まずは自宅にあるか探してみるのがおすすめです。
🏠建物登記簿謄本に関するよくある質問
Q. 建物登記簿謄本と登記事項証明書は違うものですか?
証明する内容は同じです。紙の登記簿を写したものが「登記簿謄本」という古い呼び名で、電子データから交付される現在の正式名称が「登記事項証明書」です。現在はすべて登記事項証明書として発行されています。
Q. 取得費用はいくらですか?
窓口・郵送での請求は1通600円です。オンライン請求なら、窓口受取が490円、郵送受取が520円と割安になります(2025年4月改定後の金額)。
Q. 地番や家屋番号が分からないときはどうすればいいですか?
固定資産税の課税明細書や納税通知書に記載されています。手元にない場合は、所有者本人が市区町村の資産税課へ本人確認書類を持参して確認できることがあります。
まとめ|建物登記簿謄本は不動産の権利関係の証明に必須!
建物登記簿謄本(登記事項証明書)は、建物の所有者や権利関係を公的に証明する、不動産の手続きに欠かせない書類です。売買・相続・融資といった重要な場面で求められ、取得は法務局の窓口が基本ですが、郵送やオンライン申請も利用できます。まずは自分の状況に合った方法を選び、必要なときにすぐ取り寄せられるよう準備しておきましょう。
権利関係を整理しておくことは、取引をスムーズにするだけでなく、自分の資産を守ることにもつながります。
とはいえ、相続した実家や空き家となると、「登記の名義がそのままになっている」「権利関係が複雑で、活用も売却も判断できない」と迷う場面も少なくありません。アキサポでは、こうした空き家の権利関係の整理から、その後の活用・売却の進め方まで、方向が決まっていない段階でも無料でご相談いただけます。一人で抱え込む前に、気軽にご相談ください。
この記事の監修者
山下 航平 アキサポ 空き家プランナー
宅建士/二級建築士
ハウスメーカーにて戸建住宅の新築やリフォームの営業・施工管理を経験後、アキサポでは不動産の売買や空き家再生事業を担当してきました。
現在は、地方の空き家問題という社会課題の解決に向けて、日々尽力しております。