公開日:2026.04.05 更新日:2026.04.07
NEW田舎の空き家を賢く活用するためには?活用アイデアや成功事例を紹介
田舎の空き家を安く手に入れて活用するというのは現実的な選択肢なのでしょうか?実際、空き家所有者のなかには「安くても手放したい」と考えている人も多く、良い活用法が見つかれば、住宅や事業所をお得に手に入れられるチャンスにつながります。
とはいえ、田舎の物件は都市部に比べて不利なのは確かです。「安いから」というだけで購入してしまうと、今度は自分が「売りたい側」になりかねません。
そこでこの記事では、田舎の空き家を活用するメリット・デメリットを整理したうえで、賢く活用するための主な選択肢や成り立たせるための条件などを紹介します。
目次
まず知っておきたい!田舎の空き家を活用するメリット・デメリット

空き家活用の成否は立地に左右される側面が強く、地方物件に対して「収益化は難しい」とネガティブな印象を持つ方も少なくありません。しかし、実際はそう簡単に割り切れるものではありません。田舎ならではの特徴を理解すれば、活用のチャンスは広がります。
では、田舎の空き家はどのように活用するのが良いのか。メリットとデメリットをそれぞれ2つずつ見ていきましょう。
メリット1:取得・維持費用を抑えられる
田舎の空き家の大きな強みは、高額になりやすい取得費用や維持費用を抑えられることです。田舎の空き家は、都市部に比べて物件価格が安く、地域によっては無償で譲渡される「0円空き家」もあります。
そのため、移住の拠点やセカンドハウスとして、同じ予算でも延床面積が広い物件を選びやすい点が魅力です。さらに、初期費用が抑えられる分、それらの費用を引っ越しやリフォームなどに回しやすくなります。同じ金額をかけても、田舎と都会ではできる内容に大きな差が付くので、一度比較してみてください。
メリット2:庭や駐車場、家庭菜園などをまとめて取得できる
田舎の空き家は、建物そのものだけでなく、庭や駐車場、畑といった付帯施設がセットになっていることが多いです。都市部だと別料金になりがちな要素が最初から付いているというのは、田舎ならではのメリットでしょう。
付帯施設が充実していると、活用する際にもアイデアが広がります。たとえば、倉庫を趣味の作業場として売り出す、広い敷地を駐車場や資材置き場として貸す、敷地や建物が広い場合は田舎暮らしを楽しめる民泊施設にするといったイメージです。
また、住宅として貸し出す場合も「庭付き」「ペット可」「DIY可」「車が複数台置ける」といったセールスポイントを打ち出しやすくなります。
デメリット1:維持・管理の物理的負担が大きい
田舎ならではのデメリットとして大きいのは、遠方にあるほど管理の手間が増えるということです。空き家の管理は意外と大変で、定期的に草むしりや換気、雨漏りのチェックなどを行うとなると、想像以上に手間がかかることはよくあります。さらに、放置すると劣化が早まりやすく、近隣トラブルに発展しやすいのも難しいところです。
また、地域によっては、自治会の行事や近隣との関係づくりが前提になることもあり、都市部の感覚のまま進めるとギャップを感じることもあるでしょう。不安な場合は、無理なく管理できる物件に限定してピックアップし、空き家管理サービスのような委託方法も検討しておきましょう。
デメリット2:需要・立地条件によっては利用者が集まらないことも
活用のアイデアが良くても、市場の需要や立地条件が悪いと、どうしても成果が出にくくなります。空き家活用が立地だけで決まらないのは確かですが、需要と立地条件を見極める目は必要ということです。
たとえば最寄り駅・病院・スーパーまでの距離、冬季の積雪、道路幅や駐車のしやすさ、ネット環境の有無などは、住む人・借りる人の判断に直結します。民泊や賃貸は特に、観光資源や雇用の有無といった地域要因の影響が大きいため、購入前に周辺の成約事例、競合物件、稼働状況などを確認しておくと失敗を減らせます。
田舎の空き家を放置せず活用すべき理由|代表的な3つのリスク

空き家を放置すると、トラブルが増えるだけでなく、いざ動こうと思ったときに問題を解決するための手間と費用が膨らみやすくなります。田舎の空き家は特に、現地に通う負担が大きく、いつの間にか劣化が進んだり、近隣トラブルに発展したりといったことが起こりやすいので要注意です。
そこでここでは、田舎の空き家で気を付けるべき、代表的な3つのリスクを押さえておきましょう。
1.「特定空家等」や「管理不全空家等」に指定されるリスク
特定空き家とは、行政によって、保安上の危険、衛生上の有害性、景観の悪化などがあると認められた空き家のことです。特定空き家に認定されると、法律に基づいた手続きに則って、行政から直接、指導や助言といった措置が行われます。
さらに「勧告」という手続きに進むと、住宅の敷地に対する固定資産税の課税標準額を最大6分の1に減額する「住宅用地の特例」が適用されなくなり、納税額が最大で6倍に増額されることになります。
さらに、危険性や周囲への影響が強い状態のまま改善できないと、最終的に行政代執行によって解体され、その費用を請求されるリスクも出てきます。
2.倒壊や不法侵入などが起きる可能性
人が住まない家は、雨漏りや腐食、シロアリなどの異変に気づきにくく、劣化が進みやすくなります。強度が落ちた状態で台風や積雪、地震などが重なると、屋根材や外壁の剥落、場合によっては倒壊につながる恐れもあります。
また、荒れた空き家は人目につきにくく、不法侵入や不法投棄などのトラブルを招きやすい点も注意が必要です。事故やトラブルを防ぐには、定期的な見回りと必要な補修を続けることが前提になります。
3.周囲への悪影響やクレームにつながる恐れ
空き家は建物だけでなく敷地も荒れやすく、雑草の繁茂や害虫の発生、ゴミの不法投棄などが起きやすくなります。こうした状態が続くと、周辺住民からの連絡や苦情につながり、ご近所付き合いにも影響が出ることがあります。
一度「管理されていない家」という印象が付くと、問題が起きたときに対応の手間が増えやすい点も無視できません。負担が小さいうちに、管理を続けるのか、活用や売却へ切り替えるのか、方向性だけでも決めておくと対処がしやすくなります。
4.相続登記の放置による罰金
相続登記を正当な理由なく怠った場合、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。2024年4月から相続登記が義務化され、相続(または遺贈)で不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請しないと、正当な理由がない限り10万円以下の過料が科される可能性があります。
田舎の空き家を活用するアイデア5選

「田舎の空き家」という特徴を活かして活用するには、どのような手段が適しているのでしょうか?ここで念頭に置きたいのが「需要と利用する人を具体化すること」です。都市部のように人の流れが常にあるわけではないため、ここが曖昧だと成立しにくくなります。
ここでは、この前提を押さえたうえで、代表的な活用方法を見ていきましょう。
戸建て賃貸・シェアハウス
戸建て賃貸は、田舎でも生活圏(病院・スーパー・学校・職場)が成立しているエリアなら現実的な選択肢になります。ファミリー層だけでなく、リモートワーク前提の単身・二人暮らしにも「部屋数が多い」「庭で家庭菜園ができる」「ペットと暮らせる」などでアピールしやすく、都会よりも「暮らし方の提案」で勝負しやすい強みがあります。
また、シェアハウスは改修や運営の手間は増えますが、部屋単位で収益化できるので、収益性を重視したい場合に選択肢として挙がってきます。地域の工場や介護施設、建設現場など、単身の短期滞在ニーズがある場所だと検討しやすく、家具家電付き・短期契約などを取り入れるのも手です。
ワーケーション拠点・小さな仕事場
田舎でいわゆるコワーキング施設を成立させるには、利用者の母数よりも「わざわざ来る理由」が必要です。観光地でワーケーション需要がある、自治体が移住・起業支援をしている、近隣に企業研修や合宿の受け皿が少ない、といった背景があると成立しやすいでしょう。
平日の稼働状況が読みにくい地域では、席貸し一本にせず、会議室貸し・撮影/収録スペース・週末イベント・セミナー会場など複数の用途を組み合わせると安定しやすいでしょう。ネット回線の品質、駐車場、冬季のアクセス(積雪・凍結)も、最初にクリアしておきたい条件です。
農泊・体験型の宿
田舎における宿泊施設への活用は、アクセスの弱さを「体験価値」で上書きできるかが肝になります。特に、星空や雪景色の美しさや、川遊びや農作業が楽しめる施設、地元食材の料理、里山の散策など、地域そのものがコンテンツになる場所では強い選択肢になります。
ただし、宿泊施設は運営型ビジネスに近く、思いつきで始めると回らなくなりやすいです。清掃の手配、鍵の受け渡し、問い合わせ対応、設備トラブルの一次対応、レビュー管理など多岐にわたりますし、年間を通じた稼働状況や資金計画なども考えないといけません。
つまり農泊・体験型の宿は、地域の魅力をそのまま商品にできる反面、「本腰を入れて事業として育てる」覚悟が求められる活用法だといえるでしょう。
古民家カフェ・直売所併設の飲食
雰囲気のある古民家は飲食店と相性が良く、多く取り組まれている方法です。ただし、初期費用の改修費や設備投資費用が重くなりやすく、食品衛生や消防などの要件も絡んでくるため、想定外のコストが出やすい点は注意が必要です。
飲食店が成立しやすいのは、観光客が来るエリアや幹線道路沿いのドライブ需要があるエリア、近隣に競合が少ないエリアなどの集客導線が説明できる立地です。飲食店だけでは集客力が弱い場合は、地元野菜の直売や加工品販売、体験施設などを絡めて「訪れる理由」を補強するのも良いでしょう。
駐車場・資材置き場・小さな貸しヤード
建物の活用が難しい場合でも、土地としての使い道が見つかることがあります。たとえば、工場や事業所の月極駐車場や、工事業者の資材置き場やヤードなどが考えられます。
この使い道は建物がないため手軽に始められますが、それでも整地や舗装、防犯、契約管理などは発生する可能性があります。また、付帯する土地が「農地」である場合、農地法による転用許可や権利移転の制限が活用の大きなハードルとなります。安易な取得・転用は避け、専門家に確認が必要です。
最近では斜面地に設置した太陽光パネルや資材置き場が問題視されることも増えています。最初から方法を決めてしまわずに、周辺環境を鑑みて無理なく取り組めることを考えてからスタートしましょう。
「アキサポ」を利用して空き家を活用した事例3選

ここからは、空き家活用サービス「アキサポ」を利用して、実際に活用に成功した事例を3つ紹介します。今回紹介するのはいずれも東京都内の物件ですが、田舎の物件で大切な「空き家の特徴を活かす」という点に着目しているので、ぜひ参考にしてください。
事例1:築39年の一戸建てをボードゲーム民泊へ再生(東京都葛飾区)

東京都葛飾区立石の築39年の一戸建てを、民泊施設として再生した事例です。転居後に空き家期間が発生し、維持費だけがかかる状態になっていたことから、低コストで活用できる選択肢としてアキサポを選んでいただきました。
現地は立地や観光需要を踏まえて民泊としての可能性が見込めたため、民泊施設に活用することに決め、そこに所有者が集めた250種類以上のボードゲームを組み合わせて、ボードゲームを楽しめる民泊施設「BOARD GAME HOUSE TOKYO」へと生まれ変わらせました。
- 建築年月:築39年(お問合せ時)
- 駅徒歩:京成押上線「京成立石」駅より徒歩8分
- 延床面積:63.20㎡
- 構造:木造瓦葺2階建
事例2:テラスハウスを「賃貸住宅+事務所」に組み替えて活用(東京都北区)

東京都北区東十条にあるテラスハウス構造の空き家を、3区画に用途を分けて再生した事例です。アキサポの提案により、住宅需要が見込まれる2区画は賃貸住居に、残りの1区画は浴室がなかったため事務所スペースとして活用しました。
外装の大規模改修は行わず、部分補修や設備・表層工事を中心にコストを抑えながら活用につなげた点がポイントです。
- 建築年月:築56年(お問合せ時)
- 駅徒歩:京浜東北線「東十条」駅より徒歩8分
- 延床面積:約100㎡(3区画)
- 構造:木造瓦葺2階建
事例3:元中華料理店を屋内シェアサイクルステーションへ転用(東京都北区)

東京都北区志茂にある、元中華料理店の建物を別用途に転用した事例です。
この物件は10年以上使われていない状態が続き、経年劣化に加えて周辺環境への影響も懸念される状況でした。そこでアキサポが周辺調査を行い、地域ニーズに合う形として屋内のシェアサイクルスペースとして活用することにしました。改修工事については、既存の内装を活かしつつ、必要な補修に絞って実施しています。
- 建築年月:築28年(お問合せ時)
- 駅徒歩:東京メトロ南北線「志茂」駅より徒歩4分
- 床面積:34.92㎡(1階活用部分)
- 構造:鉄骨造陸屋根3階建
空き家活用には補助金や助成制度を活用しよう
田舎の空き家を活用する際は、自己資金だけで考えず、自治体の補助金や支援制度を確認しておきましょう。全国の自治体では、空き家の改修費や解体費、家財処分費などを一部補助する制度を用意しているケースがあります。
たとえば、茨城県つくば市では、空き家バンク登録物件の購入者に対して、改修工事費の2分の1(上限50万円)、家財処分費の2分の1(上限10万円)の補助金を交付しています。空き家バンクへの登録が前提ではありますが、買った後の改修費が不安な人にとっては検討価値のある制度といえるでしょう。
また、静岡県御殿場市では、空き家のリフォームや建替え、除却に対する補助制度を用意しています。移住者の場合は工事費の3分の1(上限50万円)までで、子育て世帯では上限が工事費の2分の1(上限80万円)に引き上げられる仕組みもあります。さらに、倒壊の危険がある不良住宅の解体に対しても、工事費の5分の4(上限30万円)の交付を行っています。
さらに、横浜市のように、大都市部でも空き家の改修や活用を支援する制度を設けている自治体があります。リフォームの補助金だけでなく、活用相談窓口の設置や専門家の派遣など、多角的な支援策が展開されています。
まとめ・総括
田舎の空き家を活用する際には、自分なりのアイデアから入るのではなく「誰が、何の目的で使うのか」を先に決め、そのために必要な条件を洗い出すことが大切です。
まずは候補物件ごとに、想定する利用者と必要条件、管理方法といった基本的な事項を仮定し、条件が成り立たない案を先に排除していきましょう。田舎はどうしても選択肢が少ないので、リスクを排除しながら最適なプランへと絞り込んでいくことが大切です。
この記事の監修者
岡崎 千尋 アキサポ 空き家プランナー
宅建士/二級建築士
都市計画コンサルタントとしてまちづくりを経験後、アキサポでは不動産の活用から売買まで幅広く担当してきました。
お客様のお悩みに寄り添い、所有者様・入居者様・地域の皆様にとって「三方良し」となる解決策を追及いたします。