公開日:2026.04.14 更新日:2026.04.10
NEW不動産の個人売買とは?メリット・デメリットと手数料を抑える注意点を解説
「不動産を個人売買すれば、高額な仲介手数料を払わなくて済むのでは?」と考えたことはありませんか。
不動産の個人売買とは、不動産会社を介さずに売主と買主が直接交渉し、売買契約から引き渡しまでを行う取引形態です。親族間や知人同士など、信頼関係がある間柄で空き家を譲り受ける際などに検討されるケースが目立ちます。
しかし、大きな金額が動く不動産取引において、プロを挟まないことには相応のリスクも伴います。本記事では、個人売買のメリット・デメリットから、失敗しないための流れや注意点までを詳しく紐解いていくので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
不動産の個人売買のメリット

不動産の個人売買を選択する最大の動機は、やはりコスト面と自由度の高さにあります。一般的に不動産会社が介入する取引では、宅地建物取引業法に基づいたルールや商慣習が適用されますが、個人間であれば当事者双方の合意によって契約内容を決定できます。
具体的にどのような利点があるのか、主な2つのポイントを詳しく見ていきましょう。
仲介手数料がかからない
不動産の個人売買において、最も直接的な恩恵を感じられるのが、高額な仲介手数料を一切支払わずに済む点です。通常の不動産取引では、売買が成立した際に不動産会社へ支払う成功報酬(仲介手数料)が発生します。
この金額は法律で上限が定められており、売買価格が400万円を超える場合は「売買価格×3%+6万円+消費税(上限)」という計算式が一般的です。例えば、2,000万円の空き家を売却する場合、仲介手数料は税込で72万6,000円にも上ります。個人売買であればこの費用がまるごと浮くため、売主は手残り金額を増やせますし、買主はその分だけ購入予算を抑える、あるいは物件の購入費用に充てるといった柔軟な資金計画が可能になります。
「仲介手数料を払うくらいなら、その分を売買価格から値引きして知人に安く譲りたい」といったニーズに応えられるのは、個人売買ならではの強みです。
条件を柔軟に決められる
不動産会社を通さない取引では、価格や引渡し時期、契約内容などを当事者同士で自由に決定できるという柔軟性があります。
市場流通に乗せる「仲介」の場合、不動産会社は成約を優先させるため、相場に基づいた適正価格や一般的な引渡し条件を強く勧める傾向があります。しかし、個人売買であれば、相場に縛られない「親戚価格」での設定も可能ですし、「代金の支払いは1年後でいい」「建物内の不用品を片付けずにそのまま引き渡す(現状渡し)」といった特殊な要望も、双方が納得していれば自由に契約に盛り込めます。
特に、相続した実家の整理が追いついていない場合や、特定の相手に思い入れのある土地を引き継いでもらいたい場合など、数値化できない事情を優先したいケースにおいて、この自由度は非常に大きなメリットとなるでしょう。
不動産の個人売買で後悔しないためのデメリットとリスク

仲介手数料を節約できるという大きな魅力がある一方で、不動産の個人売買にはプロの介在がないことによる特有の難しさが存在します。不動産は動く金額が大きく、権利関係も複雑なため、安易な判断が将来的な損失や人間関係の破綻を招くリスクも否定できません。
具体的にどのようなデメリットに直面しやすいのか、3つのポイントに分けて深掘りします。
契約トラブルのリスク
個人売買において最も懸念されるのが、契約内容の不備や重要事項の説明不足によるトラブルです。
通常、不動産会社が介入する取引では「宅地建物取引士」が物件の権利関係や法令上の制限、インフラの整備状況などを徹底的に調査し、重要事項説明書を作成します。しかし、個人売買ではこうした調査が疎かになりがちです。
売却後に「実は再建築不可の土地だった」「境界確定がされておらず隣人と揉めている」「地中に以前の建物の基礎が埋まっていた」といった問題が発覚した場合、適切な契約書(契約不適合責任に関する条項)が作成されていないと、売主が多額の損害賠償を請求されたり、買主が泣き寝入りを強いられたりするケースがあります。
価格設定が難しい
個人売買では、「いくらで売るのが妥当か」という判断基準が主観に偏りやすいというデメリットがあります。
不動産会社による査定がない場合、近隣の成約事例や市場のトレンドを反映させた客観的な価格を算出するのは困難です。その結果、「知人だから」と安く設定しすぎて本来得られたはずの利益を逃してしまったり、逆に思い入れを反映させすぎて高値になり、いつまでも取引が成立しなかったりするリスクが生じます。
また、親族間で「時価」の概ね8割を下回るような低額譲渡を行うと、時価との差額が「みなし贈与(相続税法第7条)」と判定され、買主に多額の贈与税が課されるリスクがあるため、注意が必要です。
住宅ローンが使えない場合がある
買主側にとって大きなハードルとなるのが、金融機関の住宅ローン審査が厳しくなる、あるいは利用できないケースがある点です。
多くの金融機関は、住宅ローンの融資条件として「不動産会社(宅地建物取引業者)が作成した重要事項説明書および売買契約書」の提出を求めます。これは、プロが取引の安全性を保証していない物件に対して融資を行うのは、担保価値の評価や権利関係の確認においてリスクが高いと判断されるためです。
個人間で作成した書類だけでは審査の土台に乗らないことも多く、買主がキャッシュで一括購入できる場合を除き、取引そのものが頓挫してしまう可能性があります。個人売買を検討する際は、買主の支払い能力だけでなく、融資を受けられる環境にあるかどうかを事前に慎重に確認しておくようにしましょう。
個人売買の流れ

不動産の個人売買は、自由度が高い反面、すべての工程を自分たちの責任で進める必要があります。特に価格の根拠や契約書の作成は、後々のトラブルを防ぐための生命線です。
一般的にどのようなステップを踏んで取引を完結させるのか、その具体的な流れを見ていきましょう。
1.相場確認
まずは、取引のスタート地点として客観的な相場の把握から始めます。個人売買であっても、市場でその土地や建物が「今、いくらで取引されているのか」を知らなければ、適正な価格交渉はできません。
国土交通省の『土地総合情報システム』や、不動産ポータルサイトで近隣の似たような物件の売り出し価格をチェックし、自身の物件の「おおよその価値」を算出します。この際、空き家の場合は建物価値がゼロに近いケースも多いため、土地の坪単価をベースに、解体費用の有無などを考慮して現実的な数字を見極めることが重要です。
2.価格決定
相場を把握したら、次は具体的な売買価格を決めます。ここで大切なのは、算出した相場をベースに「なぜその価格なのか」という理由を明確にすることです。
親族間や知人間であれば、相場から一定の割合を差し引くこともあるでしょう。しかし、前述の通りあまりに安すぎると税務署から「みなし贈与」と判断されるリスクがあるため、根拠のある価格設定が求められます。双方が納得した価格を合意書などの形式で残しておくと、その後の手続きがスムーズになります。
3.売買契約書作成
価格が合意に至ったら、取引のルールを記した売買契約書の作成を行います。個人売買で最もミスが許されない工程です。
契約書には、売買代金や支払い時期に加え、「現状有姿での引き渡し」「契約不適合責任の免責または期間」などを詳細に記載します。インターネット上の雛形を使う方法もありますが、空き家の場合は個別の事情が多いため、法的効力を持たせるために行政書士や司法書士、弁護士などの専門家に作成を依頼するか、内容のリーガルチェックを受けるのが賢明です。
4.手付金受領
契約の締結と同時に、買主から売主へ手付金の支払いが行われます。これは契約を確実にするための証拠金としての性格を持ち、一般的には売買価格の5%〜10%程度に設定されることが多いです。
この段階で、あわせて「いつまでに残金を支払い、いつ鍵を引き渡すか」という決済日の最終確認も行います。
5.決済・登記(司法書士)
最後に行うのが、残代金の決済と所有権移転登記の手続きです。
不動産の名義を書き換える登記申請には専門的な知識が必要なため、この段階では司法書士に依頼するのが一般的。決済当日は、金融機関や司法書士事務所などで代金の支払い(着金)を確認し、同時に司法書士が登記申請に必要な書類を受領します。これと同時に鍵や権利証の引き渡しを行い、すべての取引が完了。固定資産税の精算などもこのタイミングで行うのが通例です。
個人売買で失敗しないためのポイント

個人売買の具体的な流れを把握したところで、次に重要となるのが「いかにしてリスクを最小限に抑え、安全に取引を終えるか」という点です。
個人間の取引では、不動産会社のような「保証者」がいません。すべてが自己責任となるからこそ、以下の3つのポイントを徹底することが、トラブルを回避するための防衛策となります。
相場を正しく把握する
個人売買で最も起こりやすい失敗は、「根拠のない価格設定」による損失やトラブルです。売主が相場を知らずに安値で売ってしまうのはもちろん、逆に相場とかけ離れた高値を提示して買主との信頼関係を損ねてしまうケースも少なくありません。
特に空き家の場合、土地の坪単価だけでなく、建物の老朽化具合や解体費用の有無、周辺の需要などを加味した「リアルな市場価値」を知る必要があります。不動産鑑定士に依頼すると数十万円の費用がかかりますが、最近ではAIを活用した精度の高い簡易査定サービスも増えています。主観や希望的観測ではなく、客観的なデータに基づいた価格を提示することが、スムーズな合意への近道です。
契約書は専門家に確認してもらう
「知人だから口約束でも大丈夫」「ネットの雛形を写せば十分」という考えは、不動産取引においては非常に危険です。不動産売買契約書は、万が一トラブルが起きた際に自分を守る唯一の武器になります。
特に、雨漏りやシロアリ被害といった「目に見えない瑕疵」が後から見つかった場合、どちらが修繕費を負担するかを明確に定めておかないと、泥沼の裁判に発展しかねません。また、境界が未確定な場合の対応や、公租公課の精算方法など、素人では気づきにくい細かな条項が重要になります。契約書の作成自体を司法書士や行政書士に依頼するか、少なくとも作成した内容に不備がないかプロにリーガルチェックを依頼するようにしましょう。
税金(譲渡所得)を事前に理解する
個人売買で忘れがちなのが、売却後にかかる「譲渡所得税」の計算です。不動産を売却して利益(譲渡益)が出た場合、その利益に対して所得税と住民税が課されます。
特に注意が必要なのが、親族間などで、時価よりも著しく低い価額で譲渡した場合に発生する「みなし贈与」です。差額分に対して高い税率の贈与税が課される可能性があり、良かれと思って安くしたことが、結果的に買主に重い税負担を強いることになりかねません。
また、空き家の売却には「3,000万円の特別控除」などの節税特例がありますが、これらを適用するには一定の条件を満たす必要があります。売買契約を結ぶ前に、税理士に相談するか、税務署の無料相談などを利用して、最終的にいくら手元に残るのか、税金はいくら発生するのかを正確にシミュレーションしておきましょう。
個人売買でも“価格の基準”は必要

不動産の個人売買は、当事者間の合意がすべてです。しかし、客観的な裏付けがない価格設定は、後々の不満や税務上のトラブル(みなし贈与など)を招く恐れがあります。
交渉をスムーズに進めるためには、以下の3つの基準価格を事前に把握しておきましょう。
- 市場価格はいくらか:一般の市場で取引される相場。これを知ることで、買主からの無理な値下げ交渉を防ぎ、納得感のある提案が可能になります。
- 仲介で売った場合はいくらか:不動産会社を介して高値売却を目指す場合の予想額。仲介手数料などの諸経費を差し引いた「実質の手残り」と比較して、個人売買の利点を確認できます。
- 買取ならいくらか:業者が直接買い取る際の、いわば「最低保証額」。個人売買が頓挫した際のバックアッププランとして、手放せる最低ラインを把握しておくことで心に余裕が生まれます。
これらの基準を持つことは、単なる損得勘定ではなく、取引の透明性を高め、お互いの信頼関係を守るための防衛策となります。
売却方法別の価格を確認できる「空き家のコタエ」

個人売買を進める上で、最も大きな壁となるのが「客観的な価格の根拠」。これを手軽に、かつ詳細に解決できるのが、空き家解決プラットフォーム『空き家のコタエ』です。
通常、不動産の査定では一つの「査定価格」しか提示されないことが一般的ですが、本サービスでは独自のAI査定により、売却方法ごとに異なる3つの想定価格を同時に算出します。
- 個人売買価格: 市場相場から仲介手数料相当分などを調整した、直接取引の目安となる価格。
- 三為取引価格: 業者が第三者への転売を前提に取引する際の実需に基づいた指標。
- 業者買取価格: 不動産会社が直接買い取る場合の、スピーディーな現金化を優先した最低ライン。
個人売買を検討している場合でも、これらの数値を把握しておくことで、買主に対して「相場に基づいた適正な価格であること」を論理的に説明できるようになります。また、仲介や買取と比較した際の手残り金額の差も一目でわかるため、本当に個人売買が自分にとってベストな選択なのかを冷静に比較・判断する材料にもなります。
「知人にいくらで譲ればいいかわからない」「提示した価格で損をしていないか不安」という方は、まずは無料で価格の目安を確認することから始めてみましょう。
まとめ
不動産の個人売買は、仲介手数料を抑えられる大きなメリットがある反面、価格設定や契約面でのリスクをすべて自身で負う必要があります。特に空き家の取引では、後々のトラブルを避けるためにも「客観的で正しい価格」を知ることが成功の絶対条件です。
まずは『空き家のコタエ』を活用し、売却方法別の価格目安を確認してみましょう。市場相場との差を把握することで、納得感のある交渉が可能になります。もし個人間での手続きが煩雑だと感じたり、早期売却を優先したくなったりした場合は、『アキサポの買取サービス』へ相談するのも賢明な選択です。
リスクを最小限に抑え、後悔のない選択をするために、まずは客観的な数値に基づいた一歩を踏み出しましょう。
この記事の監修者
山下 航平 アキサポ 空き家プランナー
宅建士/二級建築士
ハウスメーカーにて戸建住宅の新築やリフォームの営業・施工管理を経験後、アキサポでは不動産の売買や空き家再生事業を担当してきました。
現在は、地方の空き家問題という社会課題の解決に向けて、日々尽力しております。