公開日:2026.04.29 更新日:2026.07.27
相続手続きは誰に頼む?弁護士・司法書士・税理士の選び方
相続手続きを誰に頼むかは、内容によって決まります。相続人間のトラブルは弁護士、不動産の名義変更(相続登記)は司法書士、相続税の申告は税理士、争いのない書類作成は行政書士が主な相談先です。費用を抑えたい場合は、自治体や法テラスなどの無料相談も活用できます。
相続手続きは、死亡届の提出から相続放棄、相続税の申告、相続登記まで多岐にわたり、法律や税金の知識も求められます。自力ですべて行うのは時間も手間もかかるため、内容に応じて適切な専門家を選ぶことが、スムーズな相続の近道です。
そこで本記事では、相続手続きの全体像を整理したうえで、専門家・公的機関それぞれの特徴と選び方、相談すべきタイミング、ケース別の注意点まで詳しく解説します。
目次
相続手続き相談の前に知っておきたい基礎知識

まずは、相続に関する基本的な知識を整理しておきましょう。
相続手続きは、死亡を知った日から7日以内の死亡届の提出に始まり、相続人・財産の確定、遺産分割協議、相続放棄(3か月以内)、相続税申告(10か月以内)、相続登記(3年以内)へと進みます。期限のある手続きが多く、内容ごとに頼るべき専門家が異なります。
次に、相続人と相続財産を把握し、どのように分割するか家族や相続人同士で協議。その際、相続人同士で意見が合わずに遺産分割協議が長期化したり、不動産の名義変更を放置すると、将来の売却や活用が困難になるだけでなく、2024年4月からの義務化により「過料」という直接的な金銭的ペナルティを科されるリスクがあります。
また、相続税の申告を忘れてしまい、追徴課税を受ける事例も。こうしたトラブルは、手続きの流れと専門家の役割を早めに理解し、適切な相談先を見極めることで回避しやすくなります。
相続手続きの相談先:公的機関の活用

相続手続きの相談先の一つが、公的機関です。弁護士などの専門家に相談するよりも費用負担を抑えながら情報収集でき、適切なアドバイスも受けることができます。
相続手続き相談の費用を抑えたい場合は、無料で利用できる公的機関の窓口を活用するのがおすすめ。
| 公的機関 | 相談できる内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 市区町村役場・自治体 | 弁護士・税理士による無料相談会、手続きの基本の流れ | 相談時間が限られる。事前に論点を整理して臨む |
| 法務局 | 相続登記の手続きの流れ・必要書類の案内 | 書類作成の代行や交渉は不可。司法書士と連携 |
| 税務署 | 相続税の計算方法・申告手続きの流れ | 個別の節税対策や税額計算の代行は行わない |
| 法テラス | 無料法律相談、弁護士費用の立替制度 | 手続き全体の長期サポートは不可。方向性確認向け |
公的機関には時間制限や提供できるアドバイス範囲が限られている場合がありますが、問題が解決しなければ、そこから専門家を紹介してもらうことも可能です。
相続手続きの相談先:専門家に相談するメリットと特徴

相続手続きを誰に頼むかは、内容で決まります。トラブル・紛争は弁護士、不動産の名義変更は司法書士、相続税の申告は税理士、争いのない書類作成は行政書士、資産管理まで含む総合サポートは銀行・信託銀行が適しています。目的に合わせて選びましょう。
| 相談先 | 主に頼めること | 向いているケース |
|---|---|---|
| 弁護士 | 相続トラブルの解決、調停・訴訟の代理、遺言書作成の助言 | 相続人間で対立・紛争がある、訴訟に発展しそう |
| 司法書士 | 相続登記(名義変更)、遺産分割協議書作成、戸籍等の収集 | 不動産の名義変更が必要、紛争性は低い |
| 税理士 | 相続税の申告、財産評価、節税・納税相談 | 相続税が発生する、資産が大きい・不動産が複数 |
| 行政書士 | 遺産分割協議書作成(紛争なし)、車・預貯金の手続き書類 | 争いがなく書類作業が中心、費用を抑えたい |
| 銀行・信託銀行 | 遺産整理業務、遺言信託、財産管理の総合サポート | 金融商品が多い、長期の資産管理を任せたい |
弁護士:相続トラブルの解決・訴訟対応
相続人間での対立が生じたり、訴訟に発展する恐れがある場合は弁護士への相談が最適。弁護士は法律の専門家として、紛争解決や調停申し立て、法廷での代理人としても活動できます。また、事前に遺言書作成のアドバイスを受けておくことで、後々のトラブルを未然に防ぐことも期待できるでしょう。
司法書士:相続登記(名義変更)や遺産分割協議書作成の専門家
不動産を含む相続では、名義変更や登記が必要不可欠です。司法書士はそれらの手続きを得意としており、戸籍謄本や必要書類の収集をはじめ、手続き全般をスムーズに進められるようサポートしてくれます。登録免許税などの費用計算にも精通しているため、安心して依頼できる専門家です。
税理士:相続税申告や納税相談の専門家
相続税が発生する場合は、正確な財産評価に基づく申告書の作成を税理士へ依頼するのが一般的です。税理士は節税や納税手続きのアドバイスを行い、相続財産を適切に評価して申告しなければならない点をサポートしてくれます。特に資産が大きいケースや不動産が複数ある場合、税理士の専門的な知識は大きな力になるでしょう。
行政書士:遺産分割協議書作成や車・預貯金の相続手続きサポート
行政書士は、遺産分割協議書の作成(紛争性のない場合に限る)や公的書類の収集など、主に相続に必要な書類関連の業務を手掛けている専門家です。調停や訴訟などの代理はできませんが、比較的費用をおさえつつ書類業務を委託できるという点がメリット。相続人間の争いが少なく、手続き作業中心で済む場合に適した相談先となります。
銀行・信託銀行:遺産整理業務や遺言信託による総合サポート
銀行や信託銀行では、被相続人の預金口座の名義変更や各種手続きの簡易サポートのほか、遺言信託や財産管理を含む総合的なサービスを提供しています。複数の金融商品を保有している場合や、資産管理を長期的に任せたい場合には心強い選択肢となるでしょう。ただし、専門家よりも手数料が高くなるケースがあるため、事前に比較検討することが重要です。
【時系列別】相続手続き相談をすべき3つのタイミング
相続は「発生してから」だけでなく、その前後で相談の質が異なります。有資格者の視点から、後悔しないための相談タイミングを整理しました。
🕐相談すべき3つのタイミングと頼る相手
生前予防相談
遺言書の作成や家族信託で、認知症による資産凍結や将来の争いを防ぐ。
頼る相手:弁護士・司法書士
発生直後初動相談(3か月以内)
相続放棄・限定承認の要否を判断。期限を過ぎると負債もすべて相続。
頼る相手:弁護士・司法書士
発生後解決相談
分割確定後の登記・税務申告。相続登記は3年以内で義務化済み。
頼る相手:登記は司法書士/相続税は税理士
【生前】認知症や紛争を未然に防ぐ「予防相談」
相続が発生する前、つまり親が元気なうちに行う相談です。ここでは、遺言書の作成や「家族信託」の活用について、弁護士や司法書士に相談するのが最適です。 特に不動産をお持ちの場合、親が認知症等で判断能力を失うと、売却や大規模修繕といった手続きが一切できなくなる「資産凍結」のリスクがあります。生前に相談しておくことで、将来の「相続手続き相談」の負担を大幅に減らすことができます。
【発生直後】期限のある手続きを見極める「初動相談」
身内が亡くなってから3か月以内に行う、最も重要なタイミングです。ここでは「相続放棄」や「限定承認」の要否を判断するため、速やかに弁護士や司法書士へ相談しましょう。 プラスの財産よりも借金が多い場合、3か月の熟慮期間を過ぎると単純承認とみなされ、原則としてすべての負債を引き継ぐことになるため注意が必要です。
【発生後】円満な分割と納税のための「解決相談」
遺産分割協議がまとまり、登記や税務申告を行うフェーズです。不動産の登記は司法書士、相続税の申告は税理士というように、実務的な手続きを依頼します。 令和6年4月より、相続により所有権を取得したことを知った日から3年以内に不動産の名義変更を行う「相続登記」が義務化されました。正当な理由なく放置すると過料(10万円以下)の対象となるため、手続きの漏れがないよう、この段階での専門家への最終相談は必須です。
あなたに合った相談先の選び方

費用や相談内容の難易度によって、依頼するべき専門家は異なります。自分にあった専門家を選ぶ目安となるポイントをまとめたので、ぜひチェックしてみてください。
費用相場の比較:どの専門家に依頼すべき?
専門家によって報酬体系や料金設定はさまざまですが、一般的に弁護士は紛争対応まで含むことから費用が高くなりがちです。一方、行政書士や司法書士は書類作成メインの業務では比較的安価で済むケースが多く見られます。相続税が発生する場合は税理士が必要となるため、まずは自分の相続内容を整理して見積もりを取り、納得のいく専門家を選びましょう。
複数の専門家との連携の重要性
相続は法律、税務、不動産など多方面にわたるため、一人の専門家だけでは対応しきれない場合があります。たとえば、訴訟や調停が想定されるなら弁護士、同時に不動産登記が絡むなら司法書士と連携するなど、状況に応じた複数の専門家の連携が理想的です。連携体制を整えることで、スムーズかつ的確に手続きが進むメリットがあります。
そのため、まずは想定される状況別に専門家を当てはめて検討しましょう。もし判断に迷う場合は、市区町村役場や法テラスなどで初動の相談を行い、その指示に従って次の専門家を探すのもおすすめです。
ケース別に見る相続手続きの注意点

相続の状況によって注意すべき点は大きく異なります。ここでは代表的なケースを取り上げ、どのような注意点があるのかを具体的にまとめました。
遺産相続で揉めそうな場合の対処法
相続人間の主張が食い違いそうなら、できる限り早期に弁護士に相談するのが得策です。遺言書の内容や法律上の取り決めを明確にし、遺産分割協議の進め方を整理しておくことで揉めごとが長引くのを防ぐことができます。調停や裁判所での手続きに移行する前に、専門家を仲介役とした冷静な協議を試みると円滑に解決しやすくなるでしょう。
不動産を含む場合の手続きポイント
不動産相続では、共有名義にするか単独名義にするかで後々の管理や売却に影響が出ます。また、境界確定や評価額の算定など、個別の手続きが必要になる場合も。さらに不動産の名義変更を放置すると売却や担保設定に支障が出るため、早めに相続登記を行うことが大切です。
相続放棄や限定承認の期限と注意点
相続放棄・限定承認は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内(熟慮期間)に家庭裁判所へ申述します。この期間内に手続きしないと単純承認とみなされ、借金などの負債もすべて引き継ぐことになるため注意が必要です。早期に状況を整理し、専門家と連携してリスクを見極めながら手続きを進めるようにしましょう。
海外が関わる相続の特殊事情
海外に財産があったり、外国籍の相続人がいたりする場合は、各国の法律や税制が絡むため手続きが複雑化します。日本国内だけで完結しないケースが多いため、国際相続に長けた弁護士や税理士のサポートを検討しましょう。海外送金や相続税の取り扱いなど、事前の情報収集がスムーズな相続実現への近道です。
相続の無料相談を有効活用する方法

相続手続きの無料相談は市区町村や法テラス、司法書士事務所や弁護士事務所など、さまざまな場所で行われています。時間や相談範囲に制限はあるものの、基本的な方向性を確認したり大まかな費用イメージを掴むには最適です。
事前に以下のポイントをチェックして、無料相談を最大限に有効活用しましょう。
相続手続きの無料相談で対応できる範囲を把握する
基本的に無料相談は時間に制限があったり、詳細な書類作成や代理対応まで踏み込んだりできないケースがほとんどです。あくまでも相続手続き全体のイメージをつかむ場として利用し、細かい手続き代行やトラブル対応が必要な場合は有料サービスを検討する必要があるという前提は理解しておきましょう。
事前に準備する書類・情報をまとめておく
無料相談を有効活用するためには、戸籍謄本や資産のリストなど最低限の情報を揃えておくことが重要です。遺言書の有無や、銀行口座、不動産の数などを整理しておくと、相談先も具体的なアドバイスがしやすくなります。
複数の窓口へ相談する
同じ状況でも専門家によって提案される手続き方法や費用が異なることがあります。複数の窓口や事務所に相談することで、どのようなサポートが自分に合っているかを客観的に比較できるでしょう。見積もり内容や対応の丁寧さなどを総合的に判断し、自分にとって最適な相続手続きの進め方を選ぶのがおすすめです。
🕐相続手続きの相談先に関するよくある質問
Q. 相続手続きは結局、誰に頼めばいいですか?
頼む相手は手続きの内容で決まります。相続人間のトラブルや訴訟は弁護士、不動産の名義変更(相続登記)は司法書士、相続税の申告は税理士、争いのない書類作成は行政書士が適任です。何から始めるか迷う場合は、自治体や法テラスの無料相談で方向性を確認するのがおすすめです。
Q. 費用を抑えて相談する方法はありますか?
市区町村役場の無料相談会、法務局(登記)、税務署(相続税)、法テラス(法律相談)など、無料で使える公的機関を活用できます。時間や範囲に制限はありますが、全体像や大まかな費用感をつかむのに役立ちます。複雑な手続きや代行が必要なら、そこから専門家へ切り替えましょう。
Q. 相続手続きに期限はありますか?
あります。死亡届は7日以内、相続放棄・限定承認は3か月以内、相続税の申告は10か月以内、相続登記は取得を知った日から3年以内(2024年4月より義務化)です。期限を過ぎると負債の承継やペナルティのリスクがあるため、早めの相談が安心です。
まとめ・総括
相続手続きを誰に頼むかは、内容で決まります。トラブルは弁護士、不動産の名義変更は司法書士、相続税は税理士、争いのない書類作成は行政書士が適任です。死亡届7日・相続放棄3か月・相続税申告10か月・相続登記3年など期限のある手続きが多いため、まずは自治体や法テラスの無料相談で全体像をつかみ、内容に応じて専門家へつなぐのが失敗しない進め方です。
とはいえ、相続財産に実家や空き家などの不動産が含まれると、「登記や税金の先に、この家をどう活用・処分すればいいのか」まで悩みが広がりがちです。その部分は、専門家への橋渡しも含めてまとめて相談できると安心です。
アキサポは、相続に強い専門家と連携しながら、相続した空き家・不動産の名義変更から活用・売却までを一括で相談できる窓口です。何から手をつけるか決まっていない段階でも問題ありません。まずは無料相談で、あなたの状況に合った進め方を整理してみませんか。
この記事の監修者
白崎 達也 アキサポ 空き家プランナー
一級建築士
中古住宅や使われなくなった建物の再活用に、20年以上携わってきました。
空き家には、建物や不動産の問題だけでなく、心の整理が難しいことも多くあります。あなたが前向きな一歩を踏み出せるよう、心を込めてサポートいたします。