公開日:2026.01.31 更新日:2026.08.31
不動産の名義変更とは?土地・建物の手続き・書類・費用を解説

不動産の名義変更とは、土地や建物の所有者が変わったときに、登記簿上の名義を書き換える「所有権移転登記」のこと。相続・売買・贈与・離婚という4つのケースで必要になり、いずれも法務局へ申請して行います。「土地の名義変更」「建物の名義変更」「家・家屋の名義変更」も、手続きの中身はこの所有権移転登記で共通です。
名義を放置すれば、売却や担保設定ができず、権利関係のトラブルにもつながりかねません。とりわけ相続による名義変更(相続登記)は2024年4月から義務化。取得を知った日から3年以内に登記しなければ、最大10万円の過料が科される可能性があります。
本記事では、ケース別の必要書類と手続きの流れ、登録免許税などの費用、司法書士に依頼する目安までを、2026年の最新税制にあわせて整理しました。
目次
土地建物の名義変更とは?必要性や登記の仕組みを解説

不動産の名義変更とは、土地や建物の所有者を法的に変更する「所有権移転登記」の手続きです。相続・売買・贈与・離婚などで所有者が変わったときに、法務局へ申請して登記簿の名義を書き換えます。名義変更をしないと、売却や担保設定ができないだけでなく、権利関係のトラブルにつながるおそれがあります。
名義変更(所有権移転登記)のポイントは次の3つです。 ・手続き先:不動産の所在地を管轄する法務局(窓口・郵送・オンライン) ・必要になる主なケース:相続・売買・贈与・離婚(財産分与)の4つ ・「土地」「建物」「家・家屋」の名義変更も、中身は同じ所有権移転登記
名義変更が必要となる理由
名義変更が必要なのは、登記簿上の所有者と実際の所有者を一致させ、権利を第三者に主張できるようにするためです。名義が前の所有者や故人のままだと、売却や担保設定ができず、相続が重なると手続きがさらに複雑になります。特に相続の場合は、後述のとおり登記が義務化されています。
名義はどこで管理される?土地・建物それぞれの登記簿
不動産登記簿は、土地と建物が別個に管理されるのが一般的。土地には地番、建物には家屋番号が割り当てられており、法務局で保管される登記簿によって権利関係が公的に証明されます。
所有権移転登記をはじめとする名義変更の申請先は、原則として不動産の所在地を管轄する法務局で、誰でも登記簿謄本を取得でき、現在の名義人や権利状況を確認することが可能です。
登記簿は「表題部」と「権利部(甲区・乙区)」で構成されています。名義変更の際は、この内容を正確に読み取ることが重要です。
- 表題部:所在地・面積・構造など、不動産の基本情報
- 権利部(甲区):所有権に関する事項
- 権利部(乙区):抵当権など所有権以外の権利に関する事項
農地を名義変更する場合の注意点
農地の名義変更には、通常の不動産と異なり、原則として農業委員会の許可(農地法第3条・第5条)が必要です。許可を受けずに行った売買や転用は無効となる場合があります。ただし、相続による取得は許可不要で、農業委員会への届出で足ります。農地付き空き家では、この手続きの要否を必ず確認しましょう。
手続きや必要書類は、市街化区域内の農地や市街化調整区域内の農地など、地域の区分によってさまざまなので、事前に自治体や農業委員会に確認しておくとスムーズです。
また、農地を転用する場合などは、手続きがさらに複雑になることがあります。専門家のアドバイスを受けながら進めることで、時間やコストを抑えることができるでしょう。
名義変更が必要となる主なケース

不動産の名義変更が必要になる主なケースは4つです。
①相続(相続登記)②売買③贈与④離婚に伴う財産分与です。それぞれ必要書類や課される税金、手続きの進め方が異なります。まずは自分がどのケースに当たるかを確認し、必要な書類と費用を把握することが第一歩になります。
相続による名義変更(相続登記)
相続による名義変更(相続登記)は、2024年4月1日から義務化されました。不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に登記しないと、正当な理由なく怠った場合は最大10万円の過料が科される可能性があります。過去に発生した相続も対象となるため、未登記のまま放置している場合は早めの手続きが必要です。
相続登記をしないまま放置していると、相続人が後に増える場合や相続関係が複雑化する可能性があり、登記が難しくなる可能性があります。手続きをスムーズに進めるためにも、前もって戸籍謄本や被相続人との続柄がわかる書類を集めておくとよいでしょう。
さらに、不動産の評価額によっては相続税が課されることもあるため、税務上の手続きともあわせて検討することが大切です。
売買による名義変更
不動産の売買契約を締結した場合、所有権移転登記を行うことで正式に権利が移転。契約だけでは権利の公的な証明とならないため、登記をして初めて名義が変わったと認められます。
売買の場合、売主と買主双方の書類整備が必要です。権利証や登記識別情報、印鑑証明書などを揃え、不備のない状態で申請を進めましょう。
特にローンを利用して購入する場合には、金融機関の抵当権設定登記も同時に行われることが多く、段取りをプロに相談しながら進めるとスムーズです。
贈与による名義変更
贈与による名義変更は、無償で財産を譲り渡す場合に必要となる手続きです。贈与契約書など権利の移転を証明する書面をしっかり作成し、法務局での登記を怠らないようにしましょう。
贈与の際に注意したいのが、場合によっては贈与税が課税される点。非課税枠や特例制度を活用できるかどうか、事前に税制を確認しておくことがポイントです。また、同居親族への住居の贈与など、特定のケースでは減税措置が受けられることもあるため、適用条件をしっかり調べたうえで、手続きを進めるとよいでしょう。
離婚(財産分与)・婚姻解消による名義変更
離婚に伴って財産分与が必要となった場合も、その分与の内容を不動産の登記に反映させる必要があります。夫婦が共有していた不動産をどのように分割するかは、協議の結果を法務局の登記申請に反映させることで公式に確定します。
財産分与協議書を作成し、分与後の所有者を確定させてから手続きを行いますが、もし住宅ローンが残っている場合は、金融機関との調整も必要になるケースも。また、婚姻期間中に購入した不動産は、通常共有財産として扱われるため、正しい評価額や持分比率を踏まえたうえで名義変更を進めるようにしましょう。
名義変更に必要な書類と手続きの流れ
不動産の名義変更は、法務局への登記申請で行います。基本の流れは、①必要書類の収集②申請書の作成③法務局へ申請(窓口・郵送・オンライン)④登記完了、の4ステップです。必要書類はケースにより異なり、相続なら戸籍一式や遺産分割協議書、売買なら売買契約書や登記識別情報などが必要になります。
不動産名義変更(登記申請)の基本ステップ
※不備なくスムーズに権利を移転するための基本的な流れです
必要書類の準備・確認
相続や売買など、名義変更の原因に応じた証明書類(契約書・戸籍謄本等)を収集します。固定資産評価証明書を取得し、登録免許税の正確な税額計算を行います。
法務局への登記申請
登記申請書を作成し、添付書類一式とともに不動産の所在地を管轄する法務局へ提出します。提出方法は法務局窓口への直接持参のほか、オンライン申請も可能です。
登記完了・書類の受領
法務局での書面審査(通常1〜2週間程度)が完了すると、新しい権利の証明書となる「登記識別情報通知(従来の登記済権利証)」や登記完了証が発行され、手続きが完了します。
ここからは、名義変更の主な流れについてご紹介。あらかじめ把握し、滞りなく手続きが進められるように準備しておきましょう。
【ケース別】土地建物の名義変更に必要な書類一覧
| 登記の原因(ケース) | 主な必要書類 | 書類準備のポイント・注意点 |
|---|---|---|
| 相続による名義変更 | 被相続人の戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本、遺産分割協議書、遺言書、相続人の住民票など | 相続人が複数いる場合は遺産分割協議書の作成と全員の印鑑証明書が必要になるため余裕を持って準備する |
| 売買による名義変更 | 売買契約書、売主と買主の印鑑証明書、登記識別情報(または登記済権利証)、固定資産評価証明書など | 住宅ローンを利用して購入する場合は金融機関の抵当権設定登記の必要書類も同時に揃える |
| 贈与による名義変更 | 贈与契約書、贈与者の印鑑証明書、登記識別情報(または登記済権利証)、受贈者の住民票など | 無償で譲渡した事実を証明する贈与契約書を作成し、お互いの署名捺印を確実に残しておく |
| 離婚による名義変更 | 財産分与協議書(または離婚調停調書)、名義人の印鑑証明書、登記識別情報、戸籍謄本など | 住宅ローンが残っている物件を財産分与する場合は事前に金融機関との調整と承諾が不可欠 |
必要書類は登記の原因ごとに異なり、発行に数週間かかるものもあります(上表参照)。余裕を持って準備しておきましょう。
オンライン申請と窓口申請の方法
書類がそろったら、法務局へ書類を提出します。従来は法務局の窓口に直接提出しますが、近年はオンライン申請システムが整備されているので、マイナンバーカードなどを利用して自宅からでも手続きを行うことが可能です。窓口申請は、直接窓口に赴く手間はありますが、不備があればその場で修正できます。一方、オンライン申請は場所を問わず手続き可能ですが、電子証明書や専用ソフトの準備が必要です。自身の都合を考慮して、最適な方法を選びましょう。
名義変更にかかる費用・税金

名義変更にかかる主な費用は、登録免許税と専門家報酬です。登録免許税は固定資産税評価額に税率を掛けて算出し、税率は相続が0.4%、売買・贈与が2.0%です(土地の売買は軽減措置が適用される場合があります)。司法書士に依頼する場合は、これに数万〜十数万円程度の報酬が加わります。
| 登記の原因(ケース) | 登録免許税の税率 | ポイント |
|---|---|---|
| 相続による名義変更 | 固定資産税評価額 × 0.4% | 相続登記は2024年4月から義務化(3年以内・過料最大10万円) |
| 売買による名義変更(土地) | 評価額 × 1.5%(軽減)/本則2.0% | 軽減税率の適用期限は2029年3月31日まで延長 |
| 売買(建物)・贈与による名義変更 | 評価額 × 2.0% | 別途、不動産取得税・贈与税・印紙税がかかる場合あり |
登録免許税の計算と税額
登録免許税は、自治体が管理する固定資産税評価額に所定の税率を掛けて算出します。税率は登記原因により異なり、相続は0.4%、贈与は2%、売買(土地)は2%が原則ですが、2026年度(令和8年度)の税制改正により、軽減税率1.5%の適用期限が2029年(令和11年)3月31日まで3年間延長されました。軽減措置が適用されるケースもあるため、事前の正確な試算が欠かせません。最新の税制情報を確認した上で、手続きを進めましょう。
なお、評価額自体も路線価方式や倍率方式で算出されるため、固定資産税評価額と実際の売買価格が必ずしも一致しない点にも注意が必要です。
司法書士等の専門家への報酬と実費
登記は一度完了すると修正が難しく、ミスがあれば再申請が必要になる場合もあるため、正確性を重視するなら専門家に依頼するのが確実です。
司法書士へ依頼する場合の報酬は、登記内容の難易度や物件数、地域によって異なりますが、だいたい数万円から十数万円程度が目安。交通費や書類取得のための実費が別途加算されるケースもあるため、見積もり段階で報酬と実費を合わせた総額を確認しておくことをおすすめします。
その他発生する税金・費用(不動産取得税など)
上記のほかに発生する税金・費用としては、主に以下のものが挙げられます。
- 不動産取得税
- 贈与税
- 印紙税
不動産取得税は、一定の要件下で軽減措置が適用されるケースが多く見られます。特に住宅用として取得した場合、減税制度の条件に該当するか確認するとよいでしょう。
贈与税は課税金額が大きくなる可能性があるため、非課税枠や特別控除を適用できるか慎重に確認してください。
また、名義変更の手続き時だけでなく、将来的には固定資産税や不動産維持にかかる費用なども発生するため、不動産を取得する際はこれらの負担も踏まえて総合的に検討することが大切です。
【土地建物の名義変更】自分で行う場合と専門家に依頼する場合の比較

名義変更は自分でも手続きできますが、専門家(司法書士)への依頼と一長一短があります。自分で行えば報酬を節約できる一方、書類の収集や申請書の作成に手間がかかり、不備による差し戻しのリスクがあります。相続や権利関係が複雑なケースでは、司法書士に依頼するほうが確実で安心です
自分で名義変更を行うポイントとリスク
自力で申請する最大のメリットは、専門家へ支払う報酬を節約できることです。一方で、添付書類や記載項目に不備があると手続きがスムーズに進まず、結局は時間と手間を大きく取られてしまう可能性があります。
特に、原因が複雑なケース(相続人が多い、離婚で協議が難航しているなど)ほど申請内容が煩雑になりがちです。登記完了後の訂正には追加費用や再申請の手間がかかるため、ミスを防ぐためにも慎重に確認するようにしましょう。
専門家に依頼するメリットと依頼先の選び方
専門家に依頼する一番のメリットは、ノウハウを持つプロが書類作成および法務局への申請手続きを代行してくれる点です。費用はかかるものの、書類不備や申請ミスを最小限に抑えられるため、結果的にトラブルを防げる可能性が高まります。
また、名義変更だけでなく、今後の相続対策や節税方法など総合的なアドバイスを受けられるのもメリットの一つ。自己流での手続きでは気づきにくい法改正や要件変更にも専門家は迅速に対応してもらえます。
依頼先を選ぶときは、実績や料金体系が明確であることをチェックしておくのがおすすめ。初回相談が無料の事務所もあるので、比較検討して納得のいく専門家を見つけましょう。
名義変更でよくあるトラブルと防止策
土地建物の名義変更では、次のようなトラブルが起こりがちです。事前に押さえておきましょう。
- 登記簿上の住所と死亡時の住所が違う:両者の住所の変遷をつなぐ住民票の除票や戸籍の附票などが必要になります。
- 自筆証書遺言の検認を受けていない:自筆証書遺言で登記する場合、家庭裁判所の検認が必須です。検認を受けていない遺言書では登記手続きができません。
- 登記漏れ:敷地本体のほか、私道・ゴミ置き場・共有の駐車場などの持分登記が漏れるケース。売却や建て替え時に支障となります。
こうしたトラブルを防ぐには、早めに専門家へ相談し、適切な方法で手続きを進めることが最適です。
まとめ・総括:適切な名義変更でトラブルを回避
不動産の名義変更は、所有権を明確にし、将来のトラブルを防ぐために欠かせない手続きです。相続・売買・贈与・離婚など原因によって必要書類や費用(登録免許税)は変わるため、まずは自分のケースを確認したうえで進めることが大切。相続登記は義務化され、3年以内の申請が求められる点も忘れないようにしましょう。
とはいえ、相続した空き家の名義がそのままで、活用も売却も手つかず——という方は少なくありません。名義変更などの手続きから、その後の活用・売却まで、アキサポが司法書士と連携してワンストップでサポートします。方針が決まっていない段階でも構いませんので、まずはお気軽にご相談ください。
この記事の監修者
白崎 達也 アキサポ 空き家プランナー
一級建築士
中古住宅や使われなくなった建物の再活用に、20年以上携わってきました。
空き家には、建物や不動産の問題だけでなく、心の整理が難しいことも多くあります。あなたが前向きな一歩を踏み出せるよう、心を込めてサポートいたします。






