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公開日:2025.07.22 更新日:2026.05.20

親から子への家の名義変更|手続き・費用・税金の基礎知識と対策ガイド

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家の名義変更を親から子に行う場合、相続や生前贈与、あるいは親子間での売買など、さまざまな方法があります。方法によって必要書類や手続きの流れが異なるほか、発生する税金にも大きな違いがあります。

たとえば、贈与税や相続税、不動産取得税、登記にかかる登録免許税など、手続き方法によって税金の負担が大きく変わる可能性があります。加えて、名義変更を適切に行わないまま放置すると、将来の相続時に相続人同士のトラブルが発生したり、不動産の売却や担保設定がスムーズに進まなくなるなど、法的・金銭的なリスクが高まります。

名義変更は法務局に申請する登記手続きが必要で、戸籍謄本・住民票・固定資産税評価証明書・登記識別情報(権利証)など多くの書類を準備しなければなりません。

こうした準備を円滑に進めるために、本記事では名義変更に関する基礎知識や手続きの流れ、さらに生前贈与や相続にかかる税金対策について網羅的に解説します。さらに、司法書士や税理士に依頼する場合の費用感や選び方、自分で申請する場合の注意点についても初心者向けに分かりやすくまとめました。

家の名義変更の基礎知識:手続きが必要な理由と放置リスク

家の名義変更が必要な理由

家の名義変更(不動産登記)を行う最大の目的は、法律上の所有権を正式に確定させ、第三者に対しても「この家の真の所有者は自分である」と証明できるようにすることにあります。

所有権を正式に移転し名義をはっきりさせておくことで、固定資産税の納税者が明確になり、親子間や親族間における金銭的な不透明さを排除できます。また、将来的な管理コストや修繕負担の計画・見通しも事前に立てやすくなり、不動産を安心して維持・活用するための強固な土台となります。

家の名義変更を放置した場合のリスク

一方で、名義変更の手続きを先延ばしにして放置すると、将来的に数多くの法的・金銭的リスクを背負うことになります。

2024年法改正によるペナルティ:
相続登記に関しては義務化されたため、正当な理由なく放置すると10万円以下の過料(ペナルティ)の対象となります。

売却や担保設定が不可能に:
登記簿上の名義が故人や親のままだと、家を売却して現金化したり、リフォームローンを組むために自宅を担保(抵当権設定)に入れたりする資産活用が一切できなくなります。

親族間での遺産分割トラブルの激化:
名義が曖昧なまま年月が経ち、次の相続が発生すると、ネズミ算式に法定相続人が増えて権利関係が複雑化します。いざ変更しようとしたときには、見ず知らずの親族と家庭裁判所で遺産分割調停や訴訟を行わなければならない事態に発展するリスクがあります。

親から子に譲る方法は2種類:生前贈与と相続の違いを解説

家の名義を親から子に変更する主な手段は、生前贈与と相続の2つです。どちらを選ぶかで税金や手続きの流れが異なるため、事前に十分な比較検討が必要です。

生前贈与は、親が元気なうちに所有権を子に移す方法で、親子間の話し合いだけで進められる点がメリットです。一方、相続の場合は、親の死亡後に民法に基づく遺産分割協議を経て名義を移す形になるため、相続人が複数いる場合には全員の合意が必要になります。家族構成や税金の負担を考慮して、どちらが適しているかを慎重に判断しましょう。

また、贈与税や相続税といった課税負担も重要な検討要素です。生前贈与では「相続税法」に基づき贈与税が、相続では不動産の評価額に応じて相続税が課される可能性があります。いずれも税額は時期や資産額によって変動するため、早めに専門家へ相談して計画的に対応することが推奨されます。

1. 親が生きているうちに行う「生前贈与」

生前贈与は、親の自由な意思で子に家を譲渡できる点が特徴です。

手続きとしては、贈与契約書を作成し、名義変更の登記申請を行うことで完了しますが、「相続税法」に基づき贈与税が課税される可能性があるため注意が必要です。基礎控除額や暦年贈与、相続時精算課税制度などの特例制度を事前に確認し、課税負担を把握しておくことが重要です。

また、贈与された不動産の登記変更には、必要書類を準備したうえで法務局で手続きを行い、「登録免許税」(不動産価額の2%)を納付する必要があります。

2. 親が亡くなった後に行う「相続」

親が亡くなった場合、不動産を相続した子は、相続登記(所有権移転登記)を申請することが2024年4月1日から義務化されました。正当な理由なく怠った場合、10万円以下の過料が科される可能性があります(不動産登記法第76条の2、第164条)。

複数の相続人がいるときには「民法」に基づき遺産分割協議を行い、全員の同意を得たうえで遺産分割協議書を作成し、登記手続きを進めます。相続税が発生する可能性があるほか、兄弟や親族間で意見の対立が起きないよう、あらかじめ遺言書の作成などで親の意思を明確にしておくことがトラブル防止につながります。

生前贈与による不動産名義変更の手続きと必要書類

生前贈与による家の名義変更では、契約から登記までの流れを整理し、税金面にも注意深く対応することがポイントです。

まず、不動産の贈与契約書を作成し、贈与者(親)と受贈者(子)が署名・押印することが第一ステップです。これに加え、贈与する親の印鑑証明書や家の固定資産税評価証明書、さらに登記識別情報(または旧制度の登記済権利証)などが必要となります。贈与契約書は後のトラブルを防ぐためにも明確な内容で作成しましょう。必須ではありませんが、公証役場で「公正証書」として作成しておくと、より高い証明力を持ちます(民法第549条では贈与は口頭でも成立するとされていますが、書面によらない贈与は各当事者が解除できると定められているため、書面化が重要です)。

贈与契約が整ったら、法務局で所有権移転登記(名義変更)の手続きを行います。書類に不備があると受理されず、何度も出向かなければならないため、司法書士などの専門家に事前に相談して確実に準備するのが望ましいでしょう。また、登記には登録免許税(不動産評価額の2%)が課税されるため、贈与する家の固定資産税評価額を事前に把握しておく必要があります。

贈与契約書・印鑑証明・固定資産税評価証明書など

贈与契約書は、贈与する不動産の所在・地番・種類・面積などの詳細、贈与者・受贈者の情報、贈与日、移転の合意内容を明記します。

さらに、贈与者の印鑑証明書(発行日から3ヶ月以内)や、固定資産税評価証明書(課税年度のもの)、登記識別情報通知書(登記済証)、受贈者の住民票なども必要です。

とくに固定資産税評価証明書は課税額の算定や登録免許税の計算に必須となるため、早めに取得して確認しましょう。

法務局で登記申請する流れ

名義変更の申請書類をすべて揃えたら、所轄の法務局に提出します。

受付後は書類審査が行われ、問題がなければ数日から1週間程度で名義変更登記が完了し、正式に受贈者名義の不動産として登記簿に反映されます。

万が一、不備や追加書類が必要と判断された場合は、法務局から補正通知や連絡が届くため、速やかに指示に従って対応しましょう。手続きの正確性が求められるため、申請前に登記申請書の記載内容や添付書類の確認を徹底することが重要です。

相続で家の名義変更するときの手続き・必要書類

親が亡くなり相続が発生した場合には、必要書類の収集や遺産分割協議など、生前贈与以上に複雑な手続きが求められます。

まず、相続人を確定させるために被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を収集し、合わせて相続人の戸籍・住民票を用意します。この情報から法定相続人を確定することで、相続登記に必要な遺産分割協議書を作成しやすくなります。相続人が複数いる場合は、家を誰が相続するのか全員の合意を得ることが非常に重要です。

また、家を相続することが決まった後は、不動産の評価証明書や相続人全員の印鑑証明書などを揃えて登記申請(所有権移転登記)を行います。正式に登記が完了するまでは、銀行融資の手続きや売買などがスムーズに行えない場合があるため、速やかに登記申請を行うことが望まれます。

必要な書類が多いため、専門家を交えて計画的に準備を進めるのがおすすめです。

なお、2024年4月1日から相続登記が義務化され、原則として「自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日」から3年以内に登記申請が必要です。必要な書類が多く手続きが煩雑なため、司法書士などの専門家を交えて計画的に進めることが推奨されます。

戸籍謄本・遺産分割協議書などの収集

相続人の確定には被相続人の戸籍を出生から死亡まで遡って取得し、相続関係を時系列で明確に証明します。

さらに相続人全員の戸籍抄本や印鑑証明書(3ヶ月以内)を準備し、遺産分割協議書を作成・全員が署名押印することで、法務局での相続登記に備えます。

協議書には、不動産の詳細情報(所在地・地番・種類・面積)や、相続人の氏名、分配内容などを明記し、後から確認や証明ができるような形式で作成することが重要です。あいまいな表現は避け、内容が明確になるよう配慮しましょう。

相続登記の具体的な手順

遺産分割協議書や必要書類が揃ったら、所轄の法務局で相続登記を行います。書類審査を受け、不備がなければ相続登記が完了し、法的に所有権が移転されたことが証明されます。

法務局による書類審査を経て、不備がなければ相続登記が完了し、相続人への正式な所有権移転が登記簿に反映されます。登記完了後は、登記事項証明書を取得することで、名義変更が完了したことを確認できます。

これにより、法的にも第三者にも、相続人が正当な所有者であることを証明することができます。

名義変更の費用の目安と内訳

家の名義変更にかかる費用は、国に納める公的費用である「登録免許税」と、手続きを代行してもらう「司法書士への報酬」の2つに大別されます。

  • 登録免許税の計算:
    • 不動産の固定資産税評価額に一定の税率を乗じて算出されます。税率は名義変更の理由によって異なり、相続登記では0.4%、生前贈与では2.0%となります。そのため、評価額が高い家ほど、また生前贈与の手続きであるほど登録免許税の負担は重くなります。
  • 司法書士報酬の目安:
    • 書類作成や申請代行の手数料として、数万円〜十数万円程度が一般的な相場です。

専門家(司法書士・税理士)に依頼する場合

登記手続きを司法書士に依頼する最大のメリットは、複雑な戸籍の収集や登記申請書の作成を、不備なく確実かつスピーディーに完了できる点にあります。

なお、不動産の名義変更によって「相続税」や「贈与税」の申告が必要になる場合は、これらは税金の手続きとなるため司法書士ではなく税理士の管轄となります。登記は司法書士、税務申告は税理士という専門家の役割の違いを理解し、必要に応じて連携が取れる事務所へ相談するのがベストです。

自分で行う場合の注意点とリスク

依頼費用を極力抑えたい場合は、自分で必要書類を揃えて法務局へ申請することも法的には可能です。

ただし、自力で申請する場合は、旧耐震・新耐震の確認や、詳細な申請書のフォーマットを正しく理解し、寸分のミスなく記入しなければなりません。提出書類にわずかでも不備があれば、法務局から何度も補正(やり直し)を求められて審査が遅延し、結果として膨大な時間と精神的負担がかかるリスクを覚悟しておく必要があります。

家の名義変更で発生する4つの税金

① 贈与税(生前贈与):
年間110万円の基礎控除がありますが、これを超える不動産贈与には累進税率が課され、最高税率は55%に達します。

② 相続税(相続):
被相続人が亡くなった翌日から10か月以内に申告が必要な税金です。基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人数)の枠を超えた財産に対して課税されます。

③ 登録免許税(共通):
法務局で登記を申請する際に必ず現金または収入印紙で納付する税金です。

④ 不動産取得税(都道府県税):
不動産を新たに手に入れたときに課税されます。相続で取得した場合は原則として「非課税」ですが、生前贈与で取得した場合は課税対象(特例による軽減措置あり)となるため注意が必要です。

住宅ローンが残っている家を名義変更する場合の注意点

もし名義変更したい家に「住宅ローン」の残債がある場合、上記の税金とはまったく別次元の金融機関との手続きが発生します。

住宅ローンの契約上、無断での名義変更は規約違反となるため、事前に必ず融資を受けている金融機関の同意(承諾)を得る必要があります。また、名義変更に伴って、元の名義人に設定されていた「抵当権(ローンが返済不能になった際に銀行が家を差し押さえる権利)」の抹消手続きや、新たに家を引き継ぐ子の名義での抵当権再設定登記が必要になるケースがほとんどです。これらは非常に専門的な登記手続きとなるため、ローン残債がある場合は必ず事前に金融機関と司法書士へ相談してください。

相続税・贈与税の節税方法と特例制度の活用ポイント

節税第一で失敗しないためのライフプラン上の注意点

特例や制度を利用して節税することだけに意識が向いてしまうと、家族全体のライフプランにおいて思わぬ落とし穴にはまることがあります。

例えば、税金負担を減らしたいからといって親の生前に家を急いで子へ贈与(名義変更)してしまうと、親が将来老人ホームへ入所するための費用や、医療・介護が必要になった際の老後資金として「自宅を売却して現金化する」という選択肢を親自身の意思で選べなくなってしまいます。

名義変更を行う際は、単に目先の税金をいくら安くできるかという計算だけでなく、親のこれからの生活費や介護リスク、家族全員の今後の人生設計との収支バランスを天秤にかけ、総合的な判断のもとで手続きのタイミングを決定することが大切です。

相続時精算課税制度・暦年贈与の仕組み

相続時精算課税制度では、贈与時に一定額(2,500万円)まで贈与税が非課税となり、最終的に相続時に精算課税されます。高額な不動産贈与を一括で行いたい場合に有効です。

一方、暦年贈与は毎年110万円までの非課税枠を活用し、長期間にわたって少額ずつ贈与する方法です。贈与税の累積を抑えるのに適しています。

ただし、いずれの制度も選択後に変更することはできません。さらに、2024年の税制改正により、暦年贈与についても相続開始前7年以内の贈与が相続税に加算されるルールが段階的に導入されるため、慎重な運用が必要です。申し込みや運用の前に専門家へ相談しましょう。

小規模宅地の特例を利用する場合の注意点

被相続人が居住していた宅地や貸付事業をしていた宅地は、小規模宅地の特例を利用することで評価額を下げられる可能性があります。

しかし、適用要件は細かく決められており、特に、330㎡を上限とする面積制限や、居住要件の継続期間、申告期限など、形式要件の不備による否認事例も存在するため、誤って使うと後で追徴課税を受けるリスクもあります。

特例の内容を十分に理解し、必要に応じて税理士や弁護士に確認しましょう。

家の名義変更をしない場合のリスク

名義変更を先延ばしにしてしまうと、相続人同士のトラブルや税金の負担増などさまざまな不利益が生じる可能性があります。

親が亡くなった後も名義変更を放置していると、家を売却したり担保に入れたりといった資産活用ができなくなるケースがあります。法的には、相続登記をしないと不動産の権利が正式に移転しないため、第三者への売却や担保提供が不可能となります。さらに、名義が曖昧なままだと相続人が増えた際に意見が衝突しやすく、家庭裁判所を交えた遺産分割調停や訴訟に発展するリスクもあります。

また、家の維持管理費や固定資産税は、原則として名義人が支払うことになりますが、名義変更をしていないと支払う人があいまいになり揉めごとの原因となります。円滑に手続きを進めるためにも、余裕のあるうちに名義変更を検討したほうが良いでしょう。

親の意思を反映させるための選択肢:遺言や家族信託の活用

親がどのように資産を引き継ぎたいかを明確に示すには、遺言書や家族信託といった制度を検討するのが有効です。

遺言書がある場合、相続人が複数いても親の意思を尊重した形で遺産分割がしやすくなります。特に公正証書遺言で作成しておくと、内容が争われにくく証拠力も高いため、相続時の混乱を最小限に抑えることができます。

一方、家族信託は、親(委託者)が所有する不動産などを信託財産として信頼できる家族(受託者)に託し、その管理・運用・処分を任せる仕組みです。親が認知症などで判断能力が低下した場合でも、家族が継続して不動産を管理できるメリットがあり、財産のトラブルを回避する先進的な方法として注目されています。

家族信託は、遺言や成年後見制度では対応しきれない生前の柔軟な資産管理、二次相続を見据えた財産承継の設計が可能である点が特徴です。財産のトラブルを予防するためにも、早めに活用を検討することが望ましいです。

家の名義変更に関するよくあるQ&A

家の名義変更について、多くの方が抱く代表的な疑問とその回答をまとめました。

Q: 親から子へ家を渡すとき、必ず贈与税がかかるのでしょうか。

A: 贈与税の基礎控除額(年間110万円)以内であれば、贈与税は課税されません。ただし、基礎控除を超える贈与には贈与税がかかる可能性があります。節税を検討する場合は、相続時精算課税制度や暦年贈与などの制度を活用することで、課税負担を抑えることが可能です。

Q: 名義変更は専門家に依頼したほうが良いのでしょうか。

A: 名義変更(不動産登記)の手続きは、必要な書類の収集や法務局での申請を自身で行うことも可能です。しかし、手続き漏れが発生すると結果的に費用や時間がかさむ場合があるため、初心者は司法書士や税理士に相談してみることをおすすめします。

まとめ

親から子への家の名義変更は、遺産相続や生前贈与といった大切なライフイベントに深く関わる手続きです。

手続きを円滑に進めるためには、必要書類の準備や税金への対策、そして家族間の合意形成など多面的な準備が欠かせません。生前贈与を選ぶ場合でも相続を選ぶ場合でも、それぞれに応じたメリットやデメリット、税制面の影響を比較検討し、最適な方法を決めることが重要です。

また、相続税や贈与税の負担を軽減できる各種制度の活用に加えて、親の意思や家族の将来設計を踏まえた総合的なプランニングを行うことで、後々のトラブルを未然に防ぐことができます。

必要に応じて、司法書士・税理士・信託専門家などの専門家の助言を得ることも有効です。法的リスクや手続きの不備を避け、安心して家の名義変更を進めましょう。

この記事の監修者

白崎 達也 アキサポ 空き家プランナー

一級建築士

中古住宅や使われなくなった建物の再活用に、20年以上携わってきました。
空き家には、建物や不動産の問題だけでなく、心の整理が難しいことも多くあります。あなたが前向きな一歩を踏み出せるよう、心を込めてサポートいたします。

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