公開日:2025.09.14 更新日:2026.07.13
相続登記の費用はいくら?司法書士報酬や内訳・抑えるコツを解説
相続登記の費用は、「必要書類の取得費(数千円〜1万円超)」「登録免許税(固定資産税評価額×0.4%)」「司法書士報酬(5万〜15万円程度)」の3つで構成され、合計10万〜20万円以上になるケースが一般的です。2024年4月からは相続登記が義務化され、3年以内に申請しないと10万円以下の過料が科されます。
とはいえ、普段なじみのない手続きだけに、何にどれくらいかかるのか、相場はどのくらいなのか、気になる点は多いはずです。
そこで本記事では、相続登記にかかる主な費用とその内訳、費用を抑えるための具体的な方法まで丁寧に解説します。失敗のない登記を行うために、まずは全体像をしっかり把握しておきましょう。
相続登記とは?基礎知識をチェック

相続登記とは、被相続人が所有していた不動産の名義を、相続人へ変更するための手続きです。法務局で所定の書類を提出し、所有権を公的に記録し直します。2024年4月からは相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内の登記申請が義務化され、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料が科されます。
相続登記の手続きを行う目的は、名義人を法的に明確化することにあります。名義がそのままだと、土地を相続した人に登記名義が無いとみなされてしまい、土地を売却する場合や担保にする場合などに手続きが進まなくなる恐れがあります。
また、長期間放置していると、あとから相続登記をしようとしても、関係が複雑化してしまい、誰が相続できるのかを整理するのが困難になる可能性もあります。
2024年4月に改正された相続登記の義務化にも注意
上記で相続登記を行わなかった場合のリスクも説明しましたが、このような問題は以前から散見されていました。これに対応するために行われたのが、2024年4月の法改正です。
これにより、相続人は「相続により所有権を取得したことを知った日から3年以内」に登記申請を行うことが義務付けられ、正当な理由なく期限を過ぎた場合に、10万円以下の過料が科されることも定められました。
相続人が多い場合や相続した土地が多い場合などは、相続人同士の合意形成や書類整理などに時間がかかる可能性がありますので、早めに動き出すのが得策です。
相続登記にかかる主な費用の種類

相続登記をする際には、手続きや書類の取得などに費用がかかります。中には不動産の価値によって費用が変わる項目もありますので「予想以上に高かった」とならないように、あらかじめ全体像を把握しておきましょう。
相続登記にかかる主な費用は以下のとおりです。
| 費用の種類 | 内容 | 相場の目安 |
|---|---|---|
| 必要書類の取得費用 | 戸籍謄本・住民票などの取得手数料 | 数千円〜1万円超 |
| 登録免許税 | 不動産の名義変更にかかる税金 | 固定資産税評価額 × 0.4% |
| 司法書士への報酬 | 専門家に依頼する場合の費用 | 5万〜15万円程度 |
※合計すると10万〜20万円以上になるケースもあります。
これらを合計すると、状況によっては10万円〜20万円以上になるケースもあります。それぞれの内訳や注意点について詳しく見ていきましょう。
必要書類の取得費用
相続登記に必要な書類を取得するには、窓口で手数料を支払う必要があります。また、郵送で取得する場合は郵送料もこちらで負担します。
主な書類と取得費用の相場は以下のとおりです。
| 書類 | 1通あたりの費用 |
|---|---|
| 戸籍謄本 | 450円 |
| 除籍謄本 | 750円 |
| 改製原戸籍 | 750円 |
| 住民票 | 300円前後 |
| 印鑑証明書 | 300円前後 |
| 固定資産税評価証明書 | 300円〜400円程度 |
| 登記事項証明書 | 600円(オンライン請求 490円または520円) |
相続関係が複雑な場合や本籍地が複数にまたがっている場合などは、これらの書類を何通も取り寄せる必要があり、合計で数千円〜1万円を超えることもあります。
手続き前に必要通数を確認し、郵送をまとめて請求するなど、取得方法を工夫するだけでもコストや手間を抑えやすくなります。
登録免許税
登録免許税は、不動産の名義変更に必要な税金です。相続登記の場合、不動産の固定資産税評価額に0.4%をかけて算出されます。
たとえば、評価額1,000万円の土地を相続した場合は以下のようになります。
1,000万円 × 0.4% = 4万円
ここで気を付けたいのが、相続ではなく相続人以外が受け取る「遺贈」の場合です。この場合は税率が2%になります。(ただし、受遺者が法定相続人である特定遺贈など、一部0.4%の税率が適用されるケースもあります)。
| ケース | 税率 |
|---|---|
| 相続(法定相続人が取得) | 0.4% |
| 遺贈(相続人以外が取得) | 2% |
| 特定遺贈で受遺者が法定相続人 | 0.4% |
なお、登録免許税には、不動産の価額が100万円以下の土地に関する免税措置や、相続登記が完了する前に、登記名義人となるべき相続人が死亡した場合の免税措置など、税額を軽減する制度も用意されています。実際に動き出す前に、条件に該当するかどうか確認しておきましょう。
司法書士への報酬
相続登記を司法書士のような専門家に依頼する場合の費用です。報酬の相場はおおよそ5万円〜15万円ですが、不動産の数が多い場合や、相続人が複数にわたるケースでは、報酬が上乗せされることがあります。
また、以下のような条件も報酬額に影響します。
- 書類の取得代行を依頼するかどうか
- 遺言書や遺産分割協議書の確認が必要かどうか
- 相談料・交通費などが別途発生するかどうか
なお、具体的な報酬額は事務所ごとに異なります。費用を節約したい場合は複数の事務所から見積もりを取り、値段とサービス内容を比較しましょう。このとき、基本報酬だけでなく、見積もりに含まれている範囲を確認するのも忘れないようにしましょう。
相続登記の費用を抑えるコツ

相続登記の費用を抑えるコツは、大きく3つあります。取得できる書類を自分で集めること、事前に正確な情報を集めて手続きのやり直しを防ぐこと、そして複数の司法書士から見積もりを取って比較することです。
取得可能な必要書類を自分で集める
戸籍謄本や住民票などの取得は、司法書士に依頼することもできますが、取得代行の手数料がかかるため、時間に余裕があれば自分で集めるのがおすすめです。ただ、取得に期間がかかりすぎると手続きが遅くなってしまうので、その点は注意が必要です。
また、手続きには郵送やオンライン申請を活用すると、交通費や時間の節約になります。郵送代はこちらで負担する必要があるので、あらかじめ専門家に必要書類を聞いてから進めるとよいでしょう。
追加の手続きが発生しないように正確な情報を集める
手続きを進めるうえで欠かせないのが「事前に正確な情報をそろえること」です。当たり前に聞こえますが、情報に誤りがあると手続きがやり直しになったり、書類を何度も取得し直したり、期限内に間に合わなかったりと、さまざまなリスクにつながります。
特に気をつけたいのが、相続人の続柄や持分、遺産の内訳です。これらは動き出す前の早い段階で整理しておきましょう。
相続登記の手続きの流れ

法務局へ行って名義変更の書類を提出するためには、その条件を整えるために多くの準備が必要になります。
一般的な相続登記の手続きの流れは以下のとおりです。
相続登記 6ステップ
2024年4月から3年以内の登記申請が義務化(違反時は10万円以下の過料)
相続人を確定する
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を集め、法定相続人を特定する。
相続財産(不動産)を確認する
登記事項証明書や固定資産税評価証明書で、対象不動産の内容と評価額を把握する。
遺産分割協議を行う(必要な場合)
誰がどの不動産を相続するかを話し合い、遺産分割協議書を作成する。
必要書類を準備する
戸籍謄本、住民票、印鑑証明書などをそろえる。
登記申請書を作成する
法務局所定の様式に沿って申請書を記入し、添付書類とセットにする。
管轄の法務局に申請する
不動産所在地を管轄する法務局へ、窓口・郵送・オンラインで申請する。
こうして見ると、一見手続きはシンプルに見えますが、実際には相続人の確認や書類の収集、協議内容の整理など、準備に時間と手間がかかる場面が多くあります。
相続人を確定するためには、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本をすべて取得し、相続関係を正確に把握する必要があります。これには、本籍地が移転している場合に複数の役所に請求する必要が生じます。
また、遺産分割協議が伴う場合も注意が必要です。遺産分割協議は、相続する人や相続後の持ち分、その後の管理や処分など、具体的な話し合いが必要になるため、時間を長めに取っておく必要があります。また、協議内容は「遺産分割協議書」にまとめて全員の署名と押印を揃える必要があるので、こちらにも時間がかかります。
これらのステップが終了して初めて、必要書類を揃えて、具体的な申請の準備ができるようになります。事前調整に想定外の時間を取られないように、早めの動き出しを心がけましょう。
申請の必要書類
相続登記では、相続人の関係や不動産の内容を証明するために、さまざまな書類をそろえる必要があります。漏れがあると申請が通らず、補正や再提出が必要になるため、事前に書類をチェックしておきましょう。
主な必要書類は以下のとおりです。
- 登記申請書(法務局所定の様式)
- 遺産分割協議書(遺産分割が法定相続分と異なる場合)
- 相続関係説明図
- 被相続人の戸籍謄本・除籍謄本・住民票の除票
- 相続人全員の住民票(相続登記を申請する相続人のみ)、印鑑証明書(遺産分割協議書に押印した相続人のみ)
- 固定資産税明細書
など
なお、登記の内容や家族構成によっては、遺言書や調停調書などの追加書類が必要になることもあります。不備があると手続きが滞るため、少しでも不安がある場合は、事前に司法書士や法務局へ相談しておくと安心です。
費用を抑えるために自分で登記をするのはあり?
相続登記は自分でも申請できます。司法書士報酬(5万〜15万円)が丸ごと節約できる一方、書類収集や申請書作成の手間・不備による差し戻しリスクを負う点に注意が必要です。相続人が少なくケースが単純なら自分で、複雑なら専門家依頼が現実的です。
たとえば、以下のようなケースであれば自分での手続きも選択肢に入ってきます。
自分で相続登記できるか?セルフチェック
当てはまる項目にチェックを入れてください(5項目)
判定の目安
4〜5個自分で登記も現実的です。司法書士報酬(5万〜15万円)を節約できるチャンス。法務局の窓口相談も活用しつつ、書類の正確性に注意して進めましょう。
2〜3個ケースに応じた検討が必要です。書類取得だけ自分で行い、申請書作成や協議書は司法書士に依頼するといった部分的な活用も選択肢に入ります。
0〜1個専門家への依頼が安心です。相続人が多い・協議が複雑・不動産が複数あるケースは差し戻しリスクが大きく、結果的に自分でやるより費用対効果が高いこともあります。
なお、自分で登記を進める際には以下の点に気を付けましょう。
- 法務局のホームページや窓口で、登記申請の基本を確認しておく
- 相続関係や不動産の内容を事前に整理しておく
- すべての必要書類を、提出ルールに従って正確に準備する
- 登記申請書は様式通りに作成し、誤字脱字がないか確認する
- 不安な点があれば、事前に法務局で相談しておく
一方で、相続人が多い場合や協議が複雑な場合、不動産が複数ある場合などはリスクが多すぎるので、無理に自分で進めようとせず、最初から専門家に依頼することをおすすめします。
📝相続登記の費用に関するよくある質問
Q. 相続登記の費用は全部でいくらかかりますか?
A. 「必要書類の取得費用(数千円〜1万円超)」「登録免許税(固定資産税評価額×0.4%)」「司法書士報酬(5万〜15万円程度)」の3つを合わせて、10万〜20万円以上になるケースが一般的です。
Q. 司法書士に依頼した場合の報酬相場は?
A. 5万〜15万円程度が目安ですが、不動産の数が多い場合や相続人が複数にわたるケースでは上乗せされます。事務所ごとに料金体系が異なるため、複数から見積もりを取り、基本報酬と含まれる範囲の両方を比較しましょう。
Q. 相続登記は自分でできますか?
A. 可能です。相続人が少なく、不動産が1件で構成が単純なケースなら自分での申請も現実的で、司法書士報酬を丸ごと節約できます。相続人が多い、協議が複雑、不動産が複数あるといった場合は、リスクが大きいため専門家への依頼をおすすめします。
まとめ・総括
相続登記の費用は、書類取得費・登録免許税・司法書士報酬の3つで構成され、合計10万〜20万円以上になるケースが一般的です。登録免許税は不動産の固定資産税評価額×0.4%、司法書士報酬は5万〜15万円が目安ですが、事務所ごとに幅があるため、複数の見積もり比較が欠かせません。2024年4月からは相続登記が義務化され、3年以内の申請を怠ると10万円以下の過料が科されるため、なるべく早く動き出すのが得策です。
そして相続登記が済んだあとに待っているのが、「相続した不動産をどうするか」という次の課題です。誰も住まない家をそのままにしていると、維持管理の負担や固定資産税、特定空家等に指定されるリスクなど、コストと悩みばかりが積み上がります。
アキサポなら、相続した空き家の活用・売却・解体まで含めて、迷っている段階でも無料でご相談いただけます。まずは、あなたの空き家に合った選択肢を一緒に整理することから始めてみませんか。
この記事の監修者
白崎 達也 アキサポ 空き家プランナー
一級建築士
中古住宅や使われなくなった建物の再活用に、20年以上携わってきました。
空き家には、建物や不動産の問題だけでなく、心の整理が難しいことも多くあります。あなたが前向きな一歩を踏み出せるよう、心を込めてサポートいたします。