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公開日:2026.09.08 更新日:2026.08.25

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アスベスト調査(事前調査)とは?義務化ルールと費用・違反リスク

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アスベスト調査(事前調査)とは、建築物の建材に有害なアスベスト(石綿)が含まれているかを、解体・改修工事の前に確認する調査のことです。

解体・改修・リフォーム工事では、着工前にアスベスト含有の有無を調査することが法律で定められています。調査を怠ると、作業員や周辺への石綿の飛散・ばく露だけでなく、工事の遅れや罰則につながるおそれもあります。

この記事では、アスベスト調査が必要な工事の範囲や調査の流れ、調査者の資格、費用、結果の報告方法、違反時のリスクまで、工事前に押さえておきたいポイントを解説します。

アスベスト(石綿)の基礎知識

アスベストの危険性を警告する、粘土細工の黄色い三角形の注意マーク

アスベスト調査は、建物の解体や改修工事を行う前に、設計図書などの確認や現地調査、必要に応じた分析によって、建材へのアスベスト含有の有無を確認するものです。

解体や改修工事では、建材の切断やはつり(削り取り)により石綿が飛散するおそれがあります。そのため、着工前に使用箇所や有無を把握し、作業方法や工程を決める必要があります。

まずは、アスベストが建材に使われてきた理由や、吸い込むことで生じる健康リスクなど、調査を理解するための基礎知識から押さえましょう。

アスベストの特徴と建材としての利用

アスベストは天然の繊維状鉱物で、耐熱・耐火性や断熱性、耐薬品性に優れ、安価で加工しやすいことから、長年さまざまな建材に使用されてきました。しかし、繊維が非常に細かく、建材を壊したり削ったりすると、空気中に飛散しやすい性質があります。

代表的な使用箇所は、鉄骨の耐火被覆や天井・壁の吹付け材、配管・ボイラー周りの保温材、煙突・ダクト周りの断熱材、外壁や軒天などの成形板です。特に改修を重ねた建築物は複数の建材が混在していることもあり、見た目だけでアスベストの有無を判断するのは困難です。

アスベストによる健康被害

アスベストの繊維を吸い込むと、石綿肺や肺がん、悪性中皮腫などを発症する恐れがあることがわかっています。特に問題なのは、吸い込んでから(ばく露)発症までの潜伏期間が長いことです。当時は影響がなくても、十数年〜数十年後に発症するケースがあります。

また、アスベストの飛散によるリスクは作業員だけではありません。建物の利用者や近隣住民にも影響が及ぶ可能性があり、企業の説明責任や補償につながることもあります。こうしたリスクを防ぐためにも、解体・改修工事の前にはアスベストの有無を調べる事前調査が必要というわけなのです。

アスベスト調査が義務化された背景と法改正のポイント

アスベストの事前調査に関する規制は、解体・改修工事による石綿の飛散やばく露を防ぐため、段階的に強化されてきました。

その背景にあるのは、過去にアスベストを使用して建てられた建築物が、解体や改修の時期を迎えていることです。工事の増加に伴って石綿が飛散するリスクも高まるため、現場ごとの判断に任せるのではなく、一定のルールに沿って事前調査を行う仕組みが整備されました。

法改正では、調査の実施だけでなく、調査結果の記録・報告や調査者の資格要件なども定められています。

義務化はいつから:2021年〜2023年の変更点

アスベストの事前調査に関するルールは、2021年から2023年にかけて段階的に強化されました。

時期主な変更点
2021年4月~解体・改修工事における事前調査の方法が法令上明確化され、調査結果の記録・保存などが必要に
2022年4月~一定規模以上の工事で、事前調査結果の行政への報告が義務化。原則として「石綿事前調査結果報告システム」から報告
2023年10月~建築物の事前調査について、一定の要件を満たす有資格者(建築物石綿含有建材調査者等)による調査が義務化

調査が必要な工事・作業と対象外の範囲

アスベストの事前調査は、原則として建築物の解体・改修工事を行う際に必要です。ただし、工事内容によっては調査自体が不要となるケースもあります。

ここで注意したいのが「事前調査」と「調査結果の報告」では、対象となる条件が異なることです。小規模な工事など、行政への報告が不要でも事前調査は必要となるケースがあります。「報告対象外=調査不要」と判断しないよう注意しましょう。

対象工事・作業区分事前調査行政報告主な条件・補足
80㎡以上の解体工事必要必要床面積の合計が80㎡以上の解体
100万円以上の改修工事必要必要請負金額(税込)が100万円以上のリフォーム・修繕
80㎡未満の解体工事必要不要調査と記録の保存(3年間)は必須
100万円未満の改修工事必要不要調査と記録の保存(3年間)は必須
アスベスト非含有が明らかな工事不要不要木材・金属・ガラスのみの切断・撤去等

調査は必要だが報告が不要なケース

小規模な解体・改修工事では、アスベストの事前調査を実施するものの、行政への報告要件に該当しない場合があります。

代表的なケースは以下のとおりです。

  • 解体部分の床面積が80㎡未満の建築物の解体工事
  • 請負金額(税込)が100万円未満の建築物の改修・解体工事(※材料費・運賃等を含む工事全体の請負金額)

これらの工事では、事前調査を行ったうえで、調査結果や写真、判断根拠などを記録しておきましょう。発注者への説明や工事内容の変更が必要になった場合にも、根拠となる資料を残しておくことで、トラブルを防ぎスムーズに対応できます。

調査自体が不要なケース

石綿が含まれていないことが明らかな材料のみを扱う場合など、作業内容によっては事前調査が不要となるケースがあります。

  • 木材、金属、ガラス、石など、石綿を含む可能性がない材料のみを扱う作業
  • 材料に極めて軽微な損傷しか与えない作業
  • 既存の材料を除去せず、新たな材料を追加するだけの作業
  • 周囲の建材を損傷させず、釘やボルトなどで固定された材料を取り外す作業

ただし、実際の建築物では下地や接着材など複数の材料が使われており、見えている部分だけでは判断できないことがあります。解体・改修の途中でアスベスト含有建材が見つかれば、工事の中断や追加費用につながる可能性も考えられます。

調査不要と判断する際は、石綿を含まないと判断できる根拠があるかまで確かめておく必要があります。

アスベスト調査(事前調査)の流れ

アスベストの事前調査は、書面調査と現地調査を行い、必要に応じて分析調査を実施したうえで、結果を記録・保存し、工事計画へ反映する流れで進めます。

アスベスト事前調査の基本5ステップ
STEP 1. 書面調査
設計図書や竣工年・過去の改修履歴から、アスベスト含有の可能性を机上で絞り込みます。
STEP 2. 現地調査(目視)
有資格者が現場を訪問し、図面との整合性や実際の建材の使用状況・状態を目視確認します。
STEP 3. 分析調査(必要な場合)
目視で判断できない場合、試料を採取して専門機関で精密分析を実施します。
STEP 4. 記録の保存・行政報告
調査結果を保存し、一定規模以上の工事は電子システムから行政へ事前報告します。
STEP 5. 工事計画への反映・着工
含有状況に応じた適切な飛散防止対策(隔離・散水等)を施工計画に組み込みます。

書面調査・現地調査・分析調査の違い

アスベストの事前調査では、書面調査・現地調査・分析調査を組み合わせて、石綿含有の有無を判断します。それぞれの違いは以下のとおりです。

調査方法主な内容ポイント
書面調査設計図書や仕様書、改修履歴、建築年などを調べる石綿含有の可能性がある建材や部位を絞り込む
現地調査実際の建築物や建材を目視で調べる書面との違いや改修箇所などを把握する
分析調査建材から検体を採取し、専門機関で分析する書面・現地調査だけでは判断できない建材の石綿含有の有無を調べる

書面調査だけでは、図面どおりに施工されていなかったり、後の改修で建材が変更されていたりするケースを把握できません。そのため、現地調査で実際の状況と照らし合わせたうえで判断することが重要です。

それでもアスベスト含有の有無を判断できない場合は、検体を採取して分析調査を行うか、石綿含有建材として扱います。

一番危険なのは「よく分からないから入っていないだろう」と自己判断で工事を進めてしまうことです。石綿の飛散はもちろん、厳しい罰則の対象になります。判断がつかない建材は、必ず専門機関に調査を依頼しましょう。

調査結果の記録・保存と工事への反映

アスベストの事前調査結果は、報告書や写真、図面、検体の採取位置など、後から調査内容や判断根拠をたどれる形で記録し、法令に沿って保存します。担当者が変わっても、どの建材をどのように判断したのか分かる状態にしておきましょう。

アスベスト含有が確認された場合は、調査結果をもとに、建材の種類や発じん性、撤去方法に応じた飛散防止対策を工事計画へ反映します。隔離・養生や湿潤化、保護具、廃棄物処理、工程などを事前に整理しておきます。

調査結果は調査担当者だけで管理せず、施工に関わる担当者にも共有します。建材の種類や位置、写真、作業上の注意点まで整理しておくと、現場でも判断しやすくなるでしょう。

事前調査を行う者の要件と必要資格

アスベスト調査の注意点を指差しで強調する、作業着姿の専門スタッフと警告マーク

アスベストの事前調査は、調査の精度を確保するため、一定の要件を満たす有資格者が行う必要があります。

資格者には、書面と現地の状況を照らし合わせ、石綿含有が疑われる建材を見極め、分析調査が必要か判断するための知識が求められます。

元請事業者は、自社で対応するのか外部の調査会社へ委託するのかを決め、着工までに調査を終えられるよう日程を組んでおくとスムーズです。

必要となる資格は調査対象によって異なるため、次に対象ごとの資格要件を解説します。

有資格者による調査が必要な範囲

アスベストの事前調査に必要な資格は、建築物や工作物など、調査する対象によって異なります。主な区分を整理すると以下です。

  • 建築物:一般/特定建築物石綿含有建材調査者(※戸建・専有部は一戸建て等石綿含有建材調査者も可)
  • 工作物(2026年1月義務化):工作物石綿事前調査者(※煙突等の特定工作物⑪〜⑰は一般・特定建築物調査者でも可)
  • 船舶:船舶石綿含有資材調査者

元請事業者は、工事の対象に合った資格を持つ調査者を着工前に確保する必要があります。特に分析調査まで必要になると結果が出るまで時間がかかるため、見積・契約の段階から調査期間を工程に組み込んでおくとよいでしょう。

外部へ委託する場合も、資格の有無だけで判断するのではなく、調査範囲や報告書の内容、写真、アスベスト含有の判断根拠までチェックしましょう。

調査結果の報告義務と報告方法

一定規模以上の解体・改修工事では、アスベストの事前調査結果を行政へ報告する義務があります。

報告の要否は、アスベストが見つかったかどうかではなく、工事の規模などによって決まります。そのため、調査結果が「石綿含有なし」であっても、報告対象となる工事では提出が必要です。

報告漏れを防ぐためにも、工事の計画段階で対象となるかを判断し、必要な情報を揃えておきましょう。

石綿事前調査結果報告システムの使い方

事前調査結果は、原則として「石綿事前調査結果報告システム」を利用して報告します。基本的な流れは以下のとおりです。

  • 1.利用者登録を行う
  • 2.工事場所や工事種別などの案件情報を入力する
  • 3.調査者や調査方法、アスベスト含有の有無などを入力する
  • 4.内容をチェックして送信する
  • 5.報告内容の控えを保存する

入力時には、工事場所、解体床面積や請負金額、着工予定日、元請事業者・調査者の情報などが必要です。工事内容が固まっていない段階で入力すると、後から金額や日程が変わることもあるため、最新の調査結果や工事情報と照らし合わせてから提出する点に注意しましょう。

よくあるミスとしては、工事規模や工事種別の入力間違い、着工予定日の誤りなどです。送信後は報告内容の控えを保管しておきましょう。

報告義務者(誰が提出するか)

アスベスト事前調査結果の報告義務を負うのは、原則として元請事業者です。発注者や下請事業者に任せきりにせず、元請側で提出までの役割分担を明確にしておきましょう。

報告する際は、調査者から受け取った調査結果に加え、工事規模や着工予定日などの情報を揃えます。入力作業を外部へ委託する場合も、内容に誤りがないか提出前にチェックします。

違反した場合の罰則・行政指導

ガベルを叩く手と家のミニチュア

アスベストの事前調査や報告を適切に行わなかった場合、法令に基づく罰則や行政指導の対象となる可能性があります。未調査・未報告のほか、虚偽の内容を報告することも避けなければなりません。

事前調査を行わずに工事を着工したり、報告義務を怠ったり虚偽の報告を行った場合、大気汚染防止法や労働安全衛生法(石綿則)に基づき、最高で「3ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」(大気汚染防止法第35条等)などの直接的な罰則が科される可能性があります。また、除去作業基準違反など重大な義務違反には「6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金」が科されます。

着工後に調査の不備が見つかれば、発注者や下請事業者との調整、近隣への説明などにも影響し、工期の遅れや追加費用につながることもあります。

特に注意したいのが、十分な根拠がないまま建材を「石綿含有なし」と判断してしまうことです。後からアスベストが見つかった場合、調査時にどのような根拠で判断したのか説明できなければ、元請事業者の管理責任が問われます。

違反を防ぐには、見積・契約の段階から事前調査の日程を組み込み、報告対象の判定や調査結果の記録・保存まで一連の流れとして管理することがポイントです。担当者だけに判断を任せず、関係者間で確認できる体制を整えておきましょう。

過去の調査結果がある場合の扱い

過去にアスベスト調査を行っている建築物でも、その結果をそのまま事前調査に使えるとは限りません。

過去の調査範囲が対象となる工事範囲をカバーしているか、改修などで建材が変わっていないか、写真や図面、検体の採取位置などの根拠が残っているかを確かめる必要があります。

追加調査が必要になる条件

過去の調査結果があっても、対象となる工事に必要な情報が不足している場合は追加調査を行います。主に次のようなケースが考えられます。

  • 工事範囲が過去の調査範囲に含まれていない
    過去は外壁のみを調査しており、新たに内装も撤去する場合などは、追加調査が必要になります。
  • 調査後の改修や増改築で建材が変わっている
    新旧の建材が混在している場合、過去の結果を同じ部位に当てはめられないことがあります。
  • 調査した場所や判断根拠が分からない
    写真や図面、検体の採取位置などが残っていない場合、過去の調査結果と工事箇所を照合できません。

2008年以前の分析結果で注意すべき点

2008年以前のアスベスト分析結果は、現在とは分析方法や対象とする石綿の種類などが異なる可能性があり、そのまま判断材料として使用できない場合があります。

古い分析結果が「非含有」であっても、それだけで判断するのは避けましょう。分析した時期や方法、対象となった建材などを調べ、現在の基準でも有効な結果として扱えるかを見極める必要があります。

補助金制度・講習会などの支援情報

補助金と書かれたブロック

アスベスト対策では、事前調査や分析調査だけでなく、除去工事や廃棄物処理などにも費用がかかります。自治体によっては、アスベストの調査や除去に利用できる補助金制度を設けている場合があります。

補助金を検討する際は、主に以下の点をチェックしましょう。

  • 補助の対象となる建築物や工事
  • アスベスト調査・分析・除去のうち対象となる費用
  • 補助金額や補助率、上限額
  • 申請期限や必要書類
  • 申請前に調査や工事へ着手してもよいか

対象や金額、申請条件は自治体によって異なります。着工後では申請できない制度もあるため、見積を取る段階で建築物がある自治体のWEBサイトや窓口を調べておくとよいでしょう。

そのほか、アスベストの事前調査に必要な資格を取得するための講習も実施されています。自分で調査を行う場合は必要な講習を受講し、難しい場合は有資格者がいる調査会社への依頼を検討しましょう。

よくある質問(FAQ)
Q. 誰が事前調査を行い、誰が行政へ報告しますか?
A. 事前調査は建築物石綿含有建材調査者などの「有資格者」が行う必要があります。一方、自治体等への電子報告義務を負うのは原則として工事の「元請事業者(施工業者)」です。
Q. 調査は建物のどこまで調べる必要がありますか?
A. 解体・改修工事の対象となるすべての範囲を調べます。目に見える内装・外装の仕上げ材だけでなく、下地材、耐火被覆、配管の保温材なども対象となります。
Q. 設計図書や仕様書が残っていない場合はどうすればよいですか?
A. 図面がない場合でも現地調査は必須です。目視で判断がつかない建材は、検体を採取して分析調査を行うか、石綿含有建材とみなして工事を進める必要があります。
Q. 見た目だけでアスベストの有無を判断できますか?
A. 見た目だけで正確に判断することは困難です。過去の改修履歴や製造番号の確認、必要に応じた専門機関での定性・定量分析を行って確定させます。
Q. 工事を急いでいる場合、調査を省略してもよいですか?
A. いかなる理由があっても調査の省略は認められません。無調査での工事着工は大気汚染防止法違反となり、懲役や罰金などの厳しい刑事罰の対象となります。

アスベスト調査のポイントまとめ

アスベストの事前調査は、解体・改修工事を安全かつ法令に沿って進めるために欠かせない工程です。書面調査と現地調査を行い、判断できない建材があれば分析調査へ進み、一定の工事では有資格者による調査や行政への報告も必要になります。過去の調査結果があっても、工事範囲や現在の基準に照らして使えるとは限らないため、不足があれば追加調査を行いましょう。

こうした調査から解体まで進めると、まとまった費用がかかります。「解体すべきか、それとも建物を活かせないか」で迷ったら、まずはアキサポの無料相談窓口へご相談ください。空き家の状態やご希望に合わせて、活用・売却・解体など幅広い選択肢からご提案します。

この記事の監修者

宅建士 二級建築士 山下 航平

山下 航平 アキサポ 空き家プランナー

宅建士/二級建築士

ハウスメーカーにて戸建住宅の新築やリフォームの営業・施工管理を経験後、アキサポでは不動産の売買や空き家再生事業を担当してきました。
現在は、地方の空き家問題という社会課題の解決に向けて、日々尽力しております。

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