公開日:2020.11.27 更新日:2026.06.03
空き家問題とは?増え続ける原因と現状課題、対策方法や活用事例を解説
「空き家問題」はいまや他人ごとではなく、日本全国で起こっている身近な問題です。しかし、具体的な問題点までは知らない方も多いのではないでしょうか?
そこでこの記事では、空き家問題を基本から分かりやすく解説。日本における空き家の現状や課題、空き家問題の解決策から活用法に至るまで網羅して紹介します。
目次
空き家問題とは
日本における空き家率は年々増加していますが、単に「空き家の割合が増えている」というだけでなく、放置された空き家は景観上の悪化を招くだけでなく、悪臭や外注の発生源となったり犯罪リスクを高めたりすることから近年「空き家問題」が注目されるようになりました。
空き家の定義とは
「空家等対策の推進に関する特別措置法 第2条第1項」では、空き家を以下のように定義しています。
「建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地をいう。ただし、国又は地方公共団体が所有し、又は管理するものを除く。」
簡単にいうと、「居住やその他の使用がなされていない建築物(付随する塀・看板なども含む)」が空き家にあたります。なお、対象となる建築物は専用住宅や店舗併用住宅だけでなく、事務所・店舗・倉庫なども含まれます。築物(付随する塀や看板などを含む)である」と定義することができます。
日本の空き家率の推移
まずは日本における空き家率が時代と共にどのように推移しているのか、総務省統計局による「平成30年住宅・土地統計調査」をもとに確認してみましょう。
※総務省統計局「住宅・土地統計調査」のデータを基に算出。最新の調査でも空き家数・率ともに過去最高を更新し続けています。
上記のグラフの通り、日本の空き家率(総住宅数に占める空き家の割合)は1958年以降、一貫して右肩上がりが続いています。
最新の2023年(令和5年)調査では、空き家数がついに過去最高の900万2千戸に達し、空き家率も13.8%と過去最高を更新しました。これは、全国の住宅の「およそ7軒に1軒」が空き家になっている深刻な現状を示しています。
国や自治体も法改正などの対策を急いでいますが、依然として増加ペースに歯止めがかかっておらず、空き家問題の抜本的な解決にはまだまだ時間がかかると予想されます。
空き家問題が顕在化している地域
※総務省「令和5年(2023年)住宅・土地統計調査」の確定データを基に作成。地域によって課題の毛色が大きく異なります。
地方に比べて空き家率(%)の数値自体は低く見えますが、住宅の総数が圧倒的に多いため、放置されている空き家の「具体的な戸数」が非常に多く、密集地での防犯・防災上の大きなリスクとなっています。
人口減少や高齢化、都心への人口流出が顕著なエリアでは、住宅総数に対して空き家が占める割合が非常に高くなっています。すでに「およそ5軒に1軒」が空き家という、地域コミュニティ維持の限界に直面しています。
最新の調査結果が示す通り、総住宅数が多い都市部(東京・大阪・神奈川など)では空き家率の数値そのものは低く見えますが、抱えている空き家の「絶対数」が桁違いに多いという特有の問題があります。一方で、地方部(和歌山・徳島・山梨など)では、高齢化や人口減少に伴って住宅総数に対する空き家の「比率」が20%を超えるなど、極めて高い水準に達しています。
このように、空き家問題はエリアによって課題の本質が全く異なります。そのため、ご自身の所有する空き家がどの地域にあり、周辺環境に対してどのような影響を与えているかを具体的に考慮した上で、適切な管理や売却・リフォームといった出口戦略を立てる必要があります。
主な都市における空き家問題の特徴と具体的な自治体の対策については、以下の個別記事で詳しく解説しています。
空き家問題の原因
空き家問題の根本的な原因は「空き家率の増加」です。空き家の数が減らない限り、関連するリスクやトラブルは解消されません。
しかし現状、空き家率は増加の一途をたどっています。ここからは、空き家が増え続ける理由を掘り下げて解説します。
高齢化社会の影響

高齢化社会の進行も、空き家率増加の大きな要因のひとつです。持ち家に住む高齢者が子供宅や老人ホームへ転居するケースは多く、その際に空き家が生まれやすい状況があります。
高齢者が増える一方、少子化により住居を受け継ぐ子供の数は減少しています。この構図が空き家率の改善を難しくしている一因です。ただし、すべての空き家が高齢化社会の影響によるものとは限りません。
【空き家の種類】
| 空き家の分類 | 概要と物件の状態 | 管理の傾向と課題 |
|---|---|---|
| 賃貸用 | 賃貸を目的としているが、現在は入居者を募集している状態の物件 | 不動産会社等を通じて一定の管理が行き届きやすい |
| 売却用 | 売りに出されているが、まだ買い手が見つかっていない状態の物件 | 不動産会社等を通じて一定の管理が行き届きやすい |
| 二次利用 | 別荘やセカンドハウスなど、普段は人が住んでいないが定期的に使われる物件 | 所有者による定期的・自主的な管理が行われる傾向がある |
| その他 | 上記3つのいずれにも該当せず、明確な用途がないまま放置されている物件 | 所有者が管理の必要性を感じにくく、空き家問題の主因となる |
空き家の中で特に問題視されているのが、用途が定まっていない「その他」に分類される空き家です。賃貸用・売却用・別荘などは用途が明確なため管理が行き届きやすい一方、「その他」は所有者が管理の必要性を感じにくい点が問題の根本にあります。
高齢者の死後に相続された住居がそのまま放置されるケースは多く、「遠方で管理できない」「整理する時間がない」など理由はさまざまです。こうした物件が「その他の空き家」として積み上がることが、空き家問題の拡大につながっています。
新築住宅を好む日本人の傾向
日本人は「新築志向」が強く、この傾向も空き家率増加の一因と考えられています。新品を好む感覚自体は自然ですが、日本では中古住宅の資産価値を適切に査定するノウハウ・仕組みが十分に整備されていないことも、「中古より新築」の傾向に拍車をかけています。
総務省「平成30年住宅・土地統計調査」でも、持ち家の取得方法において新築が中古を大きく上回る実態が明らかになっています。
| 持ち家の取得方法 | 戸数の実績(全国) | 市場の傾向 |
|---|---|---|
| 新築(建て替えを除く) | 990万2千戸 | 日本特有の新築志向が色濃く反映されているメインの取得法 |
| 新築の住宅を購入 | 738万9千戸 | 分譲マンションや建売住宅など、新築市場の需要の高さを示す |
| 建て替え | 565万6千戸 | 古い自社物件を取り壊し、最新設備へ刷新するケース |
| 中古住宅を購入 | 483万3千戸 | 新築に比べて市場規模が小さく、空き家が流通しにくい要因の裏付け |
こうした日本人特有の傾向も相まって、「新築戸数は減らないのに空き家は増える」という状況が生み出されているのかもしれません。
節税目的
空き家を取り壊して更地にすると、固定資産税が最大6倍・都市計画税が最大3倍に跳ね上がる可能性があります。管理の手間やコストから「いっそ解体を」と考えても、税負担が大きく増えるため踏み切れず、結果的に空き家のまま放置するケースが少なくありません。この節税目的の温存も、空き家が減らない一因となっています。
管理や修繕が困難
空き家は相続で取得するケースが多く、遠方で管理に行けない・修繕費を捻出できないといった問題が生じやすい状況です。老朽化が進んだ物件は買い手・借り手も見つかりにくく、修繕して売却・賃貸に出したくても初期費用が壁となり、放置せざるを得ないケースも多くあります。
空き家問題が社会に与える影響・問題点やリスク
空き家が増えると、具体的にどのような問題が起きるのでしょうか。主なリスクは以下の4つです。
・景観・環境への悪影響:建物の老朽化や草木の繁茂による景観悪化、害虫・悪臭の発生
・防犯上のリスク:不法投棄・不法占拠・盗難被害、犯罪の温床化
・災害リスク:老朽化による倒壊、放火による火災など
・地域コミュニティへの悪影響:人口密度の低下や負のイメージによる地域の活力低下
空き家が増えるほど影響を受ける地域も広がるため、近年社会問題化しているのも必然といえます。以下では、4つの問題について詳しく解説します。
景観や環境への悪影響
空き家の外装劣化や庭木・雑草の繁茂などは、空き家そのものの価値を下げるだけでなく、周辺の景観や環境悪化にもつながります。視覚的に地域イメージが悪くなるのはもちろん、雑草の種が飛んだり、害虫が発生したり、さらには悪臭が発生したりと、周囲に実害を及ぼすケースもあります。
基本的に、空き家敷地内の草木管理は空き家所有者以外が行うと不法侵入になる可能性があるため、周囲の人が対応しにくいのも問題点の一つです。
防犯上のリスク
空き家のリスクで特に気を付けたいことの一つに、不法投棄や不法占拠など、犯罪のターゲットにされることがあります。空き家は管理者がいない物件であるため、これらの犯罪に巻き込まれた場合でも気付けず、被害が広がってしまう可能性があります。
また、草木が繁茂している空き家は周囲からの見通しが悪く、泥棒の隠れ場所として利用されるケースもあります。
災害リスク
空き家が老朽化すると、空き家の破損や倒壊などのリスクが出てきます。これらが実際に起こった場合、隣家や周辺住民に実害を及ぼす可能性があります。
災害リスクで特に気を付けたいのが「火災」です。火災による被害は、自らが資産的損害を被るだけでなく、周囲に燃え移ってしまうと社会的責任を負うリスクも出てきます。
地域コミュニティへの悪影響
老朽化した空き家は、地域コミュニティの雰囲気を悪化させる可能性もあります。地域に空き家が多くなると、どうしても寂しい雰囲気になりますし、景観や周辺環境に悪影響を与えると、地域の評判を落とす可能性もあります。
また、空き家が増え続けると人口密度の低下により住民同士のコミュニケーションが減る可能性も出てきます。
空き家問題に対する行政・民間の対策

空き家問題の原因はいくつか存在しますが、これまで何の対策も行われてこなかったわけではありません。過去、そして現在進行形で、空き家問題解決に向けた施策が行政で実施されています。
空き家対策特別措置法とは?
空き家対策特別措置法は、管理不全の空き家が地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしている状況を受け、2015年2月26日に施行された法律です。
この法律の施行により、行政による空き家の実態調査が本格化し、適切に管理されていない空き家を「特定空家等」に指定できるようになりました。指定を受けると助言・指導・勧告・命令の対象となり、従わない場合は罰金や行政代執行といった厳しい措置が講じられます。
さらに2023年12月には法改正が施行され、特定空家になる前段階の空き家を「管理不全空家」として指定できるようになりました。勧告を受けた場合、固定資産税の住宅用地特例が解除されます。
行政による空き家問題への対策
日本政府は「その他の空き家」の増加を抑制し、適切な管理・売却・リフォームを促進するため、2015年に「空家等対策の推進に関する特別措置法(空き家対策特別措置法)」を施行しました。
同法では、以下の条件に該当する空き家を「特定空家」に指定し、所有者に対して助言・指導・勧告・命令・強制執行を行えると定めています。
・そのまま放置すれば倒壊など保安上危険となるおそれがある状態
・そのまま放置すれば衛生上有害となるおそれがある状態
・適切な管理が行われず著しく景観を損なっている状態
・その他、周辺の生活環境の保全のため放置が不適切な状態
特定空家に指定されると、通常の空き家に適用される固定資産税の最大6分の1軽減の特例措置が解除されるほか、命令に従わない場合は行政代執行の対象にもなります。
【特定空家等に対する自治体の措置実績】
適切に管理されていない空き家に対して、行政は「空き家対策特別措置法」に基づき、段階的に厳しい措置を講じています。
※法整備後の初期3年間における自治体の措置実績(累計)。放置を続けると、右に進むほど深刻なペナルティが科されます。
お持ちの空き家が周辺環境に悪影響を及ぼしている場合、まずは自治体から適切な管理や修繕を行うよう口頭や書面で促されます。
指導に従わない場合の強い警告です。勧告を受けると、固定資産税の優遇措置が解除され、税額が最大6倍に跳ね上がります。
法的義務を伴う命令です。この段階に達してもなお無視を続けた場合、過料(罰金)の対象となり、実名が公表されるケースもあります。
最終手段として、自治体が所有者に代わって建物を強制解体します。解体にかかった数百万円規模の費用は、すべて所有者へ請求されます。
上記のステップが示す通り、自治体から問題があると判断された空き家は、単に注意を受ける(助言・指導)だけでなく、最終的には財産や税金に大打撃を受けるペナルティへと段階的に進んでいきます。
法律施行後の初期データだけでも、すでに全国で1万件以上の是正措置が実施されており、行政が空き家の放置に対して非常に厳しい姿勢で臨んでいることがわかります。
さらに近年では、法改正によって特定空家の一歩手前である「管理不全空き家」という仕組みも新設されました。これにより、以前よりも早い段階で固定資産税の減額特例が解除されるリスクが高まっています。行政からの警告を受けてから慌てるのではなく、そうなる前に売却やリフォーム、専門機関への相談など、先手を打って対策を進めることが不可欠です。
空き家を放置しないための方法
空き家を適切に管理するためには、手間とコストがかかります。しかし、生活スタイルの都合などで、管理が難しい場合もあるでしょう。
空き家を放置せず、適切な管理を行うためには、さまざまな方法が考えられます。以下に、空き家を放置しないための対策方法を紹介します。
自治体が運営する公的サービスに登録し、移住希望者や購入・入居を検討しているユーザーへ広く情報を届けてマッチングを図ります。
公的な安心感を重視し、地域活性化や移住促進に貢献したい方
定期的な換気、ゴミ処分、ポスト確認などを専門業者に委託。建物の老朽化や周囲への迷惑を未然に防ぎ、現状の資産価値を維持します。
遠方に住んでいて通えないが、将来住む予定があり手放したくない方
不動産会社を通じて買い手を探すか、業者買取を依頼。手放すことで固定資産税や維持管理コストの支払い義務から完全に解放されます。
今後使う予定が一切なく、維持費や管理の手間をゼロにしたい方
古くなった設備や内装を刷新。資産価値を高めて賃貸物件や店舗として第三者に貸し出すことで、毎月の安定した賃料収入を狙います。
初期費用を抑えつつ、大切な実家を手放さずに収益化したい方
空き家の売却方法とは?かかる費用や注意点、売却時のポイントを解説
事例あり!「アキサポ」の空き家活用
「アキサポ」とは、借り受けた空き家のリノベーション工事費用を原則アキサポが負担して(※建物の状況等によっては一部費用のご負担をお願いする場合がございます)第三者に貸し出す、空き家活用サービスです。
| 事例番号と特徴 | 建築年月・物件概要 | 従来の課題 | アキサポによるリノベーション・活用内容 |
|---|---|---|---|
| 事例1:思い出のアパートを再生 | 1972年4月築 木造2階建(39.74㎡) | 築50年以上、お風呂なしで借り手がつかない状態 | 間取りを変更してユニットバスを新設。外装は母の思い出の面影を残す塗装のみに留め、綺麗な賃貸アパートへ再生。 |
| 事例2:設備一新で利便性向上 | 1975年3月築 木造2階建(115.33㎡) | 内装・設備の著しい劣化、庭木の繁茂、カーポートの破損 | 設備周りを全面刷新し、繁茂した草木や破損したカーポートを撤去。使い勝手の良いファミリー向け賃貸住宅へ生まれ変わり。 |
| 事例3:7年超の空室を現況突破 | 1963年11月築 木造2階建(79.33㎡) | 7年以上も次の借り手が見つからず放置されていた空き家 | 状態の良さを活かしつつ水回りを中心に最新設備へ交換。庭木を伐採して駐輪スペースへ変更し、管理負担の少ない賃貸住宅へ。 |
ここでは、アキサポが実際に手掛けた空き家活用事例を3つ紹介します。
事例①:母から受け継いだアパートは面影を残して新たな賃貸住宅へ

| 建築年月 | 1972年4月 |
| 延床面積 | 39.74㎡ |
| 構造 | 木造2階建 |
| 活用事例 | 賃貸アパート |
お風呂の付いていない築50年以上のアパートのリノベーション例です。ユニットバスを設置するために間取りを変更し、内装は新築さながらのキレイな仕上がりに。一方で外装は思い入れのあるイメージを大切にするために塗装のみ行いました。
その変わりようにオーナー様からは「こんなに綺麗にしていただいて、母も喜びます」と嬉しいお声をいただきました。
事例②:設備周りを一新し使い勝手の良い賃貸住宅へ

| 建築年月 | 1975年3月 |
| 延床面積 | 115.33㎡ |
| 構造 | 木造2階建 |
| 活用事例 | 戸建て住宅 |
築47年の空き家をリノベーションした事例です。劣化した内装や設備を改修し、繁茂した草木の解消や破損したカーポートの撤去などを行い、使い勝手の良い賃貸住宅に生まれ変わりました。
事例③:7年以上借り手が見つからなかった空き家は現況を活かした新たな賃貸住宅へ

| 建築年月 | 1963年11月 |
| 延床面積(2棟) | 79.33㎡ |
| 構造 | 木造2階建 |
| 活用事例 | 賃貸住宅 |
7年以上借り手が見つからなかった空き家をリノベーションした事例です。元々状態はそこまで悪くありませんでしたが、水回りを中心とした古い設備の交換や使い勝手を意識した間取りの変更などを行いました。また、管理面を考え庭木は伐採し、駐輪場スペースに。
オーナー様からは、「家が息を吹き返しただけでなく、管理の重荷も軽減した」と大変満足していただきました。
空き家を活用すれば一石二鳥!
空き家を放置すると「特定空家」や「管理不全空家」に指定されるリスクがあり、いずれも勧告を受けると固定資産税の減額措置が解除されます。税金や維持費の負担も続くため、放置し続けることは得策ではありません。
こうした問題を解決する手段として、空き家活用は有効な選択肢です。指定リスクを回避しながら、資産として収益化することも可能です。
アキサポでは、空き家の整理・管理・活用まで幅広くサポートしています。お困りのことがあれば、お気軽にお問い合わせください。
この記事の監修者
岡崎 千尋 アキサポ 空き家プランナー
宅建士/二級建築士
都市計画コンサルタントとしてまちづくりを経験後、アキサポでは不動産の活用から売買まで幅広く担当してきました。
お客様のお悩みに寄り添い、所有者様・入居者様・地域の皆様にとって「三方良し」となる解決策を追及いたします。