公開日:2021.05.14 更新日:2021.07.14
空き家の疑問・お悩みを解決!気になるお金の話や最適な活用方法をご紹介

「空き家問題」「空き家活用」などのトピックを耳にしたことがある方も多いことと思いますが、空き家関連の話題に対する注目度は年々高まっています。
そこで今回は、空き家に関するさまざまな疑問・お悩みに役立つ情報を、空き家活用の専門家であるアキサポが分かりやすくまとめました。
空き家問題の概要、空き家に関するお金の話、空き家の使い道、空き家のお得な活用方法などをひとつひとつ解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
空き家の現状と問題点

空き家に限らず、適切な使い道・対策・活用の仕方を見出すには、現状を理解するところから始めることが大切です。
そこでまずは、日本における空き家の現状と問題点について解説することにしましょう。
日本における空き家率
2019年に発表された総務省「住宅・土地統計調査」によると、2018年の全国の空き家戸数はおよそ849万戸。
前回、2013年の調査分では819万4000戸だったため、5年間で29万6000戸もの空き家が増加した計算になります。
さらに空き家率については、調査を開始した1958年以降右肩上がりの状況が続いており、2018年には過去最高の13・6%を記録しました。
【日本における空き家数・空き家率の推移(1958年~2018年)】

参照:引用元
もちろん、空き家が一軒も増えないというのは現実的ではありませんが、50年以上に渡り、空き家数・空き家率が増加し続けているのはやはり問題です。
詳しくは後述しますが、放置された空き家は周辺環境への悪影響や犯罪に用いられるリスクを高めてしまうため、この状況に歯止めをかけるべく、近年では官民両方でさまざまな対策が施されています。
空き家問題の原因
日本で空き家率が増加の一途を辿っていることは前述したとおりですが、ではなぜ空き家が増え続けているのでしょうか?
空き家問題の主な原因は以下の4つです。
①高齢化社会問題
②税金との関係性
③住宅の新規供給需要の多さ
④経済的要因
ここから、それぞれの要因について解説していきましょう。
空き家問題の原因①:高齢化社会問題
空き家発生の最も大きな原因は、自宅を所有する高齢者が老人ホームや子供宅に転居することによる、空き家の発生です。
ご存じのとおり、日本では団塊の世代をはじめ、高齢者が増え続ける状況を迎えていますが、その影響を受けて高齢者が持ち家から他の場所へ移ってしまうことが空き家の増加を招くのです。
高齢化社会は今後さらに加速することを考えれば、それに伴って空き家の数も一気に増加すると予想できるでしょう。
空き家問題の原因②:税金との関係性
詳しくは後述しますが、住宅が建っている土地に適用される「住宅用地特例処置」も空き家発生の要因であると考えられています。
「住宅用地特例処置」とは、平たく言えば、固定資産税をはじめとした税金の減免措置であり、固定資産税は最大1/6、都市計画税は最大1/3まで減免されます。
ちなみにこの特例処置は空き家を含めたすべての住宅に適用されますが、あくまで「建物が建っていることが条件」となっており、解体した場合は特例措置の対象外となります。
つまり、持ち主としては建物を取り壊すより、空き家としてそのまま置いていたほうが税金面では得になるため、結果的に空き家の解体がはかどらず、空き家率がなかなか減らない要因となっています。
空き家問題の原因③:住宅の新規供給の多さ
総務省の調査によると、2014年度から2018年度の5年間で、日本の世帯数は約211万世帯増加しています。
一方、住宅新設着工戸数は、同じく2014年度から2018年度の5年間で、約467万戸となっており、トータルの住宅滅失戸数は約56万戸です。
つまり、世帯数が約211万世帯増加したのに対し、純粋に増えた新設住宅供給数は約411万戸と、差し引き約200万戸の住宅余剰ストックが生じたことになります。
日本では「家を買う=新築を買う」という傾向が強く根付いている影響もあり、日本の住宅市場は供給過剰な状況が続く一方で、空き家をはじめとした中古住宅市場は遅れを取っているため、結果的に空き家増加の一因になっていると考えられています。
空き家問題の原因④:経済的要因
経済的要因とは、空き家を解体・売却・活用する際にかかる費用面の問題を指します。
例えば、使い道のない空き家を解体するには当然解体費用が発生するため、その際の費用負担がネックとなり、結果的に空き家をそのままにしている所有者が多いのです。
事実、国土交通省による「令和元年空き家所有者実態調査」内の「空き家にしておく理由」では、「解体費用をかけたくない:46.9%」「リフォーム費用をかけたくない:23.8%」など、費用面の理由から空き家にしておく状態を選ぶ所有者が多数存在することも明らかになっています。
空き家問題の詳細はこちら
空き家が抱えるリスクとは
空き家が抱えるリスクの中でも特に気を付けたいのは以下の3点です。
・特定空家への指定
・犯罪に巻き込まれる
・周辺環境への悪影響
2015年5月に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法(以下「空き家対策特別措置法」)」の中で定められた「特定空家等」に指定されると、さまざまな法的措置の対象となり、所有者はデメリットを被りますが、空き家にはその他にも犯罪に巻き込まれるリスクや周辺環境へ悪影響を及ぼすリスクが存在しているため、放置するのは得策ではありません。
なお、空き家の抱えるさまざまなリスクについては、以下をご参照ください。
空き家になった実家をどうにかしたい人に!管理・活用のポイントまとめ
空き家にまつわるお金の話

空き家は不動産という立派な資産ではありますが、所有している限り、さまざまなお金がかかるのも事実です。
そこでここから、空き家の税金、維持・管理における費用など、お金に関する情報を分かりやすく解説します。
空き家の税金について
空き家にかかる税金には「固定資産税」と「都市計画税」の2種類が存在します。
【固定資産税】
1月1日現在、土地、家屋及び償却資産(事業用資産)の所有者として固定資産課税台帳に登録されている者が収める税金。固定資産税評価額による「課税標準」に税率を掛けて算出される。
【都市計画税】
地方税法により、都市計画区域内の土地・建物に市町村が条例で課すことのできる税金で、指定された「市街化区域」内に土地や建物を所有している者が収める税金。
都市計画税については、土地・建物などの不動産を所有している人全員が対象ではなく、あくまで「市街化区域」内に不動産を所有している人が対象となります。
自身の不動産が市街化区域内にあるかどうかは、不動産会社や自治体の窓口で確認できるほか、「市町村名+市街化区域」で検索しても調べられますので、ご存じでない方はチェックしてみると良いでしょう。
さて、これら空き家にかかる「固定資産税」「都市計画税」2種類の税金ですが、気を付けたいのは「住宅用地の特例」です。
住宅用地とは文字どおり「人が居住するための家屋の敷地として利用されている土地」のことで、「住宅用地の特例」は空き家をはじめとした住居用の建物が建っている土地に対して適用されます。
【住宅用地の特例の内容】
固定資産税 | 都市計画税 | |
敷地面積200㎡まで | 1/6に減額 | 1/3に減額 |
敷地満席200㎡以上 | 1/3に減額 | 2/3に減額 |
更地 | 減額なし | 減額なし |
上記の表が示すとおり、「住宅用地の特例」が適用された土地の場合、固定資産税は最大で1/6まで、都市計画税は1/3まで減額されることになりますが、注意すべきは「更地に対する税金」です。
更地は住居用の建物が建っておらず、住宅用地の扱いとはならないため、「住宅用地の特例」が適用されません。
つまり、空き家を解体して更地にした場合は、固定資産税が最大で6倍、都市計画税が最大で3倍にまで跳ね上がってしまう可能性があるのです。
また、更地にした場合と同様に、所有する空き家が「特定空家」に指定された場合も「住宅用地の特例」が適用されず、税金の減免措置はなくなります。
「特定空家」の場合、建物が建っているにもかかわらず、税金の減免措置が外されるわけですから、空き家の放置がいかにリスキーであるかがお分かりいただけるでしょう。
空き家を維持・管理する際にかかる費用
空き家を所有している場合、税金以外にも維持・管理においてさまざまな費用が発生します。
空き家の維持・管理にかかる費用には以下のようなものがあります。
・火災保険料
・水道光熱費
・設備の修繕費用
・リフォームやリノベーション費用
・管理会社への委託料(専門の管理会社へ管理を委託している場合)
・その他備品や雑費(管理に必要な道具や移動時の交通費など)
空き家の維持・管理において具体的にどの程度お金がかかるのかは千差万別ですが、居住地が遠方の場合は交通・宿泊費などがかさみ、年間で20万円以上のお金がかかるケースも珍しくありません。
また、大掛かりな修繕やリフォーム・リノベーションを施すとなれば、数百万円~1,000万円以上の費用がかかることも多々ありますので、適切に空き家を維持・管理するにはそれなりの費用がかかってしまうのが現実です。
空き家の使い道を徹底比較!

さまざまな資産の中でも、幅広い使い道が用意されているのが空き家の大きな特徴のひとつです。
ここでは代表的な使い道である「売却」「賃貸(活用)」「自分で利用」の3つについて、それぞれの特徴やメリット・デメリットを解説します。
空き家の使い道別の具体例とメリット・デメリット
以下の表は、「売却」「賃貸(活用)」「自分で利用」の3つの使い道に関する具体例とメリット・デメリットをまとめたものです。
具体例 | メリット | デメリット | |
---|---|---|---|
売却 | ・個人の方に売却 ・更地にして売却 ・現況のまま売却 ・不動産会社に売却 |
・現金収入を得られる ・維持費(税金など)がかからなくなる ・管理 ・維持の手間がなくなる |
・資産を失ってしまう・すぐに売却できないこともある ・売却にあたって手間や諸費用がかかる ・希望額で売れるとは限らない ・売却するためにリノベーションや修繕が必要になる場合もある |
賃貸(活用) | ・貸家 ・シェアハウス ・シェアオフィス ・シェアキッチン ・店舗利用 |
・選択肢が豊富なため、ひとつひとつの空き家に合った活用方法を選べる ・継続的な家賃収入を得られる ・資産を手元に残すことで、将来的な活用の幅が広がる ・倒壊や周辺環境への悪影響 ・犯罪トラブルなどを軽減できる |
・リノベーションや修繕に費用がかかる ・各工程で業者選びに手間がかかる ・ニーズに合わないと、余計な費用をかけてしまう ・賃貸の募集に時間と手間がかかる場合がある |
自分で利用 | ・店舗経営 ・旅館経営 ・土地活用(更地にした土地に駐車場や建物を建てる) |
・物件を探す手間が省ける ・自分の思い通りにリノベーションできる ・自分好みに土地を活用できる ・資産を手元に残せる |
・収益を出すには経営のノウハウ ・センスが必要なため、難易度が高い ・赤字のリスクがある ・リノベーションや修繕に費用がかかる ・解体費用がかかる(土地活用) ・建築や造成に費用がかかる(土地活用) ・更地にすると税金が高くなる(土地活用) |
3つの使い道の中で、柔軟性が高く、なおかつバランスが取れていることから、近年とりわけ人気なのが「賃貸(活用)」です。
「空き家活用」という言葉を耳にしたことがある方も多いでしょうが、この方法は物件の立地や特性に合わせて活用方法を選べる(店舗利用、シェアハウス)のが大きな特徴です。
さらに、第三者へ貸し出すことで、定期的な家賃収入を得られる点も見逃せません。
「自分で利用」するパターンも活用方法を選べる点では「空き家活用」と似ていますが、自分自身で収益を出さなければならない分、入居者がいれば収入を得られる空き家活用より難易度は高くなってしまうでしょう。
また、完全に物件を手放してしまう「売却」と異なり、空き家活用では資産を手元に残した状態を維持できるため、将来的な選択肢を残せるメリットがあります。
つまり、空き家活用は「売却」「自分で利用」といった他の使い道の弱点を補いながら、独自のメリットをもたらす使い道と言えるため、近年注目を集めているのです。
今人気の「空き家活用」とは?0円でできる仕組みも

近年人気の「空き家活用」とは、「リノベーションしたうえで賃貸に出す」方法を指します。
事前にリノベーションする理由は至ってシンプルで、「傷んでいる箇所の修繕」と「より魅力的な物件に仕上げる」のが大きな目的です。
第三者に空き家を貸し出す場合、当然借り手が「借りたい」と思うような物件であることが非常に重要なポイントです。
空き家活用にかかわらず、マーケットは需要と供給で成り立っていますので、需要を満たすためには借り手のニーズを満たさなければいけません。
とはいえ、空き家を建て替えて新たな物件にしてから貸すのでは費用面の負担が大きすぎるため、費用を抑えながら借り手のニーズを満たす最善策としてリノベーションを選択するのが主流になっているわけです。
ただし、リノベーションしたうえで賃貸に出す方法にはデメリットも存在しています。
「リノベーション+賃貸」のデメリット
「リノベーションしたうえで賃貸に出す」方法の主なデメリットは以下の3点です。
・リノベーションにまとまった費用がかかる
・業者選びや設計デザインが必要になる
・リノベーションそのものが失敗するリスクがある
空き家をリノベーションする場合、全面的なリノベーションともなると1,000万円を超えるケースも珍しくありません。
さらに、リノベーションに対応できる業者選びや設計デザインの用意など、持ち主の負担も懸念材料です。
また、そもそもリノベーション自体に失敗してしまう可能性がある点についても十分に注意が必要です。
空き家活用時のリノベーションは「より魅力的な物件に仕上げる」のが大きな目的であると前述しましたが、魅力的かどうかの判断は持ち主ではなく、借主が決めるからです。
持ち主にとっての「魅力的なリノベーション」がほかの人にとってもイコールとは限らず、方向性を誤ったリノベーションを施してしまうと、借り手がなかなかつかない…という事態にも陥りかねません。
ではこれら、「リノベーション+賃貸のデメリット」を解消する方法はあるのでしょうか?
デメリットをカバー!0円ではじめられる空き家活用
先に結論を述べますが、「リノベーション+賃貸のデメリット」を解消する方法はあります。
アキサポでは、前述した代表的なデメリットを考慮し、以下の仕組みを提供しています。
・物件の周辺環境や立地条件などの現地調査を実施
・調査結果に基づき、適切なリノベーション・活用プランをご提案
・アキサポが全額費用負担でリノベーション工事を実施
・賃借人・利用者の募集もサポート
・建物の管理やトラブル対応もカバー
何と言っても特徴的なのが、「リノベーション費用全額負担、頭金無し・初期費用0円で始められる」ところです。
リノベーションにおいて大きなネックである費用面の懸念を払しょくするため、独自の仕組みをご用意しました。
さらに、事前調査を行い、物件所有者の方のご意見も取り入れながらリノベーション・活用プランを練り上げますので、ひとつひとつの空き家にマッチした適切なリノベーションを実現できます。
費用をかけず、実質無料ではじめられる空き家活用はアキサポ独自の仕組みですので、まずはお気軽にご相談ください。
空き家の活用事例
ここでは、アキサポが過去に手掛けた空き家活用事例をいくつかご紹介します。
物件の特徴や活用の背景、活用後の状況などをご紹介しますので、参考にしてみてください。
事例①:築115年超の古民家

築115年の歴史ある京町家を後世に残すため、リノベーション~活用までを手掛けた事例です。
活用するうえで大切にしたのは、地域の「空き家対策」および文化・街並みの象徴である京町家の「保存・再生」の2つの観点。
古民家ならではの伝統文化の本質を残しながら、さらに魅力を引き出すアイデアを随所に盛り込み、現在では1日1組限定のラグジュアリーな宿泊施設へと生まれ変わりました。
事例②:商店街の中に位置する物件

商店街の中に位置する物件を、公民連携でシェアキッチンとして活用した事例です。
物件の場所は、東京23区内で最も空き家率の高かった(2018年時点)豊島区内、南長崎。
かつては賑わいを見せていた商店街も、年月の経過に伴って人通りが減り、閑散とした状況でした。
とはいえ実はこの場所、手塚治虫や藤子不二雄、石ノ森章太郎ら著名な漫画家が居住していた「トキワ荘」があったことで知られる有名な場所で、住民たちは「人を呼び込みたい」という気持ちを抱いていました。
そこで注目されたのが、商店街の中に位置する一軒の空き家です。
元祖シェアオフィスとも言える「トキワ荘」があった街・豊島区南長崎で、人々が集う新たなシェアリングサービスとして、豊島区による「創業チャレンジ支援施設開設事業補助金プロジェクト」のもと、活用が進められることになりました。
東京23区では初の公民連携で設立された起業支援型施設でしたが、所有者だけでなく、地元商店街・地域でまちづくりを行う人たちと連携を取ったプロモーションが行われるなど、まさに地域住民が一丸となってプロジェクトは進みました。
オープン以降はシェアキッチンとしての利用に加え、地域交流の拠点になりながら、プロによる起業塾をはじめとした創業サポートの場としても活用されるなど、多彩な用途に用いられています。
コマワリキッチンの活用に関するエピソードなどはこちら
事例③:不法投棄に悩まされていた物件

不法投棄に悩まされるなど、10年以上放置された物件をバイクガレージに活用した事例です。
元々は健康食品の倉庫兼事務所でしたが、立地が奥まった場所であることから視認性が悪く、さらにシャッターもなく長年雨風に晒された挙句、不法投棄に悩まされることになりました。
そこで、奥まった立地、視認性の悪さなど一見デメリットに見える特徴を逆手に取り、「バイクガレージ」への活用を決定。
結果的に、当初のデメリットはバイクガレージの利用者にとって「人目にさらされにくい」というメリットとなり、即満車になるほど人気のバイクガレージとして活用されています。
その他の活用事例をさらに見たい方はこちら
空き家に関するまとめ
今回は空き家に関する問題点やお金の話、使い道、お得な活用方法などを詳しく解説しました。
空き家は立派な資産のひとつではありますが、活用せずに放置された空き家はさまざまなリスク・デメリットを生み出すため、注意が必要なのも事実です。
したがって放置するのではなく、何らかの形で空き家を有効活用するのが賢明ではありますが、ベストな使い道・活用方法は物件によって異なるため、専門家のサポートを受けながらベストな使い道を検討するのがおすすめです。
アキサポでは、空き家に関するさまざまなお悩み・疑問を随時受け付けていますので、まずはお気軽にお問い合わせください。