公開日:2026.09.18 更新日:2026.08.31
NEW空き家をリモートワーク拠点に活用する方法|自分で使う・貸す場合の違い

リモートワークの拠点として、空き家を活用する方法があります。空き家が増え続ける昨今、手ごろな物件を見つけられれば、自宅とは別に、集中して働ける仕事場を持つのも現実的な選択肢です。また、地域の需要に合わせて、コワーキングスペースやワーケーション施設として貸し出す選択肢も良いかもしれません。
この記事では、空き家をリモートワーク拠点にする3つの方法や条件、必要設備を解説します。費用や物件探しの流れもわかりやすくまとめました。自分で使いたい方も、事業として貸し出したい方も、目的に合った活用方法を考えるための参考にしてください。
目次
空き家をリモートワークに活用する3つの方法

まずは空き家をリモートワーク拠点に活用する場合の選択肢を整理しましょう。空き家をリモートワークに活用する方法は、大きく分けて以下の3つです。
【目的】自宅と明確に分けたプライベート書斎・オフィス
【主な改修】1部屋のみの通信・電気工事(費用抑えめ)
【必要な許認可】不要
【目的】地域の会社員やフリーランスへの場所提供
【主な改修】間仕切り、複合機、スマートロック、セキュリティ設備
【必要な許認可】用途変更の手続き等(規模による)
【目的】宿泊しながら仕事ができる滞在型施設
【主な改修】水回り(浴室・キッチン)・寝具・生活家電の設置
【必要な許認可】旅館業法・民泊新法等の許可/届出
誰がどのように使う場所なのかによって、必要な改修や手続きは変わります。ここではそれぞれの特徴や必要な改修、準備などを見ていきましょう。
自分の仕事場として使う
空き家を自分専用の仕事場にすれば、生活空間と仕事の場所を分けられます。家族の生活音や家事に気を取られにくくなり、空き家へ移動すること自体が、仕事の始まりと終わりを切り替えるきっかけにもなるでしょう。
仕事に使う部屋を一つに絞れば、はじめから家全体を改修する必要はありません。まずは安定した通信回線、必要な数のコンセント、空調、照明を整え、オンライン会議をする場合は、外から入る音や室内の声の漏れ方、画面に映る背景などを確認しましょう。窓や建具の隙間が気になるときは、会議用の部屋を優先して改修すると費用を抑えられます。
コワーキングスペースとして貸し出す
駅の近くや商店街、住宅街など、人の流れがある場所であれば、コワーキングスペースとして貸し出す方法も選択肢に入ります。地域の会社員やフリーランス、出張者など、主な利用者を具体的にしたうえで、月額会員、1日・時間単位の利用、法人契約のどれを中心にするかを決めましょう。このとき、周辺の需要や競合を調べ、料金と見込める利用者数から、無理なく運営できるかを確かめることも大切です。
改修時には、固定席を設けるのか、フリー席を中心にするのかを決め、個室や会議室、電話ブース、複合機などは、想定する利用者が必要とするものから用意していきましょう。また、静かにオンライン会議ができる、車で通いやすいといった特徴を打ち出せれば、その空き家ならではの強みになるでしょう。
ワーケーション拠点として貸し出す
ワーケーション拠点とは、普段とは異なる場所に滞在しながら、仕事と休暇の両方を過ごせる施設のことです。空き家を活用すれば、一般的な宿泊施設とは違う落ち着いた仕事環境や、その地域ならではの暮らしを提供できます。
立地は、海や山などの自然を感じられる場所、温泉地や観光地の周辺など、日常を離れて過ごせる環境が向いています。ただし、交通の便が悪すぎたり、近くに飲食店や商店がなかったりすると、滞在中の負担が大きくなります。地域ならではの魅力に加え、アクセスや買い物のしやすさも確認しましょう。
設備としては、安定した通信回線とWi-Fi、長時間作業しやすい机・椅子、十分な数のコンセント、照明、空調などが必要です。オンライン会議ができる静かな部屋もあると、仕事場としての使いやすさが高まります。さらに、寝具や浴室、キッチン、洗濯機などを整えれば、数日から長期の滞在にも対応しやすくなるでしょう。
なお、対価を得て利用者を宿泊させる場合は、「旅館業法(簡易宿所営業等)」の許可、「住宅宿泊事業法(民泊新法・年間営業180日上限)」の届出、「特区民泊」の認定のいずれかの法的手続きが必須です。また、都市計画法上の「用途地域」による営業制限や、建築基準法上の用途変更手続き*、消防法に基づく消防用設備(自動火災報知設備や誘導灯など)の設置基準が厳格に適用されます。無許可営業とならないよう、改修着工前に必ず自治体の建築指導課、保健所、所轄消防署へ事前相談を行ってください。
*特殊建築物への用途変更で対象床面積が200㎡を超える場合は建築確認申請が必要。なお、2025年4月施行の改正建築基準法により木造建築物の区分・審査特例が見直されたため、2階建て以上または延べ面積200㎡超の木造空き家で大規模な間取り変更・構造に関わる修繕を行う際は、用途変更の確認申請が不要な規模であっても確認申請が必要となる場合があります。
リモートワーク拠点に向く空き家の条件

活用方法が決まったら、次は候補の空き家が仕事場として無理なく使えるかを確かめましょう。特に見ておきたいポイントは以下のとおりです。
- 安定した通信回線を確保できる
- 通いやすく、滞在中の生活にも不便がない
- 改修費と維持管理費を無理なく負担できる
どこを重視するかは、利用目的によって変わります。自分専用の仕事場にするなら自宅からの通いやすさ、利用者へ貸し出すなら交通アクセスや周辺施設の充実度も重要です。一方、通信環境や建物の状態、継続して負担する維持費は、どの活用方法でも確認しておきたいポイントです。物件の価格や見た目だけで判断せず、実際に利用する場面を思い浮かべながら条件を確認しましょう。
安定した通信回線を確保できる
リモートワークで使う以上、安定した通信環境は欠かせません。まずは光回線の提供エリアに入っているかだけでなく、建物まで実際に回線を引き込めるかを通信事業者へ確認しましょう。携帯電話の電波状況も調べ、現地で通信速度と安定性も測ってみましょう。オンライン会議が多い場合は、光回線を利用できないときに備えて、モバイル回線がつながることも確認しておくと安心です。
また、建物が広かったり、部屋が離れていたりすると、1台のWi-Fiルーターでは電波が届かないことがあります。仕事に使う部屋や会議室を決めたうえで、ルーターの設置場所や有線LAN、中継器、メッシュWi-Fiなどが必要かを検討してください。
通いやすく、滞在中の生活にも不便がない
自分専用の仕事場にするなら、自宅からの移動時間や駐車場の有無を確認します。コワーキングスペースとして貸し出す場合は、最寄り駅や幹線道路からの行きやすさも利用者数に影響するでしょう。ワーケーション拠点にする場合は、飲食店や商店、医療機関など、滞在中に必要な施設が周辺にあるかも確かめておく必要があります。
地図上では通いやすく見えても、冬になると積雪や路面凍結によって移動しにくくなる地域もあります。災害時の避難経路や周辺道路の状況も含め、季節を変えて現地を確認できると安心です。
改修費と維持管理費を無理なく負担できる
空き家の取得費や賃料が安くても、雨漏りや構造部分の劣化、水回り、断熱、電気設備などに大がかりな工事が必要であれば、活用を始めるまでの費用は膨らみます。
工事費につながりやすいポイントは、以下のとおりです。
- 屋根や外壁からの雨漏り
- 柱や床の傾き、腐食、シロアリ被害
- キッチンやトイレなどの水回りの劣化
- 断熱性や気密性の不足
- コンセントの不足やブレーカー容量の不足
- 通信回線を引き込むための工事
また、活用を始めたあとには、以下のような維持管理費がかかります。
- 固定資産税・都市計画税や賃料、火災・賠償責任保険料
- 電気・水道・通信などの使用料
- 清掃や庭の手入れにかかる費用
- 空調や給排水設備などの点検・修理費
- 利用者へ貸し出す場合の消耗品費や管理費
大切なのは、初期の改修費と毎年かかる維持管理費をあわせて試算し、継続して負担できる物件を選ぶことです。購入や賃借を決める前に、建築士や工務店などへ建物を見てもらい、必要な工事と費用の目安を確認しましょう。全額を出すのが難しい場合は、仕事に使う範囲から段階的に整える方法もあります。
リモートワーク向けに整えたい設備とセキュリティ

空き家を快適な仕事場にするには、長時間働いても負担の少ない作業環境を整える必要があります。ここでは特に重要な以下の3項目を見ていきましょう。
- 居住環境:通信環境・電源・照明 ・空調
- 仕事環境:デスク・会議室・防音環境
- セキュリティ:入退室管理・情報セキュリティ・防犯
居住環境:通信回線・電源・照明・空調
通信回線は、仕事に使うすべての部屋で速度と安定性を確かめます。オンライン会議や大容量データのやり取りが多い場合は、光回線を基本とし、必要に応じてモバイル回線などの予備も用意しておくと安心です。Wi-Fiが届きにくい部屋があれば、ルーターの設置場所を変えるほか、有線LANや中継器、メッシュWi-Fiの導入を検討しましょう。
電源は、パソコンやモニター、複合機などを同時に使うことを想定し、コンセントの数と位置、ブレーカーの容量を確認します。延長コードの多用やたこ足配線は避け、電源が足りない場合は専門業者へ増設を相談してください。
照明は、室内全体の明るさだけでなく、手元の見やすさや画面への映り込みも確認します。天井照明だけでは暗い場合は、デスクライトを加えると作業しやすくなります。空調についても、夏や冬に長時間過ごせるかを確かめ、必要であれば断熱や窓まわりの対策もあわせて検討しましょう。
仕事環境:デスク・会議・防音環境
机はパソコンやモニター、書類を置ける奥行きを確保し、椅子は長時間座っても体に負担がかかりにくいものを選びます。窓からの光が画面に反射しないか確認しましょう。また、オンライン会議時に背景へ生活感が出ないかも重要です。
会議に使う部屋では、屋外や隣室の音がどの程度入るのか、室内の声が外へ漏れないかを確かめます。窓や建具の隙間をふさぐ、厚手のカーテンや内窓を取り付けるといった方法で、音の出入りを抑えられます。室内の反響が気になる場合は、カーペットや吸音材を取り入れる方法もあります。
複数人が利用する施設では、会話やオンライン会議ができる場所と、静かに作業する場所を分けることが大切です。会議室や電話ブースを設ける場合は、利用時間や予約方法も決めておきましょう。家具を購入する前に仮のレイアウトをつくり、通路の広さやコンセントへの近さ、ほかの利用者の視線や話し声が気にならないかを確かめると失敗を減らせます。
セキュリティ:入退室管理・情報セキュリティ・防犯
利用者が出入りする施設では、誰がいつ入室できるのかを管理できる仕組みが必要です。スマートロックを使えば、利用者ごとに暗証番号や一時的な鍵を発行し、利用期間が終わったあとに無効化できます。
玄関や窓の補助錠、人感センサー付き照明、防犯カメラなどは、周辺環境や無人になる時間に応じて検討しましょう。防犯カメラを設置する場合は、利用者のパソコン画面や私物が必要以上に映らないよう撮影範囲に配慮し、設置目的や録画データの扱いも利用者へ知らせてください。
Wi-Fiは運営者用と利用者用のネットワークを分け、推測されにくいパスワードを設定します。ルーターなどの機器は定期的に更新し、利用者用のパスワードも必要に応じて変更しましょう。利用規約には、ネットワークや共用機器を使う際の注意事項、禁止行為、紛失や情報漏えいなどが起きた場合の連絡先を記載しておくと、トラブル時にも対応しやすくなります。
空き家をリモートワーク拠点にするための導入コスト・運営費

空き家をリモートワーク拠点にするための主な費用は、次のとおりです。
| 費用の種類 | 主な項目 |
|---|---|
| 物件の取得・契約費 | 購入費、敷金・礼金、仲介手数料、登記費用など |
| 建物の調査・改修費 | 建物調査、雨漏り、水回り、断熱、電気設備などの工事 |
| 仕事環境の整備費 | 通信回線、電源、照明、空調、机・椅子、Wi-Fi機器など |
| 貸出しに必要な設備・手続きの費用 | スマートロック、防犯カメラ、消防設備、許認可など |
| 建物を維持する費用 | 賃料、固定資産税、保険料、設備の点検・修理費など |
| 日々の運営費 | 電気、水道、ガス、通信、清掃、庭の手入れなど |
| 利用者へ貸し出す場合の費用 | 予約サイトの手数料、消耗品、鍵の管理、運営代行費など |
なお、工事や設備ごとの金額を示してもらい、それぞれの内訳が確認できるようにしましょう。また、予算を検討する際には、以下の点も意識してください。
- 初期費用と1年間の運営費を分けて計算する
- 工事中に見つかる劣化や設備の故障に備えて予備費を確保する
- 貸し出す場合は、利用者が少ないときの収支も試算する
- 清掃や鍵の管理など、自分で行う作業にかかる時間も考慮する
活用できる補助金や支援制度
空き家をリモートワーク拠点にする際は、自治体の補助金や支援制度を利用できることがあります。たとえば、以下のような制度を確認してみましょう。
- 空き家の屋根や水回り、断熱などの改修を支援する制度
- サテライトオフィスやコワーキングスペースの開設を支援する制度
- 移住先での起業や事業所の開設を支援する制度
また、実際に実施されている支援制度には以下のようなものがあります。
| 自治体・制度 | 支援内容の例 |
|---|---|
| 長野県茅野市「空き家対策促進事業補助金」 | 空き家を居住や事業などに活用するための改修工事を支援 |
| 岐阜県高山市「サテライトオフィス等開設支援事業補助金」 | サテライトオフィスやコワーキングスペースの工事、備品、通信・警備設備、建物の借上げなどを支援 |
| 兵庫県「空き家活用支援事業」 | 空き家を事業所や地域交流拠点へ改修する費用を支援。ワーケーション施設やコワーキングスペースも対象に含まれる |
制度によって、対象となる建物や申請者、工事、施工業者などの条件は異なります。自分専用の仕事場は対象外でも、利用者へ貸し出す施設であれば対象になる場合もあるため、予定している使い方を自治体の担当窓口へ伝えて確認しましょう。
また、補助金は工事の契約・着工前の申請が条件になることがあります。利用したい制度が見つかったら、先に工事を進めず、申請から着工までの手順を確認してください。補助金を受けられなかった場合にも備え、自己資金や融資を含めた資金計画を立てておくことも大切です。
リモートワーク向けの空き家を探す方法

リモートワーク向けの空き家を探す方法には、物件サイトや自治体の空き家バンクを利用するほか、空き家活用の専門会社へ相談する方法があります。自分専用の仕事場にするのか、利用者へ貸し出すのかを決め、希望する地域や予算、必要な部屋数などを整理してから探し始めましょう。
物件サイト・空き家バンクで探す
もっとも一般的なのは、不動産会社が運営する物件サイトで探す方法です。掲載数が多く、地域や価格、建物の広さなどで候補を絞り込めます。中古戸建てだけでなく、店舗付き住宅や古民家、事務所として利用できる物件も確認すると、選択肢を広げられるでしょう。
自治体の空き家バンクには、一般的な物件サイトに掲載されていない地域の空き家が登録されていることがあります。一方、建物の状態や改修履歴などの情報が少ない場合もあるため、気になる物件は現地で確認しましょう。空き家になった時期や残置物の有無、電気・水道などの利用状況、境界や接道についても担当者へ確認してください。
「アキサポ」などの空き家活用の専門会社へ相談する
空き家活用の専門会社とは、空き家の売買や建物調査、改修、活用方法の提案などを扱う事業者です。物件価格だけでなく、必要な工事や活用後の運営まで見据えて相談できるため、希望する使い方に合った物件かを判断しやすくなります。
アキサポでは、全国の販売中の空き家情報を掲載し、購入を検討している方と空き家をつなぐお手伝いをしています。販売中の空き家一覧では、一般的な物件サイトには掲載していない、ここだけの物件も数多く取り扱っているため、ぜひ一度チェックしてみてください。
また、アキサポは不動産取引だけでなく、不動産開発や設計施工の知見も生かし、空き家に関するさまざまなご相談を受け付けています。「仕事場として使える建物なのか」「どのような改修が必要になるのか」など、物件選びや活用方法に迷ったときは、希望する地域や予算、利用目的を整理したうえで、お気軽にご相談ください。
まとめ|利用目的から必要設備と運営方法を決める
空き家をリモートワーク拠点にする場合は、活用方法によって必要な立地や設備、手続きなどが異なります。まずは利用目的を決めてから、今回紹介したポイントを順番にチェックしていきましょう。
もし物件選びや活用方法に迷ったときは、空き家活用の専門家であるアキサポにご相談ください。アキサポでは、これまでに数多くの空き家活用を実現しており、シェアオフィスやシェアキッチンなど、事業向けに転用した事例も数多くあります。
空き家活用の第一歩で大切なのは、信頼できるパートナーを見つけることです。相談先に悩んだら、ぜひ一度、空き家活用の専門家であるアキサポにご相談ください。
この記事の監修者
白崎 達也 アキサポ 空き家プランナー
一級建築士
中古住宅や使われなくなった建物の再活用に、20年以上携わってきました。
空き家には、建物や不動産の問題だけでなく、心の整理が難しいことも多くあります。あなたが前向きな一歩を踏み出せるよう、心を込めてサポートいたします。






