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公開日:2024.01.31 更新日:2024.02.02

空き家活用でグッドデザイン賞受賞!三条市の複合交流拠点「三-Me.(ミー)」を仕掛けた”特命空き家仕事人”のアイデアとは

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今回は、空き家活用の成功例として、グッドデザイン賞を受賞した複合交流拠点「三-Me.(ミー)」を紹介します。

新潟県三条市にあるこの施設は「街のためになる物件にしたい」というオーナーの想いがきっかけで始まったプロジェクトです。そこに、三条市や地元のプレーヤー、そして私たちジェクトワンなど多くの人が関わることで事業がスタート。今では若者たちが集う、活気創出の場になりました。

本プロジェクトには、「特命空き家仕事人」という立役者がいます。彼の名は、ジェクトワンに所属する熊谷浩太(くまがい こうた)。彼は、三条市において市長からも信頼を寄せられる、空き家問題解決の期待の星といえる人物です。

この記事では、「三-Me.」がどのように生まれたのか、熊谷が何を仕掛けたのか、そして「三-Me.」の事例から見る空き家活用の将来像などについて解説していきます。

空き家活用から生まれた、新潟県三条市の複合交流拠点「三-Me.(ミー)」とは

「三-Me.」とは、新潟県三条市の一ノ木戸商店街にある、移住支援と新規創業の応援を目的とした複合交流拠点です。一つの建物に、シェアテナントとお試し移住の宿、移住者(家守)の住宅という複数の用途が組み込まれており、地域活性化の拠点のような存在になっています。

〇「三-Me.」の概要
 名称:複合交流拠点「三-Me.」 
 所在地:新潟県三条市神明町5-3(一ノ木戸商店街内)
 用途:1階 シェアテナント・シェアキッチン、2階 お試し移住の宿、3階 移住者(家守)の住宅

この物件は元々1階のみテナントとして利用してきたもので、過去には洋服店や飲食店、事務所などに使われていました。しかし、空きテナント状態が長期化したことをきっかけに、解決のために空き家活用を検討することになります。

その相談を受けたのが熊谷です。熊谷は、空きテナントの解消とオーナーの「街のためになる物件にしたい」という想いを両立するために、1階だけのテナント利用から、1棟全体の活用へとシフトチェンジすることを提案します。

このプランを実現するために熊谷は地元のプレーヤーと手を組み、空き家対策チームである、三条市「一般社団法人燕三条空き家活用プロジェクト」を発足。「三-Me.」をその第1弾として事業化しました。

この提案はオーナーからも賛同いただき、1棟まとめての空き家活用がスタートすることとなります。

「三-Me.」が完成すると、新たな事業にチャレンジする人やお試し移住をしてみる人、新たにオープンしたお店を訪ねる人など、若者を中心にさまざまな人が集まるように。そして今では、三条市の新たなコミュニティ拠点としてすっかり定着し、空き家活用から地域活性化の可能性を見せる、生きたモデルケースとして活躍しています。

「三-Me.」をさらに詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

複合交流拠点「三-Me.」Webサイト

ジェクトワン社員・熊谷浩太(くまがい・こうた)が“特命空き家仕事人”として携わる

熊谷浩太は2020年からジェクトワンに入社した社員です。同年から、あらゆる開発案件にプレイングマネージャーとして携わっており、2022年にグッドデザイン賞を受賞した東京都中央区日本橋のオフィスビル「JECT ONE 人形町ビル」も手掛けました。

そんな彼が三条市と縁を持つようになったのは、2021年秋のこと。三条市から、総務省が支援する制度「地域活性化起業人」のオファーを受けたのがきっかけです。

任命された役職の名前は「特命空き家仕事人」。空き家活用や発生予防のキーパーソンであり、市の空き家問題解決にリーダーシップを発揮するポジションです。

三条市に移ったのは2022年5月のことです。空き家対策の施策実施に精力的に取り組み、空き家相談窓口や相談ボックスの設置、セミナーの開催、三条市立大学と協力した「DIY部」の立ち上げ、YouTubeやラジオへの出演など、短期間で多くの施策を実現してきました。

それらの活動の結果、1年間で空き家バンクの登録数が前年比約400%増加。さらに空き家相談件数が前年比約1,000%増加し、8回行われた空き家イベントには、延べ約12,500人もの来場者が訪れました。

また、「三-Me.」を第1弾プロジェクトとする「一般社団法人燕三条空き家活用プロジェクト」では、プロジェクトの中心人物として活躍しています。地元の人々の知見や想いを束ねる役割と、ジェクトワンによるノウハウ提供と事業出資の橋渡しをする役割を担い、空き家活用による地域創生に日々取り組んでいます。

三条市における熊谷浩太の実績

基本的な空き家対策事業
・空き家相談口の開設
・空き家相談ボックスの設置
・空き家バンクのリニューアル
・空き家セミナーの開催

メディア・イベント
・メディア・ラジオ・YouTube出演
・YouTube「燕三条空き家ライフ」再スタート
・空き家イベントの開催。延べ約12,500人来場

団体との連携や協定など
・新潟工科大学及び県央工業高校との連携
・三条市立大学有志と「DIY部」立ち上げ
・AGE Technologies及びKLCと連携協定締結
・宅建協会と空き家バンクスキームの契約締結
・全日本不動産協会と空き家バンク協定締結

事業プロジェクト
・国交省 住宅モデル市場採択
・移住促進住宅への取り組み
 ・一般社団法人燕三条空き家活用プロジェクト 設立
・空き家活用第一弾 複合交流拠点「三-Me.」
・三条市初の農家民宿「Sanju~燕三条古民家の宿~」オープン

他多数

なぜ“特命空き家仕事人”として三条市に行ったのか

熊谷が「地域活性化起業人」として三条市に加わった背景には、三条市からの「ものすごい熱量」が大きくかかわっています。

最初に三条市から連絡があったのは、2021年秋のことです。地域活性化起業人というポジションで、ジェクトワンにピンポイントのオファーがありました。

しかし、ジェクトワンの空き家事業「アキサポ」は、社員1人あたりの重要度が高い少数精鋭で運営されている部署です。それだけに、三条市へ長期間派遣することは難しいと考えられ、話は保留になっていました。

その後、2022年2月に再オファーがあったのですが、このとき印象的だったのが三条市からのメッセージです。

それは、「地域の課題を一緒に解決し、地方創生を手伝ってほしい。空き家事業で実績を上げているジェクトワンに協力してもらいたい」という、地方創生に対する熱を持ったものでした。

これには、空き家活用を通じて社会問題の解決を目指す「アキサポ」としても共感するものがあり、派遣メンバーの本格的な検討がスタート。三条市の地方創生に一石を投じられる人材として、実績と熱量を兼ね備えた熊谷を派遣することとなりました。

「三-Me.」が生まれるまで。空き家という地域課題がチャレンジの場に変身!

ここからは、「三-Me.」が生まれるまでの話を順を追って解説していきます。

「一般社団法人燕三条空き家活用プロジェクト」という団体が発足した理由や、複合交流拠点という発想が生まれた経緯、デザインに込めた想いや施工で難しかった点など、空き家活用のリアルな内情をお伝えします。

きっかけはオーナーの地元愛から

「三-Me.」プロジェクトが始まったのは、2022年の夏前のこと。本物件のオーナーが三条市に活用相談をしたことから始まり、新たな活用方法を探すことになりました。

オーナーは「地元三条のために、商店街のために貢献したい」という想いをとても強くお持ちでした。オーナーは普段東京に住んでおり、さらに年齢を重ねてきていることもあって、今までのようなテナント運用ではなく、地域活性化に貢献できる運用方法を探していたのです。

そこで提案したのが、1階同様に空き家状態だった2・3階も含めた1棟丸ごとの利活用です。2・3階は住居になっていましたが、オーナーが利用するのは年1〜2回の仏壇整理のみ。オーナーの大切な物件を維持しつつ、地元のためになる活用法を模索することになりました。

プロジェクトでは「街のためになる用途」をとことん話し合った

「三-Me.」プロジェクトで特に念入りに協議したのが、「街に開いて、街のための物件にするために、どのような用途にすべきか」という点です。

地域活性化といっても、そのアプローチ方法にはさまざまな種類があります。どうすれば3階建ての物件を1つの目的のもとに統合し、効果的に活用できるのか。その点に重点を置いて話し合いました。

そこで考えたのが、「地域活性化」というコンセプトのもと、複数の用途を盛り込む方法です。

まず1階ですが、1階は今までどおりテナント貸しの案もありました。しかし、賃料と売上見込みのバランスが取れない問題があり、新規出店者のハードルを下げることが課題になりました。

そこで発案したのが、複数の事業者で空間を共有できる、シェアテナント・シェアキッチンとしての利用です。シェアテナントやシェアキッチンは新事業チャレンジの場という役割がありますし、ジェクトワンの「アキサポ」での実績もありました。移住者がチャレンジの第一歩を踏み出し、新たなコミュニティを築くための足がかりにしてもらおうと考えたのです。

次に2・3階ですが、元々住居だったこともあり、交流を目的としたゲストハウスとシェアハウスにすることに。3階の居住者が家守となる民泊形式で、2階のゲストハウスのオペレーションも行います。

2・3階で入口を共有しているため、鍵やチェックインの運用の課題がありましたが、スマートロックやオペレーションフローを構築することでクリア。2023年の春に、「welcome Me. inn」という名でオープンしました。

鉄骨造という構造に頭を悩ませたことも

施工で1番悩んだ点が、3階建ての鉄骨造だということです。リノベーションで「建築基準法上の用途や構造、消防法令などを遵守しながら、なおかつ愛着が持てるデザインに仕上げる」という点が難しく、多くのアイデアを出し合いました。

まず店舗部分の1階は、天井を撤去してスケルトン状態にし、鉄骨の柱・梁の錆止め塗装である赤色をあえてアクセントとして見せ、壁や天井は全て白の空間としました。

さらに、空間の統一感と使い勝手を担保するために、家具や内装のデザインを統一。複数のテナントが入居しても、建物としての一体感が崩れることがなくなりました。

また、2・3階は、いかに最小限のコストで、物件のクオリティを担保して運営をスタートできるかに頭を悩ませました。2階については、畳の上敷きや、照明・備品・植栽等により、お客様を迎える物件に設えとなるよう工夫をしました。

そして、多くのチャレンジャーが集う、地域から愛される場に

さまざまなアイデアを出し合い、建物の設計・デザインに取り込んだことで、今では多くの人々でにぎわうチャレンジの場となっています。

古着のアンテナショップやこだわりプリン、スペシャリティコーヒーのお店などもスタートし、ときにはお酒のイベントや学生の交流イベントなどを行う場にもなっています。

「三-Me.」に集まるのは、事業を目的とした人だけではありません。地元のパパさん・ママさんや子どもたちがやってくることもありますし、地域の方がミーティング利用に集まることもあります。

さらに、「まちのコイン」という地域通貨の拠点としても使われています。

「三-Me.」には、色々な想いや目的を持った、色々な人々が集まってきます。人と人の交流によって日々新しいことが起こりますし、新たなアイデアも生まれていきます。

「地域活性化」という目的をデザインに落とし込んだ「三-Me.」は、アイデアに詰められた想いを十分に体現し、地域から愛される新たな複合拠点となっています。

「三-Me.」がグッドデザイン賞を受賞した理由

「三-Me.」は、空き家活用の取り組みや建物のコンセプトなどが高く評価され、2023年度グッドデザイン賞にて「地域の取り組み・活動」部門にてを受賞しました。

「三-Me.」がグッドデザイン賞を受賞した大きな理由が、1つの建物の中に、移住の検討に必要になる複数の機能が盛り込まれていることです。

「住居」や「仕事」、「コミュニティ」など、移住を決断するまでのステップを体験する機能が「三-Me.」には詰まっています。

また、「三-Me.」にはさまざまなヒト・コト・情報が集まるハブのような機能も盛り込まれています。新たな仲間を作って移住先での足掛かりにできれば、新しい生活をスムーズに始める心強い味方になってくれるでしょう。

熊谷が「三-Me.」をグッドデザイン賞にエントリーした理由

「三-Me.」を手掛けた熊谷は、「三-Me.」というプロジェクトの企画を詰めてく段階ですでに、「この物件にはグッドデザイン賞に出すべき価値がある」と考えていたそうです。

特に重要な点が、空き家活用を介して、三条市という「地方」が抱える課題解決に切り込むことができる点だという。

空き家活用を地方創生に役立てられることの価値が大きいのはもちろん、一つの物件に地元・移住者・事業検討者の交流の場と、様々なコンテンツが生まれるハブという機能を両立させていることに、非常に大きな社会的意義があると確信したそうです。

詳しい受賞理由は、グッドデザイン賞のWebサイトをご覧ください。

複合交流拠点「三-Me.(ミー)」(2023 グッドデザイン賞)

特命空き家仕事人”熊谷浩太が「三-Me.」に込めた想い

-多くの人々の想いから生まれた複合交流施設「三-Me.」は、グッドデザイン賞受賞という大きな成果を得ました。この結果を受けて、最後に熊谷から「三-Me.」に対する想いを語ってもらいました。

熊谷
このプロジェクトをグッドデザイン賞に挑戦させたことも含め、「三-Me.」は、地方が抱えている空き家に関するさまざまな問題を、一挙に解決するような仕組みを目指して作られました。

地方が抱えている問題は、空き家や移住、市街地の活性化、地元との交流など多岐にわたります。これらの問題は切っても切り離すことができず、それだけに「三-Me.」にはさまざまな機能が求められたのです。

そもそも、空き家をただの空き家にしておくのはもったいない話です。
地域活性化のために空き家活用をすれば、移住者が使える場所や地域の方と気軽に交流できる場所、先輩移住者と会う場所、新規出店のチャレンジの場所などに使うことができます。

熊谷
「三-Me.」は、これらの想いを束ねる場です。いろいろな要素が混在することで人と人の化学反応が起こり、そこから活発な発信や新たなスタートなどが生まれていく…。私自身、そんな施設になって欲しいという思いで作りました。

実際、三条市内では「三-Me.」がきっかけとなって色々なコラボレーションが進んでおり、新しいイベントや取り組みが始まっています。

また、「三-Me.」という名前には、大きな意味がたくさん込められています。漢数字の「三」と言う字には、三条市の三、三叉路の三、3つの用途の三、3階建ての三など様々な意味が含められていますし、「Me(自分)」には、自分らしさを表現できる、新たな挑戦を始める場として継続してほしいという思いが込められています。

いつまでも三条市で愛される、チャレンジのスタート地点であり続ける。そんな施設でいてくれたらありがたいですよね。

「三-Me.」の誕生から見る空き家活用の今後

-熊谷は、「三-Me.」の事例がほかの地域の空き家問題にも有効だと考えているとのこと。「三-Me.」の誕生と空き家活用の今後について、感じたことを語ってもらいました。

熊谷
「三-Me.」をスタートさせるにあたり、クリアしないといけなかった大きな課題として、「地方の空き家活用は、首都圏の空き家活用とはまったく異なる」ということがあります。

首都圏では、活用を始めるまでに大きなコストがかかっても、そのコストを回収可能な賃料収入が得られます。しかし、地方ではその論理が期待できません。

「三-Me.」にさまざまな用途を盛り込んだのも、この問題を打破するためです。「使えるものは使う」、「可能な範囲でシェアする」など、いかにコストカットできるかが大きなカギとなっているように感じました。

また、プロジェクトを立ち上げる際には、事業支援や移住支援、中心市街地の活性化など、複合的な課題の解決を目的とすることが重要です。空き家問題の背景にはさまざまな問題が隠れているので、これらを包括的に解決する意識が、移住者の定着や事業継続に大きな影響与えると考えられます。

そして、空き家活用を成功させるために欠かせないのが、地元の人々の力です。事業者だけでなく、地元の企業やプレーヤー、さらに学生や地域住民まで、あらゆる層を巻き込んでいくことが求められます。

ただ単純に箱を作っても、そのあと運営するコンテンツなどによって、結果は全く異なります。今回は、事前にさまざまなプレーヤーとつながったり、企業や団体と連携したりしていたからこそ、この事業が実現できたと思っています。

ちなみに、今回はご縁あって三条市でプロジェクトに携わることになりましたが、「三-Me.」のようなアイデアは、別地域でも有用だと感じています。地方では同じような問題を抱えていることが多いので、本プロジェクトをモデルケースとして、横展開をしていくビジョンもあり得るのではないでしょうか。

最後に

今回は、ジェクトワンの熊谷が特命空き家仕事人として携わった、三条市の「三-Me.」プロジェクトを紹介しました。

地方における空き家活用は首都圏の場合と違い、抱えているさまざまな問題を包括的に解決するアイデアが求められます。

空き家とは、地域に内在する問題が表面化した一つの姿という側面を持ちます。空き家の裏にはどのような課題があるのかを整理し、空き家活用によってそこに一石を投じることこそが、地方における空き家活用の役割なのかもしれません。

私たちジェクトワンでは、そんな空き家問題を解決するための事業「アキサポ」を行っています。空き家をオーナーから借り上げ、アキサポの負担でリノベーションして貸し出すというビジネスモデルなので、自己負担0円(※)から空き家活用を始めることができます。

今回の事例で分かったように、個人で空き家活用に取り組むのは、資金やノウハウの面から見ても困難です。空き家に悩みを抱えているのであれば、自分で抱え込まず、気軽にアキサポにご相談いただければと思います。

※建物の状況等によっては、一部費用のご負担をお願いする場合がございます。

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