公開日:2021.07.21 更新日:2022.06.10
日本で空き家が増加している原因やその背景、空き家問題の解決策とは?

全国的な課題となっている空き家問題。年々空き家が増加している原因とは一体何でしょうか?近い将来、実家が空き家になる可能性がある方にとっては気になる話ですよね。
じつは、空き家発生の原因は人口減少や高齢化といった社会構造が中心になっています。具体的に言うと、子供が巣立って両親だけになった住宅が空き家化するパターンが多く見られます。
では、空き家問題を解決するには社会構造を変えないといけないのでしょうか?いいえ、空き家を売却・賃貸することで解決するケースもあります。
空き家は時間がたつほど維持費とリスクが増す物件です。この記事では、空き家を長期化させないために、空き家問題の原因と解決法、そしてスムーズに売却・賃貸する方法を解説します。
目次
空き家問題とは?空き家が増加している原因
空き家が増加している原因は、大きく4つに分けて以下のものが挙げられます。
・人口構造の変化、少子高齢化 ・固定資産税や管理費など維持にお金がかかる ・新築建設促進の過剰 ・相続問題 |
空き家が発生する主な原因は、需要に対して物件数が多い「家余り」です。これには、人口減少や少子高齢化の他、空き家発生原因として考えられる新築建設の過剰促進、相続問題などが複雑に絡み合っています。
空き家問題とは?
空き家は、空家等対策の推進に関する特別措置法によると、居住その他の使用がなされていないことが常態である建築物のことを指します。
放置された空き家は、ごみの不法投棄や悪臭の発生、景観の悪化など周囲へ悪影響を与えます。
また、不法侵入や放火、住みつきなどの犯罪の温床となるリスクもあります。
空き家にしておくことによって発生するさまざまな問題をひっくるめて、空き家問題といいます。
原因①:人口構造の変化、少子高齢化
画像引用元:内閣府
日本の人口は減少を続けており、内閣府発表の資料では、2020年の人口を100%とすれば、2030年には約93%、2040年には約86%、2050年には約78%まで減少すると予測されています。
また、65歳以上の高齢者割合は、2030年に約31%、2040年に約36%、2050年に約38%を占めると予測されています。

画像出典:国土交通省
空き家の取得は相続によるものが半数以上を占めるため、高齢者が増えることによって相続が増え、空き家となる住宅が今後も増加することが予想されます。
原因②:新築建設促進の過剰
日本には、高度経済成長期の人口増加に伴う住宅不足に対応するため、1966年に住宅不足の解消を目的とした「住宅建設計画法」を施行し、新築住宅の供給量に重きを置いて住宅政策を行ってきた背景があります。
日本では、空き家が増加する現在でも年間80~90万戸ほどの住宅が新築されています。令和3年の新設住宅着工戸数は856,484戸で、前年比では5.0%増となっています。
現在の日本人の住宅に対する概念は、過去から根付いたものといえるでしょう。
原因③:更地にするより固定資産税がかからない
建物が建っていると優遇措置によって土地の固定資産税が6分の1になります。この制度を小規模住宅用地の特例といいます。もう住まないからといって空き家を解体して更地にすることによって、固定資産税の優遇措置がなくなってしまいます。
解体費用がかかるうえに税金も高くなるので、所有者にとっては空き家を解体するメリットが現行法上ないのです。
つまり、人が住まない状態でも土地のうえに住宅が建っているだけで税金が安くなるので、空き家を放置する人が増える原因になっています。
原因④:相続問題
前述したとおり、空き家を取得した理由として「相続」が半数以上にのぼります。
相続によって住宅を取得しても遠方に住んでいて頻繁に足を運べなかったり管理ができなかったりなどで、空き家になってしまうことが多いのです。
ただ、もし仮に空き家を相続しないと決めて相続放棄をしても管理をしなくてもいいというわけではなく、「相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない」と民法第940条に定められているので、管理をしなくてはなりません。
親が老人ホームに入所して空き家になっているケースも
高齢化に伴う問題として難しいのが、親が老人ホームに長期入所しているケースです。入所中は家が空き家になってしまうわけですが、家の所有権はそのまま残ります。
すぐ家に帰ってこられればいいですが、年単位で入所すると長期間空き家となってしまいます。この場合、家の管理は子供が行うことがほとんどですが、さまざまな事情から家の管理が滞ってしまうことがあります。
このケースは、高齢化が進むにつれて件数を増していくと考えられるため、将来どこの家庭でも起こりうる問題であると言えるでしょう。
実は多い!都心部での空き家問題

空き家問題は地方部の問題だと思っている方は多いと思います。しかし、現実は東京のような都市部でも起こっています。
都市部の空き家は、地方部に比べて資産価値が高いのは確かです。しかし、ひとたび空き家問題が起こると、建物の密度が高いことから、近隣の迷惑になりやすいという特徴もあります。
そのため、都市部の空き家行政は地方部に比べてシビアです。空き家の法律(空き家対策特別措置法)に従って特定空家に指定した件数や、行政代執行を行った件数も多数あります。
都市部に空き家を持っている場合は、よりスピーディーな対応が必要と覚えておきましょう。
資産価値の高い空き家はぜひ「アキサポ」で利活用を

都市部の空き家は問題になってしまうと対応が大変ですが、利活用して資産化できる可能性も高い、価値のある物件です。
弊社では、そんな空き家の利活用をサポートするため、「アキサポ」という0円マッチングサービスを行っています。
「アキサポ」の特徴は、相談から借り手とのマッチング成立まで、空き家所有者様の持ち出しが0円ということです。空き家の借り手探しから必要なリフォーム、契約成立まで、すべて「アキサポ」が代行します。さらに、窓口が「アキサポ」1本のため、ワンストップで完結するのも強みです。
「アキサポ」は、契約が成立すれば毎月賃料の一部を受け取ることができます。
もし都市部に空き家をお持ちの場合はぜひご相談ください。「アキサポ」がお持ちの空き家を資産化するお手伝いをします。
空き家は多くの問題点を抱えている物件
空き家が増えると以下の3つの面で問題があります。
・資産面 ・防犯面 ・環境面 |
「資産面」・「防犯面」・「環境面」の3つの面でリスクがあり、適正な維持管理をしないと、資産的な負担になるだけでなく、社会的なリスクにも成りうるのです。
ここでは、空き家が増えることによる問題点について簡単に解説します。
問題点①:資産面
空き家を放置し続けると、「空家等対策の推進に関する特別措置法」により「特定空き家」に指定される可能性があります。
特定空き家は、倒壊などの危険性が高くなった空き家が指定されます。特定空き家に指定されると固定資産税の優遇措置対象から外されてしまい、大幅に税負担額が上がります。
また、空き家を抱えると様子見をするための交通費や雑草駆除のための費用など、維持管理費がかかります。
問題点②:防犯面
防犯面では、放火リスクや盗難リスク、建物の破損・倒壊のリスクがあります。
人の気配が感じられない空き家は放火の標的になりやすかったり、中に入って物を盗まれたりする可能性があります。
また、人が立ち入らない建物は想像以上に劣化スピードがはやいもの。
放置して使われなければどんどん脆くなり、破損・倒壊のリスクが上がりやすくなります。
問題点③:環境面
環境面での問題点は、草木の繁茂や害虫の発生、犯罪の温床化などが挙げられます。
空き家の適切な管理をしなければ草木が生い茂って近所の家へまで及んでしまったり、害虫駆除をしなければシロアリやゴキブリなどの害虫が発生したりする可能性があります。
また、空き家だと住みつく人が出てきたり、たまり場になったりと犯罪の温床になりやすくなります。
所有者は空き家をなぜ売らないのか

そもそも、なぜいつまでも売られない空き家があるのでしょうか?じつは、空き家を売らないのではなく、空き家を「売れない」理由があるのです。
そして、理由をひも解いていくと、意外と身近な原因に行きつきます。誰にでも起こりうる、空き家を売れない理由を見ていきましょう。
物置として必要・解体費用をかけたくない
平成26年の国土交通省アンケートで、空き家を売らない理由の1位と2位だったのが、「物置として必要だから」と、「解体費用をかけたくない」の2つです(3位は「特に困っていない」)。
相続が発生した場合、両親が生前使っていた家具や所有物などの処分に困るケースもあり、とりあえずそのまま置いておくこともあるのです。
また、空き家が敷地内にある場合やすぐ近くにある場合も、このケースが起こりやすいと考えられます。
これは、弊社が「アキサポ」を運営する中でも実感したことです。さらに、空き家所有者の空き家に対する問題意識が低いため、空き家が長期化しやすいのです。
「空き家はよくない状態」という認識を持ってもらうことが空き家問題解決への第一歩かもしれません。
親が生きている場合は気持ち的にも売りにくい
高齢になった親が老人ホームに入居したり、子供夫婦と同居したりすると、親が存命の状態で家が空き家になります。
この場合、家の維持管理や費用負担を考えれば実家を売却する選択肢が浮かんできますが、長く住み続けてきた家だけに売りにくいのが実際のところ。高齢になってから環境を一新するのは精神的な負担になりますし、存命中は親の所有物を取っておいてあげたいと感じる方も多いと思います。
負担の軽減を優先するか、親の気持ちを優先するか、どちらを選ぶか決めにくいケースです。
売却や賃貸に不安を感じるケース
いざ売却しよう、賃貸に出そうと考えても、実際に不動産屋へ行くとなるとハードルが高く感じるケースもあります。特に生まれ育った実家を扱う場合、自分たちにとって大切な家ですから、安く見積もってほしくないという思いもあるでしょう。
実際、生活の中で不動産取引をする経験はなかなかありませんし、売却価格や賃料が適正かを判断する相場観を持っている方も少ないと思います。
不動産屋にツテがあれば相談しやすいですが、これは個人の人間関係によるため、腹を割って話せる不動産屋を見つけるのはなかなか難しいです。
ちなみに、賃貸なら所有権は残るため実家を所有しながら空き家を解決することができます。ただ、借り手を見つけやすくするためにリフォームをする場合、高額なリフォーム費用をかけるなら失敗したくないという不安を感じる方はいるようです。
空き家のリフォーム費用はこちらの記事で詳しく解説しています。
空き家リノベーションの費用・事例・秘訣まとめ!活用のために知っておくべきこと
相続でもめているケースもある
相続が発生した場合、家を含めた財産は相続人(相続する権利がある人)たちが有する法定相続分(法律で定められた相続の割合)を基本に、協議により決まります(遺言がある場合は遺言が優先される)。
しかし、協議がなかなか整わない場合があります。すると相続分も決まらず、いつまでも家が相続されない状態になってしまいます。家が相続されないと空き家の使い道も決められないため、空き家が長期化してしまうのです。
ちなみに、家を相続する場合は、一人の相続人が丸ごと相続する場合と、家を現金化してから相続する場合、家の所有権を分割して相続する場合があります。
また、どうしても協議が整わない場合、家庭裁判所の調停や審判によって相続分を決定する方法もあります。
空き家が放置されてしまう理由

なかなか売却されない空き家の中には、放置されてしまう空き家もかなりあります。放置された空き家は、夏場に草木が繁茂したり害虫が発生したりと、周辺にも影響を与えることが懸念されます。
このような問題があると分かっていながら、なぜ放置される空き家が出てきてしまうのでしょうか?ここでは、空き家が放置されてしまう主な理由を3つ紹介します。
空き家が家から離れているため管理しにくい
空き家が家から遠く、管理しにくいケースはかなりポピュラーな問題です。週に1度見に行くにしても、平日は仕事で忙しい方も多いでしょうし、週末の時間を使いたくないと思う方も多いでしょう。
空き家が発生する主な原因は相続によるものです。国土交通省の資料「空き家等の現状について」によると、空き家を取得した経緯の56.4%が相続によるものでした。
そして、相続した空き家は居住地から遠いケースも多く、同資料のアンケート結果によると、居住地から空き家までの距離は、「車・電車などで1時間超~3時間以内」が15.7%、「車・電車などで3時間超~日帰りが不可能」が11.0%となっています。
特に、空き家が地方部にあり、相続した人が都市部に居住している場合、車を所有しておらず空き家へ行くだけでも大変というケースも起こり得ます。
維持管理費を払うのが大変
相続した人がお金に余裕が無い場合、空き家を維持管理する費用を捻出できないケースがあります。
空き家の維持管理は固定資産税だけで年額10万~30万円ほどかかるケースが多く、さらに草木の管理委託も依頼するとかなりの費用負担となります。
日常的な維持管理はお金をかけずとも自分でできることですが、空き家が家から離れているケースもあり、空き家の状態悪化が進んでしまうケースもあります。
空き家の権利関係が複雑
空き家を複数人が共同で所有している場合、相続人がハッキリしないケースがあります。
具体的な例を挙げると、相続人たちが離れた場所に住んでいたり、一部の相続人が死亡していたりするケースなどです。
これは行政側でも問題になっていて、総務省の資料「空き家対策に関する実態調査結果報告書」では、11,565件の空き家を調査したところ、うち576件(5.0%)の所有者が特定できなかったという結果が出ています。
また、相続人同士の仲が悪いケースや、被相続人と相続人の間に面識が無く、空き家の存在すら知らないケースもあるようです。
行政が働きかけても対応されない事例もある
行政が空き家の所有者を特定し、適正管理を呼び掛けても対応されないケースも往々にして存在します。
対応してもらえない理由はさまざまですが、やはり居住地から遠かったり、維持管理の時間や費用を捻出できなかったりといったケースがあるようです。
行政から連絡をするケースには、周辺住民による通報から始めるケースも多く、すでに雑草の繁茂や害虫の発生が起こっていることも多いです。この場合、行政だけでなく周辺住民の安全にも影響するため、緊急性の高い案件と考えましょう。
緊急性が高くなったり、問題が長期化したりすると「危険・有害で管理不十分」である、特定空家に指定されることもあります。
土地の固定資産税減税が解除されたり、代執行に繋がる可能性もあるため、早めの対応が必要です。
特定空家について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください
空き家の法律|空き家対策特別措置法と空き家の関係をわかりやすく解説
空き家の管理不全問題を解決するためには

空き家はさまざまな原因により発生・放置されてしまいますが、これらの問題は空き家に誰かが住むことで解消されます。しかし逆に考えると、空き家の買い手・借り手が見つからないと、解消できないということになります。
じつは、空き家の管理不全を解消する方法は、売却・賃貸の成立だけではありません。ここでは、空き家を管理不全状態から抜け出させるためのポイントを紹介します。
管理不全解消のポイントは空き家を流通させること
空き家の管理不全を解消するポイントは、売買・賃貸の成立ではなく、空き家を流通させて管理者を付けることです。
例えば、不動産屋に買い取ってもらったり、空き家のような訳あり物件を専門に取り扱う業者であったり、ハウスメーカーによる空き家買い取りストックビジネスなどです。
空き家の立地条件や建物状態によっては、売買・賃貸の成立が難しいケースもあります。なるべく高く売りたい気持ちはあると思いますが、所有し続けるリスクを考えると、少し安くても業者に管理してもらえる買取りサービスを使うのも手です。
また、空き家が古民家なら、自治体やNPOなどが行う活用事業に参加する手もあります。例を挙げると、埼玉県川越市の「歴史的建造物活用推進事業」や、三重県伊賀市の「古民家等活用再生事業」などがあります。
空き家に価値が無いと諦めず、空き家のニーズがあるところへ流通させることで、管理不全状態から抜け出すことができるのです。
維持管理サービスも増えているが根本的解決は難しい
最近では空き家の維持管理サービスも増え、一時的に空き家の管理不全状態を解消することができます。
ただ、この方法では即効性がある反面、空き家問題の根本的解決をすることはできません。しかも維持管理費はかかり続けますので、維持し続けるにも限界があると思います。
維持管理サービスはあくまで応急処置と考え、その間に空き家を流通させる方法を考えましょう。
空き家問題は一人で抱え込まないで!アキサポに相談を
空き家問題の原因を総括すると、空き家問題は物件が市場に流通しないことが主な原因と言えます。
空き家を売らない原因と放置されてしまう原因のどちらも、問題を抱え込んでしまうと悪化してしまいます。もし空き家を相続したら一人で抱え込まず、不動産屋や空き家を取り扱う業者などに相談しましょう。
いきなり業者に相談するのが心配な場合は、自治体の空き家相談窓口へ行くのもおすすめです。
そして、弊社の空き家マッチングサービス「アキサポ」へもぜひご相談ください。
「アキサポ」は、空き家所有者様たちの悩みを「何とか解決したい」という気持ちから生まれたサービスです。
空き家の問題を解決するのはもちろん、空き家の価値を正しく計り、最適な借り手を見つけ、所有者様の思い出と共に活用していく。所有者様にとっても、借り手にとってもWin-Winになるマッチングを提案するべく、空き家のプロフェッショナルたちが、日々情報収集に努めています。
「アキサポ」は、空き家所有者様の負担0円でご利用いただけるサービスです。マッチングが成立すれば月々賃料の一部をお支払いすることも可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。