公開日:2022.04.07 更新日:2024.08.30
サブリース契約とは?仕組みやメリット、注意点をわかりやすく解説
サブリースにはメリットが多いと聞いて、空き家のサブリースを検討している方もいると思います。確かに、サブリースには定額収入が得られたり、利用者の募集をしなくてよかったりといったメリットがありますが、本当に大丈夫なのでしょうか?
そこでこの記事では、サブリース契約を基本から分かりやすく解説。メリット・デメリット、注意点などを紹介していきます。
目次
サブリース契約とは?仕組みを分かりやすく解説!
まずは「サブリースとはどんなものなのか?」を分かりやすく解説します。
サブリース契約とは
サブリース契約とは、不動産会社がオーナーから借り上げた物件を、自社が運営して第三者に転貸する契約形態のことです。
物件の所有者は、不動産会社から毎月定額の賃料を払ってもらい、不動産会社は、借り上げた賃貸物件を管理・運用することで利益を得ます。アパートやマンションを1棟丸ごと借り上げることが多いです。
ちなみに、不動産会社がオーナーから物件を借り上げることを「マスターリース」と言います。
通常、賃貸の契約は、物件のオーナーと利用者の間に不動産会社が入り、賃貸契約を仲介したり、管理を請け負ったりして成り立っています。この場合、あくまで運営者は物件のオーナーであり、不動産会社は仲介や管理などを請け負うポジションです。
しかし、サブリース契約の場合、不動産会社が管理・運営する権利も含めて一棟丸ごと借り上げるため、運営者は不動産会社となります。
サブリースの目的
サブリースの目的は、物件のオーナーと借り上げる不動産会社で異なります。それぞれの主な目的には、以下のようなことがあります。
サブリースの主な目的
物件のオーナー:管理・運営の手間を減らす、安定した収入の獲得、空き部屋リスクの回避
不動産会社:自社ノウハウを活かし、管理・運営の手間を減らす
サブリースは毎月定額で契約するのが一般的です。これは、入居者の数に関係なく一定で、多くのオーナーは安定収入を目的に契約を結びます。
一方、不動産会社は、自社ノウハウを活かし収益性を高めるためにサブリースを選択することが多いです。管理コストの圧縮や効率的な集客など、運営次第で収益が上がるため、不動産会社にとっては腕の見せ所です。
一般的なサブリース契約のメリット・デメリットとは
サブリース契約のメリット・デメリットは、物件のオーナーと不動産会社それぞれ異なりますが、ここでは、物件のオーナーにとってのメリット・デメリットを解説します。
物件オーナーにとってのサブリース契約の主なメリット・デメリット
メリット | デメリット |
---|---|
空室リスクや、家賃滞納のリスクを回避できる | 手数料がかかるため賃貸収入を最大化できない |
面倒な賃貸管理を軽減できる | 借り手を選べないリスクがある |
確定申告などの手続き負荷を軽減できる | オーナーからの解約が容易でない |
賃貸物件のよく挙げられるリスクに空室リスクがあります。また、管理・運営の手間や、複数人からの収入を帳簿付けする手間なども負担となります。
サブリース契約では、これらのリスクや手間を解消し、毎月定額収入が得られるメリットがあります。ただ、不動産会社に負担を多く背負ってもらう都合から、費用面を主としたデメリットがあることも確かです。
自分の物件が本当にサブリース契約に向いているのか、メリット・デメリットをそれぞれチェックしていきましょう。
メリット
・空室リスクや、家賃滞納のリスクを回避できる
物件のオーナーにとって、サブリース契約は空室リスク無しで毎月定額を得られる契約形態です。さらに、個々の利用者を相手にする場合に付いて回る家賃滞納のリスクも回避できます。
つまり、物件を貸し出している不動産会社に問題が無い限り、安定した収入が継続的に得られます。不動産会社の資金繰りが上手くいかなくなったり、破綻したりといったリスクはありますが、個々の利用者を相手にするより発生するリスクは低いと考えられます。
・面倒な賃貸管理を軽減できる
物件の管理・運営はすべて不動産会社が行うため、物件のオーナーは物件の細々した問題に対応する必要はありません。そのため、利用者との話し合いやトラブル対応などをしたくない方に向いていると言えるでしょう。
参考に、物件のオーナーが運用する場合の主な仕事を紹介します。
・入居者の審査や契約など ・入居者の募集 ・賃料の集金や滞納の催促など ・共用部分の清掃や修繕など ・入居者からの要望・クレーム対応 ・退去後の修繕やクリーニングなど |
物件のオーナーがすべき仕事は意外と多岐にわたります。管理に割く手間や時間を節約できる点も、サブリースが優れている点です。
・確定申告などの手続き負荷を軽減できる
物件のオーナーは、毎年の収入を帳簿に付け、翌年に確定申告をする必要があります。このとき、複数の利用者がいた場合、それぞれからの家賃や敷金・礼金などを日付ごとに記載し、適切に計上しなくてはいけません。また、会計を管理を税理士に委託する方もいると思います。
しかし、サブリース契約を結んだ場合、収入元は1社のみとなるため、収入・支出の回数が大幅に少なくなり、帳簿付けの手間を大きく減らせます。確定申告の手間を減らしたい方や、確定申告が苦手な方、税理士に委託する費用を節約したい方などにメリットがあると言えます。
デメリット
・手数料がかかるため賃貸収入を最大化できない
サブリース契約では、管理・運営の手間を不動産会社に負担してもらうため、収益の取り分は、自分で運営する場合より少なくなります。
通常、自身がオーナーである場合は、賃料の95%程度がオーナーの取り分となりますが、サブリース契約の場合は80~90%程度がオーナーの取り分となります。
・借り手を選べないリスクがある
サブリース契約では、不動産会社に管理・運営の権利があるため、オーナーが入居者の管理・審査をすることはできません。そのため、自分の意に沿わない利用者が入居した場合でも、止めることはできません。また、オーナーが特定の人を優先して入居させることもできません。
そのため、入居者の入居可否を自ら決めたい方や、周囲からの評判を気にする方などは、デメリットが大きくなるかもしれません。
・オーナーからの解約が容易でない
サブリース契約を結ぶときに特に気を付けたいのが、簡単には解約できないことです。これは、不動産会社がオーナーからの借主になると同時に、個別の利用者に対する貸主になるためで、通常、オーナーが契約を解約したい場合でも、不動産会社が同意しないと解約することはできません。
これには、借地借家法という法律が関係しています。借地借家法においては、通常、立場が弱い借主が保護される側面があり、借主が賃借権を登記している場合、その権利を主張できたり、貸主からの解約に正当事由が必要だったりと、突然の解約ができないようになっています。
ちなみに、正当な事由の例としては、一般的に以下のような事項が挙げられます。
・やむを得ず物件を売却する必要がある ・物件の老朽化により取り壊す必要がある ・オーナー自身やその親族が物件に居住する ・物件の立ち退き料を支払う |
ただ、これらは法律で個別に定められているわけではありません。上記に該当する事由がある場合でも、不動産会社と個別に協議をし、場合によっては弁護士への依頼や民事調停手続きなどが必要になる可能性があります。
空き家をサブリースで活用することのメリットは多数
ここからは、空き家をサブリースで活用した際の具体的なメリットを紹介します。
メリット①:手間や負担が少なくなる
空き家を貸し出す場合、アパートやマンションよりも貸し出す範囲が広く、駐車場や庭、給排水設備など、さまざまな箇所の管理対応が必要になる可能性があります。しかし、サブリース契約をした場合、これらも含めて不動産会社が対応してくれるので、オーナー様の手間や負担を大きく減らすことができます。
特に、空き家を複数所有している場合はありがたいポイントといえるでしょう。また、これから複数の空き家を運用したいと考えている方にとっては、管理のハードルを下げてくれるメリットではないでしょうか。
メリット②:一定の収入を得られる
空き家をサブリース契約した場合、空き家賃貸の大きなリスクである空き部屋率を気にする必要が無くなります。
空き家はアパートやマンションと違って、一棟に付く借り手は1人のみであるため、借り手が付かなかった場合、空き部屋率が100%となってしまいます。借り手がいないときでも、固定資産税や都市計画税などの税金は納める必要がありますし、ガスや電気などの固定費も支払う必要があります。
サブリース契約を結べば、これらのリスクを回避することができます。自身の取り分が少し減っても、費用面のリスクを負いたくない方は、サブリースが向いていると言えるでしょう。
メリット③:資産価値の向上のきっかけになる
使われていない空き家は老朽化が進みやすく、当然ながら放置していては資産価値の向上は見込めません。しかし、サブリースする空き家を活用にあたってリノベーションすれば、資産価値向上に繋がります。
ただ、リノベーションには100万円以上の費用が掛かることも珍しくなく、初期費用の高さから、断念するケースも多いです。不動産会社によっては、空き家を借り上げたあとに自社負担でリノベーションを行う場合もあるので、自己負担を抑えて資産価値を向上させるチャンスとなります。
特に、空き家活用を専門に取り扱っている「アキサポ」の場合、リノベーション工事の費用はアキサポが全額負担(※)する前提で事業を進めていきます。集客や管理・運用も含めてアキサポが費用を負担しますので、空き家のオーナー様が気軽に賃貸を始められる体制が整っています。
※ 建物の状況等によっては、一部費用のご負担をお願いする場合があります。
メリット④:空き家のベストな使い道を見つけられる
不動産会社のノウハウを活かして、空き家ごとに最適な使い道を見つけられるのもサブリースのメリットです。
空き家の活用方法を考えたとき、ポイントとなるのが立地や建物の特徴といった個別条件です。例えば、住宅地にあればシェアハウスやコインランドリーが考えられますし、オフィス街に近ければシェアオフィスやコワーキングスペースなどが選択肢として考えられます。
これらの使い道を考える際には、事前に市場や競合を調査する必要があります。個人で調査をするのは難しいですが、数々の物件を管理・運用している不動産会社であれば、比較的容易です。
ちなみに、不動産会社を選ぶポイントは、「アキサポ」のように、空き家を専門に取り扱っている会社を選ぶことです。なるべく空き家活用のノウハウや実績を多く持っている会社を選び、効果的な活用方法を提案してもらいましょう。
空き家を自己負担0円でリノベーションし、サブリースする方法
サブリース契約で気を付けないといけないことが、リノベーションや修繕などの費用負担です。不動産会社によっては、サブリース開始前に必要となるリノベーションや修繕などの費用が、オーナー負担となっているケースがあるのです。
これらの費用は、100万円を超えることが一般的であるため、後に取り戻せるとしても、大きな負担であることは間違いありません。
そんな負担を負いたくない方におすすめなのが、空き家活用サービスの「アキサポ」です。アキサポはリノベーションや修繕などの初期費用もアキサポ側で負担するため、オーナー様は自己負担0円(※)でサブリースを始められます。
初期費用の大きさからサブリースを諦め、その後空き家を放置してしまうと、空き家の資産価値が下がってしまうことも懸念されます。そうなる前に、気軽に始められる「アキサポ」に一度ご相談いただければと思います。
事例多数!空き家のサブリース成功事例
ここからは、「アキサポ」を活用して空き家のサブリースに成功した事例を3つ紹介します。空き家のリスクとして絶対に避けたい「特定空き家」の認定を回避した例もありますので、空き家の放置や老朽化に頭を悩ませている方もぜひチェックしてみてください。
事例①:「特定空き家」認定寸前の空き家を美容室へ再生
建築年月 | 不詳 |
延床面積 | 47.75㎡ |
構造 | 木造瓦葺2階建 |
活用事例 | 美容室 |
東京都品川区の京浜急行電鉄「立会駅」から徒歩2分という好立地にありながら、約20年間空き家状態になっていた物件です。
内外装が劣化・破損しているうえに、建物が傾いていたり、不法投棄もされていたりと、かなり状態が悪くなっていましたが、壁や屋根、土間打ちや構造体補強工事など、大幅なリノベーションを実施したことで、改めて利用可能な状態まで回復させることができました。
元々美容室として使われていた物件で、周囲に美容室がないことから、リノベーション後も美容室として使うことに。一時は特定空き家に認定される一歩手前まで行きましたが、アキサポにご相談いただいたことで、20年越しに新たな美容室として生まれ変わることとなりました。
事例②:母から受け継いだアパートは面影を残して新たな賃貸住宅へ
建築年月 | 1972年4月 |
延床面積 | 39.74㎡ |
構造 | 木造2階建 |
活用事例 | 賃貸アパート |
オーナー様がお母さまから受け継いだアパートをリノベーションし、活用に成功した例です。古い建物であることや、風呂がついていなかったことがネックでしたが、リノベーションにより、内装を新築さながらに一新。
さらに、ユニットバスを設置することで、オーナー様から「こんな綺麗にしてもらってお母さんも喜ぶわ…」と言っていただけるほど。
ちなみに、外装は思い出のある元のイメージを残して再塗装することに。建物のイメージを残しつつ、物件をよみがえらせることに成功しました。
事例③:ポイントを抑えたリノベーションを施し新たなご家族へ
建築年月 | 1983年6月 |
延床面積 | 127.54㎡ |
構造 | 木造瓦葺平屋建 |
活用事例 | 戸建て住宅 |
空き家を相続した方から、空き家活用を相談された事例です。相談いただいた時点で内装の表層リフォームが済んでいたため、アキサポでは水回りや一部倉庫などのリノベーションのみ行いました。
元の状態が良かったこともあり、ピンポイントなリノベーションだけでも、すぐに利用者が決まりました。
サブリースにする際の注意点
最後に、サブリース契約を結ぶ前に覚えておきたい注意点を5つ紹介します。サブリース契約は不動産会社によって契約条件が異なるため、気を付けないと思わぬ落とし穴にはまってしまう可能性があります。
・費用の負担割合や分担 サブリース契約開始前の修繕・リノベーション費用や、運営中にかかるクリーニングや修繕費用などは誰が負担するのか ・免責期間の有無 入居者の退居後、一定期間の間、不動産会社がオーナーに賃料を支払わなくてよいとされる免責期間が設定されているか ・賃料減額の可能性 入居率や建物の築年数に応じて賃料が減額される見込みはあるか ・解約時の違約金額 オーナー都合による解約を申し出た場合の違約金はいくらか ・契約期間や見直し時期のスパン 契約年数は何年か、また、途中で契約条件の見直しは発生するか |
これらの注意点は、いずれもオーナーの負担を定めた事項です。月々得られる賃料だけを見てしまうと、思わぬ負担に気付かない危険性も。
入ってくるお金と出ていく可能性があるお金の両方にしっかり目を向け、また、将来発生しうるリスクについても把握しておきましょう。
ちなみに、サブリース契約を結ぶ前の条件として、不動産会社はオーナーに対して、将来の借り上げ賃料の変動に関する条件を重要事項として説明することが義務付けられています。サブリース契約の不安が大きい方は、消費者庁が発行している注意喚起文書にも目を通しておきましょう。
サブリース契約に関するトラブルにご注意ください!(消費者庁)
空き家のサブリースに関するまとめ
サブリース契約は空室リスクを抑えて、毎月定額の賃料を得られる方法です。条件が合致すれば「安定・安心」を提供してくれますが、サブリースならではのデメリットや注意点があることも忘れてはいけません。
また、空き家のサブリースは、アパートやマンションよりも管理負担の軽減幅が大きいことや、1棟貸しだからこそ気を付けたい空き部屋リスクを回避できるとあり、メリットが大きい方法です。
参入ハードルとなりやすい、リノベーションや修繕費用も、「アキサポ」を活用すれば自己負担0円(※)に抑えられるので、対策は十分可能です。
また、アキサポでは、サブリース以外にも、空き家活用に関するさまざまな疑問やお悩みに親身に対応しております。まずはざっくばらんな相談からでもOKですので、お気軽にお問い合わせください。
※ 建物の状況等によっては、一部費用のご負担をお願いする場合がございます。