公開日:2024.05.17 更新日:2026.06.12
空き家の固定資産税が最大6倍になるのはいつから?法改正と税金の関係
2023年12月13日に、管理状態が悪い空き家を減らすための「改正空家対策推進特措法(正式名称:空家等対策の推進に関する特別措置法)」が施行されました。このことにより、放置している空き家の固定資産税が最大6倍に増えてしまうおそれがあることが話題になっています。
空き家を放置することがなぜ税金が増えることにつながるのか、ここでは空き家にかかる固定資産税や都市計画税について解説します。
目次
不動産を所有することでかかる税金の種類

不動産を所有している限り、居住者がいなくても固定資産税と都市計画税が毎年課されます。空き家も例外ではありません。
固定資産税は、毎年1月1日時点の土地・家屋・償却資産の所有者に課される地方税です。都市計画税は、主に市街化区域内の土地・家屋の所有者に課される地方税で、都市計画事業の財源となります。
<固定資産税額の計算式>
固定資産税額 = 固定資産税評価額(課税標準額)× 1.4%(標準税率)
<都市計画税額の計算式>
都市計画税額 = 固定資産税評価額(課税標準額)× 0.3%(制限税率)
固定資産税の標準税率1.4%は全国共通の目安ですが、自治体の判断により1.5%・1.6%など上回る税率を設定するケースもあります。都市計画税の制限税率0.3%は上限であり、これより低い税率を設定している自治体もあります。
住宅用地は特例により軽減措置の対象となる
| 敷地区分(住宅用地特例) | 固定資産税の減額幅 | 都市計画税の減額幅 | 建物解体後のリスク |
|---|---|---|---|
| 小規模住宅用地(200㎡以下) | 6分の1に減額 | 3分の1に減額 | 更地にすると特例から外れ、土地の税金が実質増税となる |
| 一般住宅用地(200㎡超の部分) | 3分の1に減額 | 3分の2に減額 | 更地にすると特例から外れ、土地の税金が実質増税となる |
住宅用地には「住宅用地特例」が適用され、固定資産税と都市計画税が軽減されます。空き家も「住宅が建っている土地」として、原則この特例の対象です。
小規模住宅用地(200㎡以下の部分)は固定資産税が1/6・都市計画税が1/3に、一般住宅用地(200㎡を超える部分)は固定資産税が1/3・都市計画税が2/3に軽減されます。
<小規模住宅用地に対する固定資産税額の計算式>
固定資産税額 = 固定資産税評価額 × 1/6 × 1.4%
<小規模住宅用地に対する都市計画税額の計算式>
都市計画税額 = 固定資産税評価額 × 1/3 × 0.3%
<一般住宅用地に対する固定資産税額の計算式>
固定資産税額 = 固定資産税評価額 × 1/3 × 1.4%
<一般住宅用地に対する都市計画税額の計算式>
都市計画税額 = 固定資産税評価額 × 2/3 × 0.3%
ただし、2023年12月施行の改正空家法により、「管理不全空き家」または「特定空き家」に指定され自治体から勧告を受けた場合は、住宅用地特例の適用対象から除外されます。その結果、固定資産税が最大6倍になる可能性があるため、空き家を放置し続けることは大きなリスクとなります。
また、空き家を解体して更地にした場合も住宅用地特例が外れます。建物分の税はなくなりますが、土地の固定資産税が最大6倍・都市計画税が最大3倍になるケースがあり、解体工事費用も加わるため、更地化は慎重な検討が必要です。
放置している空き家の固定資産税は、なぜ最大6倍になる?
空き家を放置すると固定資産税が最大6倍になる理由は、自治体から「特定空き家」や「管理不全空き家」に指定されて勧告を受けると、土地にかかっていた「住宅用地特例」の軽減措置(最大6分の1に減額)が解除されてしまうためです。
空き家の増加は深刻な社会問題
総務省「令和5年住宅・土地統計調査(確報集計)」によると、2023年時点の空き家総数は900万2千戸・空き家率13.8%と、いずれも過去最高を更新しました。このうち賃貸・売却用などを除いた「その他空き家(使用目的のない空き家)」は385万6千戸に達し、5年前の2018年比で約37万戸増加しています。
放置された空き家は、建物の崩壊・火災・不法侵入などの安全リスクを高めるだけでなく、景観悪化や地域の活気低下にも直結します。増加の背景には人口減少・少子高齢化・都市部への人口集中に加え、「管理が難しく放置している」「解体費用が高い」「更地にすると固定資産税が上がる」といった所有者側の事情も複合的に重なっています。
危険な空き家は軽減措置から外れることに
2023年12月13日施行の改正空家等対策特別措置法により、放置空き家へのペナルティが大幅に強化されました。従来の「特定空き家」に加え、その前段階にあたる「管理不全空き家」に指定され自治体から勧告を受けた場合も、固定資産税の住宅用地特例(最大1/6軽減)が解除されます。特例が外れると固定資産税は最大6倍に跳ね上がる可能性があり、所有者にとって看過できないリスクとなっています。
固定資産税が最大6倍になる空き家の種類
あらためて、固定資産税が最大6倍になる可能性のある空き家とはどのような空き家なのでしょうか。ここでは、「特定空き家」と「管理不全空き家」について、詳しくご説明します。
特定空き家
特定空き家は、2015年施行の空家等対策の推進に関する特別措置法により使用され始めた用語です。条件を列挙すると、下記の状態の空き家が該当します。
<特定空き家に該当する空き家の状態>
- 著しく保安上危険となるおそれのある状態
- 著しく衛生上有害となるおそれのある状態
- 適切な管理が行われていないことにより、著しく景観を損なっている状態
- そのほか、周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
管理不全空き家
管理不全空き家は、2023年施行の空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律で新設された空き家の区分です。これは、「現状のまま放置すれば、いずれ特定空き家になるおそれのある空き家」を指します。
特定空き家の増加を未然に防ぐために、自治体である市区町村長が指導・勧告の対象とする、いわば特定空き家予備軍です。
自治体による空き家の認定から行政代執行までの流れ
実際に、特定空き家や管理不全空き家に認定されたら、どのタイミングで軽減措置が外されるのでしょうか。特定空き家や管理不全空き家に認定されてから軽減措置が外れ、さらに行政代執行が行われるまでの流れを解説します。
増税から行政代執行までの5ステップ
特に注意が必要なのはSTEP 03の「勧告」です。この時点で固定資産税の軽減が解除されるため、気づかないうちに税負担が跳ね上がっていたというケースも少なくありません。
行政代執行(STEP 05)に至った場合、解体費用は全額が所有者に請求されます。数十万〜数百万円規模になるケースもあり、手遅れになる前の早期対応が不可欠です。
よくある質問
空き家の固定資産税が最大6倍になる前に「アキサポ」に相談を
特定空き家・管理不全空き家に認定されると固定資産税の軽減措置が解除され、放置を続けると過料や行政代執行へと発展します。
「うちの空き家は大丈夫かな」と少しでも気になったら、早めに動くことが一番の対策です。
活用・売却・管理など、どんなお悩みでもアキサポにお気軽にご相談ください。
この記事の監修者
白崎 達也 アキサポ 空き家プランナー
一級建築士
中古住宅や使われなくなった建物の再活用に、20年以上携わってきました。
空き家には、建物や不動産の問題だけでなく、心の整理が難しいことも多くあります。あなたが前向きな一歩を踏み出せるよう、心を込めてサポートいたします。