公開日:2024.06.20 更新日:2024.06.20
空き家の相続登記が2024年4月から義務化に!背景や流れなどを解説
2024年4月1日から、「相続登記の義務化」がスタートしました。これにより、相続によって不動産を取得した相続人は、3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。つまり、空き家を相続した場合も、相続登記を行うことが必要となります。
そこで今回は、相続登記の義務化の概要と背景、相続登記の流れなど、知っておくべきポイントを解説します。
目次
相続による不動産の取得を知った日から、3年以内に相続登記が必要
相続登記の義務化は、不動産の所有権が相続によって移転する場合に、相続人が一定期間内に相続登記の申請を行うことを法的に義務付けるものです。
相続によって不動産を取得した相続人は、その取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。遺産分割が成立した場合も、その成立日から3年以内に相続登記を申請することが義務付けられています。
正当な理由なく登記を怠った場合は、10万円以下の過料の適用対象となります。
この制度の施行日は2024年4月1日ですが、この日より前に相続され、いまだ相続登記がされていない不動産は、2027年3月31日までに登記を完了させる必要があります。
相続登記が義務化された背景
相続登記の義務化は、相続による不動産の所有権変更を公的な記録にしっかりと反映させ、法的な紛争を未然に防ぐことを目的として開始されました。
相続登記が義務化されるに至った最も大きな要因は、「所有者不明土地」の増加にあります。所有者不明土地とは、不動産登記簿上で所有者がすぐに判明しない土地、または所有者が判明してもその所在が不明で連絡がとれない土地のことです。
所有者不明土地による問題
所有者不明土地によって、さまざまな問題が発生しています。例えば、所有者不明土地は、公共事業や災害復旧・復興事業の推進を妨げる大きな障壁となります。所有者を特定して連絡をとることができないため、こうした土地の利用や処分が進まず、プロジェクトが遅延する原因となってしまうからです。
また、所有者がわからず放置された土地は、周囲の環境にも悪影響を及ぼしかねません。適切な管理が行われない状態が続くと、害虫・害獣の発生やゴミの不法投棄などが多く起こります。その結果、隣接する土地の価値までも低下させてしまうこともありうるのです。
所有者不明土地が発生する原因
所有者不明土地が発生する原因の約3分の2は、相続登記の未了であるといわれています。
これまで、相続登記の申請は義務ではなく、申請しなくても相続人が不利益を被ることはほとんどありませんでした。また、相続した不動産の価値が低く、売却するのも難しい場合、所有者の申請に対するモチベーションが低くなるということも、相続登記がされない理由として挙げられます。
相続登記の申請を義務化する法改正は、こうした事情に着目して行われました。義務化により迅速に相続登記が行われ、土地の適切な管理と利活用が進むことが期待されます。
遺産分割に時間がかかる場合は、相続人申告登記を行う
相続登記が義務化されたといっても、相続登記をすぐに行うことが難しいケースもあります。その場合は、「相続人申告登記」を不動産の相続を知った日から3年以内に行う必要があります。
相続人申告登記とは、相続により不動産の所有者が変わった際、相続人がみずからを相続人であることを申し出て、その情報を登記簿に記載する手続きです。この制度は、すぐに相続登記を完了できない状況に対応するために設けられました。
具体的には、遺産分割協議がまとまらない場合や、相続人が多くて調査や連絡に時間がかかる場合に、相続人申告登記が役立ちます。この登記を行うことで、相続人としての地位を登記簿に反映させることが可能になり、遺産分割が完了するまでのあいだ、法的な問題を避けることが可能になります。相続人申告登記によって、一時的に相続登記の義務を果たしたとみなされるというわけです。
ただし、先述したとおり、遺産分割協議が成立したら、その成立日から3年以内に、その内容を踏まえた相続登記の申請を行わなければなりません。
相続登記の流れ
相続登記は、実際にどのように行えばいいのでしょうか。ここでは、遺産分割協議によって不動産相続をする場合の、相続登記の一般的な流れをご紹介します。
1.相続する不動産を特定する
まずは、相続対象となる不動産を特定するため、登記事項証明書または登記簿謄本にある内容から、亡くなった方名義の不動産の詳細情報を確認します。
不動産は、土地、家屋に分けて登記されています。土地は1つの敷地として利用していても、いくつかの筆(ひつ・ふで:登記簿において1つの土地を指す単位)に分かれていることがあるので注意しましょう。土地の所在や土地の面積、家屋の床面積、建物の構造、さらに共有名義の有無などの権利関係もチェックします。
登記事項証明書や登記簿謄本がない場合は、管轄の法務局で入手して調べることができます。物件にもよりますが、オンラインでの閲覧や申請も可能です。
2.不動産を引き継ぐ方を決める
相続人のあいだで、不動産を含む遺産をどのように分けるかという遺産分割協議を行い、遺産の分配を決定します。この協議によって、不動産を誰が引き継ぐのかについても決まることになります。
相続人全員が合意に達した遺産分割の内容は、遺産分割協議書にまとめ、相続人全員が署名・捺印をします。
3.必要書類の準備・作成を行う
ここから先のステップは、不動産を相続することが決まった方によって行われます。
相続登記を申請するためには、登記申請書を作成する必要があります。登記申請書は、法務局のウェブサイトから書類の様式をダウンロード可能です。記載例をもとに必要事項に記入して作成します。
また、登記申請書を提出する際は、亡くなった方の戸除籍謄本と、遺産分割協議に携わったすべての相続人の戸籍謄本、遺産分割協議書、不動産を相続した全員の住民票の写しなど、複数の公的書類の添付が必要です。
法務局による法定相続情報証明制度の手続きを行い、法定相続情報一覧図(相続関係を一覧に表した図)の写しが法務省から交付されている場合には、登記申請書の添付情報欄に、写しに書かれている法定相続情報番号を記載すれば、亡くなった方の戸除籍謄本と、遺産分割協議に携わったすべての相続人の戸籍謄本の添付は不要となります。
4.登記申請をする
すべての書類をそろえたら、相続する不動産の場所を管轄する法務局へ登記申請を行います。直接窓口で申請する方法以外に、郵送やオンラインでも申請することが可能です。
登記申請書には、必要な登録免許税を納付するための収入印紙を添付します。収入印紙は郵便局や法務局で購入できます。登記申請書と添付書類など一式を提出すれば、申請終了です。
その後、審査と登記が完了するまでには、通常1週間~10日ほどを要します。無事に登記が完了すると、登記完了証と登記識別情報通知書が発行されます。
相続した空き家の有効活用は「アキサポ」がお手伝いします
ご親族が亡くなって不動産の相続人になったときは、「相続登記の義務化」という新しいルールにより、相続したことを知った日から3年以内に相続登記をしなければなりません。
相続財産の中に空き家があった場合も、相続登記を行う必要があります。所有権を前の所有者から相続人に移転し、名義変更を行わないと、売却する・賃貸に出すといった空き家の活用を行うことができません。
株式会社ジェクトワンが運営する「アキサポ」は、空き家に関するさまざまなお悩みにお応えする空き家解決サービスです。お持ちの空き家についてご相談いただければ、活用や売却などさまざまな選択肢の中から最適なプランをご提案します。
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