公開日:2024.06.20 更新日:2026.07.08
空き家売却で失敗しない注意点3つ|名義・抵当権・税金を解説
空き家の売却で特に押さえておきたい注意点は、「登記簿上の名義人が契約すること」「住宅ローン完済後の抵当権抹消登記」「譲渡所得税など税金・費用の把握」の3点です。この3つを知らないまま進めると、契約が滞ったり、思わぬ出費でトラブルに発展したりすることがあります。
逆に言えば、この3点さえ押さえておけば、空き家の売却は落ち着いて進められます。ここからは、それぞれの注意点を具体的に解説します。空き家の売却を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
目次
注意点1:登記簿上の名義人が売買契約を行う必要がある

空き家を売却できるのは、登記簿に記載された名義人だけです。所有者と名義人が異なる不動産は、原則として売却できません。
不動産の登記簿には、所有権などを持つ名義人が記載されています。空き家を売る際は、この名義人が契約を行う必要があるため、名義が異なる場合はまず名義変更を済ませましょう。特に相続した空き家は注意が必要です。相続登記は2024年4月1日から義務化され、正当な理由なく取得を知った日から3年以内に登記しないと、10万円以下の過料の対象になります(売却の有無にかかわらず必要な手続きです)。
なお共有名義の場合は、基本的に共有者全員の合意で売却しますが、自分の持分のみを第三者へ売却することも可能です。
出典:法務省「相続登記の申請義務化特設ページ」
注意点2:抵当権抹消登記をする必要がある
住宅ローンを利用していた空き家は、売却前に抵当権抹消登記が必要です。抵当権が残ったままの物件は、買い手がつきにくいためです。
抵当権抹消登記とは、住宅に設定された抵当権を消すための登記です。ローンを借りる際、返済が滞ったときに備えて金融機関が抵当権を設定しますが、完済しても登記を行わなければ抵当権は登記上に残り続けます。手続きは司法書士に依頼するのが一般的ですが、自分で行うことも可能です。
抵当権抹消登記は、ローン完済後すみやかに行うのが得策です。放置すると必要書類を紛失したり、銀行の統廃合で手続きが煩雑になったりする恐れがあります。ローンを返し終えた空き家をお持ちなら、売却の意向にかかわらず早めに済ませておきましょう。
なお、空き家の売却益でローンを完済する予定の場合は、事前の抹消登記ができません。この場合は、売買代金の受け渡しと同時に抵当権の抹消手続きを行います。
注意点3:空き家の売却には税金や費用がかかる
空き家の売却では、譲渡所得税・相続登記費用・印紙税・仲介手数料・撤去費用などの税金や費用が発生します。売却額の全額が手元に残るわけではないため、これらを差し引いた手取り額を前提に資金計画を立てることが大切です。
空き家の売却で発生する税金や費用は、下記のとおりです。
| 税金・費用の種類 | 内容 | 目安 |
|---|---|---|
| 譲渡所得税 | 売却益(譲渡所得)にかかる税金 | 所有期間で税率が変動(下表) |
| 相続登記費用 | 相続で名義変更する際の登録免許税・書類取得費など | 司法書士報酬は5万〜15万円程度 |
| 印紙税 | 売買契約書に貼付する印紙代 | 契約金額に応じて変動(下表) |
| 仲介手数料 | 不動産会社へ支払う成功報酬 | 物件価格に応じて変動(下表) |
| 家具などの撤去費用 | 内見前の残置物処分費 | 数万〜数十万円 |
譲渡所得税
譲渡所得税とは、空き家などの不動産を売却して得た利益(譲渡所得)にかかる税金です。売却額そのものではなく、そこから取得費・譲渡費用を差し引いた「利益」に対して課される点がポイントです。
譲渡所得税額と譲渡所得は、それぞれ次の式で計算します。
<譲渡所得税額の計算式>
譲渡所得税額 = 譲渡所得 × 所定の税率
<譲渡所得の計算式>
譲渡所得 = 譲渡収入金額 −(取得費 + 譲渡費用)
譲渡収入金額は、売却によって実際に受け取った金額です。取得費には購入代金・仲介手数料・印紙代・登記費用などが、譲渡費用には売却時の仲介手数料・印紙代などが含まれます。
税率は所有期間で変わり、長期譲渡所得(売却した年の1月1日時点で所有期間5年超)は20.315%、短期譲渡所得(同5年以下)は39.63%です。
なお、相続した空き家を売る場合は「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」により、譲渡所得から最高3,000万円(相続人が3人以上のときは1人あたり2,000万円)を控除できる可能性があります。適用には、昭和56年5月31日以前建築・区分所有でない・相続から譲渡まで空き家であったなどの要件を満たし、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで、かつ2027年12月31日までに売却することが必要です。要件が細かいため、利用を検討する際は税務署や専門家に確認しましょう。
譲渡所得税を計算する3ステップ
譲渡所得(売却益)を求める
譲渡収入金額 −(取得費 + 譲渡費用)
所有期間に応じた税率をかける
長期(5年超):20.315% / 短期(5年以下):39.63%
譲渡所得税額が決まる
譲渡所得 × 所定の税率 = 譲渡所得税額
所有期間は「売却した年の1月1日時点」で判定します。5年を境に税率が約2倍変わるため、売却時期の見極めが重要です。
<譲渡所得税の税率>
| 区分 | 所有期間(売却年1月1日時点) | 税率 |
|---|---|---|
| 長期譲渡所得 | 5年を超える | 20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%) |
| 短期譲渡所得 | 5年以下 | 39.63%(所得税30%+復興特別所得税0.63%+住民税9%) |
出典:国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」
相続登記費用
前述したとおり、空き家をはじめとする不動産を売却する場合は、登記簿に記載されている名義人が契約を行う必要があります。
空き家を相続した場合は、相続登記を行うことで名義が変更されます。特に、2024年4月1日からは、相続登記が義務化されたので、売却するかしないかにかかわらず、相続登記を行わなければいけません。
相続登記を申請する際には、亡くなった方の戸除籍謄本と、遺産分割協議に携わったすべての相続人の戸籍謄本といった必要書類を添付する必要があるので、書類を取得するための費用がかかります。
また、登記申請書を法務局に提出する際には、登録免許税を納付するための収入印紙を購入し、添付しなければなりません。
なお、相続登記を司法書士に依頼する場合は、別途司法書士に支払う報酬が生じます。金額は依頼する司法書士や依頼内容によって異なりますが、5万~15万円程度が相場です。
印紙税
不動産の売却時は、不動産売買契約書を作成して規定の印紙を貼付しなければいけません。印紙代は、契約金額に応じて下記のように決められています。
■契約書に記載された契約金額ごとの印紙税額
| 契約金額 | 通常の税率 | 軽減税率(※) |
|---|---|---|
| 1万円未満 | 非課税 | 対象外 |
| 1万円超〜10万円以下 | 200円 | 対象外 |
| 10万円超〜50万円以下 | 400円 | 200円 |
| 50万円超〜100万円以下 | 1,000円 | 500円 |
| 100万円超〜500万円以下 | 2,000円 | 1,000円 |
| 500万円超〜1,000万円以下 | 1万円 | 5,000円 |
| 1,000万円超〜5,000万円以下 | 2万円 | 1万円 |
| 5,000万円超〜1億円以下 | 6万円 | 3万円 |
| 1億円超〜5億円以下 | 10万円 | 6万円 |
| 5億円超〜10億円以下 | 20万円 | 16万円 |
| 10億円超〜50億円以下 | 40万円 | 32万円 |
| 50億円超 | 60万円 | 48万円 |
| 契約金額の記載のないもの | 200円 | 対象外 |
※2014年4月1日~2027年3月31日に作成された不動産の譲渡に関する契約書に適用。
仲介手数料
空き家を売却する際は、一般的に不動産会社に依頼して購入者を探してもらいます。購入者が決まった場合は、物件価格に応じた仲介手数料を支払わなければいけません。
仲介手数料の法定上限額は以下のように設定されています。
<仲介手数料の法定上限額>
| 物件価格(税抜) | 仲介手数料の法定上限額 |
|---|---|
| 200万円以下 | 物件価格の5%+消費税 |
| 200万円超〜400万円以下 | 物件価格の4%+2万円+消費税 |
| 400万円超 | 物件価格の3%+6万円+消費税 |
低廉な空き家等の売買では、特例として通常の上限を超えた仲介手数料を受け取れます。
2024年7月1日の改正で対象が「物件価格800万円以下」に拡大され、上限も「最大30万円(税込33万円)」へ引き上げられました。さらに、従来は売主のみだった請求対象が売主・買主の双方に拡大されています。適用には、媒介契約の締結前に不動産会社が依頼者へ報酬額を説明し、合意しておくことが条件です。
家具などの撤去費用
空き家を売却する際は、通常、家具などを撤去しておきます。購入希望者が購入後の状態をイメージしやすいよう、内見が入る前に処分しておくのがいいでしょう。
撤去にかかる費用は、荷物の量によって数万〜数十万円と幅があります。
空き家売却に関するよくある質問
空き家の売却を考えているなら「アキサポ」の利用がおすすめ!
空き家の売却では、押さえるべき注意点が3つあります。売却できるのは登記簿上の名義人であること、住宅ローン完済後は抵当権抹消登記が必要なこと、そして譲渡所得税や仲介手数料など複数の税金・費用がかかることです。特に相続した空き家は、2024年4月から義務化された相続登記を済ませないと売却に進めません。売却額の全額が手元に残るわけではないため、手取りを前提にした資金計画が欠かせません。
とはいえ、名義や税金、費用の見積もりを自分だけで判断するのは簡単ではありません。「相続した空き家を持て余している」「売れるのか、いくらになるのか分からない」という段階でも大丈夫です。
株式会社ジェクトワンが運営する空き家解決サービス「アキサポ」なら、売却・買取の相談から査定まで対応します。売るべきか迷っている段階からご相談いただけるので、まずはお気軽にお問い合わせください。
この記事の監修者
山下 航平 アキサポ 空き家プランナー
宅建士/二級建築士
ハウスメーカーにて戸建住宅の新築やリフォームの営業・施工管理を経験後、アキサポでは不動産の売買や空き家再生事業を担当してきました。
現在は、地方の空き家問題という社会課題の解決に向けて、日々尽力しております。