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公開日:2025.09.05 更新日:2025.07.29

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空き家問題の現状と解決策:日本が直面する課題を徹底解説

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近年、日本各地で増加する空き家が大きな社会問題となっています。人口減少や高齢化など、社会構造の変化によって住宅が放置されるケースが目立つようになり、景観や治安などの面で深刻な課題となっているのです。

では、空き家を所有している人は、この問題にどう対応すればよいのでしょうか。この記事では、空き家の定義や増加する背景、空き家が抱えるリスクや具体的な対策・管理方法などを詳しく解説していきます。

空き家問題とは?定義と増加の背景

空き家問題とは、日本全国に放置されたり老朽化したりしている空き家が増え続けている問題のことです。人口減少が進んだ2010年代から顕在化し始め、地域社会や不動産市場に与える悪影響の大きさから問題視されています。

空き家問題は国や全国の自治体も重要な課題としてとらえており、空家等対策の推進に関する特別措置法(空き家対策特別措置法)という法律を整備して対策にあたっています。

なお、ここで問題になる空き家の定義ですが、同法の中で「空家等」を「建築物又はこれに附属する工作物であ って居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地 (立木その他の土地に定着するものを含む。)をいう。」としています。

以上のことを踏まえて、まずは空き家問題の現状と社会的影響を見ていきましょう。

空き家の分類と現状統計

空き家は一括りにされがちですが、実際には空き家になっている原因によって分類されています。


代表的なのは「賃貸用空き家」「売却用空き家」「二次的住宅(別荘など)」「その他の空き家」の4分類で、特に問題視されているのが「その他の空き家」です。その他の空き家とは他の3種類に該当しない空き家のことで、個人が所有している空き家の多くがこれに該当します。

また、全国における空き家の総数ですが、総務省統計局の住宅・土地統計調査によると、2023年時点で全国の空き家数は900万戸、空き家率は13.8%となっています。特に地方部では空き家率が20%を超える自治体も珍しくなく、山梨県(20.5%)や和歌山県(21.2%)などがその例として挙げられます。

増え続ける空き家がもたらす社会的影響

空き家の増加を社会全体の枠組みで見ると、社会基盤や経済活動に影響を及ぼしていることが分かります。

たとえば、老朽化した住宅が目立つようになると、エリアを問わず景観価値が損なわれ、観光の振興や地方創生といった施策に悪影響を及ぼしかねません。国内外からの移住促進や投資誘致にも悪影響を及ぼす恐れがあります。

また、放置された空き家が増えると、放火や不法侵入、ゴミの不法投棄などの問題が増加し、治安の悪化や行政コストの上昇につながります。

さらに、空き家の長期的な放置は不動産の流通を停滞させたり、固定資産税の収入減につながったりする恐れもあります。これらのことから、空き家はもはや一地域の問題ではなく、日本全体の都市政策・防災対策・社会保障にも関係する複合的な課題として捉える必要があるのです。

空き家問題が深刻化する主な原因

空き家が増え続ける背景には、人口減少や少子高齢化、個人の経済的事情や相続事情など、多くの要因が含まれています。

空き家を減らしたいのであれば売却や解体をすればよいと思われがちですが、実際にはそう簡単ではありません。たとえば、相続した家を処分したくても、登記が完了していないと売却も解体もできませんし、思い入れのある家を売却したくない人もいます。相続した人が遠方に住んでいる場合、手入れや売却手続きを進めるのに大きな労力がかかることもあるでしょう。

さらに地方では、不動産の需要が少ないため買い手も借り手も見つからず、結果的に放置されやすくなっています。このように、複数の問題が絡み合って空き家問題を根深くしているのです。

人口減少と高齢化

日本の総人口は年々減少しており、2024年時点で14年連続のマイナス成長となっています。特に地方では若年層の都市部への流出が止まらず、その結果、家を継ぐ人がいないという問題が深刻化しています。

その一方で、65歳以上の高齢者の割合は増え続けており、2024年時点で29.3%を超え、高齢単身世帯も増えています。高齢者が施設に入ったり、亡くなった後に相続人が不明だったりすると、家がそのまま空き家になりがちです。

経済的要因と税制上の課題

空き家が放置される大きな要因の一つに、空き家の維持管理費や売却する際の手数料などの経済的な要因があります。

空き家を維持管理するには、固定資産税のほかに現地まで行く交通費や維持管理を委託した場合の委託費用、火災保険の費用などがかかります。これらを継続的に支出すると年間数十万円がかかる可能性があり、結果的に放置される場合があるのです。

維持管理費をかけない方法として売却がありますが、地方では不動産価格が下がり続けており、利益がほとんど出ないことも珍しくありません。このとき、空き家を解体してから売却しようとすると赤字になってしまう恐れもあります。

また、税制面においては固定資産税の優遇措置が空き家放置を助長している部分があります。家を解体して更地にすると、固定資産税の住宅用地特例が適用されなくなり税金が最大で6倍まで跳ね上がるため「壊すと損」という意識が所有者の判断を鈍らせているのです。

空き家が招くリスクとデメリット

地域に放置された空き家が増えると、以下のようなリスクやデメリットが発生します。

  • 治安や衛生面での問題
  • 火災や自然災害時のリスク
  • 不動産価値の下落と社会的損失

ここで理解したいのは、空き家の放置は見た目の問題だけでなく、地域にさまざまな悪影響をもたらすということです。それぞれ具体的な事例を含めて解説していきます。

治安や衛生面での問題

管理が行き届いていない空き家は、草木の繁茂や害虫・害獣の発生、さらにはゴミの不法投棄などの衛生トラブルが起きやすくなります。ボウフラの大量発生や異臭が発生すると近隣トラブルの火種となることも珍しくありません。

このような空き家は空き巣や不審者の隠れ場所として利用されることもあり、実際、警察庁の生活安全白書では、空き家に関連する放火・不審火の件数が増加傾向にあることが報告されています。

空き家の管理は、単なる個人の責任ではなく「地域全体の安全」に直結しています。空き家の所有者になったら、この点を意識して責任感を持って管理する必要があります。

火災や自然災害時のリスク

老朽化が進んだ空き家で特に気を付けたいのが、放火を中心とした火災のリスクや、地震や台風などの自然災害が起こった場合のリスクです。

まず火災ですが、空き家に多い木造住宅は火が燃え広がりやすいうえに、火の発見や通報が遅れることが多く、被害が拡大しやすいリスクも伴います。これは、消防庁の「火災の状況」といった統計において、空き家が放火による出火件数の上位にいることを踏まえると、非常に大きなリスクだといえるでしょう。

また、自然災害が発生した場合は、屋根や壁が破損したり、建物が倒壊したりするリスクがあります。これにより、近隣の建物や住民に被害が及ぶ恐れがありますし、隣接する道路を塞いでしまう可能性もあります。

特に災害時に優先的に利用される「緊急輸送道路」を塞いでしまった場合、緊急車両が通行できなくなり、より多くの人に影響を及ぼす恐れがあります。

不動産価値の下落と社会的損失

空き家を放置し続けると建物の状態が悪化し、不動産価値の低下につながります。住宅は日常的な手入れや定期的な通風をしないと急速に劣化が進んでしまいます。劣化が進むと売却も難しくなるので気を付けたいところです。

また、空き家が集中する地域では、周辺の不動産市場全体に悪影響を及ぼす恐れがあります。たとえば、隣接する空き家の見た目が悪かったり、放置されていたりすると、周辺環境の悪さを理由に購入希望者に敬遠される可能性が考えられます。

さらに、都市計画や再開発といった広域的な計画においても、権利関係が複雑化していたり、所有者が不明・連絡不能になっていたりする空き家が点在することで、地域の将来設計そのものが滞るといった弊害も考えられます。

空き家問題を解決するための具体的対策

空き家の問題は、状況によって適切な対処法が異なります。そのため、ひとつの解決策では対応しきれず、「行政支援の活用」「リフォーム」「売却・解体」など複数の選択肢を組み合わせる必要があります。

ここでは、これらの解決策の基本的な情報と使い方、どのような場合に有効なのかを紹介します。

行政や自治体の支援・補助金制度

空き家の売却を検討する場合に役立つのが、空き家の解体やリフォームに関する補助金制度です。空き家を除却して更地にしたり、水回りや外壁などをリフォームしたりしておけば、買い手がつきやすくなる可能性があります。

これらの制度は多くの自治体が導入しており、補助額は解体で上限50万円前後、リフォームはバリアフリー化や耐震改修など目的に応じて異なりますが、上限数十万円程度が多いです。


なお、補助金の内容や条件は自治体ごとに異なるため、事前に空き家のある自治体に確認しておく必要があります。

空き家バンクやリフォームによる活用

空き家バンクとは、自治体が空き家所有者と利用希望者をつなぐマッチングサービスです。不動産の需要が高い都市部のエリアでは導入されていないことが多いですが、それ以外のエリアでは多くの自治体が導入しています。

空き家バンクの大きなメリットは、サービスを無料で利用できることと、自治体が運営している信頼があることです。自治体が地域活性化のために力を入れているケースもあり、古民家をカフェや民泊施設、シェアハウス、コワーキングスペースなどに再活用する事例も増えています。

注意点としては、実際に買い手と契約を結ぶ際には不動産業者に仲介してもらう必要があるということと、買い手との交渉は個別に行う必要があるということです。事前に費用が発生する範囲と、自治体がサポートしてくれる範囲は把握しておきましょう。

解体をして更地の状態で売却する

空き家の状態が悪い場合や立地が良い場合は、リフォームするよりも思い切って解体する選択肢もあります。更地にすれば土地活用の選択肢が広がりますし、買い手が解体費用を負担する必要もありません。

ただし注意点として、住宅を解体すると固定資産税の軽減措置が外れ、税額が最大で6倍になる可能性があることは覚えておきましょう。これは、毎年1月1日時点で建物があるかどうかで判断されるので、軽減措置を外したくない場合は解体から売却までにかかる期間を想定してから解体日を決めることをおすすめします。

空き家管理のポイント

最後に、空き家管理の特に重要なポイントとして以下の2点を紹介します。

  • 定期的なメンテナンスと点検
  • 火災保険・地震保険の見直し

空き家を管理する際には、建物の状態を健全に保つこと、適切なリスク管理を行うこと、維持管理費を無理のない範囲に収めることが大切です。上記の2点を行うだけでも両方に十分な効果があるので、ぜひ検討してください。

定期的な点検とメンテナンス

空き家管理の基本は、定期的な点検とメンテナンスです。少なくとも月1回以上行い、台風シーズン前や梅雨明け、年末などの節目にもチェックするのが望ましいです。必要に応じて、年に一度の「住宅診断(ホームインスペクション)」を専門業者に依頼してもよいでしょう。

重点的に確認したいのは、屋根のズレや雨漏り、外壁のひび割れ、基礎部分の沈下、水回りの配管劣化などです。こうした劣化を早期に発見できれば小規模なメンテナンスで済むので、大規模な修繕費を回避できる可能性が高まり、結果的に費用の節約になります。

また、カビや腐食の原因となる湿気対策も重要なポイントです。空き家は通気が悪くなりがちなので、換気や除湿剤の設置、通風口の清掃などで湿気をコントロールすることが有効です。

遠方に住んでいたり高齢で管理が難しい場合は、管理代行サービスの活用も有効です。月5,000~1万円程度で巡回や清掃、郵便物の確認まで対応してくれるサービスも多く、空き家の安全性と資産価値を守る手段として注目されています。

火災保険・地震保険の見直し

火災や地震などによるリスクに対応するために保険は欠かせませんが、通常の住宅用保険では「空き家」は補償対象外となるケースが多いです。空き家を所有することになったら、必ず保険の内容を確認しておきましょう。

空き家でも火災保険や地震保険に加入できるケースとしては、住居としての機能が維持されており、定期的に利用されている場合や、水道や電気の利用により生活の痕跡が認められる場合などです。具体的な審査基準は保険会社ごとに定められているので、保険会社に具体的な状況を説明しながら相談しましょう。

なお、最近は空き家・空地管理センターと日新保険が共同で用意した「空き家専用保険」も登場しています。確実に加入したい場合はこちらがおすすめです。

まとめ:空き家問題の現状と今後の展望

空き家問題は、人口減少・高齢化・経済構造・税制といった多くの要因が絡み合う複雑な社会課題です。個人での解決が難しいことも多いので、1人で抱え込まずに、自治体やアキサポのような空き家の専門家に相談し、連携しながら取り組んでいきましょう。

空き家は放置するほどにリスクが大きくなり、対応も難しくなります。少しでも悩んでいるなら、まずは気軽に相談してみることをおすすめします。

この記事の監修者

白崎 達也 アキサポ 空き家プランナー

一級建築士

中古住宅や使われなくなった建物の再活用に、20年以上携わってきました。
空き家には、建物や不動産の問題だけでなく、心の整理が難しいことも多くあります。あなたが前向きな一歩を踏み出せるよう、心を込めてサポートいたします。

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