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公開日:2025.10.26 更新日:2025.09.26

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不動産相続を徹底解説!手続き・税金・費用と注意点

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「不動産を相続するとき、どんな手続きが必要?」「相続税はどれくらいかかるのだろう?」将来の不動産相続を考えたとき、このような疑問を抱く方も多いのではないでしょうか。不動産相続は、登記や税金など複数の要素が絡み合い、家族間のトラブルに発展しやすいため、早めの準備が不可欠です。

特に2024年4月1日から相続登記の申請が義務化され、手続きを怠ると10万円以下の過料が科される可能性がある点も重要です。相続税や登録免許税、固定資産税、さらには譲渡所得税まで、複数の税金が関係するため、全体像を把握していないと予期せぬ負担に直面することもあります。

そこでこの記事では、不動産相続の基本的な流れから法定相続人の仕組み、遺産分割の方法、税金や費用の目安までを体系的に解説します。

不動産相続とは

不動産相続とは、被相続人(亡くなった人)が所有していた土地や建物などの不動産を、法律や遺言に基づいて相続する手続きのことです。現金や預金などの動産と違い、不動産は分割や評価が難しく、相続手続き全体の中でも特にトラブルが生じやすい部分です。

不動産の所有権を移転するには、法務局で「相続登記」という手続きをする必要があります。2024年4月から、その所有権の取得を知った日から3年以内の相続登記が義務化されており、放置した場合は10万円以下の過料の対象になるため注意しましょう。

ちなみに、不動産を相続する際には、相続財産に課税される「相続税」や相続登記を行う際に発生する「登録免許税」、被相続人が生前に納めていた「固定資産税」といった複数の税金が関係してきます。特に相続税は金額が大きくなりやすく、不動産の価値が高いと数百万単位の額になることもあります。

このように、不動産相続は法律・登記・税務といった複数の分野にまたがる複雑な手続きです。法律の知識がないと対応が難しいため、司法書士や税理士といった専門家の助言を受けながら進めるのが現実的です。

相続する権利を持つ「法定相続人」とは?

法定相続人の範囲は民法に定められており、被相続人との関係によって、相続権を与えられる順位と「法定相続分」という財産を相続できる割合が決まっています。法定相続人の順位と法定相続分は以下表のとおりです。

相続順位被相続人との関係法定相続人になる条件法定相続分
配偶者必ず相続人になる2分の1
第1順位以下の法定相続人がいない場合は全部
第1順位子(養子は実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人まで)いる場合は必ず相続人になる2分の1
配偶者がいない場合は全部
複数人いる場合は等分する
第2順位親(親が無くなっている場合は祖父母)子がいない場合配偶者がいる場合は3分の1配偶者がいない場合は全部
複数人いる場合は等分する
第3順位兄弟姉妹子がいない場合で、さらに第2順位に該当する者がいない場合配偶者がいる場合は4分の1
配偶者がいない場合は全部
複数人いる場合は等分する

なお、法定相続分の割合は目安であり、遺言書や遺産分割協議によって割合を変えることができます。

遺産分割とは?仕組みを解説

遺産分割とは、相続財産を相続人間でどのように分けるかを決定する手続きです。被相続人が遺言書を遺していた場合は、原則としてその内容に従って分割を進めます。遺言書がない場合は、相続人全員の話し合い(遺産分割協議)によって方法を決め、遺産分割協議書を作成します。

ただし、遺言書があっても、兄弟姉妹以外の法定相続人には「遺留分」という最低限の財産の取り分が法律で保障されており、遺言書がこの遺留分を侵害する内容であった場合、遺留分侵害額請求がなされる可能性があります。

ちなみに、遺留分は法定相続分と似ていますが、あくまで別の制度です。法定相続分は法律上定められている相続割合の目安のことで、遺留分は最低限保証されている「財産の取り分」のことです。法定相続分は遺言書や遺産分割協議によって変更できますが、遺留分は本人が放棄しない限り変えられません。

遺留分の割合は、法定相続分とは異なり、原則として法定相続分の半分です。
(※)相続人が父母や祖父母(直系尊属)のみの場合は、遺留分の割合が3分の1になります。

たとえば、法定相続人が配偶者と子の場合、遺留分は全体で2分の1となるため、配偶者の遺留分は4分の1(1/2×1/2)、子の遺留分も4分の1(1/2×1/2)となります。

また、遺留分には、相続人全体に認められる「総体的遺留分」と、相続人の間での割合を決める「個別的遺留分」の2種類があります。具体的な金額を算出する場合は、まず総体的遺留分を算出したのちに、それぞれに認められた遺留分に応じた個別的遺留分を算出します。

※ 相続人が直系尊属者のみの場合は法定相続分の3分の1

遺産の分割方法

不動産は現金や有価証券のような動産とは違って、現物を直接分けるのが難しい財産です。そのため、以下のような方法によって分割されます。

  • 現物分割
    土地や建物の範囲を区切って分ける方法。不動産の形状や利用価値によっては公平性を欠く場合がある
  • 代償分割
    一人が不動産を相続し、その代わりに他の相続人へ金銭を支払って調整する方法。公平性を保ちやすく、実務上よく利用される
  • 換価分割
    不動産を売却して現金化し、相続人で分け合う方法。分割しやすい一方で、売却時期や価格によって手取り額が変動するリスクがある
  • 共有名義
    不動産を相続人全員で共有する方法。手続きは簡単だが、将来的に売却や管理で意見が分かれやすく、トラブルの火種となりやすいリスクがある

どの方法を選ぶかは、相続人同士で協議をして決定します。共有名義のように、将来にわたって複数人が関係してくる方法を選ぶ場合は、不動産の将来的な活用方法や次の相続のことを考えて、慎重に決定しましょう。

遺言書の効力

遺言書には、相続財産の分け方を法定相続分とは異なる形で指定できる効力があります。たとえば「自宅は長男に相続させる」「預金は妻に渡す」といった具体的な指定が可能で、原則として相続人はその内容に従うことになります。

ただし、遺言書は絶対というわけではなく、遺留分を侵害することはできません。遺言によって遺留分が侵害された場合、法定相続人は「遺留分侵害額請求」という手続きに基づき、修正を求められます。

なお、遺言書が法的に有効となるには、自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言といった民法上の方式を満たしていることが必要です。

不動産相続の手続きの流れ

不動産相続は、一般的に以下の流れで進めていきます。

  • 1.相続財産の調査・目録作成
  • 2.法定相続人の確定
  • 3.遺産分割協議と協議書の作成
  • 4.不動産の相続登記
  • 5.相続税の申告・納付

それぞれのステップについて、具体的な内容やポイントを見ていきましょう。

1. 相続財産の調査・目録作成

まず取り組むべきは、被相続人が残した財産を正確に把握することです。不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)や固定資産評価証明書を取得し、不動産の所在地や評価額を確認します。

なお、預金や株式といった他の財産についても、遺産分割協議を行う際に必要になるため用意しておきましょう。

2.法定相続人の確定

次に、被相続人の戸籍に基づいて、法定相続人となる人を調査・確定します。

ここで気を付けたいのが、必ず被相続人の戸籍を調査することです。配偶者や子が把握していない実子や養子がいる可能性もゼロではありません。普段、他人の戸籍を見ることはほぼ無いと思いますので、間違いがないように、改めて戸籍を取得しましょう。

3. 遺産分割協議と協議書の作成

財産が確定したら、法定相続人全員で「どのように遺産を分けるのか」を決める、遺産分割協議を行います。このとき、協議が成立した内容は必ず「遺産分割協議書」として書面に残しましょう。口頭での約束では、あとから相続の内容に異議を唱えられる可能性があります。

なお、協議書は不動産登記や相続税申告にも添付する重要な書類です。署名押印の形式や添付書類に不備があると再作成が必要になるため、司法書士や行政書士などの専門家に確認しながら正確に作成しましょう。

4. 不動産の相続登記

協議書が整ったら、その内容に基づいて、不動産の名義を新しい相続人へ移す「相続登記」を行います。

相続登記の手続きを行う場所は、相続の対象となる不動産が属する市区町村を管轄している法務局です。遠方にある場合でも、現地の法務局で手続きを行う必要があります。

なお、登記手続きは郵送やオンラインでも可能ですが、書類に間違いがないように1度は直接窓口に足を運んだ方が良いでしょう。あまりに遠い場合は、司法書士に依頼した方がよいかもしれません。

5. 相続税の申告・納付

相続登記が終わったら、相続の開始があったことを知った日の翌日から10カ月以内に相続税の申告と納付を行います。申告先は被相続人の死亡時の住所地を管轄する税務署です。

なお、相続税の申告と納付は期限を過ぎると延滞税や加算税が課されるため、余裕を持って手続きを行いましょう。

不動産相続手続きにかかる費用

不動産相続の手続きでは、登記や申告に伴ってさまざまな費用が発生します。主な内訳は以下のとおりです。

  • 専門家への依頼料:司法書士や税理士に手続きを依頼した場合の報酬。金額は相続登記や相続税申告の内容によって変わり、数万円~数十万円程度
  • 必要書類の発行手数料:戸籍謄本・住民票・印鑑証明書・固定資産評価証明書など。1通あたり数百円だが、複数の自治体から取り寄せると数千円規模になることも
  • その他の雑費:法務局や役所への交通費、郵送費、書類のコピー代など。遠方の土地を相続する場合は負担が大きくなりやすい

不動産相続にかかる費用は「法律で定められた実費」と「専門家への報酬」に大きく分けられます。自分で対応できる部分を増やせば節約できますが、書類不備によるやり直しや申告漏れのリスクもあるため、専門家に依頼するかどうかは費用対効果を踏まえて判断しましょう。

不動産相続に関係する税金

不動産相続に関わる税金は、相続税だけではありません。実際には、以下のように複数の税金が関係します。

  • 登録免許税
  • 相続税
  • 固定資産税
  • 譲渡所得税

相続する不動産の価値が高い場合、これらの合計が100万円単位になることもあります。税額の事前の試算が必須になりますので、それぞれ算出方法を見ていきましょう。

登録免許税

登録免許税とは、法務局で不動産の相続登記を行う際に納める税金です。不動産の名義変更に伴って必ず発生する税金で、以下の計算式で求められます。

  • 相続登記に関する登録免許税額 = 固定資産評価額 × 0.4%

例えば、固定資産評価額が3,000万円の土地の場合は以下のようになります。

  • 3,000万円 × 0.4% = 12万円

登録免許税は不動産の数が増えるほど合計額も大きくなるうえに、控除や免除の制度も用意されていないため、地価が高いエリアに土地を持っている場合や、複数の建築物を相続する場合などには特に注意が必要です。

相続税

相続税は、相続税の基礎控除額を差し引いた後に残った「取得金額」に対して課税されます。基礎控除額は法定相続人の数によって異なり、以下の式によって算出されます。

相続税の基礎控除額の算出式

  • 相続税の基礎控除額 = 3,000万円 + (法定相続人の数 × 600万円)

また、取得金額は、その価額によって以下のように税率と控除額が定められています。

相続税の税率と控除額

法定相続分に応ずる取得金額税率控除額
1,000万円以下10%
1,000万円超から3,000万円以下15%50万円
3,000万円超から5,000万円以下20%200万円
5,000万円超から1億円以下30%700万円
1億円超から2億円以下40%1,700万円
2億円超から3億円以下45%2,700万円
3億円超から6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円

不動産相続は税負担が大きいため、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減などの特例制度が用意されており、適用することで数百万円単位で納税額を減らせる場合があります。

相続税の控除については、以下の記事で詳しく説明しています。

相続税の基本を徹底解説|初心者向けにわかりやすく仕組み・税率・控除を紹介

固定資産税

固定資産税は、不動産を相続した時点から課税対象となり、名義変更が終わっていなくても実質的に所有していれば納税義務が生じます。課税額は市区町村が毎年1月1日時点の所有者に対して決定し、納付は原則として年4回に分けて行われます。

固定資産税の額は、毎年市区町村から送られてくる、固定資産税の納税通知書で確認できます。所有者が変わっても基本的には額への影響はないため、翌年も同程度の額がかかると考えておきましょう。

譲渡所得税

相続した不動産を売却する場合は、その譲渡所得に対して「譲渡所得税」が課されます。計算式は以下のとおりです。

  • 譲渡所得 = 売却価格 -(取得費+譲渡費用)

税率は不動産を所有していた期間によって次のように分かれます。

  • 短期譲渡所得(所有期間5年以下):39%(所得税30%+住民税9%)
  • 長期譲渡所得(所有期間5年超):20%(所得税15%+住民税5%)

なお、相続で取得した不動産を売却する場合、その所有期間は被相続人が所有していた期間を引き継いで計算されます。そのため、多くの場合は「長期譲渡所得」として扱われ、税率が低くなります。これにより税率が抑えられるケースが多いため、売却を検討する際には所有期間の判定を必ず確認しておきましょう。

まとめ・総括

不動産相続は、登記・税務・遺産分割といった複数の分野が絡むため、事前の準備なしではスムーズに進めることは困難です。相続登記の義務化や相続税の申告期限など、期限付きの手続きもあるため、本記事の内容をおさらいして、早めに取り組みましょう。

まずは、将来に備えて、相続人の調査や財産の把握から始めるのがおすすめです。あらかじめ資料が揃っていれば、いざというときに動きやすくなります。お正月やお盆など、親戚が集まるタイミングで、軽く話してみるのもいいかもしれませんね。 

この記事の監修者

白崎 達也 アキサポ 空き家プランナー

一級建築士

中古住宅や使われなくなった建物の再活用に、20年以上携わってきました。
空き家には、建物や不動産の問題だけでなく、心の整理が難しいことも多くあります。あなたが前向きな一歩を踏み出せるよう、心を込めてサポートいたします。

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